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暮らしの菓音vol.7 前日福田中学校演奏会

そもそも第7回目の「暮らしの菓音」の日取りを11月3日に決めたのは、私の所存ではない。
11月2日にうちの近所の福田中学校でのピアニカ演奏会企画が決定したというお知らせを頂いて、
ならばぜひ翌日3日にドルチェ倉庫で演奏して頂こうという運びとなった。

縁もなじみもない中学校にトミーさんのパンフレットを持って足を運んだのは今年1月。
真冬に分厚いコートをがっしり着込んでチャリで5分足らずの中学校へ初めて赴き
寒さではなく緊張でドキドキ震えながらお話をしたのが、まるで昨日のことのようだ。
卒業生でも生徒の親でもないどこの馬の骨だか分からない私をあたたかく校長室に迎えて下さり、
時間を割いてじっくり話を聞いて下さった先生方には感謝しきれない。
正直、予算の問題もあり中学校で演奏会を企画して頂くのは無理だろうな~
まぁとりあえず話を聞いて頂けただけでも良かった良かった。となかばあきらめていたが
それから3カ月後の春先に決定のご連絡頂いた時には驚いた。
昨年11月26日に初めてトミーさんをドルチェ倉庫にお招きすることを決めた時に
どこか近くの学校でも演奏会を企画して頂ければいいなと妄想したものの
わずか1年でホントに実現するとは思わなかった。
いい音楽を聴きたい。他の人にもいい音楽を聴いてほしい。
願望を実現するために必要なことは?
他人に協力してもらうこと。
自分ひとりの力ではどれだけ頑張っても絶対出来ない。
音楽を愛する校長先生のお口添えと、
音楽に非常に造詣の深いご担当の先生のご尽力無しには実現しえないことだった。



全国各地の学校演奏会の経験豊富なトミーさんだけど
今回のは芸術鑑賞会ではなく、校内合唱コンクールの後にプロの音楽家の演奏を楽しむという企画だった。
題して「かしわ音楽祭」。
ステージサイドの色とりどりの♪の切り抜き装飾がかわいい。美術部員の仕事だろうか。
私も関係者ヅラして事前の楽器搬入をほんの少しだけお手伝い。
余談だが私が中学3年生の時に合唱コンクールで歌った曲はパッフェルベルのカノンだった。
歌詞をつけて合唱用に編曲したものだったが、
「暮らしの菓音」のイベント主催を始めてから、あの時歌った曲はカノンだったと気が付いた。
ずんぐりむっくりした担任の先生の「俺はこれがいい!」との独断で選ばれた曲だったが、いい曲だった。



音を重ねる、合唱の楽しみ。
福田中学校では今年からクラス対抗でのコンクールではなく、
1学年を2チームに分けたユニット形式に変更して行うという初の試みをされた。
確かにこの方が無駄なく練習出来るし合唱自体の質のレベルアップを計れる。
気持ちを合わせ声を重ねるのは、きれいなハーモニーを聴けると白熱するほどおもしろいものだ。
そしてシメの先生方だけの合唱では、高揚してステージ前に駆け込む生徒さんのアンコールの嵐。
中学生って、若いな~~初々しいな~~

今回トミーさんの演奏会企画をご担当下さった先生は、音楽の先生ではないがチェロの名演奏家であった。
「ここら辺では有名な方ですよ」と、無知な私はご近所さんに話を聴いた。
去年も合唱コンクールの後に行われた先生のチェロ演奏が素晴らしかったと。
とてものびやかで美しい「星に願いを」の調べが体育館に響き渡り、うっとり聴き惚れる。
控室やステージ道具の準備からスケジュール調整に至るまで、本当にお世話になりました。



神戸から来られたトミーさんのピアニカバンドチームは総勢6名様。
ピアニカのトミーさんをリーダーに、キーボード、ドラム、フルート、パーカッションの方々に加え、
スタッフとして来て下さった方は実はボーカリストだとその場で知った。
いつかこの方の歌も聴いてみたいな~
6名様に加えて楽器や機材なども全て車一台に積み込んで現地待ち合わせ。
ドラムセットやアンプにスピーカーと、よくこれだけの荷物積めましたね~~と
体育館に横付けした車から荷物を下ろしながらトミーさんと話していた。
去年はドルチェ倉庫だけでの演奏だったけど今年はこの広い体育館で使えるように
スピーカーも去年より大きいのを持ってきたんですよ、とのこと。

音楽に関してドシロートの私は、演奏技量や楽器の種類などの方にまず目がいくが、
会場の広さや構造に対応した音響設計というものの深みを垣間見る。
「遠くから見ても分かるような」舞台美術や衣装や化粧などにまず興味がひかれる私は
「遠くから聞いてもちょうどいいような」音響に関しては全く無知。
耳で判断して機材を調整するって、考えてみればこれもすごい職人技だ。
先日、高速道路のトンネルの劣化度合を打音で診断するという話を聞いて
音だけで分かるのか!?と驚いたが、分かる人には分かるのだろう。
聞き比べれば違いは分かるかもしれないが、その上でどう調整すればいいかの判断は経験しかない。
日本酒を利き酒して味の違いは分かるけど、どうすればその味を作れるかは杜氏さんしか分からないように。



生徒さんの司会のもと、ピアニカ演奏会スタート。
数時間前までまるで親しい友達のように言葉を交わしていた方が
ステージに上がり大勢の人の前でトークと演奏を繰り広げられる様を、遠目ながら眩しい気持ちで眺める。
歌舞音曲、芸能をなりわいとして人前に立つ人達のオーラというか輝きというのはやっぱり自分のようなフツーの庶民とは違うよな~
そう、華がある。

トミーさんのライブの何が楽しいかって、迫力ある演奏はもちろん
その場に応じてウィットに富んだトークにも魅了される。
携帯で撮った動画ではトークの魅力まで伝わらないが、演奏して頂いた曲の一部を掲載します。
私個人的に、今回初めて聴いたトミーさんのピアニカと村尾さんのドラムのデュオのルパンがカッコ良くてすんごく良かった!

福田中学校ジャズピアニカライブ・カエルのうた

福田中学校ジャズピアニカライブ・赤とんぼ

福田中学校ジャズピアニカライブ・ルパン

福田中学校ジャズピアニカライブ・茶摘み歌

ついこないだ(12月10日)まわってきた回覧板に中学校の通信が入ってた。
そこに11月2日のかしわ音楽祭のことが紹介されていた。





全てが無事に終わった今だから言える話。
トミーさんの演奏企画が決まった後に、近所のお母さん達から今の中学校は荒れている。
という話を耳にした。
田舎の海辺の中学校、港町の性で歴代荒れているけど特に今年はとりわけ悪いという。
あれやこれやという悪しきウワサを聞く度に、
大丈夫だろうか。私もしかしてヤバい紹介をしてしまったのではないだろうか。
トミーさんの演奏中に、生たまごとか投げられたりしたらどうしよう~~~・・・
などどネガティブモードまっしぐらに悪いことばかり連想していた。
ところが、いざフタを開けてみたら。
演奏の妨害をする子など誰一人としていなかったし、昼食後の眠い時間におとなしく聴いてくれたし。
そして、「荒れてる」と言われている生徒さんはあの子ね~とひと目で分かるようなビジュアルの子が
何と真っ先に「アンコール!」の大きな声をあげてくれたのには感動した。
その彼の第一声があって、アンコール言いたいけど言えない恥ずかしげにうずうずしていた空気が一変し
全生徒さんの声を合わせたアンコールが沸き起こった。
見た目に反して何ていい子なんだ!彼はいい仕事をしてくれたね!
いや~~どんな人間にもその人ならではの役割というものはあるもんだね~~などと
後片付けも終わった後にオットと二人で胸なでおろしながらしみじみ物語っていた。

翌日ドルチェ倉庫での演奏も無事に終えた打ち上げの時、トミーさんに話してみた。
正直言うと福田中学校今年はとりわけ荒れてるって聞いてたので
演奏会もどうなることかとちょっとひやひやしてたんですよ~~
トミーさんのご返答がまた良かった。
全く問題無かったです。本当にいい生徒さん達でした。
みんな目が澄んでいるし、帰り際もきちんと挨拶してくれたし。
挨拶出来る子はまず問題ないです。
ああいう生徒さん達は今後も真っ当な道を歩みます。
全国各地での学校演奏会の経験豊富なトミーさんに、
笑えないほどすさまじいイマドキの都会の中学校事情をちらりと教えて頂いた。
ひるがえってみれば福田中学校の生徒さんは、
雄大な太平洋を眺められる立派な校舎で潮風に吹かれて毎日を過ごし
ど広い校庭や体育館や近くの公園や砂浜を使いたい放題使い
のびのびと羽を伸ばして素朴に純朴に学校生活を送れるのだから、やはり恵まれた環境なのだろう。

中学生ともなれば、本当に人それぞれ。
自分のココロひとつでこれからの人生の選択はいかようにも。
ココロにぽっと小さなあかりが灯った子がいるならば、これからの未来への道のりが楽しみだ。

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