陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「インディアン・ランナー」

2010-07-26 | 映画──社会派・青春・恋愛
1991年の映画「インディアン・ランナー」は、とくにインディアンが主役の西部劇ふうの映画ではありません。
ただ社会に不満があって犯罪で憂さ晴らしする堕落した青年が、狂気をおこす際の幻覚にでてくるのが、インディアン。これですと、インディアンがまるで血も涙もない殺戮者のように思われてしまいます。
筋書きもおそまつなものに感じました。

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兄のジョー・ロバーツはハイウェイ・パトロールマン。農場をやめてこの仕事についてから勤務ぶりは実直。家には妻と幼い息子がいる。
弟のフランクはベトナム帰りのアウトロー。定職にも就かず、金を盗んだり喧嘩したりの日々。恋人が妊娠したのをきっかけに就職し、結婚もした。だが、もうすぐ一児の父親になるというとき、衝動的に殺人を犯してしまう…。

この兄弟は幼い頃から仲がよく、張り合っていたわけでもない。
しかし、弟のフランクは再三の兄の忠告にも関わらず、悪事を重ねる。高校生の頃から札付きの不良で街でも嫌われ者、自分のできの悪いのを世の中のせいにしてばっかり。
観ていて腹の立つ男ですね。

兄のジョーは夢であった農場を手放さざるを得なかった。そして警官をしながらも、被害者を正当防衛で射殺して、苦い思いすらしています。なのに、そんな兄を弱腰のようになじっている弟の子供っぽさに気色ばんでしまう。
母親が亡くなっても刑務所入り、そして父が人生悲観して自殺しても知らん顔の弟。兄夫婦は必死になって生きているのに、ほんとうにろくでなし。
父親になるのがイヤで逃げてるだけの甲斐性なし。

最後は殺人を犯して逃亡中のフランクを追いつめるも、ジョーは見逃してしまう。
この結果はどうも腑に落ちない。もうどうせなら、兄の手で引導渡すとか、かってに橋から落ちて…という最期だったらよかったのに、とさえ思ってしまいます。
車から一瞬出てきたのに子供姿だったのは、兄の懐古ではなく、彼の精神年齢がその年から終わっていることを示してるだけなんでしょう。

俳優陣はすばらしかったのに、このラストに納得できないので、つまらないです。
「理由なき反抗」のような反発的な若者を描いて失敗しています。
俳優の演技がいいのでまだ観れますが。

主演は兄のジョーに、デイヴィッド・モース。「ダンサー・イン・ザ・ダーク」や「グリーン・マイル」でも、警官役でおなじみですね。若い頃は、わりあい痩せていたんですね。
弟フランク役は、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのヴィゴ・モーテンセン。

監督・脚本は、これが初演出となる性格俳優のショーン・ベン。
「アイ・アム・サム」ではみごとな知的障害の父親役を好演したのに、がっかりですね。


インディアン・ランナー(1991) - goo 映画

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