陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「レベッカ」

2010-07-27 | 映画───サスペンス・ホラー
1940年の映画「レベッカ」(原題 : Rebecca)は、資産家の男に見初められて嫁いだ娘が体験するサスペンス劇。サスペンスとはいっても、血やら凶器やらは出てきませんが、監督はあのアルフレッド・ヒッチコックだけに、人気のない空間に置かれたときの居心地の悪さや、冷淡な人間の素振りでもって恐怖心を煽っていく一流のサイコ・サスペンス。ネタバレすると、殺人劇ですが誰かがあらたに犠牲になるわけではありません。ご安心を。

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先妻を亡くしたばかりの英国の資産家マキシム・デ・ウィンターは、両親がなく叔母と暮らす世間知らずの娘と結婚。故郷のマンダレーにある館に連れ帰る。
邸内は美しい前夫人レベッカの生前のままに残されており、使用人も訪問客もなにかにつれ、レベッカの噂話でもちきり。
特に、館の古株の使用人デンバー夫人はいまだレベッカの崇拝者。仮装舞踏会では、ウィンター新夫人にレベッカの肖像画とおなじ衣装を着けさせて、マキシムを動揺させてしまう。
マキシムのあまりの狼狽ぶりに脅えた新夫人は、夫のこころが亡き妻にあるのではないかと嘆き悲しむ。その絶望につけいって悪魔のささやきをするデンバー夫人。

しかし、突如、海底に沈んでいたヨットからレベッカの死体が発見される。海で遭難して死亡し、すでに墓地に埋葬されていたはずのレベッカが、なぜ今さら発見されたのか。また、レベッカが亡くなったという海の近くの小屋に住んでいた怪しい男は? ウィンター新夫人の疑惑が深まったところで、マキシムが驚くべき告白をするが…。

ヒロインである娘には名前がなく、劇中にはまったく登場しないにもかかわらず異常な存在の影を落として、ヒロインと夫とを苦しめるレベッカ。しかし、このふたり、最後まで愛は揺るがず。
レベッカの名を借りて陰謀を企む者は最後に自滅してしまうけれども、幽霊が出てくるわけでもないのに、じわじわと生活を脅かされていく不気味さがなんともいえない。

出演はマキシム役にローレンス・オリヴィエ。
ウィンター夫人にジョーン・フォンティン。「風と共に去りぬ」のメラニー役で有名なオリヴィア・デ・ハヴィランドは実の姉で、姉妹でアカデミー主演女優賞を獲得。
ウィンター夫妻を追いつめる従兄のジャックを演じたのは、「イヴの総て」の辛らつな演劇評論家を演じたジョージ・サンダース。声の通りがよくて特徴がある方ですね。

本作はヒッチコックが英国から渡米後の第一作目として知られ、アカデミー賞アカデミー賞最優秀作品賞と撮影賞(黒白部門)を受賞。

(2010年1月27日)

レベッカ(1940) - goo 映画

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