陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

魔法少女リリカルなのは 2014→2004

2014-08-31 | 感想・二次創作──魔法少女リリカルなのは


次に紹介するのは、「マリア様がみてる」とは違って、ずいぶんと肉食系女子の物語です。
肉食系といいましても、女子が恋愛にがっついている、というのではありませんが。


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もともとはアダルトゲームのサイドストーリーの主役に過ぎなかった高町なのはを、本格的な主軸にして、新しいシリーズにしてしまったという『魔法少女リリカルなのは』。
2004年10月にオリジナルアニメとしてテレビ放映され、翌2005年同時期に続編の『A's』が登場。さらに、2007年には、小学三年生だったキャラクターたちの十年後という脅威の設定で、2クールとして『StrikerS』が放映。


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そのあと、第三期の後日談というべきドラマCDの発売を経て、2009年にはなんと、第四期として漫画『魔法少女リリカルなのはViVid』と『魔法戦記リリカルなのはForce』がスタート。いずれ、どちらかアニメ化すると思われたのですが、いまだならず。


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そうこうするうち、なぜか、テレビアニメ版をリメイクした劇場版が公開する運びとなり、現時点で、第一期、二期が公開。来年にはオリジナルストーリーの劇場版が予定されています。映画にあわせてラジオ番組も放映されたり、とにかく広報に抜かりがありません。

この作品、もうすでにシリーズといっていいほど、あちらこちらでメディア展開すさまじい。「ViVid」と「Force」はそれぞれの公式パロディ漫画まであるし、劇場版はコミックでも発売されました。もともとテレビアニメ本編のコミカライズもあったし、サウンドステージというドラマCDもあったわけですが。PSPのゲームにもなり、さらにはソーシャルゲームにまでなっている。そのソーシャルゲームを漫画にしてしまった『INNOCENT』もあるという。フィギュアなどにしろ、関連グッズがあればとかく売れるわけでして、日本のカルチャー産業の優等生という存在。いったい、どこまで、シリーズは生きのびるのか。原作者にして脚本家でありながら、プロデュース力もある都築真紀氏の戦略のたまものというべきなのか。

で、2014年現在。
「ViVid」ではバトルファイトで伸ばし伸ばしにされていた、ヴィヴィオのご先祖さまのお話がやっと明かされたらしい。実は途中で飽きたので購入を控えていたのですが、ちょっと興味が惹かれます。いっぽうハード路線で「StS」以来の熱いバトルを期待した「Force」は、なんと昨年になって無期休載が決定。そのあと、『ORIGINAL CHRONICLE 魔法少女リリカルなのは The 1st』がスタートしたわけですが、これって劇場版とテレビ版一期の掛け合わせらしい。


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うーん。これは焼き直しの焼き直しというわけなのか?
よく文学や専門書なんかで新装版として加筆修正されたりすることはありますし、手塚治虫の『火の鳥』シリーズみたいに漫画でも同じようなことあるみたいですけども、それって、作者の同一性が保たれるからこそ許せるのではないか、と思うのですよね。出版社の戦略なのでしょうが。個人的には同じ過去の筋書きを辿るなら、小説にして、挿絵を漫画家さんにしてほしかったり。でも、小説にしてしまうと、多分すぐ終わるでしょうし(笑)。

この作品のおもしろいところは、美少女アニメにありがちな、主人公の中高生という年代をあえて抜かしてしまったことです。テレビ版第三作でいきなり二十歳近くになっていて、すでにそれなりの役職も得て、部下も育てちゃっている。さらには子育てまでしてしまう、という、とんでもなく成熟しきったヒロインたち。九歳にしてすごく悟りきっているなのはさんたちですが、ふつうの小学生、いや、下手すっと大学生過ぎて三十歳近くまで、こんなにオトナじゃなかったりする現代人。このアニメは、アニメファンに成熟することを願っているのだろうか、と思ってみたりもします。といっても、ミリタリーものに仕上げたわりには、やはり魔法少女の枠組みから抜けられない、ちょっとユルい感じのバトルですよね。

さてもさても、どこまで肥大化するかわからないこのシリーズ。
田村ゆかりさん、そして、紅白出場にくわえ芸術選奨も受賞された水樹奈々さんなど、声優人気にも拍車をかけた魔法少女の王道バトルファンタジー。行く末楽しみです。いや、いったい、いつまで続くのかなって、それだけの興味で。

ところで、すでによく知られたことですが、テレビアニメ版第一作の監督をつとめた新房昭之氏は、「魔法少女まどか☆マギカ」という新感覚の魔法少女ダークファンタジーを世に送り出し、社会現象にもなりました。こちらもコミックや劇場版でいまだに人気衰えないのですが、リリカルなのは並みの十年選手に届くのも夢ではないでしょう。(とか言ったら、まどマギ愛好者さんに、すでに終わったコンテンツと比較すんな!とお叱り受けそうですね(笑))


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