陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

銀盤の氷傑、六名の頂上決戦! フィギュアスケートGPファイナル2012(二)

2012-12-09 | フィギュアスケート・スポーツ
期待していることは口に出せば叶うものなのですかね。言葉に出しすぎるとプレッシャーになると思うこともあるけれど、やはり願わずにはいられなかった、悲願の勝利でした。今季GPシリーズの最終戦は、チームジャパンにとって幸運の女神に愛された舞台となったようですね。世相が暗いだけに、なんとも元気づけられるニュースです。

冬季五輪が二年後に予定されるロシアはソチの競技場。二日目の八日は、女子フリースケーティングの開催日。ショートプログラムで首位に立った浅田真央選手が逃げ切り優勝するのか、それとも、NHK杯(フィギュアスケート NHK杯2012(後))で見せたように鈴木明子選手が猛追して逆転劇があるのか。まさに男女ともに世界チャンピオンの座がそのまま日本一の座になるという、きわめて日本フィギュアスケート史上稀に見る同士討ちの戦いになった今年のファイナル、制したのはやはり前評判どおりのことで。

銀盤に融けあうような白亜の衣装で登場した浅田選手の、フリーの勝負曲は「白鳥の湖」。数々のフィギュアスケーターたちに愛された古典中の古典。浅田選手はもともと、小塚選手とおなじく、どちらかといえばあまりはみ出たところのない、硬派な選曲をすることが多かったのです。手垢のついた名曲と言いますのは、それだけ過去選手の名演技と引き比べられやすく、いかに自分らしいイメージをものとするかが課題になるといえますね。しかし、今季は後半のフリーで危なげな場面の多かった浅田選手といえども、この一番では今季最高の成果を発揮できたようです。スコアは今季パーソナルベスト更新の129.84点。中盤でまだ不安の残るジャンプの回転不足が二箇所あったものの、加点の大きい後半での三連続コンビネーションジャンプをきれいに決めて10点以上をここだけで稼ぎます。スピンやステップシークエンスも高レベルの評価をいただいています。結果、首位の座を誰にも奪われることなく、トータル196.80点。文句なしのファイナル優勝を果たしています。日本人女子シングルでファイナルを制したのは、村主章枝選手と浅田選手のみですが、四年ぶりとはいいながらも、じつに三度目の制覇。シニアデビューの十五歳で初出場、初ファイナル制覇をあっけなくやってのけ、五輪の年齢制限撤廃してまでもオリンピック出場枠に、と望まれたあの天才少女・浅田真央ちゃんの健在ぶりを世界に見せつけましたね。

SPでは苦手なジャンプを調整して、三位につけていた鈴木明子選手。
昨季は銀メダルに終わったものの、金を狙わないはずがない。今季はスケートカナダ(フィギュアスケート スケートカナダ2012(後))、NHK杯ではいずれもSPで五位から、フリーで首位に踊りあがり、準優勝を手にしているというまさに逆転女王。最初の三連続ジャンプのうち、最後のルッツが二回転になったので調子がやや狂ってしまったのか、転倒がニ度というミスを連発してしまいます。今季好調の鈴木選手にしては珍しいミスですね。しかし、後半では持ち直して、三回転ループ・二回転トゥループの連続技を成功、三回転サルコウも申し分なく。FSでは115.77点の計180.77点に。順位をあげることはできずじまいで、最終的に銅メダルとなりました。しかし、このトータルスコアは準優勝の米国アシュリー・ワグナー選手の181.93点とはわずかの差なのですよね。もしミスが二度なければと思いますと、やや悔やまれます。しかし、失敗してもへこたれないだけの強さが彼女にはあります。このまま五輪まで現役続行してほしいものですよね。

女子六名そのほかの結果は、四位がフィンランドのキーラ・コルピ選手。五位はロシアのエリザベータ・トゥクタミシェワ選手、そして六位は米国のクリスティーナ・ガオ選手。ファイナルと言えども、実質は上位三名の高度な争いとなりましたね。しかも、その三名のうち、二名は日本人なのですから、なおさら日本のフィギュアスケート界のハイレベルさがうかがえます。

浅田真央選手の今回の総合点だけでもかなりの高得点に思えますが、じつはあの2010年のバンクーバー五輪においては205.50点を叩きだしているんですね(氷上のなでしこ、涙の銀メダル)。過去のパーソナルベストでもSPでは75点、FSでは130点越え、いずれも五輪以前の十代のときに出したもの。日本人選手が世界の舞台で華やかな成果を残すたびに、不利にルールが改正されてしまうという噂もあるようですが。今回の大会では真央選手は腰痛を抱えての奮闘だったようで、万全のコンディションでないながらも、この実績を残せるのですから、やはり彼女こそは天才スケーターと言わざるをえません。

今回の浅田選手の勝利は、自身のファイナル女王返り咲きという栄誉とともに、すでにご存じでしょうが、日本人男女シングル初のダブル優勝という大快挙も成し遂げることになったのです。その悲願のもうひとりの立役者はといえば、そう、あのエースしかいません。それについては、また次回に。しかし、男子はほんとうに誰を応援してよいやら迷いました(笑)。メダルは三つしかありませんから。

【関連ニュース】
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【関連サイト】
フィギュアスケートGPシリーズ世界一決定戦2012(テレビ朝日)


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