陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「ペイチェック 消された記憶」

2009-09-01 | 映画──SF・アクション・戦争
時は金なりといいますが、自分が漫然と過ごしている時間を買ってくれるとしたら、はたして売りたいですか?
そんなことをふと考えさせてくれるのが、2003年作の映画「ペイチェック 消された記憶」

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高度に情報化がすすんだある近未来。
フリーのコンピューターエンジニア、マイケル・ジェンクスは極秘プロジェクトに参加しては、その間の記憶を消すことで高額の報酬を得ていた。
オールコム社のプロジェクトに関わった直後、三年間分の記憶をうしなった彼は、九千万ドルの報酬を受け取るはずだった。だが、彼が渡された封筒には、数個のがらくたと、報酬辞退のサインがされた誓約書のみ。会社にだまされたのだと疑ったマイケルは、なぜかFBIにも追われはじめる。そして、会社に雇われた殺し屋からも。

さいしょの設定としてはおもしろかったのですが、その後、期待を裏切られた言うべきか。
もと恋人だったレイチェルの手を借りて、謎の解明に挑むとか。未来予知のタイムマシンの開発とその悪利用を阻止するための作戦だったとか。どこかで観たという印象。
けっきょく、タイムマシンを破壊して、未来を覗くのは悪、というありきたりな結論に達してしまいます。というか、なんでここで、タイムマシンが出るの? システムエンジニアなのに、科学者だったの? …という疑問が浮かびます。
記憶がなくなったことの恐怖を、もっと打ち出して、主人公を打ちのめすようなシーンがあればうなづけるんですが。

ただ、映像の演出しては見応えがあり、監督ジョン・ウーのセンスを感じさせます。
過去のSFでやってきた事柄を焼き直ししてるような印象も感じるけれども。
「レッドクリフ Part I 」みたいな、派手なアクションはないですね。

いっけん二枚目にみえる、主演のベン・アフレックが、いちぶ間抜けな顔つき(美女の前で鼻の下伸ばしてる(笑))をしているのが、なんとも…。
「世界で一番パパが好き!」でも、女の子に振り回される役でしたね。
共演は「キル・ビル」「愛という名の疑惑」のユマ・サーマン。

原作は著名な米国のSF作家フィリップ・K・ディックの『報酬』
同名作家の原作を映画化した「ブレードランナー」のほうが、人物の心理を深くとらえ、かつ世界観の作りこみもおもしろかったですね。SF映画は未来を手探りであれこれ想像していた、80年代までのがおもしろく感じます。最近作は、現実があまりにフィクションを凌駕してしまって、虚構が現実を追いかけている気がしますね。アニメの観すぎで余計にそう感じちゃうのかもしれないけれど。

(〇九年八月三十一日)

ペイチェック/消された記憶(2003) - goo 映画

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