陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。

映画「ブラッド・ダイヤモンド」

2016-03-01 | 社会派・人生映画
2006年のアメリカ映画「ブラッド・ダイヤモンド」は、アフリカで不法取引されるダイヤを巡って交錯する三人の男女の運命を描いた社会派サスペンス。正確にいえば、三人の男女というより、三人の男、少年の運命ともいえますね。
ディカプリオが主演し、側に美女もいるのですが、戦下での安易なラブストーリーとならない、かなり硬派なヒューマンドラマです。もちろん淡い恋愛感情は湧くのですが、男女の仲とはならずどちらかというと同志の友情に近いかも。こういうのが観たかった。二時間を超す大作なのに、ちっとも飽きなかった。

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1999年、不法取引のダイヤを巡って紛争が絶えない、アフリカのシエラレオネ共和国。反政府軍組織RUF(革命統一戦線)によって、家族から引き離され、捕らえられた漁師ソロモン・バンディーは、ダイヤの闇採掘場で働かされていた。やがて政府軍の襲撃によって収容されてしまう。

元傭兵で密売人のダニー・アーチャーは密売の現行犯で逮捕され、収容所でソロモンと出会う。ソロモンが大粒のピンクダイヤを隠していること知り、ひそかに取り引きを持ちかけようと画策。いっぽう、現地入りした女性ジャーナリストの魔ディー・ボウエンは、紛争ダイヤモンドの真実に迫ろうとアーチャーを付け回しているが…。

「ナイロビの蜂」「ホテル・ルワンダ」など数々のアフリカの紛争に取材した映画と同様に、ここで取り沙汰されているのは途上国の内戦を食いものにして利益を得ようとしている一部の強者と、それを助長している第三者たる先進国の人びとの姿勢。RUFは資金源としてダイヤ採掘を管理し、いっぽう、ダイヤ取引を担うパン・デ・カープ社はその利益を独占したいがためにアフリカの内戦を長引かせようとしている。アーチャーは白人ですが、アフリカ生まれで黒人と共に内戦を戦った猛者であるだけに、アフリカに愛着を感じながらもそこから抜けだしたいと願ってやまない。

家族とふたたび平和な生活を送りたいがためにダイヤを糧としたいソロモン。
ダイヤを売り払い大金を手にして、紛争渦まくアフリカから脱出をもくろむアーチャーは、家族探しに付き合うことに。白人のダイヤ取引のせいで罪もない命が奪われていることを訴える、人道主義的立場のマディー。

アーチャーがソロモンに手を貸すのは利益のためなのか、それも情にほだされてなのか。一見、正義感あふれるともいえるマディーにしたって、情報欲しさにソロモン個人の家族を見つけ出すことをためらう節も見られる。紛争を巻き起こす側も、それを記事にして売りつける側も、おなじ白人。黒人の悲劇を利用していると言える。

やがてソロモンの愛息だけが、行方不明に。
利害が一致し、行動を共にする三人は激化する内戦の奥地へと足を踏み込んでいきます。そのころ、息子はRUFに拉致され少年兵として育成されていた…。危険を察知したアーチャーはマディーとの別れを決意します。彼女もまた愛に流されてしまうよりも、不正を糾弾するという使命を選ばねばならない身の上だから。

終盤になるにつれて、ダイヤの行方そのものよりも、ソロモンの息子の安否に焦点が置かれていくのですよね。その名前がディアとあることからも、人間ひとりの命こそ幾億万ものダイヤの価値にも勝る、というのがタイトルの意味のするところではなかったかと思われるぐらいに。

最終的には、RUFではなく、極大ダイヤを狙うアーチャーのかつてのボス、コーネル大佐の登場によって、アーチャーとソロモンの運命は暗転させられる。その危地を逃れた二人にさらに銃を向けたのは、悲しむべきことに洗脳されてしまった息子。白人に支配されていたほうがましだった、黒人が黒人と争わねばならないというと忌まわしい現実が、この父子の衝撃的な葛藤に集約されています。

自己犠牲に殉じたアーチャーが、アフリカの赤土を握りしめるシーンが印象的ですね。国際的に断罪された最後は、感動の涙に包まれることうけあい。紛争による不法なダイヤの取引がいまだなお続いているが、それを阻止するのは消費である──という最後の一文が視聴者に重く響きます。

監督は「ラストサムライ」「戦火の勇気」のエドワード・ズウィック。
出演はレオナルド・ディカプリオ、「ビューティフル・マインド」のジェニファー・コネリー、そして「グラディエイター」のジャイモン・フンスー。ジェニファーは父親のショーン・コネリーに目元がそっくりですね。
アカデミー賞には5部門ノミネートされながらも、惜しくも受賞を逃しています。


(2011年9月20日)

ブラッド・ダイヤモンド - goo 映画

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