陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「ホワイト・オランダー」

2012-05-12 | 映画──社会派・青春・恋愛
本日の映画は二〇〇〇二年作の映画「ホワイト・オランダー」
表題は作中に登場する、白い夾竹桃の花のこと。

DVDのパッケージを観て、不幸な境遇に陥りながらも絆をうしなわない母子の微笑ましさを描いたものだと思っていましたが、まったく騙されました。芸術家がヒロインというだけに、かなり狂気じみた作風。ラストはハッピーエンドなんでしょうけれど、救われた気持ちがしません。
以下、ネタバレあり。


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十五歳のアストリッドにとって、人気アーティストでイングリッドは美しい自慢の母親。女手ひとつで育ててくれた母の才能を受け継いだアストリッドも画家をめざしています。
しかし、母が恋人の男の裏切りに遭い、殺人容疑で逮捕されたことから,母子の暮らしは一変。アストリッドは福祉事務所の保護観察下におかれたあと、三人の里親のもとを渡り歩くことに。

とにかくこのアストリッドの辿る三年間が不幸の連続。
最初の家庭は、かなりアバズレなのに、信仰心だけはやたらと篤い女性、スターの家。ところが、その恋人レイに親しみをみせたことから、嫉妬に狂ったスターからとんでもない仕打ちをうけることに。
とちゅう、養護施設での一時的な生活を経て、ひきとられたのは三流女優クレアとTVディレクターの夫の住む家。女優として芽がでず夫婦仲も冷えきったクレアですが、アストリッドに愛情を注ぎます。しかし、娘だけが幸福になるのを望まない母のイングリッドは獄中から、さかんに娘に人を信用するなとけしかけます。その囁きは、やがてクレアを絶望の淵へ…。

やけっぱちになったアストリッドは、三番目にいかがわしい商売をしている女性のもとへ身を寄せます。しかし、そこもうまくいかない。美術学校への進学のために弁護士を頼ったアストリッドは、絶縁状態にあった母と対面。そして母親のおそろしい真実を聞かされます。

けっきょくアストリッドは、養護施設で出会って恋仲になったボーイフレンドとともにニューヨークに渡り、新進気鋭のアーティストとして活躍しているらしい。
正当防衛がみとめられ釈放された母も、あいかわらず創作活動をしているとのこと。

男性からの愛を得られずに、我が子に執着し呪縛してしまう。その母親の哀しい性を、イングリッド母子を軸に、ほか三人の女性でも描いている群像劇。
目をひくのは、軒並みアカデミー賞受賞クラスの女優陣が出演していること。
イングリッド役は「アイ・アム・サム」のミシェル・ファイファー。カリスマ性のある美貌が際立つ、受賞歴の多いベテラン。
娘のアストリッドは、期待の新人女優だったアリソン・ローマン。「風の谷のナウシカ」の吹き替え声優として活躍。
クレアを演じたのは「ブリジット・ジョーンズの日記」のレニー・ゼルウィガー
スター役のロビン・ライト・ペンは、「フォレスト・ガンプ 一期一会」でトム・ハンクスの相手役になったことでも有名。

監督は「嵐が丘」(1992年版)のピーター・コズミンスキー。
原作はジャネット・フィッチの全米ベストセラー小説『扉』。

でも、こんなのが受けたとしたら、家庭崩壊まっしぐらだと思うんですけどね…。養子に迎えたはいいが、旦那と気まずくなったのを娘のせいにして追い出そうとするなんて、母親失格じゃないですか。自由気ままに生きる女性はかっこいいですが、子どもを不幸にする女性はみっともないです。行きすぎたジェンダーフリーの弊害といえる現象ではないでしょうかね。

(〇九年十一月二十八日)

ホワイト・オランダー(2002) - goo 映画


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