陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「荒鷲の要塞」

2015-08-27 | 映画──SF・アクション・戦争
1968年のアメリカ映画「荒鷲の要塞」(原題:Where Eagles Dare)は、第二次世界大戦中、難攻不落のドイツの要塞に囚われた将軍を救うべく、命をかけた米英の混成部隊を描く戦争アクション。若干ネタバレありなので要注意。

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ドイツ山中の町ベルフェンにそびえる”鷲の城”に、米国の将軍カーナビーが捕らえれてしまう。カーナビーは、連合国のヨーロッパ大陸反攻作戦を担うはずの重要人物。彼が機密情報を漏らす前に身柄を奪還するように密命を帯びたのは、英国軍情報部のターナー大佐のもとに集められたジョン・スミス少佐率いる精鋭五名。パラシュートで舞い降りた六名は米国のレンジャー部隊のモリス・シェイファー中尉と合流、救出作戦を決行するが…。

戦時中の救出作戦と聞けば「プライベート・ライアン」のように、極限状態の勇気と正義感を試す英雄譚のように思えますが、そうでもなく、きわめてストーリーにひねりの利いたミステリータッチとなっています。古い映画ならではのドラマチックな音楽もあいまって、否が応でもミステリアスな雰囲気で盛り上がらざるを得ない。

降下したとたん通信士が墜落死に見せかけて絞殺されていたり、カーナビー将軍が不時着したのが英国軍のしわざだったり、さらにはその将軍自体が替え玉だったりと薮から棒につぎつぎと生まれてくる仰天の事実。さらに仲間のマクファーソンも殺害されてしまい、ドイツ軍士官に扮したスミス少佐らもあっさりと拘束されてしまいます。スミスとシェイファーだけが護送中に脱走し、作戦を続けるという圧倒的に不利な状況に。

いっぽう、ドイツ側もゲシュタポの指揮官と陸軍の士官が仲違いし、一枚岩ではない様子。スミス少佐がひそかにスパイと送り込んだ美女二名も暗躍し、スミス少佐の大立ち回りが奏功して起死回生。しかし、またそのあとに二転三転する展開が待っております。

とにかく途中から敵味方がはたして誰なのかが判らなくなってしまう不可解さ。敵を騙すにはまず味方からといいますが、パートナーが多少の嘘を演じても揺らがない信頼がなければできない話。そして要塞からの脱出には、口先八丁だけでいかない戦術の数々。シェイファー中尉の陽動作戦が活きてきます。そして終盤のケーブルカー上の死闘は鬼気迫るもの。これでもかと迫ってくる追っ手を交わすこと巧みなことこの上ない。二時間半の大作なのですが後半になるにつれてスピード感が増し、飽きさせない。最後に仰天の真実が明かされます。

監督はブライアン・G・ハットン。
出演は「史上最大の作戦」のリチャード・バートン、そしてクリント・イーストウッド。イーストウッドは銃さばきがサマになっていますね。
原作・脚本は「ナバロンの要塞」で知られるイギリスの冒険ミステリー作家、 アリステア・マクリーン。

(2011年8月24日)

荒鷲の要塞 - goo 映画

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