漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント 第5章 その64

2008年10月30日 21時39分15秒 | 漫画家
( この漫画は、「劇画 蟹工船 覇王の船」の108ページ目、ラストの見開きページの一部です。
  漁業監督と「日本の帝国主義」が肥大化していく姿とが重なっていく・・・・一人の漁業
  監督が怪物に変わるシーンです。《 1990年、作画 》 )
   
 
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
  
 
   
              その64
 
 
漫画化の構想から2年以上たった1991年( 平成3年 )に「 覇王の船 」
( 100p )は「 週刊ヤングJ 」の別冊「 月刊Bクラブ 」に掲載されま
した。
 
当時は、「 月刊Bクラブ 」の発売広告が「 週刊ヤングJ 」に載ったの
です・・・。その時の画像が上にアップしたシーンでした。
 
「 週刊ヤングJ 」に見開き広告でデカデカと私の漫画が紙面いっぱいに
掲載されている・・・
 
 『 さかまく海に男が吠える! 』( キャッチコピー )
 
私はウキウキと、まるで鬼の首でも取った様に舞い上がっていました・・
・・・私の漫画が高く評価されていると! 私の漫画技術が、キャラクタ
ーが、その迫力と重量感が感動を与えていると!
 
漫画雑誌は、発売されて一週間以内に「 読者アンケート 」による人気ラ
ンキングがデータとしてまとめられます。まさに「 あっという間 」に結
果が出ます。( この頃、人気の上位には「 ○つきクライシス 」とか「 ○ッ
グソルジャー 」とかがあり・・・ )
 
「 覇王の船 」は、100ページもの紙数を占有したにも関わらず結果は・・
・・・・・

・・・最低! 

以前、26ページほどの作品を2本発表した事があるのですが・・・その時
にも最低ラインでしたが・・・・
 
 「 新人の作品だから仕様がないですよ・・・ 」とか、
 
 「 やはり、連載陣が強いからねぇ・・・ 」
 
そんな慰めの言葉を編集サイドからいただいたものでしたが・・・・さす
がに今回は、慰めの言葉一つありませんでした。
 
野球で言えば2軍の選手が貴重なチャンスをもらって1軍入り、ピンチヒッ
ターとして打席に入るも・・・見送りの三振だの中途半端なバッティング
で内野ゴロ併殺とか・・・。
 
そうした選手に未来がない事は誰の目にも明らか・・・・・・。
 
ところで・・・漫画家志望者の多くは、自分が手にする原稿料と漫画の価
値については考えますが、その漫画と本全体の売上高の関係については考
えません。
 
かりに100万部刷る雑誌なら・・・20ページの漫画作品一本の原稿料、紙
代、印刷代、輸送費・・・おおまかな計算でも4~500万円( 20ページ分 )
はかかると思われます・・・つまり、この20ページがつまらない作品だっ
たら、4~500万円かけたコストが無駄になってしまうのです。
 
編集員にとっては1ページでも無駄には出来ないピリピリとした緊張感があ
るのは当然なわけです・・・・・
 
そして、私は・・・当然な結果として・・・「 覇王の船 」を最後に「 週刊
ヤングJ 」からオナラの様に消えて行きます。
 
結果が出せない( 人気のない )作家には、以降、編集部からハガキ一枚、
電話一本来はしません・・・・・。
 
 
これは、まだ「覇王の船」を制作している時の事ですが・・・小林多喜二の
作品を調べているうちに、その短編小説の中には素晴らしい珠玉の逸品があ
る事から、私は担当編集員氏に・・・
 
 「 多喜二の短編には面白いものが沢山あるので、漫画にしたいん
  ですが・・・ 」
 
と、言った時に、担当編集員氏は白けた表情を見せつつ・・・
 
 「 Yさん。その話は、まず『覇王の船』を完成させてから・・・! 」
 
と、たしなめられ、作品が完成して結果が惨敗に終わると・・・もう二度と
次回作の話はいただけませんでした・・・・・。
 
数本の漫画の下書きを持ち込んでもみましたが・・・・・気の抜けたサイダ
ーの様な淋しい作品ばかり・・・どこか元気のない・・・浮ついた作品ばか
り出来上がり・・・いつしか、自分が何を描いたら良いのか分からなくなっ
ていました。
 
人間、自信を失うという事は・・・自分の魂を失うのに等しい・・・恐ろし
い事なのかもしれません・・・・・・。
 
そして、ついに・・・・・・
 
 『 エロでもやるか・・・・・ 』
 
 
 
            「 漫画家アシスタント 第5章 その65 」 へつづく・・・



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 ★ 拙作、文庫本『 劇画 蟹工船 覇王の船 』
    ( 劇画「覇王の船」 + 小説「蟹工船」の二本立て! )が発売中!
 
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 ★ 拙作『 劇画 蟹工船 覇王の船 』の売れ行き・・・(08年、10月当時)
 
   先々週、ついに池袋の「 ファミマ 」で2冊の『 劇画 蟹工船 覇王の船 』
   を発見!・・・・・と、書きましたが・・・・・いまだに売れておらず・・・・。
 
    『 我が本を 発見すれど 秋風の 寒さ身にしみ 売れ残りける 』
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
   

 


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「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」



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漫画家アシスタント 第5章 その63

2008年10月24日 06時21分37秒 | 漫画家アシスタント
( この漫画は、「 劇画 蟹工船 覇王の船 」のクライマックスの一コマです。あと10ページほど
  で終わる・・・ウキウキとした気分がよく出ています。《 1990年、作画 》 )
   
 
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
  
 
   
               その63
 
 
毎週出来上がった原稿( 5~10枚 )を編集部に持って行く・・・・この方法
でサクサクと原稿の仕上が進んだのは良いのですが・・・・・一つ大きなミ
スを犯したのです。( 正確には『多数』! )
 
それは、細かくブツ切りにして仕上げたために、前後の繋がりをチェックする
事がおろそかになり、その因果関係に矛盾が生じてきたのです。
 
その中でも特に重大なミスは・・・・・
 
作業現場を取り仕切る監督の手下の一人が、その不手際から監督にフォークで
右手の甲を突き刺されるのです。ところが・・・後半になると、その手下の右
手の包帯が無くなっていたのです。完全な描き忘れです!( 小さくて、読者に
は分かりにくい。今回の再出版で修正! )
 
それ以外にも脇役の服装などが前半と後半で違っていたり、同じ人物の同じ服
装だが・・・前半は汚れているのに、後半はキレイになってたり・・・・。
( これも今回再出版で、全面的に急ぎ修正! )
 
さらに、後半の群衆シーンでは、キャラクターの一部の服に「 柄 」を描くのを
忘れていたり・・・・!
 
これら以外にも数ヶ所、今回の再出版を機会に修正を行いました。もちろん、
それで完璧なわけではないのですが・・・・。
 
さて・・・1990年12月、「 覇王の船 」100ページがついに完成します。ラスト
シーン・・・その最後の数枚を担当編集員氏に渡した時に・・・
 
 「 Yさん、お疲れ様でした! 長い間、本当に大変でしたね。編
   集長が今夜一緒に食事でもって言ってるんですけど・・・ 」
 
・・・ってな事、言われるわけもなく!
 
愛想を尽かした恋人に、最後の憐みの笑顔を見せる様な感じで・・・・・
 
 「 やっと終わりましたね・・・ 」
 
そう言われて・・・本当に・・・S英社と・・・・・・・・・・

・・・・終わって・・・しまいました・・・・・・・・。
 
もちろん・・・当時の私は、この時・・・・・・
 
 『 これからだぞ! 』
 
なんてね・・・・甘いね・・・どうも・・・・・・
 
 
 
            「 漫画家アシスタント 第5章 その64 」 へつづく・・・



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~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ!(08年10月当時)~~~~~~~~~~~~~~
 
『 週刊新潮 10月30日秋季特大号 』( 10月23日より発売中! )の記事「 19
68年国際反戦デー 」にこのブログの事が記載されています!( ホントは10月
16日発売号に載るはずだったのですが、株暴落、三浦自殺などの事件で掲
載延期になったのです。 )
 
「 第5章 その20~23 」の南浩志さん( 仮名、1968年当時19歳 )が新宿で体
験した悲惨な事件の事を、ライターの深笛氏から取材されたのです。
 
池袋の喫茶店「 伯爵 」で1時間半ほど、宝島社の編集員氏も同席しつつ、取
材を受けました。「新宿騒乱事件」を警察、学生、知識人、サラリーマンなど、
多角的な取材の一環として私の話も聴いてくれたわけです。
 
「 1968年国際反戦デー 」の記事には・・・中上健次、重信房子、猪瀬直樹、佐
々淳行、三島由紀夫などの名前に混じって私の名前が出ている事に、なんだ
か場違いな・・・申し訳ない様な・・・・・そんな気持ちでおります。( 私へ
の取材部分は後半、終わりの方の一部分です! )
 
興味のある方はご一読を!
 
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漫画家アシスタント 第5章 その62

2008年10月17日 04時09分35秒 | 漫画背景
( この漫画は、「 劇画 蟹工船 覇王の船 」の一部です。蟹工船内にある缶詰加工々場で働く人々
  を描いています。コマの大きさは小さいのですが、こうした絵は想像以上に時間と忍耐を必要
  とします。( 注:忍耐や時間量と絵の良さとは必ずしも比例しません )《 1990年、作画 》
   
 
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
  
 
   
               その62
 
 
 『 これが出来なきゃ、俺は終わりだ・・・ 』
 
・・・そう思い始めた、その「 方法 」とは・・・・・。 ( お察しの通り )
ごく簡単な話ですが・・・・・「 勝手に締め切り、勝手に届け出 」という事
でした。
 
面倒な背景に意識を集中するために自分で「 締め切り 」( 1週間 )を設定し
て、週一回、仕上がった原稿を1枚でも編集部へ届ける・・・そうして原稿制
作を一刻も早くを終わらせる・・・。
 
この方法は、大変効率が良かったのです。思いのほか制作がはかどりました。
 
この当時、「 週刊ヤングJ 」も「 週刊少年J 」も歴史的な発行部数を記録。
S英社の社屋が一つ、また一つと買い増しされ「 週刊ヤングJ誌 」編集部も
あちらから、こちらのビルへ。 そして、今度はあそこのビルへ・・・と、変
わっていったのです。
 
バブル絶頂( 1990年 平成2年 )、一億総マハラジャ・・・みたいな時代( 翌
年、景気はダウンする・・・ )に、、破れたGパンをはいて先週8枚、今週6枚
と、編集部に運ぶ私にだけは、一足早い秋風ならぬ不景気風が吹いていた様な
感じです。
 
 「 Yさん・・・、毎週来なくたっていいですよ・・・ 」
 
私が毎週訪ねて来る事の面倒を気の毒がっているのか、私が来るのがうっとお
しいのか・・・どちらか分からない様な表情で編集員氏に言われた事がありま
す。
 
その時は、もちろん・・・
 
 「 大丈夫です。毎週、持って来ます! 」
 
100ページの背景は、こうして着々と(?)描かれていきました・・・・。残り
はわずか・・・後、1ヶ月ほどで完成できるか・・・・・。
 
ある日、私はいつもの様に数日前にアポをとってからS英社に向かいました。 
この時にも10枚ほどの原稿を持って行きました。確か・・・もう暗くなってい
る時間帯だったと記憶しているのですが・・・・・
 
少し汗ばんだ手に、B4のビニールケースを持って人気のない編集部に入ると・・
・・・担当の編集員氏がいつもの席に見当たりません・・・・・
 
 「 あのォ・・・Kさんは・・・・・? 」
 
 「 ・・・・?  あいつ帰ったんじゃないかな・・・・ 」
 
ガラ~~ンとした編集部を後に私は1階のロビーへ降りて行きます・・・・。
 
そこへ誰かを見送りにでも出てきていたのか、担当の編集員K氏がエントラン
スに入って来ました。
 
 『 あれ? 何しに来たの? 』
 
という感じで見られた事は気にせずに、原稿の入った封筒を渡しました。彼は片
手でその封筒を受け取りながら・・・
 
 「 はい、ご苦労様・・・ 」
 
そして、忙しそうにエレベーターの方へ小走りに去って行ったのです。
 
私は彼の後姿を見ながら・・・心の中で・・・・・・
 
 『 もう少しだ、もう少しで完成だ・・・でも・・・もっと急がなくちゃダ
  メだ! 』
 
売れない漫画家の悲哀がどんなものか・・・・まだ身に沁みてはいませんでした
が・・・・・・。
 
私は確実に、消え行く新人の悲しい裏門をくぐろうとしていたのです・・・・。
 
 
 
 久しぶりの・・・『 漫画家アシスタント物語、血の教訓 』( 短歌調 )
   
 
  『 頼まれて、売れる漫画をサクサクと、描いて楽しい連載作家!
 
    そして我々( 貴方と私 )の永遠のテーマ・・・・・
    
    頼まれも、せぬのに描く原稿を、売れると信じて今日も投稿! 』
 
 
 
            「 漫画家アシスタント 第5章 その63 」 へつづく・・・



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漫画家アシスタント 第5章 その61

2008年10月09日 22時31分22秒 | 漫画家アシスタント
( この漫画は、以前公開したことのある「未完成の加筆部分」を完全に仕上げた一コマです。本来の
  作品「覇王の船」にはなかった追加分(10ページ)の中の一コマです。《 2008年8月、制作 》 )
   
 
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
   
 
   
               その61
 
 
漫画には「 締め切り 」というものがあります。
 
プロ、アマを問わずに、この「 締め切り 」という「 約束事 」があることで
作品完成に向かって頑張れる一面があります。
 
この事は、年齢、経験、画力、知力を問いません。誰でも同じ様なものです・
・・・。ただ何となく漫画を制作するのではなく「 漫画賞の締め切りに間に
合わせなくては・・・ 」とか「 同人誌の締め切りに・・・ 」とか、「 約束 」
や「 期限 」があった方が良い場合が多いのです。
 
私の「 覇王の船 」は締め切りが「 迷走 」したまま・・・( その事に甘えた
まま )・・・ズルズルと制作が遅れていくのです・・・。
 
いったい私の作品は期待されているのだろうか・・・いないのだろうか・・・
・・・。 それが、サッパリ分からない。・・・かといって・・・・
 
 「 私の漫画は見込みがありますか? 」
 
・・・なんて、聞けません・・・! ゆっくりだろうが何ンだろうが前進しな
くてはなりません・・・。制作開始から2年目( 半年で完成させる目標は忘れ
たフリをしつつ・・・ )、少しづつですが背景を処理し、完成した原稿も10ペ
ージ、20ページと増えていきますと・・・だんだん「やる気」も出てきます・
・・・・
 
 『 ゲームどころじゃないぞ・・・ 』 ( すでに手遅れだが・・・ )
 
ゲームのコントローラーを持つ前に・・・ペンを持つ! とりあえず1時間でも、
30分でも・・・・・
 
 
実は、掲載される雑誌「 週刊ヤングJ 」の別冊「 Bクラブ 」で開始された文
芸長編シリーズは、どうも、パッとしなかった様子で・・・・・。
 
原作に夏目漱石などの近代純文学を選んだことで、ごく一部の文学ファンにはウ
ケたかもしれませんが、多くの若い( 中学、高校生 )読者にはイマイチだった
と思います。ですから私も、いつ担当編集員から・・・
 
 「 この企画が中止になっちゃってねェ・・・残念だけど・・・Yさんの
   漫画・・・制作を中止して下さい 」
 
・・・ってな事を、言われるか分からない状況だったのです。
 
事実、私が完成させた「 覇王の船 」が掲載された頃に、この「 文芸長編シリー
ズ 」は打ち切りになったのでした。( 私の「 覇王の船 」がウケなかった事が原
因であるのかどうかは不明 )
 
 
ところで・・・もし、締め切りに遅れそうになっって・・・
 
 「 すいません、今月中に完成させるのがキツクなっちゃってェ・・・ 」
 
と、描き手が頭を下げたら、編集員が・・・・
 
 「 いいですよォ・・・大丈夫、大丈夫。来月でも再来月でも、再々来
   月でも! 」
 
・・・これでは、描き手にとって本当に幸せな事ではありません。例えばこんな
感じに・・・
 
 「 馬鹿野郎ッ! それでもプロかよ~ォオオッ! 早く仕上げろ、ぶっ
   殺すぞォ! 」
 
このぐらいに言われた方が描き手にとっては幸せな事なのです・・・・。 なぜ
なら、この言葉の裏側には・・・
 
 『 お前の原稿が必要なんだよ! 頼むよ! 絶対に描いてくれよッ! 』
 
・・・という、メッセージが隠れている事を描き手が心で感じ取るからなのです!
 
 
私の「 覇王の船 」も、やっと「 全速前進 」で進み始めます。編集部、ならびに
担当編集員のK氏には誠に申し訳なかったのですが・・・・・
 
今頃・・・・・エンジンが全開に・・・・・しかし、それは気持ちの良い積極的な
創作活動・・・ではなく、自分の影が薄くなっていく・・・自分の存在が消えて行
ってしまいそうな・・・そんな恐怖から突き動かされた結果だったのです・・・・
・・・。
 
そして、私はゆるみがちな「 集中力 」を維持するために一つの方法を考え出しま
した・・・・・・
 
 「 これしかない・・・これが出来なきゃ・・・俺は終わりだ・・・・・・! 」
 
  ( 注 : もったいぶった終わり方をしていますが、たいした方法
    ではありせんので、過度な期待は禁物です! )
  
  
  
 
            「 漫画家アシスタント 第5章 その62 」 へつづく・・・



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漫画家アシスタント 第5章 特別編 part2

2008年10月03日 04時47分11秒 | 漫画家アシスタント
( 宝島社「劇画 蟹工船 覇王の船」の表紙 )
 
   
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】

 
 * お詫び ・・・ 「第5章その61」は来週9日(木曜日)に公開します。
 
 
 
1991年、バブルの海(漫画界)にあえなく沈んだ「覇王の船」が・・・
                                  17年の歳月を経て今、浮上!


 「 劇画 蟹工船 覇王の船 」 浮上!
 2008年10月4,5日(土,日)発売  宝島社文庫・定価(税込み)460円
                                  《ネット通販は10月2日より》
  
  
「 『蟹工船』が数十万部も売れてしまうという『神風』が吹き、『覇王の
船』も再び日の目を見ることになったのです。これはひとつの奇跡で
す・・・ 」
                             《ブログ「たけくまメモ」より》

 
 
                文庫本の特徴
  
★ 「劇画 蟹工船 覇王の船」+小説「蟹工船」(小林多喜二)の2本立て!
 
★ 「劇画 蟹工船 覇王の船」は110ページ、「解説文」6ページ、小説「蟹工船」
  が126ページで全251ページ。
 
★ 劇画と小説の間に入る「解説文」を都留文科大学、田中実文学教授が書い
  ています。「蟹工船」と「覇王の船」が、なぜ、今蘇ったのか・・・・・。その意味
  を「ドストエフスキー」や「アキバ事件」「虚無」などのキーワードを駆使して熱
  く解析!
 
★ 1991年に2年以上の歳月をかけて完成した「覇王の船」が「月刊ベアーズ
  クラブ」(集英社)に掲載されてから17年。 その作品に一か月をかけて10ペ
  ージを加筆、さらに本編のセリフを一部修正。 事実上の完全版「覇王の船」
  は文庫本「劇画 蟹工船 覇王の船」として復活しました!

 
 
             出版までの経緯と感謝

2008年5月、講談社のTさん。続いてPHP研究所のIさんに「覇王の船」再出版
についてのオファーをいただき、狂喜したのも束の間・・・・・・。 
 
両方とも話は流れ・・・このまま「覇王の船」は沈んだまま消えていくのか・・・そう、
諦めていた汗ばむ夏・・・・・竹熊健太郎氏がそのブログ「たけくまメモ」で「覇王の
船」を紹介してくれた事が契機となって、宝島社の薗部氏よりオファー「3度目の
正直」をいただいたのです。
 
そして、2ヶ月後・・・・この様に無事、出版の日を迎える事が出来ました!
 
初めて私に連絡をくれた講談社のTさん・・・「講談社は嫌いですか?」と恐る恐る
私にメールをくれました。 まるで「棚からぼた餅」の様な・・・「覇王の船」再版の
お話は、私に勇気と自信を与えてくれました!
 
ほぼ同時に再版のオファーをくれたのがPHP研究所のIさん。多くの加筆アイデア
と原稿修正の示唆をいただきました。 表紙のデザインまで話が進んでいたのに
・・・・・。
 
二つの出版社からの再販企画が流れ、もはや海底の藻屑と消えかけた「覇王の
船」をブログで紹介してくれたのが竹熊健太郎さん。そのブログを見てオファーを
くれたのが宝島社の薗部さん。
 
そして、多忙な中で「激熱」な解説文を書いて下さった都留文科大学、田中教授。
 
この場を借りて、私の様な者を支えてくれた皆様に心より感謝申し上げます!
 
 『 本当に、ありがとうございました!! 』
  
 
 
            「 漫画家アシスタント 第5章 その61 」 へすすむ・・・



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          「諦めま章 その1」   「古い話で章 その1」
          
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」






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