漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント 第8章 その55

2011年09月13日 15時30分28秒 | 漫画家アシスタント

 ( この写真は、最近改装工事が終わった池袋の西口前です。以前ここは、タクシー乗り場やバス停だった
  のですが、今では広場の様になりました。写真を左手に進むと北口があり、さらに線路沿いに進むと私の
  お店がありましたのです・・・・・・。《 20011年8月、撮影 》 )
  
  
  【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】

 
 
                  その55  
  
      《 漫画家アシスタントが・・・経営限界に・・・!? 》
 
 
2008年4月にこのブログを書籍化した本( ※参照 )が出版され、初版が1ヶ月で完売し翌月に
は3万部の増刷・・・・・・・などという奇跡が起こるわけはなく・・・・・・・・
 
やっとこさっとこ出版にこぎ着けたものの、売れ行きはイマイチで・・・・・・出版後から
もう3年以上になるのに、まだ初版本が売れ残っている有様です。
 
この単行本にも書いてあるのですが、本の印税のほとんどはJ先生( ※参照 )への古い借金返
済に消えてしまいました。
 
ただ、運良く去年( 2010年9月 )コンビニ販売専用として改めて出版された時の印税( お礼金
20万円ほど )が入ったのは嬉しかったですが・・・・・
 
もっとも、このブログを読みながら単行本の印税というものが相当高額なのだろう・・・・
・・・などと考えている方々の期待と夢を裏切る様で、大変に心く・・・・・るしくなく・
・・・・気持ち嬉しいのですが・・・・・・。
 
さて、私の方はブログの書籍化からラジオ出演( ※参照 )、旧作の「 覇王の船 」の単行本
「 蟹工船・覇王の船 」の出版と絶好調だったのですが・・・・・お店( ※参照 )の方は、
相変わらずの低調でした。
 
お店で一番の人気マッサージ師サニヤさん( ※参照 )とも別れの時がやってまいりました。
  
彼女の事は以前、ライバルとの争い事から相手がお店を辞め、仕返しに大勢のスタッフを
引き抜きにかかった件で書かせていただきました。( 「 第8章、その24 」 )
 
うちのお店にとってはナンバーワンの大黒柱だったのですが・・・・・これも些細な事が
契機となって関係が破綻します・・・・・・・
 
毎日、マッサージのスタッフたち( ※参照 )を疑いの目で見ていたママさん( ※参照 )は、す
っかりお店の経営に疲れていました。
 
 「 このコ( マッサージ師 )が携帯で話しているのは、他のお店のオーナーだわ・・・ 」
  ( 以下、タイ語による会話 )
 
とか・・・・
 
 「 彼女は独立するために、お店のお客さんを皆連れて行ってしまうつもりかも知れ
   ない・・・・・ 」
 
さらには・・・・
 
 「 あの二人は仲が良すぎる・・・きっと、一緒に他の店に行ってしまうかも・・・ 」
 
等々・・・・・疲労と疑惑ですっかり笑顔も消え、顔つきまで昔とはすっかり変わってし
まいました。
 
いつも、怒りっぽくなり些細な事でも大きな声で怒りを爆発させる様になります・・・・
・・・そして結局最後のセリフが・・・・・
 
 「 もうお店を止めたい・・・・・ 」
 
そんな時に、サニヤさんが自分の荷物を整理しているのを見て・・・・・
 
 「 サニヤはお店を止める気でいるのよ・・・・・ 」
 
と、疑念を抱いたわけです・・・・・( 過去の経験からそう思うので、あながち疑り深いと
もいえませんのです )
 
数日後には、その疑念が確信に変わります・・・・・二人の関係は口も利かない冷たいも
のになっていました。
 
 「 毎日、常連客の携帯番号を調べて、全ての客を持って行ってしまうつもりよ! 」
 
疑惑と困惑・・・・・しかし、それでも・・・・・まだ・・・・・
 
ここで、充分に話し合いが出来ていれば誤解の解けたと思うのですが・・・・・すでに、
お互いが相手の言っている事をまるで信じないのですから、会話が成立しません。
 
決定的な事件はサニヤさんへの指名電話があった時に起きました・・・・・
 
 「 明日の夜・・・・・サニヤさん、指名でお願いしたいんですが・・・・・ 」
 
常連のお客さんからの電話に・・・・・ママさんは、もうサニヤさんが止めるのだと決め
つけ( まだ、仕事をしているのに )・・・・・
 
 「 サニヤはもう辞めましたよ 」
 
ママさんは、常連客とサニヤさんが接触するのを恐れてウソを言ったのです・・・・・・
 
そして、この事はすぐにこのお客さんからサニヤさんの携帯に連絡があり、バレテしまう
のです・・・・・・・
 
 「 ママ! なぜ、私が辞めたなんて嘘を言うのよッ! 」
 
ここで、素直にママさんが謝っていれば良かったのですが・・・・・・これが女の意地と
いうものなのか・・・・・・
 
 「 私は知らないわよ、そのお客さんがウソを言ってるのよ! 」
 
と応酬したので、二人の関係は完全に終わってしまいました。
 
 
サニヤさんがお店を去る時に、そっと私に別れの挨拶をした時・・・・・・
 
彼女が前からお店を辞めるつもりでいたとは、とても思えないほど寂しそうでした・・・
・・・。
 
私がお店の経営を止めようと決めたのは、この少し後でした・・・・・・・
 
 
 
           「 漫画家アシスタント 第8章 お詫び状」 へつづく・・・・


               ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第8章 その54」へ戻る 】




 【 ※参照 】
 ・書籍化した本・・・・・拙ブログ「漫画家アシスタント物語」をマガジン・マガジン社が
  2008年4月に出版。現在も初版分を販売中。
 ・J先生・・・・・・・・有名漫画家、1966年、23歳で売れっ子作家に。70年には週刊連
  載6誌という逸話もある。現在は1誌に連載中。07年当時、64歳。
 ・ラジオ出演・・・・2008年7月、TBSラジオの「安住紳一郎の日曜天国」になぜかゲ
  スト出演。漫画家アシスタントの仕事について30分近くインタビューされる。
 ・お店・・・・・・池袋北口に開いたタイ式マッサージ店(04~09年)。2000年頃からの
  エスニックブームで、新宿、新橋、池袋などを中心にポツリポツリと開店し始
  めた施術院。(風俗店ではありませんが、盛り場辺りには、怪しげなお店も・・・)
 ・サニヤさん・・・・・仮名、26歳のアイドル風タイ人女性。私が経営したタイ式マッサ
  ージ店で指名№1の人気マッサージ師。
 ・スタッフたち・・・・・お店には常時3~5人のマッサージ師が待機。1日に1~3人の
  お客さんを施術。全員がタイ人女性でタイマッサージ学校を卒業・・・タイでは、
  めずらしくありません。日本人と結婚、就労の出来る在日ビザを持っている。
 ・ママさん・・・私の妻。タイマッサージ店を切り盛りする。1995年、タイのチェンマ
  イ出身。1995年に結婚して来日、とても明るいが・・・いったん怒ると鬼より怖い。
  酒を飲んだら乱暴者。でも、タイマッサージの技術はピカイチ。



  
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