漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント 第4章 その43

2007年03月29日 22時31分21秒 | 漫画
( この原稿は、1986年に制作したSF漫画「 AIZU2145 」の一部である。この漫画は絶望的な
 戦争SFであるが、持ち込み結果も・・・・・・。《 2007年3月、撮影 》 )
   
 
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
 
               その43
 
 
描いた事もないSF漫画ですが、出だしで未来都市のパノラマシーンかなん
かが出て来る様だったら( 面倒で )描けなかったかもしれません・・・・・。
 
ところが、私のSF漫画「 AIZU2145 」は派手な戦闘シーンで始まりますが、
その背景はただの廃墟( コンクリートの残骸! )ですから、描くのにほとん
ど苦労しなかったのです・・・!
 
2,3種類のロボットをデザインし、主要な登場人物である2人の少年と一人の
少女を廃墟の中に配置すれば出来上がり! 意外とスムーズに制作は進みまし
た。
 
 「 ここは何処だ・・・・・・ 」
 
廃墟の中で全滅した部隊の生き残りである少年兵がつぶやきます・・・・・・
 
物語は明治維新の頃に悲劇的な最後をとげた会津の「 白虎隊 」をモチーフに
進行します( 私は白虎隊については何も勉強していませんでした。もし、少し
でも勉強してたら・・・もっとまともな・・・・・! )。

圧倒的に強力な敵に対して、絶望的な攻撃をするしか選択肢のない、追い詰め
られた少年たちの極限状況を描きたかった訳ですが・・・・・・
 
大きいだけで全然怖くない( センスの古い )ロボットと存在の意味や目的が
ハッキリしない少年たちの「 特攻精神 」が「 AIZU 」と何の関係があるのか・
・・・・・
 
すでに作品は破綻していたのです。 気がついていないのは・・・作者本人だ
け!
 
つくづく漫画を描くというのは、恐ろしい事です。 その作品に集中すればす
るほど、才能が無い事はもちろん自分の無知と誤認さえまったく自覚できない
ものなのです!
 
よく、漫画家志望者だけど漫画を描けない人がいますが、怠けているだけの人
は別にして、自分を客観的に見つめる事が出来る( クール過ぎる )人が多い
ように思います。
 
「 自分の描いている( 描いた )作品が面白くないんだよなァ・・・・・・ 」
と、自分が見えてしまうのです・・・・・・ 見えてしまい過ぎるのです。 
そして、創作意欲が衰えてしまう・・・・・・。
 
自分の能力や感性のレベルを自覚出来る事は、必ずしも有益ではないのかもし
れません・・・・・・。 
 
私の様な「 漫画バカ 」は、作品を「 描ききれる! 」そして、描ききった後で
なお、自分の無知と無謀に気づかない! ・・・・・・いや、それだからこそ、
次の作品に向かえる! 
 
 
この作品の絵に関して苦労した点は・・・ ロボット兵団がザックッザクと行進
する1シーン( 1コマ )に18時間を費やした所だけ・・・・。それ以外は本
当にすんなりと制作が進行したのです。
 
3ヶ月ほどで、「 AIZU2145 」は完成します。 この作品はJプロに入ってから
初めて出版社へ持ち込んだ作品になります。
 
もちろん、その前に例のごとくJ先生のチェックを受けるのですが・・・・・・
 
今回は、私の初めてのSF・・・SF超大作アクションスペクタクル未来戦争青
春望郷残酷編24ページを・・・まさに自信満々にJ先生に見せに行くのです・・
・・!
 
 「 退路は遮断されてる。結局殲滅されるわ・・・でも最後の最後まで・・・
  人間の戦いを見せてやるのよ・・・ 」( 『AIZU2145』の中のセリフ )
  
 
  
  血の教訓
 
   『 利口な人間がバカになるのは病的症状の可能性が高いが、
 
     逆に、バカが少しだけ利口になれるのは、知恵が付いたと
 
     言うよりもただの老化( 保守化 )現象ではなかろうか・・・ 』
 
 
 
          「 漫画家アシスタント 第4章 その44 」 へつづく・・・



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          「第7章 その1」  「第8章 その1」  「第9章 その1」
          「諦めま章 その1」   「古い話で章 その1」
          
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」




  
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漫画家アシスタント 第4章 その42

2007年03月22日 23時35分55秒 | 漫画
( この写真は、私が29年勤めるJ・Aプロの玄関である。そこはゴミだらけなのであるが・・・その
 中にJ先生が40年ほど前に受賞した有名出版社漫画賞の記念品『 置時計 』がゴミに埋もれ
 ている・・・・・・。《 2007年2月、撮影 》 )
 
 
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
 
                その42
 
 
漫画の発行部数が毎年伸び続け、中小を含む大手各社はその輝かしい成果
に胸を張っていた1986年当時・・・。 もっとも出版界という事でいえば、
活字文化は長期低落傾向がハッキリしていました。 その中で漫画だけが
右肩上がりに売り上げを伸ばしていたのです。
 
漫画編集部を訪れるとその壁に大きな垂れ幕があり、そこには「 300万部
突破! 」とか「 400万部突破! 」とか大書されていて、まさに「トラトラ
トラ!」の破竹の勢いといった感じでした。
 
K談社の受付嬢の年収が600万円で漫画編集員の年収は700万円以上、中に
は1000万を越える人もいるとか・・・ などと大衆雑誌に書かれていたの
を思い出します。
 
ちなみにJプロに8年勤める私( 86年当時31歳 )の年収は税込みで200万を少
し越える程度だったと思います。 平均的サラリーマンの年収の半分ほど
でした・・・・・。
 
Jプロでは、相変わらず遅刻の常習犯でお昼には先輩がつつましく玉子う
どんや、おかめそばを食べている横で一人、鍋焼きうどんにお餅をトッピン
グしたやつだの、一番高い天ざるそばの大盛りだのをムシャムシャと食べ
ていたのです( 全てJプロの出費! )。
 
仕事場で流すBGMは、夕方の野球放送以外は全て私が取り仕切っていま
した。( 勤め始めた頃とはずいぶんと変わったものです! )ですから先輩
たちは私の好きなユーミンや山崎ハコなどを毎日聞かされるわけです。
 
 「 またユーミンかよォ・・・! 」
 
と、文句を言われた事が何度あった事か・・・ しかし、10年近くも経つと
先輩たちの文句が減り、何も言われなくなりました。 皆さんユーミンに慣
れたというより・・・たぶん、完全に私を見放したんだと思います・・・・。
 
8年間のアシスタント生活が体に染みついていくのと反比例して、デビュー
独立への思いが強まっていきました。 この頃の気持ちとしては、「 グワッ
キ 」を週刊少年S誌。「 僕です! 」とホラー物一本を青年B誌へ。
 
そして、SF漫画を新しい青年誌ヤングMへ・・・ と、目論んでいたので
すが、最初の「 グワッキ 」で野望の一角が崩れます。 そして、ジェームズ
キャメロン監督の「 ターミネイター 」に刺激されたSF漫画( ロボット軍団
と戦う少年兵士の話 )の制作に入ります。
 
もう自分の暗い内面だけを見つめるのではなく、漫画を「 エンターテイメント
」として読者に喜んでもらえる作品作りに留意しつつ、初めてのSFに挑戦
したのです。
 
ロボットどころか自動車一台描くのにも四苦八苦しているのに、近未来SFの
ロボット戦争をテーマに作品制作に入ったのです・・・・・・。
 
「 ぜ・・・全滅です! 隊長~ッ! 」 「 うわあああ~ッ! 」

ロボット空挺団の一斉射撃が大地を赤く染める・・・・・・ 生き残った少年
兵はただ震えるばかり・・・・・・ 
 
『 やっぱ、SFって面白ェ~ッ! 興奮するなぁ~ッ! 』
 
構想( 作画以前! )の段階では、まだ「 お気楽 」でいられるのがSFの怖さであ
る・・・・・・・・・。
 
 
 
          「 漫画家アシスタント 第4章 その43 」 へつづく・・・



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漫画家アシスタント 第4章 その41

2007年03月15日 01時20分33秒 | 漫画家志望
( この写真は、東京目白の某マンションの7階、Jプロ前から写した目白通りと目白駅方面の遠景
 である。《 2007年3月、撮影 》 )
 
 
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
 
                その41
 
 
久しぶり( 4年ぶり・・・ )にJ先生に作品を見てもらった・・・・・その結果に
ついては「 第4章 その39 」に書きました通りです・・・・。
 
 『 こんな漫画が大賞取ったら、腹切って死んでやるわいッ! 』
 
J先生にそんな事を言われてすっかり落ち込み、ヤクザ組織を壊滅する少年アクシ
ョン「 グワッキ 」は世に出る事もなく・・・・・ Jプロの小さな個室で秒殺さ
れてしまったわけです・・・・・。
 
しかし、これで絶望した訳でもヤル気を無くした訳でもありませんでした・・・・
・・・。 それは、この作品の次の作品、さらにその次の次の作品を構想していた
からです。( 例えれば…一人のガールフレンドと分かれても、二番目、三番目の
ガールフレンドが待っていてくれる余裕と同じ様なものでしょうか・・・・ )
 
そして、落ち込まなかったもう一つ理由・・・・・ それは・・・・・・J先生か
らとても大事な点で評価されたからなのです・・・・・。
 
J先生の指摘は、作品が「明るくなった」という点でした・・・・ 以前の暗い性
格と暗い作品にどっぷりと染まっていた私が、そこから出てきたという事を評価し
ていただけたのです・・・・・・。
 
仕事が終わってから「 グワッキ 」を見てもらい、深夜になるまでJ先生に漫画の話
をしていただいていました・・・・。
 
 「 勉強しなきゃダメだぜェ・・・・ 漫画描きながら勉強すんのはよォ、
   大変なんだぜェ~ッ! みんなそれが出来なくて消えていくんだ
   からよォ! 」
 
 「 若い漫画家がよォ、ちょっと売れてマンションなんか買ってよォ、
   それで終わりよッ! ある日、突然崖っぷちに立ってるのよッ! 」
 
 「 もう出てこね~の、もう描くもんが何ンにもね~のッ! 断崖絶壁!
   足元にはもう道がね~のッ! それがよォ・・・・ 突然来っからよォ
   ッ! 」
 
そして、ニヤリと・・・・・
 
 「 でも、俺ィは違うぜェ・・・・ 勉強してるからッ! 万巻の書を読
   んでるからニィッ! 」
 
 ジリリリリ~ンッ!
 
電話が鳴る・・・・・ 当時( 1985年ごろ )の電話は黒いダイヤル式の電話でし
た。J先生はソファから立ち上がってすぐ後ろにあるホコリだらけの黒い電話に向
かいます・・・・・。
 
 「 ・・・・・ウ~・・・。 エ・・・・? ・・・・・・ここは違うよッ! 」 
 
 ガチャンッ!
 
間違い電話だったようだ・・・・・ J先生は、明らかに不機嫌に受話器を置いた
・・・・。
 
チッ・・・・・と舌打ちをして、表情を歪める・・・・・。
 
 J先生 「 バカ女がよォ・・・『 針灸院ですかァ? 』だってよォ!
       畜生ッ! 」
 
 私   「 ・・・・・・?・・・・・・ 」
 
 J先生 「 『 太っい針なら一本あるぜェ! 』って言ってやりゃ~良
       かったぜェ! 失敗したぜェ~! ドジだなァ~ 切っち
       まったよォ~ッ! 」

 私   「 ・・・・・・ 」
 
 J先生 「もう一度かかって来ねェ~かなァ~ かかって来ねェ~
      よなァ~・・・・・ 」

そう言って、深いため息をついておられる・・・・・・ 私はなんとも答え様がな
くただ黙っていると・・・・・ キッと、真剣な表情で私の顔を見つめ・・・・・
 
 J先生 「 あれィ~ さっきまで何んのォ話ィしてたっけ? 」
 
 私   「 ・・・・はぁ・・・・・漫画の・・・・・ 」
 
J先生は、すっかり力が抜けてしまった様な・・・ガッカリしてしまった様な・・・
・・・小さな声で・・・・・・・・
 
 J先生 「あぁ・・・・ そうか・・・・ おめィ~のアレか・・・・・・・・」
 
私の頭の中には、もう「グワッキ」の姿が見えなくなっていた・・・・・・。
 
 
 
          「 漫画家アシスタント 第4章 その42 」 へつづく・・・



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漫画家アシスタント 第4章 その40

2007年03月08日 22時37分19秒 | 漫画
( この原稿は、1986年に描いたギャグ調のアクション漫画『 グワッキ 』の一部である。小学校の
 転校生が、ヤクザの組長襲名式に殴り込むというバカげた話である。《 2007年2月、撮影 》 )
 
 
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
 
               その40
 
 
漫画の原稿をJ先生に見てもらうのは、随分と久しぶりでした。 ・・・今、
その時の話をつづける前に、この作品「 グワッキ 」( 85年、24p )を作る
きっかけになった出来事につて話しておきたいのです・・・・。 
 
以前書かせていただいたガンさん( 仮名:羽賀 司郎、東京出身、85年当時35
歳 )の漫画の手伝いも確かに大きなきっかけだったのですが・・・・・それ
以外にも「 暗い 」作品しか描けない私が「 明るく元気な 」作品を作り出す
意識の変革をもたらし、その日から漫画制作に向かわせた出来事がありまし
た・・・・・・。
 
それは、1984年の新年会での出来事でした・・・・・。 Jプロスタッフは
J先生に連れられてゾロゾロと二次会のための居酒屋( 都内某所にある清楚
な小料理屋 )へと入って行きました。お店の奥の方の席に案内され、J先生
とスタッフ6人が席に着きます・・・・・。
 
すると、めずらしく一人の先輩アシスタントが漫画制作についての相談をJ先
生に持ちかけたのです・・・・・!
 
 先輩アシスタント「 先生・・・・ 漫画が描けないんです・・・・・・ 」
 
その瞬間まで新年会のバカ明るくたるみきった雰囲気に突然冷たい風が吹き込
みます。 スケベェ話で盛り上がっていたJ先生の顔色が一変します。
 
と同時に、隣りのテーブルの二人連れのカワイイ女性もこちらに興味を示して
います・・・・・。( さきほどからJ先生とスタッフの会話を面白そうに聞
いていたのです! )
 
 J先生     「 何んでィ・・・・? 」
 
もうすっかり酔いが醒め、キビシイ作家の目つきになっているJ先生。
 
 先輩アシスタント「 自信が・・・無いんです・・・・・・・ 」
 
J先生は手に持っていた酒の盃を置くと、長いため息を一つ吐く・・・・・。
 
 J先生     「 勉強が足らねェんだよ・・・・・・! 」
 
さっきからこちらを見つめていた長い髪の美しい女性が、酒に酔って鼻を赤く
しながら・・・・・・
 
 隣の女性    「 何んか面白そうな話ィ~してますネ~・・・ 」
 
と、話しかけてきた! ただ酒を飲んでいるだけだったら、J先生以下全員大
歓迎で女性たちを迎え入れるところなのですが・・・・・
 
 J先生     「 今、ちょっとマジな話してるからよ・・・・・ 」
 
 隣の女性    「 えーっ? 何んですかァ? 」
 
こちらの席まで身をのり出して来る・・・・・。
 
 J先生     「 今、取り込んでんだよッ! 」
 
J先生は二人の女性をにらみつける・・・・・。( 漫画の事以外では、酒と女
しか頭にないJ先生が! ) 
 
美しく自信に満ちた女性が、男性に無視された時の『 あら不思議!こいつらホ
モ? 』みたいな顔をして、二人はこちらに背を向ける。
 
 先輩アシスタント「 先生、何を勉強すればいいんですか・・・・・・ 」
 
私は心の中で叫ぶ『 先輩!先生はいつも世界文学を読めって言ってるじゃない
ですか! 』スタッフ全員の沈黙の中で私にはJ先生が何を考えているか容易に
推察できました・・・・。
 
 J先生     「 もっと本を読まなきゃダメだぜェ・・・・ 」
 
スタッフ全員の沈黙の中で私は思った。
 
 『 私の数年間の読書への集中は完全に正しかった! 』
 
私の意識はもう漫画を描く机に向かっていた・・・・・ 皮肉にも沈み込んだ
様なJ先生や先輩アシスタントたちの暗い横顔を見つめながら・・・・・
 
 『 もう読書への集中は終わった! 』
 
私はハッキリと自分が一段ステージを上がった事を自覚したのです・・・・。
 
   
  
  血の教訓
 
   『 頭が悪くても、体が悪くても、年をとっても、人間は成長
 
     できる! 絶対に成長できる! ・・・・・しかし・・・・・・・・
 
     頭が悪いのは治らない。 』
 
 
 
          「 漫画家アシスタント 第4章 その41 」 へつづく・・・



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       * 参考 *   
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  .............. 私(yes)のアシスタント履歴
  
  1974年昭和49年 さがみゆき先生 主に(少女系)怪奇漫画。単行本1冊分、
           4,5ヶ月のお手伝いでした。 (19歳)
     
  1976年昭和51年 かわぐちかいじ先生 この当時、氏は今ほど有名ではなか
           ったのですが、背景技術をみっちり仕込まれました。(20歳)

  1977年昭和52年 村野守美先生 漫画界一の豪傑と言われ、エピソードには
           事欠きません。たった1週間しか勤まりませんでした。(21歳)

  1978年昭和53年 ジョージ秋山先生 当時「浮浪雲」(ビックコミックオリ
           ジナルに連載)が、すごい人気で、渡哲也、桃井かおりの
           主演でTVドラマ化されていました。(23歳) 

  2017年平成29年 ジョージ秋山プロを退社、タイ・チェンマイにて隠居中。(62歳)

                    
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          
  
    
    

 
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漫画家アシスタント 第4章 その39

2007年03月01日 03時47分47秒 | 漫画家
( この写真は、1985年から暮らした加藤さん方の下宿があった所。今は小さなマンションになっ
 ている・・・・しかし、私には当時の半分傾いた様なボロ下宿がハッキリと目の前に浮んでくる・・・・。
 《 2007年2月、撮影 》 )
 
 
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
 
               その39
 
 
安部譲二氏(当時49歳)の「 塀の中の懲りない面々 」( 86年 )がベスト
セラーになっていた頃に、私は一人の小学生が広域暴力団組織を壊滅する
というバカ丸出しの作品を描いていました。
 
安部氏と私は年齢差が18歳違いますが、氏との才能の差は18光年ほど開い
ていました・・・・それが「 現実 」でした。 しかし、幸か不幸か私の様
な漫画青年の辞書に「 現実 」と言う文字は無かったのです・・・・・・。
 
1985年30歳。この珍作「 グワッキ 」( 当時の私は世紀の傑作だと自負し
ていました! )を制作。 2ヶ月ほどで完成・・・・! 苦労した所はほと
んど無く、小学生の主人公が大柄なヤクザをブチのめしていく所だけ格闘
技の写真資料を参考にしたのですが・・・・ 小さな子供とヤクザとのバ
ランスに少し苦労したぐらいでしょうか・・・・。
 
とにかく、早く勢い良くサッサと完成させる事ができました・・・・これは
Jプロの先輩マツさん( 仮名:松村 祐樹、広島出身、当時32歳 )を意識して
いたからかもしれませんが、当時( 30歳 )のスピードは、今の自分( 2007
年52歳! )の鈍重さとは比較にならないほどパワフルでした・・・!
 
絵柄はギャグタッチですからかなり早く描けたわけです。しいて言えば背景
の方により多くの時間を費やしました。 勢いがありますから、今見てもス
ピード感と躍動感が( だけは )あります。 
 
これでもう少年誌の漫画大賞を受賞したつもりでいたのですが( いつもの調
子で・・・! )、その高揚感は作品を完成してから3日と持ちませんでした
・・・・・・!
 
スクリーントーンをはり、ホワイトを入れて完成! 20ページ以上の漫画を
一本完成させたのは随分と久しぶりの事でした・・・・・ 前回の作品「 M
ASK BOY 」( 第4章その19 )から4年の歳月が流れていました・・・・・。
 
「 グワッキ 」には、「 MASK BOY 」の様な暗さがありません! 陰気な性
格だった私は、この4年間で少しは人格的な成長があったのかどうか・・・・
・・・ とにかく「 明るさ 」と「 勢い 」を手に入れ、苦節4年(!)のはて
に、技術と演出力の修練が一面の桜のごとく開花したのです・・・・・・
 
と、書ければカッコイイのですが・・・・その実態は・・・・・・ 
 
完成原稿を手に「 人生の完全勝利 」を確信していた私の前には・・・・雑誌
の編集員や読者の評価以前に・・・・J先生という高いハードル( 断崖絶壁? )
が待ち構えていたわけで・・・・・・・・
 
 J先生 「 俺ィはよォ・・・・ 死んでやるぜェ~ッ! こんな作品が賞
       取ったらよおおおッ! 」
 
私はJ先生の下で23歳から30歳まで、7年間勤めてきていました。 特にこの
4年間は先生の教えに従うべく( いい加減ではありましたが・・・ )読書と
デッサン、映画とエッチの日々に身を捧げ・・・・・・ 
 
その結果が・・・・・・( J先生はいつもの様に低く小さな声で・・・・・ )
 
 J先生 「 何んでィ~ガキがヤクザに勝てんのォ? おめィ~は何
       考えてッだよおおおおッ! 漫画をなめんじゃねィ~ッ! 」
  
 私   「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 」
 
真っ暗闇の中でJ先生の声が遠ォ~くの方で聞こえる・・・・・・・・・・
 
 
 
  血の教訓
 
   『 巨大な怪物を気合だけで吹き飛ばす老人・・・・ 数万光年を
 
     数秒で移動する宇宙船・・・・ 百万の敵にただ一人で挑む
 
     英雄・・・・ 漫画家は神のごとくヒーローを創造するが、読

    者の一言・・・・・ 「 何これ? 」で、チンカスの様に吹き

    飛ばされてしまう・・・・数万光年のかなたへ・・・・! 』
 
   
  
          「 漫画家アシスタント 第4章 その40 」 へつづく・・・



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