A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

同じビッグバンドでもバンドカラーは色々だが、やはりアレンジャーが率いるバンドは一味違う・・・

2015-09-28 | MY FAVORITE ALBUM
Brilliant Corners The Music of Thelonious Monk / The Bill Holman Band

最近のライブ通いはビッグバンドが続いた。

●木幡光邦923バンド
このバンドは、毎月定期的なライブが続いている。リーダーの木幡さんの好みか、選曲はスインギーなパンチのある曲が多い。今回はメンバーに女性が5人、でもそのパワーは変ることが無い、女性パワー恐るべし。

●野口久和ビッグバンド
こちらは春以来久しぶり。お馴染みのレパートリーに必ず新アレンジが加わっているが、スインギーな正統派のバンド。メンバーもベテラン揃いで安定感があるが、専属コーラスのブリーズが一緒なのもいい。

●辰巳哲也ビッグバンド
どこでも聴けるサドメルやベイシーのレパートリーには目もくれず、特徴あるアレンジャーの作品を特集してライブをしているが、今回も意欲的なプログラム。スェーデンのアレンジャー、マッツホルムキストがデイブリーブマンのビッグバンドに提供したウェインショータートリビュートの作品が中心。斬新なアレンジと山口真文のテナーとソプラノが冴えた。今回は11月にやるコンサートの前哨戦、次回はハンコックの曲もやるとか。

●鈴木直樹とスイングエースオーケストラ
体調不良でしばらく休んでいたが、元気に復帰。ビッグバンドのライブも久々だった。本拠地ビーフラットに続いて八王子のホールで無料のコンサートも開催された。未来を担う子供たちへの贈り物「ビッグバンドスイングジャズコンサート」と題されていたが、集まったのは「元子供」も多く、普段よりもポピュラーな曲も多く和気藹々とした雰囲気のコンサートであった。今回無料というのもスポンサーの方がいらしたようだが、次回も開かれるようなので楽しみ。是非次回は子供達に聴いて貰いたいものだ。

●守屋純子オーケストラ
この守屋純子のオーケストラも毎年定期コンサートを大きなホールでやっているが、今回は東京TUCで、翌日の家康公に因んだジャズ組曲のレコーディングに向けてのウォーミングアップを兼ねたライブ。レギュラーメンバーが一部欠けていたが、トラを務めたメンバーも一流揃い。このオーケストラもオリジナル曲&アレンジが楽しめる。

という訳で、同じビッグバンドといっても、色々バンドカラーや曲の違いがあってそれぞれ楽しめるが、やはりアレンジャーが率いるバンドは、選曲やアレンジに拘りがあるので気軽に聴くというよりは、聴き応えのあるライブになる。

本場アメリカでもビッグバンドのアレンジャーも星の数ほどいるが、50年代から現在まで一線で活躍し続けている実力者というと、ビルホルマンであろう。

ずっと西海岸を拠点としているので、50年代はいわゆるウェストコーストジャズのアレンジが多かったが、当時はテナー奏者としても活動しており、ペッパーアダムスがロスにいた時には色々なバンドで一緒にプレーしていた

その後はスタジオでの仕事が多くなり、アレンジャーとしての活動がメインとなった。バディーリッチを始めとしてテリーギブスやルイベルソン、メイナードファーガソンなど西海岸のビッグバンドに多くのアレンジを提供し、老舗のベイシーオーケストラでも一時ホルマンのアレンジが多かった時期がある。

さらに、地元で自分のビッグバンドを持つようになると、アレンジにも一層気合が入ってきたようだ。丁度、80年代の後半からだが、ホルマンのアレンジは、曲の流れに起承転結があり、繰り返しが多い一般的なジャズオーケストラのアレンジとは一味違う。エリントンの組曲物ではないが、ホルマンの譜面は長尺が多いと聴いた事がある。これも、ホルマンは晩年、近代クラシックの作曲手法を改めて学んだ影響だろう。どこかヨーロッパのビッグバンドを感じさせる部分もあるものそのせいだと思う。

その中に、このアルバム、セロニアスモンクのソングブックアルバムがある。モンクの曲の中では一番有名なラウンドアバウトミッドナイトは、ビッグバンドに限らず色々な演奏、アレンジがある。しかし、その他の曲となると、セロニアスモンクの曲のビッグバンド版というのは珍しい。普通のビッグバンド仕立てにするには、とっつきにくいのかもしれない。

ところが、曲自体が特徴の多いモンクの曲を、ホルマンの新たな作風を加味したアレンジは実にユニークである。聴き慣れたメロディーが、ソロであったりアンサンブルでデフォルメされ仕上がっている。
この頃のホルマンのビッグバンドのアルバムを作ったのはJVC。プロデューサーも日本人だが、聴き応えのある意欲的なアルバムだと思う。

Bill Holman (Arranger, Leader)
Thelonious Monk (Composer)

Carl Saunders (tp.flh)
Ron Stout (tp.flh)
Bob Summer (tp.flh)
Bob Summers (tp.flh)
Frank Szabo (tp.flh)
Andy Martin (tb)
Bob Enevoldsen (vtb)
Jack Redmond (tb)
Kenny Shroyer (btb)
Ray Herrmann (ts,ss)
Pete Christlieb (ts,ss,fl)
Lanny Morgan (as,fl)
Bill Perkins (as,ss,fl)
Bob Efford (bs,bcl)
Rich Eames (p)
Dave Carpenter (b)
Bob Leatherbarrow (ds)

Produced by Akira Taguchi
Allen Sides : Recording Engineer

Recorded at Oceanway Recorders, Hollywood, California on February 11 & 12, 1997


Brilliant Corners
クリエーター情報なし
Jvc
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アルバム作りの上手いグループも最後はやはりライブ中心で・・・

2015-05-25 | MY FAVORITE ALBUM


Dave Pell Octet Live at Alfonse’s

ジャズを聴くのはアルバムがいいか、ライブがいいか?これは永遠の課題かもしれない。
しっかりプロデュースされた、いい録音のアルバムを聴くと、これはなかなかライブでは味わえないと思う。
しかし、反対にジャズはある種のワンアンドオンリーの瞬間芸を楽しむもの。ジャムセッションのようなメンバーの組み合わせもあるし、日によって演奏の好不調もある。会場の雰囲気を含めて盛り上がった演奏を聴くと、これはスタジオ録音では味わえない。
結局どちらも良いという事になるのだが。

同じグループを聴いても、スタジオとライブでは全く違うイメージを感じることもある。
しばらく前に紹介したアルバムに、スーパーサックスの東京でのライブ録音があるパーカーのアドリブをアンサンブルに仕立てたスーパーサックスは、アレンジの妙をスタジオ録音できちんと録音されたアルバムでその良さにまずは感激した。アルバムではソロもあるがこれは、コンテカンドリやロソリーノが中心、一流メンバーが揃っているが、サックス陣のソロは味わえない。

しかし、ライブ録音を改めて聴くと、ここではサックス陣も皆ソロを披露している。せっかく錚々たるメンバーが舞台に揃っていて、時間的な制約もないのだから、それぞれのソロを披露して当たり前。やはりライブの時はそのような演出も必要だと思う。いや、スーパーサックスも最初はライブからスタートした。最初からこのような形でスタートしたのかもしれない。

ウェストコーストを代表するグループのひとつにデイブペルのオクテットがある。アレンジ中心の洗練されたサウンドはウェストコーストジャズ自体が下火になってからも人気は持続し、60年代になってもアルバムを多く残している。
その後ペルはスーパーサックスの活躍に刺激を受けたのか、78年にPrez Conferenceを作ったがこれは長続きしなかった

そして80年代に入り、ペルのオクテットを懐かしむ声が高まり、オクテットを再編することになるが、単に昔のアレンジを再演してもつまらない。そこでライブのアルバムを作ることにした。そして、そこには単に昔のアルバムの再発にならないような「何か」を求めて。

時代は変りメンバーはドラムのフランクキャップを除いて60年代のメンバーとはがらりと代わったが、いずれも西海岸のスタジオワークを務めている面々。アレンジは、当時のビルホルマンやマティーペイチのものをそのまま使った。そして、そこにはライブならではの「何か」が付け加わる事を期待してライブ録音となった。

結果は上々。ペルのオクテットの軽快なサウンドは変ることは無いが、ライブならではのリラックスした感じになり、曲によってはソロもタップリ。例えば、Suze Bluesはオリジナルでは4小節のソロ交換だが、ここではコーラス単位で各メンバーが順番に。結局ライブのステージが、昔の懐メロの再演ではない「何か」を生み出したようだ。

アルバム作りだと、曲の選曲でアルバムに特徴づけができるが、ライブだとやはり演奏のメリハリでプログラムを構成する必要がある。特にホテルのラウンジでの演奏の様にバックミュージックとして演奏している時はいいが、ライブで聴かせるためのステージではその演出が大事だと思う。やはりジャズのライブは、プラスαの「何か」を生み出すようだ。
これに味を占めたのか、ペルはアルバムこそ作らなかったが、ライブではこのオクテットを時々再演していたようだ。

1. Love Me or Leave Me
2. Java Junction
3. You’re My Everything
4. Angel Eyes
5. The White Cliffs of Dover
6. Have You Met Miss Jones
7. Them There Eyes
8. I Know Why And So Do You
9. I Founf A New Baby
10. Suze Bluze

Dave Pell (ts)
Bob Efford (bs)
Steve Huffsteter (tp.flh)
Ric Culber (tb)
Bob Florence (p)
Tom warrington (b)
Barry Zweig (g)
Frank Capp (ds)

Arraged by Marty Paich, Bill Holman,  Johnny Mandel
Recorded live at Alfonse’s

Live at Alfonse's
クリエーター情報なし
RKO / Unique
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ズートシムスの共演相手はビルホルマン率いるノネット・・

2015-04-02 | MY FAVORITE ALBUM
Hawthorne Night / Zoot Sims

一ジャズファンであったノーマングランツ、趣味が嵩じてJATPを興したのは若干25歳の時であった。コンサートを自分で録音に残し、これをベースにアルバム作りも始め一躍有名になり、自ら育てたヴァーブレーベルも5年間で1000枚近くのアルバムを出し活況を呈していたが、1960年12月に突然それらを売却して引退した。

しかし、ジャズ界のその後の状況に危機を感じたのか、もう一度70年代に入ると再びプロデューサーとしての再起を賭けてJATPを再開した。1972年サンタモニカのシビックホールで旗揚げをし、これを機に本格的な復活の狼煙をあげた。それに合わせて、新たにパブロレーベルを興し、アルバム作りも再開した。ピーターソンやエラなど昔JATPやVerveレーベルで活躍した面々が昔の親分の元に再び集まった。

ビッグバンドもカウントベイシーやルイベルソンなどの伝統的なオーケストラが息を吹き返した。カールジェファーソンがコンコルドレコードを設立したのも1972年。メインストリームジャズが復活したのがこの年だった。車のディーラーであったジェファーソンと異なり、ノーマングランツはかっての業界の実力者、有名どころのベテラン達が続々と集まった。

しかし、ジェファーソンと異なり、グランツの場合は新人の発掘にはあまり興味は示さなかった。その結果、ミュージシャンが次第に歳をとると、活気のあるアルバムは少なくなってしまった。最後は、両オーナーともレーベルを手放したが、結果的に後発のコンコルドがメジャーとなり、パブロを飲み込んでしまったのも仕方がないだろう。

さて、パブロが新たに契約を結んだミュージシャンの中にズートシムスがいた。確かに実力者の一人であり、リーダーアルバムも数多く作ってはいたが、どちらかというと地味な存在、スターミュージシャンの中に並んで扱われるのは初めてであったろう。
パブロレコードは、ヴァーブ時代と同様大物同士の顔合わせやジャムセッション物のアルバムを次々と世に出した。このシムスもピーターソンやジョーパスとともに、ガーシュインのソングブックをリーダーアルバムとして初登場した。そして次のアルバムはパブロとしては少し毛色が変わった、ビルホルマンのアレンジで9人編成のラージアンサンブルをバックにしたアルバムであった。

このホルマンは50年代からアレンジャーとして活躍し、70年代になってもバディーリッチやスタンケントンのビッグバンドのアレンジは提供してはいたが、ジャズの世界とは少し疎遠になっていた。このパブロの誕生と共にジャズのアレンジも本格的に復活し、カウントベイシーやルイベルソンのアルバムでは、このビルホルマンのアレンジが多く使われた。それに刺激を受けたのか、自らのビッグバンドを編成し活動を始めたのもこの頃であった。

50年代にはビッグバンドだけでなく、コンボやこのようなラージアンサンブルのアレンジも多く手掛けていたが、久々にジャジーなアレンジに気合が入ったことであろう。集まったメンバーも西海岸のスタジオミュージシャンの一流メンバーが集まった。ちょうど70年代に入り、彼らの仕事場であったテレビ番組の制作がロスに移ったこともあり、ニューヨークからスタジオミュージシャンの大移動があった。ルータバキンが秋吉敏子と共にロスに移ったのもその理由であったが、サドメルのメンバーもこの大移動で大きく変った。スヌーキーヤングやジェロームリチャードソンも移動組であったが、この録音には彼等も参加している。そして、トロンボーンにはロスの重鎮フランクロソリーノも加わっていた。

ホルマンのオリジナルに加え、エリントンナンバーやイパネマの娘など選曲も変化に富んでいるが、ホルマンも曲に合わせて個性あるアレンジで大活躍だ。デュークピアソンが自分のビッグバンドを立ちあげる前に、ブルーノートでラージコンボのアレンジを数多く書いていたが、それら中に後のビッグバンドの雰囲気を感じるのと同様、ホルマンの場合も明らかに50年代とは違って、80年以降のビッグバンドに通じる作風を感じる。

シムスの自作のダーククラウドは、昔ランバートヘンドリックス&ロスとの共演で演奏した曲だが、このアルバムでは珍しいシムスの歌も披露している。
演奏はもちろんリーダー格のズートシムスが全曲でフィーチャーされているが、重鎮揃いのバックの中ではフランクロソリーノが大活躍している。シムスとホルマンのアレンジを楽しむアルバムだが、ロソリーノのソロも掘り出し物だ。


1. Hawthorne Nights                    Bill Holman 4:42
2. Main Stem                      Duke Ellington 5:03
3. More Than You Know    Edward Eliscu / Billy Rose / Vincent Youmans  6:01
4. Only a Rose                Rudolf Friml / Brian Hooker  5:07
5. The Girl from Ipanema  N. Gimbel / A. Carlos Jobim / Vinícius de Moraes  4:10
6. I Got It Bad (And That Ain't Good)   Duke Ellington / Paul Francis Webster 6:19
7. Fillings                         Bill Holman 5:27
8. Dark Cloud                        Zoot Sims 4:21

Zoot Sims (ts,vol)
Bill Hood (bs,bcl,fl)
Richie Kamuca (ts,cl)
Jerome Richardson (as,cl,ss,as,fl)
Frank Rosolino (tb)
Oscar Brashear (tp)
Snooky Young (tp,flh)
Ross Tompkins (p)
Monty Budwig (b)
Nick Ceroli (ds)
Bill Holman (arr)

Produced by Norman Granz
Recorded at RCA Studio, Los Angels on September 20 & 21, 1976
Engineer : Grover Helsley

Hawthorne Nights
Zoot Sims
Ojc
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サックスアンサンブルといえばSupersaxだが、このPrez Conferenceも忘れるわけには・・・

2014-10-23 | MY FAVORITE ALBUM
Dave Pell’s Prez Conference Featuring Harry ‘Sweet” Edison

自分はビッグバンドが好きなせいもあり、大編成のアンサンブル物も嫌いではない。
前回紹介したアルバムもそうであったが、トロンボーンアンサンブルというものは何故が心地よく聴けるので好きだ。しかし楽器としては、自分はサックス好きなので、ビッグバンドでサックスのソリがきまった演奏にはゾクゾクする快感を覚える。
ところがサックスアンサンブルのグループというとトロンボーンに比較すると数は少ないようだ。その中で、有名なのは何といってもSupersaxであろう。

このスーパーサックスはパーカーのアドリブソロをコピーしてアンサンブル仕立てしたので有名であった。過去の名演というものをコピーするのはボーカリーズではよくやるが、アンサンブルでやるというのは妙案であったように思う。というのも、楽器のプレーヤーは練習ではよくコピーをやっても、いざ実際の演奏でやるというのは気が引けるだろう。
パーカーのアドリブはそれ自体が新たな曲の様でもあり、ファンとしては「そっくりさん」の同じようなプレーを聴いてみたいという気持ちはあるのだが。

アレンジされたアンサンブルを売りにしていたグループの一つにデイブペルのグループがある。西海岸のプレーヤーはビッグバンド出身が多いが、このペルはレスブラウンに長く在籍していたようだ。
西海岸を拠点にしてからは、ロスで50年代から60年代にかけてレコーディング中心にプロデュース業にも重きをおいて活躍していた。ペッパーアダムスもロスに居た時に参加していたことがある。
基本はオクテット編成が多いが、レコーディングではビッグバンドまで色々な編成のものがある。ハードバップ系のファンが多い日本ではあまり人気があるグループとはいえないが、結構な数のアルバムがあるということはアメリカではそこそこ人気があったグループだったようだ

そのデイブペルが、70年代のメインストリームジャズの復活のタイミングに合わせるように、Prez Conferenceというサックスアンサンブルのグループを作った。
そしてこのアルバムを出したレーベルはGNP/Crescendo。ビバップ創世記にジーンノーマンによってつくられたレーベルが生き残っていたというのも何かの縁であったのかもしれない。このGNPというレーベルは、多くのレーベルが離合集散を繰り返して大手の傘下に入ってしまったのに、今でも独立系でまだ残っているようだ。70年代のスタンケントンのアルバムがあったり、ジャズ以外も多く出しているようだが、この脈絡のなさと長生きの秘訣にも興味が湧く。

デイブペルの普段のオクテットはトランペット、トロンボーンに自らのテナーと、後はバリトンサックスを加えた編成であったが、このプレズカンファレンスは、テナー3本にバリトンというサックスアンサンブル中心にトランペットが一本加わるという編成。このグループの特徴は何と言っても、スーパーサックスがパーカーのコピーであったのに対抗して、レスターヤングのテナーをコピーして、テナー中心のサックスアンサンブルにしたことだ。

パーカー同様、レスターヤングも良く謳うアドリブを楽しませてくれるが、このレスターヤングに関して、このアルバムの解説を書いているレスターファンの評論家の油井正一氏が実にいい表現をしているので紹介しておく。

「僕はずっと昔からパーカーよりもレスターの方が偉いと思っていた。何故ならばパーカーにはレスターという先人がいたが、レスターには前が無かった。ジャズ史を通じてレスターの出現は革命的であり、フレージング革命であった。それまでのジャズフレージングは、つながる所は繋がり、切れるべき所は切れるという、きわめて常識的、論理的なフレージングであったが、レスターのフレージングは、その反対に切れるべき所で繋がり、つながるべきところでプツンと切れた、当時としては想像を絶する非論理的な前衛表現であった」と記している。
今では常識であることであっても、初めて世に出す人はやはり偉いということだろう。その油井氏が、スーパーサックスが世に出た時に、是非レスターヤングのアンサンブルもと願っていたものを、このデイブペルが実現したということになる。

このアルバムの演奏の元になったのは、レスターが30年代、そして40年代ベイシーと一緒にやったプレーをアンサンブルにしたものが大部分だ。同じ曲でも違った時期の演奏を繋げたものもある。その辺りはアレンジを行ったビルホルマンの手腕であろう。
それらのオリジナルをすべて聴いたわけではないので、これらの演奏を聴くとオリジナルも是非聴いてみたくなる。
油井氏がべた惚れであったオリジナルのフレージングは、やはり一度は味わってみないことには・・・。



1. I Never Knew 4:47
2. Sometimes I'm Happy 4:21
3. Lester Leaps In 3:29
4. Jumping With Symphony Sid 3:42
5. Jumpin' At The Woodside 4:07
6. One O'Clock Jump 2:26
7. Just You, Just Me 4:20
8. Lester Leaps Again 4:39
9. Taxi War Dance 4:02
10. Jump Lester Jump 3:29

Dave Pell's Prez Conference

Harry Edison (tp)
Bob Cooper, Dave Pell, Gordon Brisker (ts)
Bill Hood (bs)
Arnold Ross (p)
Frank De La Rosa (b)
Al Hendrickson (g)
Bill Bradley (ds)

Arranged by Bill Holman
Produced by Dave Pell
Recorded at Annex Studio, Hollywood, California
on August 8,11,14, 1978



Prez & Joe
Dave Pell
Gnp Crescendo
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家のゴミと思った中にも宝物が・・・

2014-08-20 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
One More Time / Terry Gibbs’s Dream Band Vol.6


歴史を語る時に古文書の存在が大きい。歴史小説を読んでも、あるいは今流行りの官兵衛をみても、よく元になる史実が詳細に残っているものだと感心する。このような古文書はどこかに保管されていたのだろう。今でこそ博物館にあっても、それがあったのは寺や神社だけでなく、一般の家庭に先祖代々引き継がれているものの中から見つかることも多い。

一昨年親を亡くして家の整理もまだ終わっていないが、確かに思い出のある物も多く、中には家の歴史になるものもあるので簡単には捨てられない。
一方で、いま時代の価値観は「断捨離」。親や先祖のものだけではなく、自分自身の身の回りも何も無い方がスマートな暮らし方のようだ。確かに、その日を楽しく快適に過ごすだけであれば、それは理想だろう。しかし、それならば何も家を持たずにホテル暮しをすればいいのにと思ってしまう。
この「断捨離文化」が本来残さなければならない歴史と文化も捨て去ってしまっているように思えてならない。もう一回世代替わりをすると、歴史を持たない民族が生まれる。恐ろしいことだ。

こんなことを考えると、自分はどうもゴミ屋敷にならない程度に物に囲まれた生活が合っているようだ。これはどうやら一生変わることが無さそうなので、家の大整理は息子に引き継ぐことになるかもしれない。

ところが、天変地異が起こるとそうそう悠長な事は言っていられない。今日も大きな災害があったが、津波や火災で全てを失えば諦めもつくが、引越しをしなければならないとか、家を修理しなければならない事態に陥ると最小限の整理は必要になる。自分は、引越は何度もやったが結局一度も開けずのダンボールが行き来することも。

1994年1月17日(これも117だ)ロスアンジェルスで大地震が起こった。これで被害を受けたのはかなり広範囲に及んだそうだ。ロスといえばジャズプレーヤーも多く住んでいる所、被害を受けたミュージシャンも何人もいたと思うが、その一人がヴァイブ奏者のテリーギブスであった。
自宅が大きな被害を受け、修理のために荷物をすべて一旦家の外に出さなくてはならなくなった。8ヶ月後にすべての物を元の位置に戻したつもりになっていたのだが・・・。
2001年8月になって、クローゼットの中に見知らぬダンボールを発見。中身を改めると、何と録音済のオープンリールのテープが25箱。本人もすっかり存在を忘れていた30年以上前の録音の数々だった。

どこの家にも何かこのような宝物が出てくる可能性があるので、簡単に物を捨てられないということになる。

早速、聴いてみると何とそれらは、ギブスが華々しくドリームバンドを率いていた頃のライブの録音がザクザク。録音状態も非常に良く、それらの演奏がCD時代になってから陽の目を見ることになった。
それがこのアルバムだ。それまでも、自分が残した録音からアルバムを出してきたが、さらに新たなソースを発見したということになった。

新たな未発表録音やプライベート録音が続々見つかって世にはでてくるので、物珍しさから興味を惹くが、名盤、名演というのにはなかなか当たらない。まあ宝探しの楽しみと思えば、好きなミュージシャンの思わぬ発掘品も見つかるものだ。

このギブスのドリームバンドの中身はいうと、当時の西海岸在住のオールスターバンド。
ウェストコーストジャズが下火になった中、地元でホットな演奏を繰り広げていたバンドの一つだ。
そのライブ録音となると少しは興味が沸く。ファンの歓迎を受けて、2枚目、3枚目・・と続いていたが、これが2002年になってVol.6となってリリースされた。

このアルバムには1959年3月と11月の2つのセットが収められ、メンバーも若干入れ替わっているがどちらもスインギーなプレー。またトップミュージシャンを起用に若手アレンジャーのスコアが提供されている。同じジャンプナンバーでも、同じヴァイブをリーダーとしたハンプトンのバンドと較べるとはるかに中身があるし、スマートな演奏だ。

ラストのジャンピングアットザウッドサイドではテナーバトルが素晴らしい。その後、アレンジャーとして活動がメインになったビルホルマンのホットなプレーが聴ける。
盛り上がったところで、ギブスの2本指のピアノプレーも。

おまけに、先日メイナードファーガソンで紹介したアイリーンクラールのボーカルが3曲。どうやら客席にいたのを引っ張り出しての飛び入り参加らしく、スコアが用意されていなかったようだ。
そこは、プロの集まり、彼女が曲とキーを言うとピアノがさりげなくイントロを務めると、ベースとドラムが加わる。様子を見ていたギブスも2コーラスから参加、最後はバンド全体で即興のアンサンブルも。ライブの楽しいところだ。


このアルバムをリリースするにあたって、テリーギブスはドリームバンドに貢献した特に3人にこのアルバムを捧げたいと言っている。

一人は盟友コンテカンドリ。素晴らしいトランペットプレーヤーであるだけでなく、無二の親友で兄弟のような関係。いつも一緒にいてくれただけでなく、素晴らしいプレーを随所で聴かせてくれる。
素晴らしいリーダーには優れた女房役が必要。ギブスにとってはカンドリがその役割であったようだ。

そして次がメルルイス。
バディリッチとは対局を為すドラミングだが、2人はバンドをスイングさせる名手だと褒め上げている。ギブスはメルを”The Tailor”と呼んでいた。スインギーな演奏のタイムキーピング役だけでなく、ソロやアンサンブルを実にうまく縫い合わせていってくれる、ドリームバンドに不可欠な存在であった。

西海岸で活躍していたメルルイスが、東海岸に活動拠点を移したのはジェリーマリガンのコンサートジャズバンドに加わったのがきっかけという。この59年から60年にかけてメルルイスが参加したアルバムは非常に多い。どうやら、この辺りが西海岸での最後のプレーになってくる。
メルルイスにとって、ビッグバンドのドラミングはケントンで鍛えられたと思っていたが、サドメルのドラミングの原点はこのドリームバンドの演奏にあるのかもしれない。

最後に、この素晴らしい録音をしてくれたWally Heider.。
やけにいい音だと思ったらやはりハイダーであった。ギブスが言うように、40年後に「昨日録った録音」といってもいい程のクオリティーだ。さすが、ライブレコーディングの魔術師。このアルバムの価値を高めるのに一役かっている。

このテリーギブスが亡くなったという話はまだ聞いていない。流石に現役は退いたとは思うが・・・。
晩年になって、ファンから「ドリームバンドはまたレコーディングしないのか?」という問いかけは良く出るが、返事はいつも「やらない」であった。

ギブスにとっては、59年から61年にかけてのこのバンドが「ドリームバンド」。まさに、この録音そのものが。
メンバーの何人かは残っていても、このメンバーでなくては駄目だということのようだ。ベニーグッドマンのバンドといえば、ジーンクルーパ、テディウィルソン、そしてハンプトンがいなければダメなのと同じようにと例えている。ライブはやっても、それはメモリアルドリームバンドなのだろう。

確かに、これまでの人生を振り返ると、誰もが自分にとってドリームチームといえるメンバーとやった仕事(遊び)は一生忘れることができないものだ。これがその人にとっての宝物だ。



1. The Fuz                    Al Cohn 4:20
2. The Subtle Sermon              Sy Johnson 9:13
3. Opus On Sid                 Garris / Sy Oliver 9:03
4. Smoke Gets in Your Eye       Otto Harbach / Jerome Kern 3:26
5. Slittin' Sam (The Shaychet Man)            Al Epstein 3:18
6. Prelude to a Kis   Duke Ellington / Irving Gordon / Irving Mills 2:58
7. Flying Home   Benny Goodman / Lionel Hampton / Sydney Robin 11:27
8. I Remember You      Johnny Mercer / Victor Schertzinger 2:41
9. The Fat Man T                  erry Gibbs 7:16
10. Just Plain Meyer              Bob Brookmeyer 4:01
11. Sometimes I'm Happy  Clifford Grey / Leo Robin / Vincent Youmans 3:07
12. Moonlight in Vermont     John Blackburn / Karl Suessdorf 3:12
13. Lover, Come Back to Me Oscar Hammerstein II / Sigmund Romberg 2:07
14. Jumpin' at the Woodside              Count Basie 10:53

Terry Gibbs Producer, Vibraphone

#1,3,4,8,10,and 14

Al Porcino (tp)
Conte Candoli (tp)
Ray Triscari (tp)
Stu Williamson (tp)

Bob Enevoldsen (tb)
Vern Friley (tb)
Joe Cadena (tb)

Joe Maini (as,ts)
Charlie Kennedy (as)
Med Flory (ts,arr)
Bill Holman (ts)
Jack Schwartz (bs)

Pete Jolly (p)
Max Bennett (b)
Mel Lewis (ds)

# 2,5,7,8,9,11,12,and 13

Conte Candoli (tp)
Stu Williamson (tp)
John Audino (tp)
Lee Katzman (tp)

Bill Smiley (tb)
Bob Burgess (tb)
Vern Friley (tb)

Joe Maini (as,ts)
Charlie Kennedy (as)
Bill Perkins (ts)
Med Flory (ts,arr)
Jack Schwartz (bs)
Benny Aronov (p)
Lou Levy (p)
Buddy Clark (b)
Mel Lewis (ds)

Irene Kral (Vocals)

Al Cohn Arranger
Manny Albam Arranger
Bob Brookmeyer Arranger
Wes Hensel Arranger
Sydney Johnson Arranger
Marty Paich Arranger

Wally Heider Engineer

Recorded live at the Seville and Sundown, Hollywood, March & November, 1959


One More Time 6
Terry Gibbs
Contemporary
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メイナードファーガソンビッグバンドのバンドシンガーは?

2014-08-11 | MY FAVORITE ALBUM
Maynard Ferguson / Boy with Lots Of Brass

スイング時代のビッグバンドは大体バンドシンガーを抱えていた。しかし、モダンビッグバンドになると、ゲストでボーカルを招くことはあっても、行動を共にするボーカルをメンバーに加える事は少ない。モダンビッグバンドの雄、メイナードファーガソンも一時バンドシンガーを加えていたことがある。

ハイノートヒッターとして有名なメイナードファーガソンは、スタンケントンを辞めた後はロスでスタジオワークをしていた。生活も安定し、スタジオ以外でも地元でのセッションに何の不自由もなかったのだが、自分のバンドを持ちたいという夢は抗し難く、スタジオの仕事を辞めて1956年には早々に自分のビッグバンドを立ち上げた。

DREAM BANDと名付けたバンドは、ビッグバンドのレギュラー編成よりも少し小ぶりな編成の13人編成であったが、ファーガソンの迫力もあり、人数の少なさを感じさせないパワフルな演奏を繰り広げた。
オリジナル曲を中心に若手のアレンジャーを起用して、ファーガソンのハイノートを筆頭に、エキサイトなソロも売りにしていた。
最初は、地元の西海岸で活動していたが、ツアーを経て東海岸に乗り込んで、後に本拠地になるバードランドでもプレーをする。その時は、同じケントン出身であったペッパーアダムスが加わる事もあった。

このドリームバンドの演奏は、西はロスのピーコックレーンでのライブ東はスタジオであったがバードランドドリームバンドとして演奏が残されている。どちらも若さあふれる元気な演奏が印象的だ。

まずは旗揚げ公演を無事に終え、手応えを感じたファーガソンは引き続き自分のバンドでやっていく決心をした。

その理由の一番は、オーケストラをスタートした時から、ジャズの真髄を決して薄めることなく、広く音楽ファンにうけるように商業的にも成功すること。実際に、我々の熱い演奏とプレゼンテーションは聴衆を最初から惹きつけた。他のオーケストラがジャズの枠に拘ったばかりに商業的に成功しなかったのとは大違いだ。
この基本的なコンセプトは、晩年のファーガソンのビッグバンドまで変わらず生き続けた家訓のようなものだと思う。

その時に、メジャーのマーキュリーから声がかかって制作されてのがこのアルバムになる。
基本コンセプトは変えずに、最初のドリームバンドの成果と反省を反映し商業的にはもう一段工夫を加えた。ひたすらアップテンポに拘ったのを、多少テンポにもバリエーションを増やしたのもその一つ。素材にスタンダード曲を並べたのもその一環かもしれない。

そして、もうひとつ、このアルバムではボーカルを加えている。

ファーガソンがオーケストラを立ち上げた時にボーカルを加えようと思って何度かオーディションを行った。しかし、しっくりくる歌手に巡り会えず、決めかねていた時に、推薦してくれた人がいた。

その人はカーメンマクレー。自らを売り込むのではなく、彼女が推したのはアイリンクラールであった。
有名なジャッキー&ロイのロイクラールの妹である。コマーシャルな仕事はしていたが、ジャズのボーカルではたいして実績はまだなく、推薦を受けたファーガソンもすっかり忘れていたところ・・・
ファーガソンオーケストラがシカゴにツアーに行った時に、反対に彼女の方から売り込みがあり、早速リズム隊を用意して彼女のオーディションをしたら、これがピッタリ嵌る。
即採用ですぐにツアーに加わってデビューとなったが。彼女にとってもビッグバンドで歌うのはこのファーガソンのバンドが初めてだったようだ。

このアルバムでは4曲歌っているが、晩年はピアノトリオでバラードを得意とした彼女の、ホットなオーケストラとの共演が本格デビューというのも妙な取り合わせだ。
いずれにせよ、クラールもこのファーガソンのバンドの経験でキャリア的にもステップアップし、プライベートでもこのアルバムに参加しているトランぺッターのジョー・バーネットと結ばれることになる。
ファーガソンのバンドも、このアルバムで更にステップし、ルーレットレーベルで多くの作品を残す実力バンドに育っていく。

2人にとって節目となるアルバムだ。

SIDE-A
1. Give Me The Simple Life      (R. Bloom - H. Ruby) 2:30
2. My Funny Valentine          (Rodgers - Hart) 3:56
3. The Lamp Is Low         (Shefter - De Rose - Parish) 3:23
4. Imagination            (Burke - Van Heusen) 3:49
5. The Song Is You         (Kern - Hammerstein II) 2:06
6. Jeepers Creepers           (Warren - Mercer) 2:51

SIDE-B
1. Love Me Or Leave Me         (Kahn - Donaldson) 2:42
2. A Foggy Day             (G. & I. Gershwin) 3:02
3. Easy To Love                 (Porter) 3:06
4. Moonlight In Vermont        (Suessdorf - Blackburn) 3:47
5. I Hadn't Anyone Till You              (Noble) 1:40
6. I Never Knew                (Fiorito - Kahn) 3:06

A-1, A-2, A-4, A-6, B-2, B-5:
Maynard Ferguson (tp, leader) with:
Tom Slaney (tp), John Bello (tp), Joe Burnette (tp),
Bob Burgess (tb), Jimmy Cleveland (tb),
Anthony Ortega (as), Jimmy Ford (as, ts), Willie Maiden (ts), Tate Houston (bs),
Bobby Timmons (p), Richard Evans (b), Larry Bunker (ds),
Irene Kral (vo on A-2, A-4, B-5).
Recorded in New York City on July 29, 1957.

A-3, A-5, B-1, B-3, B-4, B-6:
same personnel as above, with Irene Kral (vo) on A-4,5, B-4,5
Recorded in New York City on August 2, 1957.

A-1, A-2, A-4, A-5, B-4, B-5 arranged by Willie Maiden.
A-3, B-6 arranged by Ernie Wilkins.
A-6, B-1, B-2 arranged by Al Cohn.
B-3 arranged by Bill Holman.

BOY WITH LOTS OF...BRASS
Maynard Ferguson
FRESH SOUND
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バックとのアレンジとソロが映えると歌も自然に・・・

2014-07-28 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Bobby Troup and His Stars of Jazz

前回、ルースプライスのアルバム紹介の中で、テレビのショーに出ていたプライスの映像を一緒に紹介した。この映像はボビートループが司会をやっていたテレビ番組“Stars of Jazz”の一シーンだ。

ボビートループといえば、有名な「ルート66」の作曲家として知られている。トループは多彩な才能の持ち主で、生涯の中で色々な顔を持っている。いわゆるマルチタレントであるが、才能以外にもツキにも恵まれたのだろう。

1964年は外タレの来日ラッシュだった。このトループも来日し、このルート66の自ら演奏する映像があった。



彼が作曲を始めたのは学生時代、すでにその時にヒット曲”Daddy”を書いている。戦争中は海兵隊に属してリクリエーション施設建設の陣頭指揮をとり、部隊のテーマソングも作った。最後はサイパンで終戦を迎えたという。その間に、最初の妻のシンシアと結婚していた。

有名な”Route 66”が生まれたのは、戦後すぐの1946年、彼女と一緒にまさにルート66をドライブしている時に生まれた。クレジットこそされていないが彼女と一緒の共作であったようだ。トループとしては作曲家としても有名だが、ニールヘフティーの作った名曲”Girl Talk”では作詞家としてもクレジットされている。曲作りも両刀使いであった。
この曲で、作曲家としてのトループは一躍有名になったが、ナットキングコールも後に有名なアルバム”After Midnight”で再演し、他にもこの曲をカバーするミュージシャンはジャンルを問わず多い。

さらに60年代に入ってからは、同名のテレビ番組まで登場し、これも大ヒットする。この番組の主題歌はトループの曲が使われているかと思ったら、ネルソンリドルオーケストラの別バージョンであったが。



一方で、トループのミュージシャンとしての活動はピアニストから。時には弾き語りで歌も歌いながらウェストコーストで活躍。自らリーダーアルバムを出す一方で、地元の名だたるクラブに出演しては地元のミュージシャンと親交を深めていった。60年代まで活動を続けたが、プレーヤーとしては商業的に大成しなかった。印税が入るので、生活には困っていなかったようなので演奏は趣味の域でも困らなかったのかもしれない。

そんなある時、将来のワイフとなるジュリーロンドンと出会う。クラブで歌っていた彼女を見て、歌手として何とか彼女を成功させたいという想いで今度はプロデューサー業に。そして生まれたのが彼女のヒット”Cry Me a River”。これで彼女の心を掴んだのか、1959年に2人は結ばれることになる。



その間、多芸なトループ、今後はクイズやバラエティー番組のホスト役でテレビ出演をするようになる。その中で最も有名な番組が”Stars Of Jazz”。1956年にロスアンジェルスのローカル番組でスタートしたが、58年には全国ネット番組に昇格し、毎週有名ミュージシャンのゲストを迎えた番組として続いた。ミュージシャンへのギャラなど色々問題はあったようだが、ちょうどテレビがメディアとしてスタートした時に、ジャズをコンテンツとしてオンエアさせ、世に広める役割に一役かったようだ。
そして、晩年には、自ら俳優としてテレビ番組に出るようになる。いつの時代をみても、順風満帆の人生を過ごしたように思える。

このトループが、テレビ番組“Stars of Jazz”の放送が終わった直後に、卒業記念ともいえるアルバムを作っている。このアルバムでは主役は自分のボーカルであるが、バックの面々が素晴らしい。付き合いがあったウェストコーストの有名ミュージシャンが集合してオールスタービッグバンドを編成している。ドラムにシェリーマンと一緒にメルルイスも。

アレンジャー陣も、ジミーロウルズ、ショーティーロジャースとお馴染みの面々が揃っている。そして、一番素晴らしいのが、一曲ずつ違ったソロプレーヤーをフィーチャーしていること。ソロ自体は短いが、アレンジもソリストを意識したアレンジが施されており一曲一曲が実に念入りに作られている。フォーブラザースを意識してか4人のテナーの揃い踏みとか、ベニーカーターのバラードプレーや、テクニシャンロソリーノのプレーなど聴きどころ満載だ。歌のバックのソロは絶妙な絡みと短めが秘訣かも。

シェリーマンとレッドノーボのバックが絶妙な、Is You Is or Is You Ain't My Baby




ボーカルのバックというのは簡単そうでそうでもなさそうだ。聴いている方でもバックがしっくりくる場合と、何かとってつけたようでただ一緒にやっているだけというのがはっきり分かる。ライブの場合は会場の盛り上がりに左右されることもあると思うが、スタジオ録音となるとやはりアレンジの巧拙が鍵になる。という意味では、格別上手いという部類に入る歌手ではないトループの歌が、実に表情豊かにバリエーション豊富に聴こえるから不思議だ。それに、日頃付き合っている面々との番組卒業記念というシチュエーションでのセッションなので、集合写真とは別に一人ずつ友人達と記念写真をとっているような特別な計らいなのかもしれない。



1. Free and Easy               3:40
2. Sent for You Yesterday           3:10
3. Back in Your Own Back Yard         3:19
4. I'm Thru with Love             4:06
5. Oh! You Crazy Moon             2:57
6. Perdido                   3:39
7. Take Me out to the Ball Game        2:19
8. Is You Is or Is You Ain't My Baby     3:32
9. As Long as I Live              2:18
10. Please Me Kind                3:19
11. Tulip or Turnip              2:42
12. Tip-Toe Thru the Tulips with Me       2:54

Bobby Troup (vol)

Buddy Childer (tp)
Conte Candori (tp)
Pete Candori (tp)
Ollie Mitchell (tp)
Al Porcino (tp)
Shorty Rogers (tp)
Ray Triscari (tp)
Stu Williamson (tp)
Milton Bernhart (tb)
Harry Betts (tb)
Bob Enevoldsen (tb)
John Halliburton (tb)
Dick Nash (tb)
Frank Rosolino (tb)
Kenny Shroyer (tb)
Benny Carter (as)
Bob Cooper (ts)
Chuck Gentry (bs)
Bill Holman (ts)
Paul Horn (ts)
Plas Johnson (ts)
Richie Kamuca (ts)
Bud Shank (as,fl)
Jimmy Rowles (p)
Red Norvo (vib)
Barney Kessel (g)
Monty Budwig (b)
Joe Mondragon (b)
Mel Lewis (ds)
Shelly Manne (ds)

Recorded in Hollywood, California on October 24,November 10,and December 3, 1958


STARS OF JAZZ
Bobby Troup
RCA SPAIN
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スイングするのは曲か? コーラスか? それともバックか?・・・

2014-04-10 | MY FAVORITE ALBUM
The Swingers 12 Jazz favorites by The Four Freshmen

コーラスの編成はジャンルを問わず4人組(カルテット)が多い。インストだとリズム3人にソロ楽器となるが、コーラス4人組はハーモニーを作り出す大事な要素、これも男女混成、男だけ、女性だけで雰囲気もがらりと変わるし、ソロも大事な要素になる。
ジャンルを問わずこの組み合わせの妙がコーラスの楽しさであり、面白さになってくる。

ジャズコーラスの楽しみはハーモニーもあるが、「ジャズのスイング感をどのようにコーラスで表現するか」が要素として加わってくる。スイングさせるためのコーラスのアレンジも大事だ。キャットを加えたり、そしてバックとのコラボレーションでよりスイングするコーラスが生まれてくる。

ジャズコーラスといえばフォーフレッシュメン。ペッパーアダムスやメルルイスのようにスタンケントンオーケストラで研鑽を積んだジャズメンは多いが、このフォーフレッシュメンもスタンケントンが世に出したコーラスグループだ。

まだ大学生であったフォーフレッシュメンを「スタンケントンオーケストラのような音を出すから一度聴いてみては」という勧めでケントンが自らコンサートに足を運んで聴いてみて、即キャピタルレコードに紹介したのがプロ入りのきっかけだとか。まだ学生であった4人はトントン拍子で出世をし、大学を卒業することなくいつまでも「フレッシュマン」のまま生涯活躍することになる。

このフォーフレッシュメンはオープンハーモニーといわれる一番高い音域がソロパートを担当するのが特徴。その結果、それまでのコーラスグループとは一味違ったサウンドとなる。素人耳にも確かにケントンサウンドと何か共通点があるように感じる。

さらに加えて、4人が自ら楽器を演奏するということも特徴の一つ。後に、ロックやポップスの世界ではビートルズを始めとして、日本のグループサウンドでも楽器を弾きながらコーラスを歌うというのは一般的になったが、ジャズの世界ではグループメンバー全員が楽器を弾きながら歌うというのは珍しい存在だ。その演奏も余興ではなくプレー自体本物だ。

このフォーフレッシュメンは多くのアルバムを残しているが、その名も"Swingers”とタイトルされたアルバムがある。独自のスイング感を持ったフォーフレッシュメンが思う存分スイングしているアルバムだ。ライナーノーツの出だしで、「このアルバムを手にして果たして歌手がスイングするのか歌がスイングするのか迷うかもしれないがこれは両方だ」と書かれているが、実はこのアルバムはバックのオーケストラもスイングしているのを忘れてはいけない。
西海岸の売れっ子アレンジャー、ビルホルマンのアレンジによるバックのオーケストラが実にスインギーな演奏でコーラスと歌を盛り立てる。まさに三位一体のスインギーなアルバムになっている。

日本のコーラスグループ「ブリーズ」は野口久和ビッグバンドをバックにスインギーなコーラスを聴かせてくれるが、フルバンドをバックにしたコーラス、それもジャズの名曲といわれる曲を歌い込んだアルバムというのは、そうそう簡単に聴けるものではない。
このアルバムはスインギーなビッグバンドをバックに、スインギーなモダンコーラスをタップリ聴ける一枚だ。

1. Lulu's Back in Town         Al Dubin / Harry Warren 3:10
2. Li'l Darlin'             Neal Hefti 3:35
3. Let's Take a Walk Around the Block H. Arlen / I. Gershwin / E.Y. "Yip" Harburg 3:44
4. Dynaflow               Stan Kenton / Art Pepper 3:07
5. Do Nothin' Till You Hear from Me  Duke Ellington / Bob Russell 4:15
6. Spring Isn't Spring Without You   Ken Albers / Bill Comstock 2:29
7. Taps Miller              Count Basie 3:34
8. When My Sugar Walks Down the Street  G. Austin / J. McHugh / Irving Mills 2:02
9. Satin Doll   Duke Ellington / Johnny Mercer / Billy Strayhorn 2:53
10. This Could Be the Start of Something  Steve Allen 2:37
11. Lullaby of Birdland       George Shearing / George David Weiss 3:26
12. I'm Gonna Go Fishin       Duke Ellington / Peggy Lee 2:42

The Four Freshmen 
 Ken Albers
 Ross Barbour
 Bob Flanigan
 Bill Comstock

Produced by Bill Miller
Arranged and Conducted by Bill Holman
Recorded in 1962



Two Classic Albums from The Four Freshmen (The Swingers/Stars in Our Eyes)
The Four Freshmen
Collector's Choice
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ジャズミュージシャンに生涯の最高作は?と聞くと・・・果たしていつ頃の作品が。

2014-01-20 | CONCORD
The Woody Herman Orchestra Live At Concord Jazz Festival

ジャズ巨人たちの多くは亡くなる直前まで精力的に活躍していることが多い。
否、最後まで活躍しているからこそ、巨人になれるかもしれないが。
その巨人達に、生涯の最高傑作は?と聞くといつ頃の作品を上げるのであろうか。常に前向きに進んできた彼らにとっては、若い頃の作品は思い出こそあれ、最高傑作というには粗ばかりが目立つのかもしれない。きっと現役でいる限り常に今が最高だと思っているのであろう。

ウディーハーマンという人も、常に前向きに取り組んできた一人だと思う。70年代に一時フュージョン系に走ったが、80年代はまたストレートアヘッドな、本来のハーマンらしさに戻ってきた。奇しくもこのタイミングがConcordに登場するようになったタイミングに一致する。

コンコルドでは、’79年のモンタレージャズフェスティバルの舞台のライブがある(この録音も日本からのレコメンドがあって作られたとか)が、他はスモールグループやジャムセッション物。レギュラーオーケストラのアルバムは今まで無かった。
このアルバムは、オーケストラでのコンコルド初登場といってもいい。

そして、このアルバムのライナーノーツを見ると、ウディーハーマンの言葉で「このアルバムのBigbandのサウンドがこれまでの46年間の中で最高だ」というコメントが記されており、他には何の記載もない。
ハーマンにとっては、生涯の思い出となったアルバムということなのであろう。



70年代のハーマンは必ずしも優雅な隠居生活をおくっていたという訳ではない。
60年代の税金の未払問題を抱え、その返済のために老体に鞭をうちつつ日々バンドを運営しなければならなかった状態であった。だからこそ本人の意思とは別に新しいジャンルにも取り組まざるを得なかったのか。

そのハーマンが、コンコルドに来て水を得た魚のように再び元気になったのは、昔の仲間に囲まれてプレーできるという安心感、そして無理して新しいものに取り組まなくても良いという強迫感からの解放感によるものだったのかもしれない。

そして、このアルバムになる訳だが、このアルバムの一番の特徴は若手メンバーの作曲による新曲に取り組んでいるということだ。それらの作編曲をしているピアノのJohn Oddoはその後ローズマリークルーニーのアルバムでも活躍している。もちろん、コンコルドジャズフェスティバルの舞台ということもあり、スタンゲッツ、アルコーンという昔のフォーブラザースを支えた同僚の参加による曲もある。が、他はナツメロ曲ではなく今の自分達のバンドのプレゼンテーションはコンコルドで初めての機会であった。確かに、メンバー主体にハーマンらしさの本筋を外れず、懐古趣味に走らず新しい曲にチャレンジしたという点では良いアルバムだと思うのだが。

ウディーハーマンの代表作は? と言われると自分では迷ってしまう。
40年代からの作品が多く残っているが全部は聴いていないし、有名なFour Brothers やEarly Autumnもアルバム単位だと?? ライブ物が多いのでこれらも悪くないのだが。
実はアルバムは多いのだが、エリントンやベイシーなどのように、きちんとアルバム単位で作られたものはあまり多くないのが現実だ。

そのような中で自分が印象に残っているのがフィリップスの”Woody Herman 1964“
コンコルドで活躍するジェイクハナがいるし、テナーのサルニスティコ、トロンボーンのフィルウイルソン、そしてトランペットのビルチェイスやピアノのナットピアスなど役者ぞろいだ。ハレルヤタイムのワクワク感がこのアルバムを初めて聞いた時からのお気に入りだ。



たまたま先日、目黒のジャズ喫茶"Hot mama"に立ち寄った時、マスターからこの当時のハーマンオーケストラのビデオを見せてもらった。改めて、この時代のハーマンが自分にとってのフェイバリッツだという事を再認識した。



さて、ハーマンが毎年磨きをかけ続けたバンドの音はこの時が最高かもしれないが、アルバムの出来はというとバンドの音自体は多少荒っぽくとも自分は1964年のバンドに軍配を上げたい。

1. Things Ain't What They Used to Be      Duke Ellington / Mercer Ellington / Ted Persons 4:25
2. Theme in Search of a Movie         John Oddo 4:48
3. Midnight Run                Bill Holman 5:49
4. You Are So Beautiful            Bruce Fisher / Billy Preston 3:20
5. John Brown's Other Body           John Oddo 3:53
6. Especially for You              John Oddo 4:55
7. North Beach Breakdown            John Oddo 5:38
8. The Dolphin                 Luíz Eça 6:00
9. Lemon Drop                  George Wallington 7:34

Stan Getz (ts)
Al Cohn (ts)

Woody Herman (cl,as)

Paul McGinley (ts,fl)
Bill Ross (as,fl)
Randy Russell (ts,fl)
Michael Brignola(bs.bcl)
Brian O'Flaherty (Flh,tp)
Bill Stapleton (Flh,tp)
Scott Wagstaff (Flh,tp)
George Rabbai (Flh,tp)
Mark Lewis (Flh,tp)   
Larry Shunk (tb)
Gene Smith (tb)
John Fedchock (tb)
John Oddo (p,composer,arr.)
Mike Hall (b)
Dave Ratajczak (ds)

Produced by Carl Jefferson
Recording Engineer: Phil Edwards

Recorded live at Concord Jazz Festival, Concord, California on August 15, 1981

Originally released on Concord CJ-191


Live at the Concord Jazz Festival
Woody Hermasn
Concord Records
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イギリスツアー中のスタンケントンの誕生日に・・・・

2014-01-16 | MY FAVORITE ALBUM
Birthday in Britain / Stan Kenton and his Orchestra

ヨーロッパのジャズというと、イタリア、フランス、ドイツ、そして北欧。イギリス出身の渋いミュージシャンは何人かいるが、イギリスとジャズというと何故か縁遠い感じがしてあまり思い浮かばない。
ところがビッグバンドというとイギリスでのライブ物は何枚かある。ベイシーのin London(ところが実際は違うようだが)。ルイベルソンもあったエリントンのバースデイコンサートも・・。
そして、このスタンケントンのアルバムもイギリスでのライブ。

1973年の冬、ケントンはイタリア、スイス、オランダを廻るヨーロッパツアーをやっていて、最後にイギリスを廻り2月19日にノッチンガムに着いた。

ライブに行くと、たまに会場に居合わせた誕生日のお客にHappy Birthdayの歌のプレゼントがある。プロの歌手やミュージシャンからの歌のプレゼントは格別だろう。
ところが、この場は少し違う雰囲気でHappy Birthdayがステージで始まった。

満員の観客に囲まれて、さてこれから演奏がスタートという時、バンドがいきなりHappy Birthdayを奏で始める。それもイントロを少しというのではなく、アレンジを施されたフルバージョンで。
実は、バンドメンバーからケントンへのプレゼントだった。ケントンはキョトンとした表情で「一体いつ練習したんだ?寝てる間に?」と一言。ビルホルマンのアレンジによる立派なバースデープレゼントであった。
(ケントンの誕生日はバイオグラフイーによると12月15日なので、もしかしたら他の誰かかも?)



ケントンオーケストラは昔から新人の鍛錬の場。ペッパーアダムスやメルルイスもそこで鍛えられて一流入りしたが、このヨーロッパツアーも無名の若手のメンバー主体のオーケストラ。ケントンも自分の息子程に年が違うメンバーからのプレゼントは感無量であったと思う。

そして、この若手メンバーの中の一人に、ドラムのピーターアースキンがいた。この時はまだ19歳、インディアナ大学の学生であったが大抜擢されてのツアー参加であった。
もっとも、アースキンは3歳からドラムを始め、6歳からケントンが主催するNational Stage Band Campsに参加していたというので、ケントンが子供の頃から手塩にかけて育ててきたアースキンのヨーロッパデビューをケントン自ら行ったということだったのだろう。アースキンはここでも19歳とは思えないドラミングを聴かせてくれる。

スタンケントンといえば、今週末19日に辰巳哲也のビッグバンドがスタンケントンの特集を東京TUCのライブでやる。日本ではあまり人気がないせいか、ケントンのレパートリーを取り上げるビッグバンドも少ないが、今回は存分にケントンサウンドを聴けそうだ。メンバーは自らリーダーを務める強者揃いに加えて、今回はケントンオーケストラの編成である5tp、5tbの大編成。楽しみに出かけてみようと思う。

丁度19日はジャズ好きの友人の誕生日でもある。このケントンのHappy Birthdayでもプレゼントしてみようか。



1, Happy Birthday to You      Mildred Hill / Patty Smith Hill
2. The Daily Dance         Bill Holman
3. Street of Dreams         Sam M. Lewis / Victor Young
4. Of Space and Time        Hank Levy
5. For Better and for Wors     Willie Maiden
6. No Harmful Slide Effects     Willie Maiden
7. Ambivalence            Hank Levy
8. Blues, Between and Betwix    Hank Levy

Bob Winiker (tp)
Paul Adamson (tp)
Frank Minear (tp)
Dennis Noday (tp)
Mike Snustead (tp)
Dick Shearer (tb)
Phil Herring (tb)
Harvey Coonin (tb)
Lloyd Spoon (tb)
Mike Wallace (tb)
Willie Maiden (sax)
Chris Galuman (sax,fl)
John Park (as)
Roy Reynolds (sax)
Richard Torres (ts)
Stan Kenton (p)
John Worster (b)
Ramon Lopez (per)
Peter Erskine (ds)

Wally Heider Producer& Engineer

Recorded live at Albert Hall Notthingam on February 19,1973
&   at Fairfield Hall, Croydon on February 23,1973

Birthday in Britain
Stan Kenton
Zyx Records
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2013年11月8日(金)マイク・プライス・ジャズオ-ケストラ @ 新宿 SOMEDAY!

2013-11-06 | JAZZ LIFE
今週末のマイクプライスジャズオーケストラのプログラムの案内が来ました。
今回もなかなか充実していて楽しみです。



皆様こんにちは! 

マイク・プライス・ジャズオ-ケストラは
新宿サムデイで 11月8日 (金)に演奏します! 

レパ-トリ-の数々より、今回は最近入手したエリントンの美しい楽曲をフィ-チャ-します。
又、私の楽曲・アレンジ曲も演奏します。

皆さんの心に残るビッグバンドジャズとなりますように。

是非聴きにいらしてください。

どうぞよろしくお願いします。

マイク・プライス

http://www.mikepricejazz.com

日時  11月8日(金)
    19:45~、21:15~
場所  サムデイ (新宿)
    Tel 03-3359-6777
    新宿1-34-8 新宿御苑前ビルB1(やよい軒の地下)
    地図 http://someday.net/shinjyuku.html
Music Charge 3,990円

THE PROGRAM
1ST SET
SUCH SWEET THUNDER (Duke Ellington)

WHIRLYBIRDS (Hefti/ Count Basie)

MEAN WHAT YOU SAY (Thad Jones)

FRUSTRATION (Duke Ellington)

AIREGIN (Rollins / Bill Holman

JUICER IS WILD (Roger Neumann / Buddy Rich)

GONE (Miles Davis/Gil Evans -Porgy & Bess)

2ND SET
ZOOT & AL (Bill Holman)

CARLOS (Gerald Wilson)

WOODROW (Bill Holman)

FRAME FOR THE BLUES (Slide Hampton/Maynard Ferguson)

SECOND LINE (Duke Ellington)

ALFIE (Don Piestrup / Buddy Rich)

INTRO TO AN ENDING (Bill Holman)

DRUM SQUAD (Bob Florence/ Louie Bellson)

メンバ- 
土井徳浩、(as, clar)
八巻 綾一、(as, clar)
岡崎正典(ts)
川村裕司(ts)
宮本大路(bs)

佐久間勲(tp)
田中哲也 (tp)
高橋一光(tp)
今里通夫(tp)

西山健治(tb)
内田光昭 (tb)
橋本佳明(tb)
堂本雅樹(btb)

井上祐一 (p)
佐瀬正(b)
稲垣貴庸(d)
マイク・プライス

Mike Price 舞空

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ジャズの素材は何でもいいが、大事なのは料理法・・・・

2013-10-29 | MY FAVORITE ALBUM
Swingin’ School Songs / The Dave Pell Octet




先日、浅草のHUBに行った。トラディショナル&スイング系のライブハウスとして有名だが、久々にニューオリンズスタイルのライブをタップリ聴いた。リーダーの大松澤さんがグループを結成したのは昭和39年、50年の歴史を持つ大ベテラン率いるバンドは流石に年季が入った演奏だった。リーダーの軽妙な司会で曲の説明、歌詞のさわりの紹介も堂に入ったもので、客席と一体になった楽しいステージを作り出していた。

ニューオリンズ&ディキシーのスタンダートが次から次へと繰り広げられたが、ダウンバイザリバーサイトや谷間の百合といった、元はゴスペルや讃美歌などの素材も多い。モダンジャズの時代になるとスタンダードはミュージカルや映画の音楽が多くなるが、ジャズの創世記は身近な素材を何でもジャズに仕立てていった。

客席には外国人も多かった。異国の地に観光に来て母国の懐かしい曲を果たしてどんな気分で聴いていたのか? にこやかに一緒に口ずさんでいる表情は存分に楽しんでいる様子が伺えたが、まさか日本でこのような演奏が聴けるとは思わなかったろう。日本人がアメリカを旅行して、演歌や民謡を聴けるとは思わないように。

最近ではジャズというとオリジナルも多く、少し取っ付きにくくなっているが、良く知っている曲がジャズで演奏されると、ジャズの良さや楽しさが伝わりやすいものだ。硬派のジャズファンはあまり好みでは無いかもしれないが。

ウェストコーストジャズの全盛期、西海岸で人気のあったグループのひとつにデイブ・ペルのオクテットがある。ダンスのバックから聴かせるジャズに変わっていった中、デイブ・ペルのオクテットはダンスのバックとしても活動をして地元で人気を博していた。それに加えて、ハイスクールやカレッジの学校での演奏も頻繁に行っていたそうだ。

メンバーの一人が、学校周りをやるならレパートリーにスクールソングを入れたらどうかというアイディアに早速数曲取り入れたら、これが結構評判がいい。ということで、このアルバムができたそうだ。

という経緯で、アメリカ人なら誰もが知っている校歌集が出来上がった。
アレンジはビルホルマンやマティーペイチといった西海岸の当時の西海岸の売れっ子を揃えているが、サウンドはお馴染みのデイブ・ペルサウンド。何をやってもそして誰がアレンジしてもバンドカラーとしては確立していたということだと思う。
日本では、辰巳哲也さんがこのオクテットの演奏を時折してくれるが、このペルサウンド好きにはたまらないグループだ。

HUBのライブで、大松澤さんがMCの中で、ディキシースタイルのいいところはメロディーラインを大事にしている所。バックのオブリガードもメロディーを大事にしてのバックなので、モダンジャズのようにひたすらソロを延々と吹くのはちょっと違うんだ。とコメントされていたが、このペルのオクテットの良さもメロディーラインを大事にしたアンサンブルが聴き処でソロは短い。コルトレーンを好む人には物足りないと思うが、古き良き時代のジャズをモダンにしたペルのオクテットはアンサンブルが好きな人には嵌ると思う。

1. On Wisconsin
2. The Victors
3. Rambling Wreck from Georgia Tech
4. Fight On
5. Far Above Cayuga's Waters
6. Iowa Corn Song
7. Indiana, Our Indiana
8. Navy Blue and Gold
9. The Eyes of Texas
10. Hal Purdue
11. Minnesota Rouser
12. Wave the Flag
13. Go, U Northwestern
14. Illinois Loyalty
15. Sweetheart of Sigma Chi
16. Notre Dame Victory March

Dave Pell (ts)
Don Fagerquist (tp)
Bob Enevoldsen (vtb,arr)
Marty Berman (bs)
Marty Paich (p,arr)
Tony Rizzi (g)
Buddy Clark (b)
Frank Capp (ds)
Bill Holman(arr), John T. Williams(arr), Med Flory(arr)

Recorded in Los Angeles, August 8,11 and 13, 1958

Swingin' School Songs
クリエーター情報なし
Fresh Sound
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自分の曲を他人の編曲で演奏すると・・・・

2013-10-18 | MY FAVORITE ALBUM
The Gerry Mulligan Songbook / Gerry Mulligan and Sax Section

ジェリーマリガンはプレーヤーとしてだけでなく作編曲家としても有名だ。
ウェストコーストサウンドに代表されるクールジャズの代表格としてのマリガンサウンドは、マリガンのアレンジによって作られたといってもいいだろう。といっても、マリガンは決して西海岸を拠点として活動して訳ではない。

マリガンが音楽活動を始めたのはピアノから。自らも時にはピアノを弾く。だからピアノレスの編成が多いという訳でもないとは思うが。そしてクラリネット、バリトンサックに転じて表舞台に登場する。
しかし、プレーヤーとして頭角を表す前からアレンジャーとして活動を始める。いくつかのバンドにアレンジを提供し、クロードソンヒルにアレンジを提供したのはまだ20歳になったばかり。音作りの上手さは天賦の才能だろう。

プレーヤー、そしてアレンジャーとしても参加した初期の有名なアルバムは何と言ってもマイルスのクールの誕生だろう。このアルバム自体が当時の一般的なジャズアルバムと並べてみると特異なアルバムだ。マリガンもデビュー当時から「普通の人」とは、ちょっと違う道を歩み出していたのかもしれない。

50年代に入ると、あのチェットベイカーとのピアノレスカルテットが誕生する。
ドラッグで一時一線を退いたが、ボブブルックマイヤーとのコンビで復活を果たす。
そして、50年代の後半はいわゆるMEETSともいえる、色々なプレーヤーとの共演アルバムが続く。モンクからゲッツ、そしてベンウェブスターとスタイルや楽器の違いはものともせず、ディキシーからモダンな演奏まで、自分のスタイルを貫きながら得意のコンビネーションプレーを発揮する。これが、マリガンのプレーの特徴だ。

60年代に入ると自分の音作りをより深めるためにビッグバンドを作って新しい世界に入るが、50年代の活動がマリガンの長い活動歴の第一期だろう。

この節目に一枚のアルバムを作っている。
作曲家としても有名なマリガンは、ここまでにも多くの曲を作っているが、それらの曲を自ら演奏するソングブックアルバムだ。

このアルバムは、よく見ると単なる自作自演のソングブックではなく、面白い試みがいくつかある。
まずは管楽器の編成。ホーン楽器を使わずサックスだけ。集めたメンバーも一流揃いだが普段使っている楽器の持ち替えもある。例えばズートシムスがアルトとか。

ピアノレスはいつもと同じだがギターが加わっている。それもフレディーグリーンが。当然いつものカルテットよりリズムが強烈になっている。

そして肝心なアレンジはマリガンかと思いきや何と全曲ビルホルマン。マリガンはプレーヤーに徹している。

アレンジャーも変えて編成も変えると結果としてどんな音が出てくるかと思うと、マリガンサウンド。アレンジャーはよく演奏するプレーヤーを意識するという。この場合は、曲、プレーヤー、そしてバンドカラーまでマリガンを意識したのかもしれない。流石のホルマンも全く曲想を変えるわけにはいかったのかもしれない。反対に見事にマリガンサウンドを引き継いでいる。演奏しているマリガンもご満悦であったろう。
マリガンとホルマンの出会いはスタンケントンオーケストラを通じて。マリガンとケントンは肌合いが合わなかったようだが、ホルマンはマリガンの技をしっかり身に着けたという。その成果をマリガンにお返ししたのかも。

CD化されたこのアルバムには未発表だったエクストラトラックが4曲。これもストリングを加えたバックのマリガン節。これはマリガンのアレンジだが普段聴けないサウンドだ。しかし、パーカーのウィズストリングスとは異なり、ストリングスバックでもマリガン節のアレンジは健在だ。



1. Four and One Moore               Gerry Mulligan 4:23
2. Crazy Day                   Gerry Mulligan 7:05
3. Turnstile                   Gerry Mulligan 7:53
4. Sextet                    Gerry Mulligan 4:18
5. Disc Jockey Jump song review         Gerry Mulligan 4:35
6. Venus de Milo                 Gerry Mulligan 5:08
7. Revelation                  Gerry Mulligan 5:01
8. Mayreh                     Horace Silver 6:02
9. The Preacher                  Horace Silver 6:25
10. Good Bait             Count Basie / Tadd Dameron 4:39
11. Bags' Groove                  Milt Jackson 3:55

1~7
Gerry Mulliga (bs)
Zoot Sims (ts,as)
Al Cohn (ts,bs)
Allen Eager (ts,as)
Lee Konitz (as)
Freddie Green (g)
Henry Grimes (b)
Dave Bailey (ds)

Arranged by Bill Holman
Recorded in New York City on December 4&5 1957

8~11
Gerry Mulligan (bs)
Dick Wetmore (Violin)
Vinnie Burke (b)
Paul Palmieri (g)
Calo Scott (cello)
Dave Bailey (ds)
Recorded in New York City on December 5 1957

Richard Bock : Producer
Michael Cuscuna : Reissue Producer


Gerry Mulligan Songbook
クリエーター情報なし
Blue Note Records
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どの業界にも世に知られざる「名品」を作り出す隠れた老舗企業があるが・・・・

2013-10-09 | MY FAVORITE ALBUM
The Bill Holman Band

先日の日曜日、辰巳哲也Big bandのAfternoon Liveに出かけた。
今回で3回目だが、毎回テーマを決めてあまり取り上げられない珍しいアレンジの演奏を披露してくれるライブなので、ビッグバンド好き、それもマニアックなファンにはたまらない。

前回はオルガン特集であったが、今回はビルホルマンのアレンジ特集。
ホルマンは普段あまり表には出ないが、50年代から今に至るまで結構色々なアルバムにプレーヤーとして、そしてアレンジャーとして顔を出している。

ゴルフクラブのメーカーに三浦技研という会社がある。いつも表に出るナショナルブランドと較べると知名度は圧倒的に低いが、有名ブランドの商品も実はこの三浦技研で製造されているクラブが多くある。いわゆるモノづくりのための技術は実はごく限られた数社に限られているという話はよく聞くが、その一例だろう。

このビルホルマンも実は有名オーケストラや歌手を支えてきたアレンジャーとしてはいなくてはならない存在だ。名盤といわれる中にホルマンがアレンジを行ったアルバムは枚挙の暇がない。

自分の紹介したアルバムでもホルマンが関係しているアルバムは結構な枚数がある。作編曲のクレジットを書き漏らしたものもあると思うので、丹念に探せばもっとあるかもしれない。最近では、ベイシーのパブロ盤が丸々ホルマンのアレンジであった。

今回のライブは、そんなホルマンの作品集だったので、果たしてどんな曲が飛び出すか楽しみであった。イントロは、まずはデイブペルのオクテットからスタートした。
Jazz goes to Siwash. “A Pell of A Time”というアルバムに入っている曲だ。

軽くウォーミングアップで本命はフルバンド編成のアレンジ。
50年代から最近までの物まで多くの作品があるが、今回も古いアレンジから比較的最近のアルバムに収められている曲まで色々と。途中、ホルマンのアレンジの特徴などの解説も入り、自分のような「聴くだけファン」には参考になった。
演奏する方にとっても難曲が多いらしく、プレーヤーとっても終わった後で達成感を感じた雰囲気が伝わってくるライブであった。

丁度バブルの絶頂期、日本の企業は業種を問わず元気であった。ジャズレコードの業界でも日本のレーベル、プロデューサー制作のアルバムがアメリカ録音で数多く作られた。バブルが弾けた結果の負の遺産は山ほどあるが、こと音楽に関しては、よくぞこの時残しておきてくれたというアルバムが何枚もある。これらは後世に残る遺産だ。

このホルマンのアルバムもそうかもしれない。ホルマンのバンドは1975年に結成され地元でリハーサルバンドとして活動を続けていたが、アルバムとして残っているものはあまりない。
ビクターの田口ディレクターが他の仕事でロスを訪れていた時、地元でのライブを聴いて、」ホルマンの作編曲の素晴らしさに惚れて、このアルバム制作に至ったそうだ。企業人が営利主義でしか行動できない今の時代では考えられないことだが。

曲は、ホルマンのオリジナルから、スタンダード、そしてモンクの曲まで、素材は千差万別。
それぞれアレンジの施し方が、ホルマンの本領発揮といった所だろう。

このアルバムに収められているJust friendsも今回のライブで演奏された。
ピアノのソロからスタートするが、各セクションの総出のユニゾンが延々続く。譜面を繰るのが追い付かないほど、これでもかという感じでひたすら突き進む。途中のベースソロで一服するが最後までアンサンブルワークが続く。普通の譜面では繰り返しが多いが、この様なアレンジはエリントンの大作物のようだ。

これは、WDR bigband の同じアレンジの演奏。



ジャストフレンズといえば、内堀勝のMUBig bandのトロンボーンアンサンブルが軽快でお気に入りだが、このホルマンのアレンジは心地よさを超えて強烈だ。CDで聴く以上にライブだとその迫力に圧倒される。
以前紹介した、Bill Holman の”Live”というアルバムからも何曲かDonna Leeはいきなり最初のメロディーの展開から意表を突くし、PressOneも楽しい曲だ。

やはりビッグバンドはライブでないと本当の迫力を実感できない。辰巳さんのバンドは拘りでいつもPAを使わない生音。今回のライブでもそうだったが、サンサンブルでもソロでも全く問題なかったし、反対に生音のバランスが心地良かった。

素晴らしいライブであったが、惜しむらくは聴衆が少なかった事。一回目のシュナイダー&ブルックマイヤーはそこそこの出足であったが、今回はせっかくの演奏にもかかわらず寂しい客席だった。

辰巳さんも自らのブログで語っているが、ビッグバンドファンは是非一度足を運んでみる価値はある。マイクプライスさんのバンドとか辰巳さんのバンドは普段聴けない曲の演奏をたっぷり楽しめるのだが。

クラシックの場合は、必ず出演者だけでなく、当日の演目が事前に発表される。聴きに行く人は、もちろん演奏家目当てもあるが、時には曲を聴きたくてということもある。
ところが、ジャズの場合は事前に分かるのは出演者だけ。曲目が告知されるのは稀である。
それでは、当然ライブに行く目的はその出演者目当てになってしまう。辰巳さんのような試みは、出演者というよりは、その日のプログラムが目的になるのだが。

もしかしたら、このオーケストラに何か別なネーミングが必要かもしれない。リンカーンセンタージャズオーケストラのように。

次回のケントンも日本では人気のない代表格。実は自分もあまり聴いていなかったが、ペッパーアダムスを追いかけていたら当然のようにケントンオーケストラに遭遇。西海岸の多くのプレーヤーが在籍したケントンは聴き返すとやはり素晴らしい。卒業生は数多い、マイクプライスもそうだし、先日来日した、ピーターアースキンもケントンオーケストラの卒業生だ。

今後もこのシリーズはマニアックなライブになりそうだが、何とかこのシリーズを盛り上げたいものだ。


1, Front Runner Bill Holman 5:39
2. Isn't She Lovely Stevie Wonder 6:24
3. St. Thomas Sonny Rollins 7:10
4. Goodbye Pork Pie Hat Bill Holman 5:39
5. I Mean You Coleman Hawkins / Thelonious Monk 5:48
6, Just Friends John Klenner / Sam M. Lewis 5:51
7. Primrose Path Bill Holman 6:47
8. The Moon of Manakoora Frank Loesser / Alfred Newman 7:21
9. The Real You Bill Holman 8:02

Carl Saunders (tp,flh)
Don Rader (tp,flh)
Bob Summers (tp,flh)
Frank Szabo (tp,flh)
Jack Redmond (tb)
Rick Culver (tb)
Bob Enevoldsen (tb)
Pete Beltran (btb)
Bobby Militello (as,ss,cl)
Lanny Morgan (as,ss,fl)
Bob Cooper (ts,ss,fl)
Bill Holeman (ts)
Dick Mitchell (ts,ss,fl)
Bob Efford (bs,bcl)
Barry Zweig (g)
Rick Eames (P)
Bruce Lett (b)
Jeff Hamilton (ds)

Akira Taguchi Producer
Takashi Misu Producer
Don Murray Engineer, Mastering
Leslie Ann Jones Assistant Engineer

Arranged By Bill Holman

Recorded on Nobember 30 & Decmber 1,1987 at Capital Studio in Los Angels.
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ニスティコがいればホルマンもいる。アレンジャーが変わると音が変わるか?・・・・

2013-09-24 | MY FAVORITE ALBUM
I Told You So / Count Basie Orchestra

ビッグバンドの両雄、エリントンとベイシーはよく対比されるが一番の違いは何か?
というと作編曲をリーダー自ら手掛けるかどうかだろう。

両者とも強烈な個性を持ったオーケストラであるが、エリントンサウンドはエリントンとビリーストレイホーンのコンビの作品に因るところが大きい。
一方のベイシーは多くのアレンジャーの作品をレパートリーに加えている。本格的なビッグバンド編成になってから自らのアレンジした作品というのは聞いたためしがない。

ベイシーの50年代後半の黄金期はニールヘフティー、クインシージョーンズ、サドジョーンズなどの名アレンジャーが支えた。サドジョーンズのアレンジはベイシーオーケストラには複雑過ぎるものもあり没になったのも多かったとか。後に自分の作品を自由に演奏するために、サドが自らのビッグバンドを作ったという話も聞いたことがある。
やはり、ベイシーオーケストラにはベイシーサウンドに合うアレンジというものが大事なのだろう。

一般的には、オーケストラとアレンジャーの組み合わせは両者の特徴をうまく掛け合わせてハイブリッドな成果が出た時にいい作品ができる。ベイシーの場合は、誰のアレンジを演奏してもアレンジャーの個性を上回るバンドカラーがある。ベイシーのピアノであり、フィレディーグリーンのギターが特徴であるが、それらに支えられたセクションワークにも特徴がある。これは、どのようにして生まれるのか素朴な疑問であったのだが・・・・・


パブロレーベルに移籍しての、最初のオーケストラのスタジオ録音はサミーニスティコをアレンジャーに迎えた作品”Basie Big Band”であった。60年代のアルバムには今一つ満足できなかったが、ドラムのブッチマイルスの加入もあり、新生ベイシーオーケストラとしては素晴らしいアルバムだと思う。

パブロにはこのアルバムに続いて制作された、もう一枚アレンジャーを前面に出したアルバムがある。
白羽の矢が立ったアレンジャーはビルホルマン。
西海岸で50年代から活躍してきたアレンジャーの一人だが、まだ現役で活躍しているようだ。古いアルバムだとテナーの演奏も聴ける。

ビルホルマンが有名になったのはスタンケントンオーケストラへのアレンジの提供から。自らメンバーに加わってツアーにも参加していた。ちょうどメルルイスがメンバーに加わっていた頃だろう。スタンケントンに続いて、メイナードファーガソン、テリーギブス、そして60年代に入るとバディーリッチのオーケストラにも多くの作品を提供してきた大ベテランだ。
58年2月には、早くもアレンジャーとして自らのリーダーアルバムも残している。
ちょうど前年には西海岸でホルマンのアレンジの録音多く参加していたペッパーアダムスがニューヨークに戻って再スタートした頃だ。

この西海岸の重鎮にベイシーオーケストラのアレンジをノーマングランツが頼んだのはそれから20年近く経った1976年になってから。サミーニスティコのアルバムが上手くいったので2匹目の・・・を期待したのかどうかは分からないが?
ある種対極にいる印象を受ける2人の組み合わせがどのようなサウンドになるのか興味が湧く。

結果は、やはりベイシーサウンドが全面に響き渡る。素材としてもブルースがメインだし、ホルマンもかなり意識したのかもしれない。やはり、このベイシーオーケストラはアレンジャーの個性よりもバンカラーが上回る。

最近になって、この当事者であるビルホルマンにこの作品についてインタビューを行った記事が紹介されている。記事の中にも書かれているが、ビルホルマンが西海岸で仕事をしている時、ミュージシャンは如何に譜面に忠実に演奏するかに注力するのだが、ベイシーの場合はそうはいかなかった。御大ベイシーが納得のいくまで曲を醸成させていくようだ。
特にこの時はトランペットセクションに新メンバーが2人いたので余計に大変だったとか。この時ホルマンはレンジ自体をベイシーオーケストラを想定し、曲によってソロのメンバーも実際のメンバーを想定して書いたようだが、最終的にベイシーオーケストラの曲に仕上がるには御大の最終的な味付けが重要だったということだろう。




さて、このビルホルマンのアレンジは新旧たくさんあるが、あまり表立って紹介されることは多くはない。ビッグバンドは良く聴きに行くが、マイクプライスのビッグバンドは西海岸のアレンジャーの作品をやることが多いので、ここでは良く紹介される。しかし、他ではあまり聴いたことはない。

そのような中でアレンジャーに拘りを持って紹介、演奏をしてくれるのが辰巳哲也ビッグバンドだ。
最近は、東京TUCで日曜日の午後のアフタヌーンライブが定期的に行われているが、10月6日の次回のライブがこのビルホルマン特集とのこと。
この日はちょうど地方にいる学生時代の友人を仲間と訪れる予定が入ってしまい、せっかくの機会を聴けずに残念に思っていたのだが、幸いにも日程変更で当日はフリーに。
ゴルフもお休みにしてアフタヌーンライブを楽しんで来ようと思っている。

1. Tree Frog        Bill Holman 5:15
2. Flirt           Bill Holman 5:52
3. Blues for Alfy      Bill Holman 4:42
4. Something to Live For Duke Ellington / Billy Strayhorn 3:41
5. Plain Brown Wrapper   Bill Holman 4:22
6. Swee' Pea        Bill Holman 4:36
7. Ticker          Bill Holman 4:37
8. Too Close for Comfort Jerry Bock / Larry Holofcener / George David Weiss 4:10
9. Told You So       Bill Holman 6:28
10. The Git         Bill Holman 3:54

Count Basie Orchestra

Pete Minger (tp)
Bobby Mitchell (tp)
Jack Geierman (tp)
John Thomas (tp)
Jack Feierman (tp)
Sonny Cohn (tp)
Curtis Fuller (tb)
Al Grey (tb)
Mel Wanzo (tb)
Bill Hughes (btb)
Jimmy Forrest (ts)
Danny Turner (as,cl)
Bobby Plater (as,cl)
Eric Dixon (ts,fl)
Charlie Fowlkes (bs)
Count Basie (p)
Freddie Green (b)
John Duke (b)
Butch Miles (ds)

Norman Granz Producer
Bob Simpson Engineer

Bill Holman Arranger, Composer

Recorded at RCA Recording Studio, NYC, on Jan 12-14, 1976



I Told You So
Count Basie
Ojc
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