Brilliant Corners The Music of Thelonious Monk / The Bill Holman Band
最近のライブ通いはビッグバンドが続いた。
●木幡光邦923バンド
このバンドは、毎月定期的なライブが続いている。リーダーの木幡さんの好みか、選曲はスインギーなパンチのある曲が多い。今回はメンバーに女性が5人、でもそのパワーは変ることが無い、女性パワー恐るべし。
●野口久和ビッグバンド
こちらは春以来久しぶり。お馴染みのレパートリーに必ず新アレンジが加わっているが、スインギーな正統派のバンド。メンバーもベテラン揃いで安定感があるが、専属コーラスのブリーズが一緒なのもいい。
●辰巳哲也ビッグバンド
どこでも聴けるサドメルやベイシーのレパートリーには目もくれず、特徴あるアレンジャーの作品を特集してライブをしているが、今回も意欲的なプログラム。スェーデンのアレンジャー、マッツホルムキストがデイブリーブマンのビッグバンドに提供したウェインショータートリビュートの作品が中心。斬新なアレンジと山口真文のテナーとソプラノが冴えた。今回は11月にやるコンサートの前哨戦、次回はハンコックの曲もやるとか。
●鈴木直樹とスイングエースオーケストラ
体調不良でしばらく休んでいたが、元気に復帰。ビッグバンドのライブも久々だった。本拠地ビーフラットに続いて八王子のホールで無料のコンサートも開催された。未来を担う子供たちへの贈り物「ビッグバンドスイングジャズコンサート」と題されていたが、集まったのは「元子供」も多く、普段よりもポピュラーな曲も多く和気藹々とした雰囲気のコンサートであった。今回無料というのもスポンサーの方がいらしたようだが、次回も開かれるようなので楽しみ。是非次回は子供達に聴いて貰いたいものだ。
●守屋純子オーケストラ
この守屋純子のオーケストラも毎年定期コンサートを大きなホールでやっているが、今回は東京TUCで、翌日の家康公に因んだジャズ組曲のレコーディングに向けてのウォーミングアップを兼ねたライブ。レギュラーメンバーが一部欠けていたが、トラを務めたメンバーも一流揃い。このオーケストラもオリジナル曲&アレンジが楽しめる。
という訳で、同じビッグバンドといっても、色々バンドカラーや曲の違いがあってそれぞれ楽しめるが、やはりアレンジャーが率いるバンドは、選曲やアレンジに拘りがあるので気軽に聴くというよりは、聴き応えのあるライブになる。
本場アメリカでもビッグバンドのアレンジャーも星の数ほどいるが、50年代から現在まで一線で活躍し続けている実力者というと、ビルホルマンであろう。
ずっと西海岸を拠点としているので、50年代はいわゆるウェストコーストジャズのアレンジが多かったが、当時はテナー奏者としても活動しており、ペッパーアダムスがロスにいた時には色々なバンドで一緒にプレーしていた。
その後はスタジオでの仕事が多くなり、アレンジャーとしての活動がメインとなった。バディーリッチを始めとしてテリーギブスやルイベルソン、メイナードファーガソンなど西海岸のビッグバンドに多くのアレンジを提供し、老舗のベイシーオーケストラでも一時ホルマンのアレンジが多かった時期がある。
さらに、地元で自分のビッグバンドを持つようになると、アレンジにも一層気合が入ってきたようだ。丁度、80年代の後半からだが、ホルマンのアレンジは、曲の流れに起承転結があり、繰り返しが多い一般的なジャズオーケストラのアレンジとは一味違う。エリントンの組曲物ではないが、ホルマンの譜面は長尺が多いと聴いた事がある。これも、ホルマンは晩年、近代クラシックの作曲手法を改めて学んだ影響だろう。どこかヨーロッパのビッグバンドを感じさせる部分もあるものそのせいだと思う。
その中に、このアルバム、セロニアスモンクのソングブックアルバムがある。モンクの曲の中では一番有名なラウンドアバウトミッドナイトは、ビッグバンドに限らず色々な演奏、アレンジがある。しかし、その他の曲となると、セロニアスモンクの曲のビッグバンド版というのは珍しい。普通のビッグバンド仕立てにするには、とっつきにくいのかもしれない。
ところが、曲自体が特徴の多いモンクの曲を、ホルマンの新たな作風を加味したアレンジは実にユニークである。聴き慣れたメロディーが、ソロであったりアンサンブルでデフォルメされ仕上がっている。
この頃のホルマンのビッグバンドのアルバムを作ったのはJVC。プロデューサーも日本人だが、聴き応えのある意欲的なアルバムだと思う。
Bill Holman (Arranger, Leader)
Thelonious Monk (Composer)
Carl Saunders (tp.flh)
Ron Stout (tp.flh)
Bob Summer (tp.flh)
Bob Summers (tp.flh)
Frank Szabo (tp.flh)
Andy Martin (tb)
Bob Enevoldsen (vtb)
Jack Redmond (tb)
Kenny Shroyer (btb)
Ray Herrmann (ts,ss)
Pete Christlieb (ts,ss,fl)
Lanny Morgan (as,fl)
Bill Perkins (as,ss,fl)
Bob Efford (bs,bcl)
Rich Eames (p)
Dave Carpenter (b)
Bob Leatherbarrow (ds)
Produced by Akira Taguchi
Allen Sides : Recording Engineer
Recorded at Oceanway Recorders, Hollywood, California on February 11 & 12, 1997
最近のライブ通いはビッグバンドが続いた。
●木幡光邦923バンド
このバンドは、毎月定期的なライブが続いている。リーダーの木幡さんの好みか、選曲はスインギーなパンチのある曲が多い。今回はメンバーに女性が5人、でもそのパワーは変ることが無い、女性パワー恐るべし。
●野口久和ビッグバンド
こちらは春以来久しぶり。お馴染みのレパートリーに必ず新アレンジが加わっているが、スインギーな正統派のバンド。メンバーもベテラン揃いで安定感があるが、専属コーラスのブリーズが一緒なのもいい。
●辰巳哲也ビッグバンド
どこでも聴けるサドメルやベイシーのレパートリーには目もくれず、特徴あるアレンジャーの作品を特集してライブをしているが、今回も意欲的なプログラム。スェーデンのアレンジャー、マッツホルムキストがデイブリーブマンのビッグバンドに提供したウェインショータートリビュートの作品が中心。斬新なアレンジと山口真文のテナーとソプラノが冴えた。今回は11月にやるコンサートの前哨戦、次回はハンコックの曲もやるとか。
●鈴木直樹とスイングエースオーケストラ
体調不良でしばらく休んでいたが、元気に復帰。ビッグバンドのライブも久々だった。本拠地ビーフラットに続いて八王子のホールで無料のコンサートも開催された。未来を担う子供たちへの贈り物「ビッグバンドスイングジャズコンサート」と題されていたが、集まったのは「元子供」も多く、普段よりもポピュラーな曲も多く和気藹々とした雰囲気のコンサートであった。今回無料というのもスポンサーの方がいらしたようだが、次回も開かれるようなので楽しみ。是非次回は子供達に聴いて貰いたいものだ。
●守屋純子オーケストラ
この守屋純子のオーケストラも毎年定期コンサートを大きなホールでやっているが、今回は東京TUCで、翌日の家康公に因んだジャズ組曲のレコーディングに向けてのウォーミングアップを兼ねたライブ。レギュラーメンバーが一部欠けていたが、トラを務めたメンバーも一流揃い。このオーケストラもオリジナル曲&アレンジが楽しめる。
という訳で、同じビッグバンドといっても、色々バンドカラーや曲の違いがあってそれぞれ楽しめるが、やはりアレンジャーが率いるバンドは、選曲やアレンジに拘りがあるので気軽に聴くというよりは、聴き応えのあるライブになる。
本場アメリカでもビッグバンドのアレンジャーも星の数ほどいるが、50年代から現在まで一線で活躍し続けている実力者というと、ビルホルマンであろう。
ずっと西海岸を拠点としているので、50年代はいわゆるウェストコーストジャズのアレンジが多かったが、当時はテナー奏者としても活動しており、ペッパーアダムスがロスにいた時には色々なバンドで一緒にプレーしていた。
その後はスタジオでの仕事が多くなり、アレンジャーとしての活動がメインとなった。バディーリッチを始めとしてテリーギブスやルイベルソン、メイナードファーガソンなど西海岸のビッグバンドに多くのアレンジを提供し、老舗のベイシーオーケストラでも一時ホルマンのアレンジが多かった時期がある。
さらに、地元で自分のビッグバンドを持つようになると、アレンジにも一層気合が入ってきたようだ。丁度、80年代の後半からだが、ホルマンのアレンジは、曲の流れに起承転結があり、繰り返しが多い一般的なジャズオーケストラのアレンジとは一味違う。エリントンの組曲物ではないが、ホルマンの譜面は長尺が多いと聴いた事がある。これも、ホルマンは晩年、近代クラシックの作曲手法を改めて学んだ影響だろう。どこかヨーロッパのビッグバンドを感じさせる部分もあるものそのせいだと思う。
その中に、このアルバム、セロニアスモンクのソングブックアルバムがある。モンクの曲の中では一番有名なラウンドアバウトミッドナイトは、ビッグバンドに限らず色々な演奏、アレンジがある。しかし、その他の曲となると、セロニアスモンクの曲のビッグバンド版というのは珍しい。普通のビッグバンド仕立てにするには、とっつきにくいのかもしれない。
ところが、曲自体が特徴の多いモンクの曲を、ホルマンの新たな作風を加味したアレンジは実にユニークである。聴き慣れたメロディーが、ソロであったりアンサンブルでデフォルメされ仕上がっている。
この頃のホルマンのビッグバンドのアルバムを作ったのはJVC。プロデューサーも日本人だが、聴き応えのある意欲的なアルバムだと思う。
Bill Holman (Arranger, Leader)
Thelonious Monk (Composer)
Carl Saunders (tp.flh)
Ron Stout (tp.flh)
Bob Summer (tp.flh)
Bob Summers (tp.flh)
Frank Szabo (tp.flh)
Andy Martin (tb)
Bob Enevoldsen (vtb)
Jack Redmond (tb)
Kenny Shroyer (btb)
Ray Herrmann (ts,ss)
Pete Christlieb (ts,ss,fl)
Lanny Morgan (as,fl)
Bill Perkins (as,ss,fl)
Bob Efford (bs,bcl)
Rich Eames (p)
Dave Carpenter (b)
Bob Leatherbarrow (ds)
Produced by Akira Taguchi
Allen Sides : Recording Engineer
Recorded at Oceanway Recorders, Hollywood, California on February 11 & 12, 1997
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