A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

 ハーマンオーケストラのステージは、OBを交えて一段と迫力も増して・・・

2015-05-12 | CONCORD
World Class / Woody Herman Big Bnad

1982年、第2回のオーレックスジャズフェスティバルが開かれた。この年の目玉はJ&Kを含むオールスターズ、単独グループとしてはデイブブルーベックカルテット、そしてウディーハーマンオーケストラであった。
このウディーハーマンのオーケストラにはゲストが加っていた。この時はよくある歌手ではなく、4人のテナー奏者。ウディーハーマンといえばレパートリーの中でテナーをフィーチャーしたFour Brothersが有名だが、このフォーブラザースを意識した人選であった。

ハーマンのフォーブラザースバンドといえば、セカンドハード時代で、スタンゲッツ、ズートシムス、アルコーンなどが在籍した時代。ただしこの3人が一緒いた期間は短く、メンバーの入れ替わりは激しかった。最初のフォーブラザースが録音されたのは1947年、その時はゲッツ、シムス、ハービースチュアートとサージチャロフの4人組であった。



その後、いつの時代でもこのFour Brothersはハーマンオーケストラのメインレパートリーとして生き続け、ハーマンオーケストラに在籍したテナー奏者は誰もがプレーした曲となる。

この1982年に来日したメンバーではアルコーンがこの時代に在籍したメンバーであったが、他のメンバーもハーマンオーケストラの他の時代のOB達。フリップフィリップスが40年代に活躍した最長老、そして50年代を代表してメッドフローリー、そして60年代のサルニスティコの4人であった。

よく学生の運動部だと先輩達を招いてOB戦が行われる。毎日一緒に練習をしている現役は若さとチームプレーでは勝るものの、個人技ではOB達の老練なプレーに軍配が上がるものだ。

この当時のハーマンオーケストラ、というよりビッグバンド事情も同じようなものであった。リハーサルオーケストラやレコーディングのための臨時編成のオーケストラではベテラン中心に編成できても、ツアー主体のレギュラーバンドは経済的な面からも無名の若手が中心となって編成されていた。ウディーハーマンのオーケストラが素晴らしかったのは、そのようなメンバーで演奏しても昔からの譜面を繰り返し演奏するだけではなく、メンバーの中から新たなアレンジジャーを登用し、常に新しいレパートリー、アレンジを採用していたことにある。そのために、70年代はジャズロック風の演奏も良く行っていた。

このオーレックスでのステージではレギュラーオーケストラと、このOB4人が上手く組み合わされて演奏を繰り広げている。ハーマンのオーケストラの定番ともいえる懐かしい曲に加えて、チックコリアの曲なども交えて上手くミックスされ。そして、Rockin’ ChairではハーマンのボーカルにトランペットのGeoge Rabbaiがサッチモ張りの歌とトランペットを披露して、ライブ演奏のステージを沸かしている。

アレンジも、看板になるフォーブラザースは定番のジミージュフリーによるもの、さらにゲストに敬意を表してアルコーンがアレンジしたWoody’s Lament、フリップフィリップスがアレンジしたThe Clawでは4人がソロを繰り広げる。



更に、エリントンナンバーのPedidoは、現役のピアノのJohn Oddoがアレンジしたものを、OBのフリップフィリップスがソロをとるというような組み合わせもある。もちろん、看板替わりのフォーブラザースも演奏されたが、ここでのソロの取り回しはOBではなく現役メンバーで行われている。

このようにお互い同じ釜の食べた仲間同士、単に現役チームとOBチームに分かれるのではなく、うまくミックスチームを編成しそれぞれの得意技を披露し合うと一段と一体感のある演奏が聴けるように思う。

その時のライブ録音は日本では東芝からリリースされたが、当時、コンコルドは東芝と提携していた。東芝で制作した北村英治山本剛などの何枚かのアルバムがアメリカでもコンコルドレーベルを通じて発売されたが、このアルバムも日本のスタッフによる制作で、その一枚となった。
日米交流が盛んな頃のアルバムで、アメリカのファンも本国でも滅多に聴けないこのステージの演奏を興味津々で聴いたことであろう。

Al Cohn, Med Flory, Sal Nistico, Flip Phillips (ts)
Woody Herman (cl,as)
Bill Byrne, Mark Lewis, Brian O'Flaherty, George Rabbai, Scott Wagstaff (tp)
John Fedchock, Randy Hawes, Gene Smith (tb)
Jim Carroll, Paul McGinley, Frank Tiberi (ts)
Mike Brignola (bs)
John Oddo (p)
Dave Shapiro (b)
Dave Ratajczak (ds)

Produced by Yoichi Kikuchi
Recording Engineer : Yoshihisa Watanabe & Yutaka Tomioka
Recorded at Osaka Festival Hall, Osaka on September 3, 1982
   & at Tokyo Budo Kan, Tokyo on September September 2, 1982

Originally released on Concord CJ-240

World Class
クリエーター情報なし
Concord Records
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ベテラン二人の共演、一緒にやるのは古い曲が良いのか、新しい曲が良いのか・・・?

2015-01-12 | CONCORD
Rosemary Clooney / Woody Herman and Woody’s Big Band / My Buddy

先日の、ベイシーとブリッジウォーターの共演の悪い印象が残ってしまい、ビッグバンドと歌手の共演となるとどうも必要以上に構えてしまう。冷静に考えれば、あくまでも合うか合わないかは歌手とアレンジの関係だとは思うのだが・・・・。
この件は、今回特に個人的にベイシーへの思い入れが強かったということにしておこう。

ということで、このアルバムを聴き直すにあたっても、過去悪い印象がなかったアルバムだが自然体では聴けず、何故か粗探しのような聴き方で聴いてしまった。

ウッディハーマンとローズマリークルーニー、どちらも当時はコンコルド所属の大物の2人だった。すでに、このアルバムを制作するまでに参加したアルバムは、クルーニーは8枚ハーマンは6枚とどちらもかなりの数のアルバムをコンコルドだけで残している。

クルーニーは作曲家シリーズが調子に乗ってきており、ハーマンは自らのオーケストラだけでなく、ハーマンの統率力を生かしたジャムセッションシリーズが好調に続いていた。
百戦錬磨の両ベテランではあったが、コンコルドではそれぞれ少し趣の違った路線のアルバムを作っていた。この2人の共演となると、さて、どんなスタイルになるのかが気になるところだ。

クルーニーは、コンコルドではコンボ編成の伴奏ばかり、ビッグバンドをハックにしたアルバムは作られていなかった。が、過去を遡ればビッグバンドとの共演経験はあるし、彼女の歌のスタイルを考えてもビッグバンドとの親和性は高い方だ。

一方のハーマンは、自らが歌を歌うことも多いがこれは余興のようなもの。歌手のバックを務めたアルバムとなるとすぐには思い浮かばない。専属歌手を持ったこともあるとは思うのだが、スタンケントンのアニタオデイやクリスコナーといった感じでは出てこない。
オーケストラ自体はスイング時代の最後に誕生、バップスタイルを経て多くのモダンジャズのプレーヤーを輩出した。時代と共に演奏スタイルも変えてきたので、スイング系からジャズロックまでどんな演奏スタイルでもこなすことができる。さて、クルーニー相手にはどんなスタイルを披露してくれるのか?

最近、記事にするアルバムに関しては、アルバムのプロデューサやアレンジャーまで改めて確認することにしている。アルバムの出来というものは、彼らの手腕に負う所が大きいことを改めて感じている。

そして、このアルバムのプロデュースはというと、御大のカールジェファーソンが自ら。となると、どちらかというと作曲家シリーズを続けてきたこともあり、コンコルドではクルーニーは古い曲が多く、モダンスイングのスタイルでの演奏と思われたのだが・・・?

ところが実際の選曲はエリントンのI’m Beginning To See The Lightを除くと新しい曲が多い。ミシェルルグランの映画のタイトルや、ジェイムステイラー、ブラッドスェットアンドティアーズのヒット曲までが並ぶ。
アレンジは、ハーマンのバンドのメンバーのJohn Oddoが担当しているが、ハーマンもクルーニーをあまり意識せずにマイペースの編曲のような気がする。

以前聴いた記憶は、両御大が新しい曲をカバーしてなかなかチャレンジングなアルバムという感じがしたが、今回はエリントンの曲が何故かしっくりきた。
先入観念を持って聴くのと自然体ではこんなに違う物かと?感じたが。もっとも、聴く方でも、時間をおくと、その時々で興味の対象が違うので何とも言えないが。
このアルバムの選曲をしたのが誰なのかがかえって気になる。良くも悪くもこのアルバムの特徴はこの選曲なので。

このアルバムを録音した直後、クルーニーはオーレックスジャズフェスティバルで来日している。この時は、当初ハリージェイムスオーケストラと一緒に来日予定であったが、ジェイムスの急逝により、確か急遽レスブラウンオーケストラに変更になった。この時の録音もあったと思うので、今度聴き較べてみることにしようと思う。さて、どんな選曲で、どんなアレンジであったのか?



1, I Believe in Love    Alan Bergman / Marilyn Bergman / Kenny Loggins 4:56
2. The Summer Knows   Alan Bergman / Marilyn Bergman / Michel Legrand 4:47
3. The Glory of Love                        Billy Hill 3:34
4. You're Gonna Hear from Me           André Previn / Dory Previn 3:40
5. Don't Let Me Be Lonely Tonight                James Taylor 5:09
6. I'm Beginning to See the Light  D. Ellington / D. George / J. Hodges / H. James 3:37
7. My Buddy                  Walter Donaldson / Gus Kahn 4:26
8. You've Made Me So Very Happy  B. Holloway / P. Holloway / B. Gordy, Jr. / F. Wilson 4:39

Rosemary Clooney (vol)
Woody Herman (cl,as)
Frank Tiberi (ts)
Mark Vinci (ts)
Jim Carrol (ts)
Mike Brignola (bs)
Dan Fornero (tp,flh)
Scott Wagstaff (tp,flh)
Mark Lewis (tp.flh)
Paul Mazzio (tp.flh)
Bill Byrne (tp,flh)
Gene Smith (tb)
John Fedchock (tb)
Randy Hawes (btb)
John Oddo (p)
John Adams (b)
Jeff Hamilton (ds)

Arranged by John Oddo
Produced by Carl Jefferson
Recorded by Allen Sides
Recorded at United/Western Studio & Ocean Way Recording, Hollywood, California
August 1983

Originally released on Concord CJ-226

My Buddy
Rosemary Clooney / Woody Herman and Woody's Big Bnad
Concord Jazz
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ウディーハーマンオーケストラの同窓生がハーマンの名曲を・・・・

2014-11-18 | MY FAVORITE ALBUM
The EX-Hermanites / Bill Harris & Terry Gibbs

秋は同窓会のシーズンだ。先日高校時代の運動部仲間の同窓会があったとおもったら、昨日は会社の先輩達と、そして今週末は小学校の久々の同窓会と続く。
楽しい事もあり、辛いこともある人生だが、いつの時代でも一緒に喜びや苦労を共有した仲間との再会は楽しいものだ。昔話に花が咲く、これも年寄りになった証かもしれない。

ビッグバンドの世界で長く続いたのは老舗のベイシー、エリントンだが、ウディーハーマンも負けてはいない。ハーマンがファーストハードを立ち上げたのは1943年、まだ太平洋戦争が行われていた時だった。そして、ハーマンが亡くなる1987年まで、何度か解散、再立ち上げを繰り返したが、ビッグバンドが無くなる事はなかった。

ビッグバンドにはリーダー以外にもメンバーの中に看板スターが必ずいるものだ。ベイシーのフレディーグリーンのように長く在籍するメンバーもいれば、その時代を代表するソリストが務める事もある。
ベイシー、エリントンはリーダーが歳を重ねるのに合わせて同じベテラン達が主要メンバーを占めていったが、ハーマンのオーケストラはスタンケントンと同様、新人主体のバンドとして続いていた。メンバーが育って卒業するとまた新たなスターの卵が加わった。結果、ハーマンのオーケストラの卒業生というのは非常に多い。若いプレーヤーにとっては一流になるための登竜門のようなものであった。

そのハーマンのオーケストラの中で、比較的長く在籍したメンバーがいる。トロンボーンのビルハリスである。30年代からプロとしてジーンクルーパーやベニーグッドマンのグループに加わって演奏をしていたが、ファーストハードの立上げの時からハーマンのオーケストラに参加し、あのフォーブラザースで有名なセカンドハードにも加わった。一旦JATPなどに加わった後、このアルバムが録音された50年代の後半にも再びハーマンのオーケストラに参加している。という点では、入れ替わりの激しかった初期のハーマンオーケストラを支えたキーパーソンであったという事になる。

エリントンやベイシーオーケストラにはそれぞれそのバンドを象徴するような名曲があり、エリントンナンバーやベイシーナンバーとして引き継がれている。
このハーマンオーケストラにもいつの時代にも十八番としている名曲がある。ハーマン自身のアップルハニーであり、レモンドロップ。フォーブラザースやアーリーオータムなども欠かせない曲だ。

このアルバムは、ビルハリスを中心としてハーマンオーケストラの卒業生達が、ハーマンの得意曲を演奏したアルバムだ。ただし、ビッグバンではなく、ビルハリスとテリーギブスのソロを中心としたコンボでの演奏だ。昔の同窓生が集まると昔話で花が咲くが、オーケストラの卒業生となるとまずは皆でやった懐かしい曲で盛り上がるということだろう。

アップテンポのアップルハニーで始まるが、テリーギブスのスインギーなヴァイブとハリスのトロンボーンのコンビネーションが良い感じだ。アーリーオータムやブルーフレームといったスローな曲ではギブスのヴァイブがメロディーラインを奏でハリスがバックを務める。
ハリスのトロンボーンはスイング時代の出身とはいえプレーはモダンだ。アービーグリーンのような甘さは多少控えめだが、ソロといいギブスのバックといいハリス節を存分に聴ける。
ハーマンでは有名なバップスキャットもレモンドロップで披露。ハーマンの曲そしてオーケストラの特徴を2人がリードしてうまく再現している。もっともバックの面々の同じ卒業生なので一体感が増すのは当然だ。



ハリスはこの後60年代に入るとフロリダに移って地元での活動が主体となる。この時、まだハーマンのオーケストラに加わる事があった。ハリスにとっては結果的にハーマンの卒業アルバムとなった。

そして、このアルバムは1957年ハリウッドに突然生まれたあのモードレーベルの最後のアルバムとなる。新人を大量に世に送り出したモードも結局このアルバムを最後に28枚で終わりになるが、最後は新人といっても、それなりに知名度もあったハリスとギブスのリーダーアルバムとなった。モードももう少し頑張って、新人紹介の次のステップとしてこのような企画のアルバムが続くと面白いアルバムが数多く生まれたようの思う。

1. Apple Honey                   Woody Herman 5:01
2. Everywhere                     Bill Harris 3:36
3. Your Father's Moustache       Bill Harris / Woody Herman 4:04
4. Laur           Johnny Mercer / David Raksin Bill Harris 3:43
5. Woodchopper's Ball          Joe Bishop / Woody Herman 2:53
6. Lemon Drop                  George Wallington 7:41
7. Early Autumn     Ralph Burns / Woody Herman / Johnny Mercer 3:41
8. Blue Flame   Joe Bishop / Leo Corday / James Noble / Jimmy Noble 8:51

Bill Harris (tb)
Terry Gibbs (vib)
Lou Levy (p)
Red Mitchell (b)
Stan Levey (ds)

Produced by Red Clyde
Engineer : Bones Howe
Recorded at Hollywood California September 1957

Ex-Hermanites
クリエーター情報なし
Vsop Records
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ビッグバンドのリーダーだけでなく、ジャムセッションリーダーとして適役と見込まれたのは?

2014-11-17 | CONCORD
Volume 3 Woody Herman Presents A Great American Evening

高齢者というと何歳からか?
以前は60歳、還暦を迎えると年寄りの仲間入りだった。
最近では高齢者というと65歳、60歳はまだまだ元気、定年も延長される世の中では還暦は年寄りの仲間入りにはまだ早すぎる。

65歳になるとやっと高齢者の仲間入り、健康保険証とは別に介護保険の保険証が届く。これが来ると何となく年寄りになった実感が沸く。気のせいか体力的な衰えも感じるが、これから鍛え直すには手遅れだ。

次なる節目は70歳、やはり60代とは違うのだろうが自分がどうなるかは想像できない。しかし、今日会社時代の先輩の集まりがあった。自分以外は全員70代以上だったが、何か異様とも思えるくらい皆揃って元気溌剌だった。このグループが別なのかもしれないが。

そして、次がいよいよ75歳、医療費も別扱いになり後期高齢者となる。ここからが本当の年寄りなのだろう。最近健康寿命という言葉を良く聞く。とりあえずここまで行くのにあと10年、何とかゴルフができる位の健康は維持したいものだ。

ジャズのミュージシャンでも生涯現役でプレーを続ける元気者は多い。ウディーハーマンもその一人だろう。このアルバムが録音されたのが1983年、ハーマンは1913年生まれなので、まさに70歳を迎えようとしていた頃の演奏だ。
単にプレーを続けているというのではなく、リーダーとしてもまだ大活躍をしていた。ハーマンは演奏活動自体が好きだったということもあるが、大きな負債を抱えていてこれを返さなければという事情も、常に演奏活動にオブリゲーションを与えていたようだ。

ハーマンは色々なレーベルに録音を残しているが、晩年の演奏はConcordに残されている。
自らのオーケストラの演奏は、1979年のモンタレー1981年のコンコルドジャズフェスティバルに登場し、そのライブアルバムがある。
その後も日本でのライブがあり、そしてハーマンのラストアルバムは、亡くなる年の1987年の録音となる。まさに生涯現役であったが、ビッグバンド一筋に生きてきたハーマンに相応しく、このラストアルバムもビッグバンド物であった。

コンコルドではこれらのビッグバンドリーダーとは別のハーマンの顔を捉えたアルバムを出している。ハーマンは昔から自分のオーケストラ以外にも色々なアルバムにゲスト出演することが多いが、コンコルドではWoody Herman Presentと銘打ったアルバムを出していた。これが3枚目になる。

これらは、ジャムセッションリーダーとしてのハーマンの才能をアピールしたものだ。
ジャムセッションを上手くやる秘訣はいくつかあるようだが、このハーマンは適役だということでこのシリーズができた。

一作目はコンコルドパビリオンの大きなステージでのライブ2作目はニューヨークのスタジオでの録音であったが、これは4人のテナーを揃えたフォーブラザースの再現でもあった。
そして、今回はサンフランシスコのGreat American Music Hallでのライブ。ここではメンバー達の実にリラックスした親近感を覚えるプレーが聴ける。

いきなり、ハーマンのボーカルとクラリネットが大きくフィーチャーされてスタートする。ハーマンは時々歌を聴かせてくれるが、このアルバムではクラリネット同様登場機会は多い。
ハーマンは盛り上げ役と纏め役としての責務は果たしているようだが、他のメンバーは熱がこもっているものの、お祭り騒ぎになることなく淡々とプレーをしている。コンコルドの常連メンバーにしてみれば、普段の演奏もジャムセッションのような物、ステージに立ったからといって改めて演奏スタイルを変える必要はないのかもしれない。
その中で、北村英治と少し前に口笛でデビューアルバムを出したロンマックロビーはゲスト役でのジャムセッションの舞台、緊張していたかもしれない。北村英治はお得意のアバロンで、マックリビーはウェイブで無事出番を終えた。
纏め役のハーマンの進行も的を得ていたのかもしれないが、クールな優等生が多いコンコルドのメンバーにはあまりノリノリになるリーダー役は不要のようだ。ハーマンの歌と演奏が少し浮いて聴こえてくるが、ステージはハーマン大得意のカルドニアで幕を閉じる。

大きな舞台を上手く纏めるのはやはり場数と年の功。ハーマンの役割が重要だったのだろう。

1. I've Got the World on a String  Harold Arlen / Ted Koehler 6:33
2. I Cover the Waterfront   Johnny Green / Edward Heyman 4:34
3. Leopard-Skin Pill-Box Hat            Bob Dylan 3:48
4. Avalon       Buddy DeSylva / Al Jolson / Vincent Rose 6:04
5. A Beautiful Friendship     Donald Kahn / Stanley Styne 5:17
6. Pennies from Heaven    Johnny Burke / Arthur Johnston 4:23
7. Wave                 Antonio Carlos Jobim 6:18
8. Caldonia                   Fleecie Moore 5:37

Woody Herman (cl,Vol)
Scott Hamilton (ts)
Eiji Kitamura (cl)
George Masso (tb)
Ron McCroby (puccolo)
Jack Sheldon (tp)
Cal Collins (g)
Nat Pierce (p)
Bob Maize (b)
Jake Hanna (ds)

Produced by Carl Jefferson
Recording Engineer : Phil Edwards
Recorded live at the Great American Music Hall, San Francisco April 1983

Originally released on Concord CJ-220


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色々な分野で「相互乗り入れ」があるがジャズの世界でも・・・

2014-10-14 | CONCORD
Seven Stars / Eiji Kitamura

1980年代のジャズは元気だった記憶がある。有名企業がスポンサーになった大きなジャズフェスティバルが各地で開かれ、俄かジャズファンを含め多くの聴衆に賑わった。
海外のレーベルはメジャーだけでなく多くのマニアックなレーベルも生まれた。日本のレコード会社も日本のミュージシャンだけでなく、海外のミュージシャンのアルバム制作を数多く行った。そして日本のミュージシャンと海外ミュージシャンの顔合わせアルバム制作も頻繁に行われた、30年前はそんな時代であった。

コンコルドのカールジェファーソンも日本贔屓でメンバーを引き連れて何度も来日している。反対に日本のミュージシャンをコンコルドジャズフェスティバルに招き、日米相互の交流に一役かっていた。

1980年のコンコルドジャズフェスティバルに日本から招かれたのは北村英治。その時のステージの模様は”Woody Herman Presents”というアルバムに収められている。北村英治はモンタレージャズフェスティバルにはそれ以前から常連で出場していたが、これでアメリカのファンの前に登場する機会がさらに増えた。特に、コンコルドのファンは北村英治のプレーとは相性が良く温かい歓待を受けたという。
コンコルドフェスティバルの終了後、せっかくの共演の機会がフェスティバルだけではもったいないということで、ステージとは別にコンコルドのメンバー達とアルバムを作った。それが前作のアルバム”Swing Eiji”だった

モダンジャズの時代になって、クラリネット自体のプレーヤーが少なくなったが、その少ないプレーヤーも多くはサックスとの持ち替え、クラリネット一本で勝負するプレーヤーはトラッドジャズを除くと極わずかとなっていた。
北村英治はその中の一人。基本はグッドマンスタイルのスイング系であるが、モダン系のプレーヤーとの共演もこなす自分のスタイルを持つ第一人者、晩年はクラッシクの奏法も改めて学び直して、まさにオールラウンドプレヤーとなった。今でも自分のグループでの演奏に加え、よく大きなコンサートにもゲストで出演し元気で活躍しているのは素晴らしいことだ。

翌年1981年も北村英治はコンコルドジャズフェスティバルに招かれる。その渡米に合わせてジェファーソンの協力で同様なセッションがセットされた。プロデュースは北村英治自身、ジェファーソンは総合プロデューサーで一歩引いた形となった。
今回のセッションの目玉はなんといってピアノにデディーウィルソンの参加、そしてヴァイブにカルジェイダーが参加していること。

テディーウィルソンはコンコルドでの録音は無かったと思うので、このセッションの為に特にアサインされたのであろう。北村英治とは以前にも何度も共演があるので、久々の再会となる。それに、コンコルドではラテン系のプレーが多かったカルジェイダーの参加も嬉しい。
ジェイダーは翌年不幸にも他界してしまうので、結果的にこのセッションへの参加もジェイダーの何か思い出を残す形になってしまった。ウイルソンもこの頃はレコーディングの機会も少なく、晩年の数少ない録音であり北村英治とも最後の録音になってしまった。
という意味では、主役はあくまでも北村英治ではあるが、ウイルソンとジェイダーという2人の巨人を見送ったアルバムということにもなる。

グッドマンでお馴染みのアヴァロンに始まり、スタンダードのミスティーと続く、北村のオリジナル「オールドラッズ」を挟んで、スターダストと、皆それぞれが自分のプレーの集合体だが、何故か北村英治のクラリネットとウイルソンのピアノを中心に一体感がある。
B面に移るとトラッドジャズで良く演奏される「日の出を待っている」だが、これも英治節で料理、クラリネットの低音の魅力とベースをクローズアップしたエリントンナンバーに続き、サムワントューウォッチオーバーミーではアネスティンアンダーソンのボーカルが花を添える。

コンコルドには他にも日本のミュージシャンの為にセットされた何枚かのアルバムがあるが、コンコルドと日本での販売権を持っていた東芝EMIとの相互乗り入れのコラボの成果である。このアルバムも日本で先行して発売されたが、一年遅れでコンコルドの通常のカタログにもラインナップされた。

昨今の日本企業と海外との関係となると、アライアンスというより対立色が強い。ビジネス競争の中ではどうしても喰うか食われるかになるし、一見握手をしているように見えても、目先のお金が優先してしまう付き合いになる。お互いで何かを育てようという話にはなりにくいものだ。

今から30年前、このような形で文化交流の垣根はせっかく低くなったのに、その後はあまり進展がないようだ。それを支えるスポンサーが減ったのも原因だが、そもそも当時は音楽自体がライブにしてもレコードにしてもビジネスになっていた。
最近では音楽がビジネスにならないという。実は、こちらの方が問題なのかもしれない。ビジネスにならないからファンが少なくなったのか、ファンが少なくなったのでビジネスにならないのか?いずれにしても、お金が回らないと何も続かないという世の中は如何なものか?

1. Avalon                      Al Johnson 3:56
2. Misty                      Eroll Garner 4:55
3. Old Lads                    Eiji KItamura 5:20
4. Stardust          Hoagy Carmichael / Mitchell Parish 4:47
5. The World Is Waiting for the Sunrise        Ernest Seitz 3:32
6. Satin Doll    Duke Ellington / Johnny Mercer / Billy Strayhorn 6:35
7. Someone to Watch Over Me   George Gershwin / Ira Gershwin 5:13
8. I Wanna Go Home                   Al Cohn 3:55

Eiji Kitamura (cl)
Teddy Wilson (p)
Cal Tjader (vib)
Eddie Duran (g)
Bob Maize (b)
Jake Hanna (ds)
Ernestine Anderson (vol)

Produced by Eiji Kitamura & Yoishiro Kikuchi
Recording Engineer : Phil Edwards
Recorded at Coast Recorders, San Francisco, August 1981

Originally released by Toshiba EMI and released by Concord on Concord CJ-217

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ジャズミュージシャンに生涯の最高作は?と聞くと・・・果たしていつ頃の作品が。

2014-01-20 | CONCORD
The Woody Herman Orchestra Live At Concord Jazz Festival

ジャズ巨人たちの多くは亡くなる直前まで精力的に活躍していることが多い。
否、最後まで活躍しているからこそ、巨人になれるかもしれないが。
その巨人達に、生涯の最高傑作は?と聞くといつ頃の作品を上げるのであろうか。常に前向きに進んできた彼らにとっては、若い頃の作品は思い出こそあれ、最高傑作というには粗ばかりが目立つのかもしれない。きっと現役でいる限り常に今が最高だと思っているのであろう。

ウディーハーマンという人も、常に前向きに取り組んできた一人だと思う。70年代に一時フュージョン系に走ったが、80年代はまたストレートアヘッドな、本来のハーマンらしさに戻ってきた。奇しくもこのタイミングがConcordに登場するようになったタイミングに一致する。

コンコルドでは、’79年のモンタレージャズフェスティバルの舞台のライブがある(この録音も日本からのレコメンドがあって作られたとか)が、他はスモールグループやジャムセッション物。レギュラーオーケストラのアルバムは今まで無かった。
このアルバムは、オーケストラでのコンコルド初登場といってもいい。

そして、このアルバムのライナーノーツを見ると、ウディーハーマンの言葉で「このアルバムのBigbandのサウンドがこれまでの46年間の中で最高だ」というコメントが記されており、他には何の記載もない。
ハーマンにとっては、生涯の思い出となったアルバムということなのであろう。



70年代のハーマンは必ずしも優雅な隠居生活をおくっていたという訳ではない。
60年代の税金の未払問題を抱え、その返済のために老体に鞭をうちつつ日々バンドを運営しなければならなかった状態であった。だからこそ本人の意思とは別に新しいジャンルにも取り組まざるを得なかったのか。

そのハーマンが、コンコルドに来て水を得た魚のように再び元気になったのは、昔の仲間に囲まれてプレーできるという安心感、そして無理して新しいものに取り組まなくても良いという強迫感からの解放感によるものだったのかもしれない。

そして、このアルバムになる訳だが、このアルバムの一番の特徴は若手メンバーの作曲による新曲に取り組んでいるということだ。それらの作編曲をしているピアノのJohn Oddoはその後ローズマリークルーニーのアルバムでも活躍している。もちろん、コンコルドジャズフェスティバルの舞台ということもあり、スタンゲッツ、アルコーンという昔のフォーブラザースを支えた同僚の参加による曲もある。が、他はナツメロ曲ではなく今の自分達のバンドのプレゼンテーションはコンコルドで初めての機会であった。確かに、メンバー主体にハーマンらしさの本筋を外れず、懐古趣味に走らず新しい曲にチャレンジしたという点では良いアルバムだと思うのだが。

ウディーハーマンの代表作は? と言われると自分では迷ってしまう。
40年代からの作品が多く残っているが全部は聴いていないし、有名なFour Brothers やEarly Autumnもアルバム単位だと?? ライブ物が多いのでこれらも悪くないのだが。
実はアルバムは多いのだが、エリントンやベイシーなどのように、きちんとアルバム単位で作られたものはあまり多くないのが現実だ。

そのような中で自分が印象に残っているのがフィリップスの”Woody Herman 1964“
コンコルドで活躍するジェイクハナがいるし、テナーのサルニスティコ、トロンボーンのフィルウイルソン、そしてトランペットのビルチェイスやピアノのナットピアスなど役者ぞろいだ。ハレルヤタイムのワクワク感がこのアルバムを初めて聞いた時からのお気に入りだ。



たまたま先日、目黒のジャズ喫茶"Hot mama"に立ち寄った時、マスターからこの当時のハーマンオーケストラのビデオを見せてもらった。改めて、この時代のハーマンが自分にとってのフェイバリッツだという事を再認識した。



さて、ハーマンが毎年磨きをかけ続けたバンドの音はこの時が最高かもしれないが、アルバムの出来はというとバンドの音自体は多少荒っぽくとも自分は1964年のバンドに軍配を上げたい。

1. Things Ain't What They Used to Be      Duke Ellington / Mercer Ellington / Ted Persons 4:25
2. Theme in Search of a Movie         John Oddo 4:48
3. Midnight Run                Bill Holman 5:49
4. You Are So Beautiful            Bruce Fisher / Billy Preston 3:20
5. John Brown's Other Body           John Oddo 3:53
6. Especially for You              John Oddo 4:55
7. North Beach Breakdown            John Oddo 5:38
8. The Dolphin                 Luíz Eça 6:00
9. Lemon Drop                  George Wallington 7:34

Stan Getz (ts)
Al Cohn (ts)

Woody Herman (cl,as)

Paul McGinley (ts,fl)
Bill Ross (as,fl)
Randy Russell (ts,fl)
Michael Brignola(bs.bcl)
Brian O'Flaherty (Flh,tp)
Bill Stapleton (Flh,tp)
Scott Wagstaff (Flh,tp)
George Rabbai (Flh,tp)
Mark Lewis (Flh,tp)   
Larry Shunk (tb)
Gene Smith (tb)
John Fedchock (tb)
John Oddo (p,composer,arr.)
Mike Hall (b)
Dave Ratajczak (ds)

Produced by Carl Jefferson
Recording Engineer: Phil Edwards

Recorded live at Concord Jazz Festival, Concord, California on August 15, 1981

Originally released on Concord CJ-191


Live at the Concord Jazz Festival
Woody Hermasn
Concord Records
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DNAがきちんと引き継がれると、本物の魅力が一段と・・・

2013-06-01 | CONCORD
Woody Herman presents Vol.2 / “ Four Others”

最近はとかく遺伝子の話題がニュースを賑わす。一昔前は遺伝子組み換えの農作物の是非が話題の中心になった。もちろんメリット・デメリット両方あるが、昔から環境の変化と共に種の存続のために自然に遺伝子の優勝劣敗が決まってきた流れとは間違いなく異なる。人為的に作られた種により長らく生きながらえてきた種が滅んでしまうのは、必ずどこかでしっぺ返しがくるに違いない。どんなに大掛かりな土木工事をやっても自然の驚異には無力なように。きっとその時は「時すでに遅し」、取り返しのつかない不幸な結末が待っているかもしれない。そのような事を聞くにつけ、「何事も自然体がいい」というのが、歳をとって最近自分の思う所である。

もうひとつ最近のニュースとして、アンジェリーナ・ジョリーの乳がん回避の為の手術が話題になっている。これも遺伝子検査の結果といわれている。ある病院でこの遺伝子検査を受けるのは年間で6人程度だったのが、このニュースの後はすでに20名を越える問い合わせがあったという。
しかし、病気の遺伝子を持っていても必ず病気になるという訳ではない。遺伝子が発現しなければ何も変わらない。要は体に良い遺伝子、例えば長寿遺伝子、反対にガンの遺伝子のように体に悪い遺伝子も発現して始めてその遺伝子の影響が体に現れるということだ。

ではこの発現を抑えたり、促進するにはどうすればよいかというと、日頃の体調管理&体質改善が一番らしい。健康的な生活をおくり、食事に気をつければ、良い遺伝子は発現し、悪い遺伝子は発現せずに病気にならずに心身ともに健康な生活をおくれるということだ。これも結局「自然体でいること」に他ならない。悪い遺伝子の発現は不摂生な生活をしていた罰だと考えれば分かりやすい。

このバロメーターとして遺伝子検査が注目されているが、これは遺伝子治療でも、人為的な遺伝子組み換えでなく、誰もが自らの健康状態を知るための道具に過ぎない。
同じ遺伝子の話でも中身は千差万別。本物を見抜く眼力を持たねばこの世は生きていけない時代になった。世論のマインドコントロールに惑わされないように日々の勉強が大事ということになる。

ビッグバンドの世界でも、そのバンドの起源からのDNAが脈々と引き継がれていると思う。エリントンでもベイシーでも、グレンミラーであってもサドメルであっても・・・・・。
リーダーの個性もあるが、そのサウンドの特徴はリーダーが替わり、アレンジャーが代わってもどこかに必ず見出すことができる。

スイングバンド全盛時代、白人中心でありながらブルースをレパートリーに数多く加えたのがハーマンバンド。バップ時代に入った時、そのバップサウンドをビッグバンドでチャレンジしたのはディジーガレスピーとこのウディーハーマンであった。
それが、ハーマンバンドのDNAとなり、ハーマンのビッグバンドは白人中心のバンドでありながら、バップの泥臭いサウンドにチャレンジし続けた。そして、突然アーリーオータムのようなクールな清涼剤を交えながら。さらにハーマンのビッグバンドを特徴付けるのは、セカンドハードの時の”Four Brothers”に代表されるテナーを全面に出したサックスセクション。他のバンドがアルトリードなのと較べて、いつの時代もこのテナーリードのサックスセクションが注目される。
これらが、ハーマンオーケストラのDNAだろう。実はハーマンのアルトはあまり関係が無い。

ハーマンがこのコンコルドに登場したのは、エリントントリビュートのアルバムへのゲスト参加を除けば、‘79年のモンタレージャズフェスティバルのライブが最初。これは自己のオーケストラなので、いわゆる、「コンコルド組」に加わったのは、ハーマンプレゼンツVol.1と称した、ハーマンが率いるジャムセッション。これは'80年のコンコルドジャズフェスティバルのライブであった。

その続編ともいえるのがこのアルバム。ハーマンPresentsのVol.2となっている。前作と異なり、これは翌年7月のニューヨークでのスタジオ録音。そしてハーマンのDNAを色濃く出したアルバムだ。
4人のテナー奏者が集められた。これは完全にFour brothersの再現だ。それも初代のフリップフィリップスから、セカンドハードのアルコーン、そしてビルパーキンス、そして60年代に活躍したニスティコまで3世代が勢揃い。それだけで嬉しくなる。
アレンジはアルコーン(一曲はニスティコ)が務めているので、必然的にFour brothersのDNAは引き継がれている。ドラムもドンラモンド。唯一デュビビエだけがハーマン門下生ではないようだが。

この面子が揃うと当然“Four brothers"の再演という企画になりがちだが、ここではもう一捻り。タイトルも”Four Others”となっているように、フォーブラザースの再演はない。
その代わりに、トロンボーンサンサンブル用に書かれたこの”Four Others”をテナー用にアレンジし直している。他の曲はやはりブルースが多い。
アルコーンのアレンジはサックスアンサンブルといっても、スーパーサックスのような超絶技巧を求めるようなアレンジではなく、ハーマンのDNAの引き継いだ物。突然変異を狙った新種というのではなく、ハーマン門下生がハーマンのDNAの良さを色々持ち寄って生まれた、「1981年の新種」になっている。やはり、食べ慣れた味は美味しい。

ハーマンほどの活躍をすれば、老後は悠々自適だったかといえば、税金絡みの借財の返済のため晩年まで働き続けねばなかったと聞く。歳をとっても衰えなかったエネルギッシュな活躍の源泉がどこにあるのかも人様々。理由はともあれ、人生歳をとっても元気にしていると仲間や弟子に囲まれて良いことはあるものだ。

1. Not Really the Blues         Johnny Mandel 3:32
2. Woody's Lament              Al Cohn 4:27
3. Tiny's Blues            Tiny Kohn-Al Cohn 5:20
4. I Wanna Go Home              Al Cohn 6:46
5. Loose Aberrations             Sal Nistico 6:03
6. Four Others              James Giuflie 4:52
7. Tenderly         Walter Grass-Jack Lawrence 3:51
8. The Goof and I               Al Cohn 7:38

Woody Herman (as)
Al Cohn (ts)
Sal Nistico (ts)
Bill Perkins (ts)
Flip Philips (ts)
John Bunch (p)
George Duvivier (b)
Don Lamond (ds)

Arranged by Al Cohn(Except for #5 by Sal Nistico)

Produced by Carl Jefferson
Recording Engineer : Phil Edwards
Recorded At Soundmixers, New York ,N.Y. on July 1981

Originally released on Concord CJ-180

Presents Vol 2
Woody Herman
Concord
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モンタレーの舞台で35年ぶりに借りを返したハーマン・・・・

2012-05-19 | CONCORD
Woody and Friends Monterrey Jazz Festival 1979

西海岸でのジャズフェスティバルといえば、コンコルドジャズフェスティバルが開催される遥か前からモンタレージャズフェスティバルが有名だった。1958年から始まり今年で55回目を迎える。今年も、トニーベネットやゴードングッドウィンなどが出演して盛大に行われるようだ。

ウディハーマンオーケストラが最初にモンタレーに出演したのは2回目の59年
レギュラーメンバーにゲストを加えたオールスター編成で、往年のハーマンオーケストラらしい元気な演奏をステージで繰り広げた。
時代と共にハーマンのオーケストラは常に若手を加え、また新しい曲にチャレンジして新陳代謝をしていたが、1979年のモンタレーの舞台にも登場したオーケストラもメンバーは若手を揃えて、ヤングサンダリングハードと一段と若返っての登場だった。フェスティバルの舞台ということもあり、そのオーケストラにゲストが加わった。59年の時はオーケストラのメンバーとしてゲストが加わったが、今回はソリストとしての参加。したがって、このアルバムもA面は若手メンバーのオーケストラでの演奏と、B面はオーケストラをバックにしたゲストをフィーチャーした演奏に分かれる。

オーケストラも演奏も、今回は新しい曲にチャレンジではなく、古くからのジャズの名曲がプログラムされた。ただし、アレンジは若手のメンバーが施し若々しいサウンドだ。オーケストラメンバーで特にフィーチャーされるのはテナーのフランクティベリと、バリトンのゲイリースヤルマン。スマルヤンはミンガスの曲、Better get it・・・ではペッパーアダムスばりの豪快なソロを聴かせてくれる。ハーマンオーケストラ出身の有名プレーヤーは数多いが、ハーマンはこのスマルヤンを過去40年間オーケストラのメンバーのバリトン奏者としては一番だと惚れ込んでいたようだ。ハーマンの目に狂いは無く、この後すぐにスマルヤンは、ペッパーアダムスの後継者としてメルルイスオーケストラに加わり、現在もVJOの重鎮として活躍している。

B面は、ゲストが加わっての演奏だが、What are you・・・のスタンゲッツのプレーは、自分がこの曲が好きなせいもあるが秀逸だ。
ガレスピーが加わった2曲はどちらもガレスピーの曲だが、実はWoody’n Youはガレスピーがハーマンの為に書いた曲で、アレンジまで提供したにも関わらずハーマンオーケストラでは演奏されることなく過去にお蔵入りになってしまった。その理由はちょうどアレンジャーにラルフバーンズを迎えて、バンドカラーを変えようとしていた時だったからだそうだ。確かにガレスピーの曲は、アーリーオータムとはイメージが違うが、Woody’n youは他の多くのプレーヤーに演奏され、モダンジャズのスタンダードになったにも関わらず肝心の本家の演奏がなかったとは・・・。
今回は、スライドハンプトンのアレンジで、35年ぶりに初めてハーマンオーケストラのレパートリーに加わった。

このアルバムはコンコルドからリリースされたが、実はハーマンがレコーディングして残すことを決めたのを助けたのは東芝EMIだった。ハーマンのオーケストラのアルバムには当たり外れがあるが、このアルバムの演奏はモンタレーの舞台だったということもあって素晴らしい。特にプレーヤー、アレンジャー共に新旧の組み合わせが最高だ。
この頃の日本のレーベルの良いものを残そうという動きは完全に本場アメリカのレーベルの活動を先んじていたと思う。

1. Introduction 0:29
2. Caravan              Ellington, Mills, Tizol 5:53
3. I Got It Bad (And That Ain'tGood)   Ellington, Webster 5:22
4. Countdown               Coltrane 4:32
5. Better Get Hit in Yo' Soul       Mingus 5:57
6. Woody 'N You              Gillespie 8:11
7. What Are You Doing the Rest of Your Life? Bergman, Legrand 6:50
8. Manteca            Fuller, Gillespie, Pozo 8:56

Woody Herman & Young Thundering Herd

Woody Herman (cl,ss,as)
Tim Burke (tp,flh)
Bill Byrne (tp,flh)
Jim Powell (tp,flh)
Kitt Reid (tp,flh)
Joe Rodriguez (tp,flh)
Dick Mitchell (ts,fl,Flute, Oboe, Piccolo)
Frank Tiberi (Arr. Bassoon, fl,ts)
Bob Belden (Arr.ts)
Gary Smulyan (bs)
Nelson Hinds (tb)
Birch Johnson (tb)
Larry Shunk (btb))
Dave Lalama (Arr.p)
Dave LaRocca (b)
Ed Soph (ds)

Dizzy Gillespie (tp)
Woody Shaw (tp)
Stan Getz (ts)
Slide Hampton (arr.tb)
Bob Hammer (arr.)
Alan Broadbent (arr.)

Prooduced by Woody Herman & Hermie Dressel
Wally Heider : Engineer

Recorded live at Monterey Jazz Festival September 15, 1979

Originally Released on Concord CJ-170


Woody and Friends: Monterey Jazz Festival 1979
Woody Herman
Concord Records
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セッションリーダーによって、同じメンバーでも出来栄えが変ることが・・・

2012-01-13 | CONCORD
Woody Herman Presents Volume 1 Concord Jam / Woody Herman



Concordレーベルへのウディーハーマンの登場は、エリントンに捧げたアルバム“A Tribute To Duke Ellington”にゲスト参加したのが始めて。他には自己のグループでのアルバムはまだ無かったと思う。そのハーマンが1980年の”Concord Jazz Festival”に登場した。'78年には自己のオーケストラでチックコリアの曲にチャレンジするなど先進的な取組みをしていたが、今回は自己のバンドを引き連れてではなく、Concordでお馴染みの面々のジャムセッションへのゲスト参加であった。が、ゲストといっても“Woody Herman Presents”と銘打った、ハーマンがセッションリーダとなってコンコルドオールスターズのプレゼンテーションだった。

曲はハーマンの十八番、”The Woodchoppers’s Ball ”でスタートする。多分この曲にのってハーマンが舞台に登場したのであろう。聴衆の拍手で盛り上がりを見せて、ハーマンのクラリネットソロが始まる。ライナーノーツには、「彼の熱いクラリネットはジャムセッションに炎を点すトーチのようだ」と記されている。相変わらずのあまり綺麗な音色とはいえないハーマン節だ。そして、メンバー一人一人をフィーチャーして曲が進む。”Body and Soul”では北村英治が登場する。世界に通用する北村のクラリネットは流石に美しい。最後はやはりハーマンナンバーの”Apple Honey”で盛り上がってアルバムは終わる。

ライナーノーツを見ると、いきなり最初にこのセッションに参加したカルジェイダーのコメントが載っている。ジェイダー曰く、「こんなに盛り上がったライブセッション」は始めてだと。
ハーマンのオーケストラは、ファーストハードの時代から、多少荒っぽいがドライイブの効いたパンチのある演奏を得意としている。途中登場するハーマンの演奏は必ずしも上手いとはいえない。でも親分が先頭に立って突撃すると、いつの間にか他のメンバーはそれに巻き込まれていく。
きっとこれがハーマンの得意技なのだろう。持って生まれた才能を発揮する場所は、何も自分のオーケストラばかりではなく、今回のようなジャムセッションでも同じだ。いつものConcord All Starsの面々も、ハーマンが引っ張ることで、今までに無いエネルギーが引き出されていったのであろう。ハーマン自身も語っている、「自分の役割は一緒にプレーするメンバーに普段以上のプレーをさせること」と。

Concord All Starsの演奏は、これまでも毎年のConcord jazz festivalの舞台のハイライトだ。そして世界各地のツアーにも出かけて行って、その録音も残されている。しかし、ハーマンがプレゼンテーションをすると同じメンバーであっても確かに一味違ったダイナミズムが増す。このアルバムが、Concordが出した“Woody Herman Presents”シリーズのVol.1。カールジェファーソンも、多少マンネリ化してきた自分の子飼い達をもう一度奮い立たせるためにハーマンを使うとは、流石いいところに目をつけたものだ。

1. Woodchopper's Ball         Bishop, Herman
2. Rose Room              Hickman, Williams
3. Just Friends            Klenner, Lewis
4. Nancy (With the Laughing Face)   Silvers, VanHeusen
5. Body and Soul           Eyton, Green, Heyman, Sour
6. Someday You'll Be Sorry      Armstrong
7. My Melancholy Baby         Burnett, Norton
8. Apple Honey             Herman

Woody Herman Clarinet, Leader
Warren Vaché Cornet
Scott Hamilton Tenorsax
Dick Johnson Altosax, Flute
Eiji Kitamura Clarinet
Dave McKenna Piano
Cal Tjader Vibraphone
Cal Collins Guitar
Bob Maize Bass
Jake Hanna Drums

Carl Jefferson Producer
Phil Edwards Engineer
Ron Davis Engineer

Recorded live at The Concord Pvilion, Concord, California on August 1980

Originally released on Concord CJ-142

Concord Jam Vol 1
Woody Herman
Concord Records
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「年甲斐もなく」を、・・・いい意味に変えるのは本人次第?

2011-08-03 | MY FAVORITE ALBUM
Plays Chick, Donald, Walter and Woodrow / The Woody Herman Orchestra

歴史と伝統のあるビッグバンドは、グレンミラーにしても、ベイシー、エリントンにしても、そのスタイルはきちんと守られている。エリントンが存命中にビートルズナンバーを手掛けても、それはエリントンサウンドだった。その中で、ウディーハーマンのオーケストラだけは常に進化し続けた。
ここに78年に録音されたアルバムがある。タイトルがチックだとか、スティーリーダンのメンバーの名前が並ぶ。ウディーハーマンのクレジットが無ければ、誰のビッグバンドかわからない。

78年のコリアといえば、あのリターンツーフォーエバーから6年。FRIENDSとかMAD HATTERとかが続けて出された頃。ポストRTFを狙ってか、昔のメンバーを集めてストレートなジャズをやったり、大きな編成で演奏したり、コリアの多芸振りが目だって来た頃だ。
一方のスティーリーダンは、同じくデビューから数年経ち、ヒットアルバムが続いていた頃だ。

「新物好き」のハーマンは、何とA面にはチックコリアの作品を、そしてB面にはスティーリーダンの曲のカバーを並べた。まさに、流行の先端を足の先からつま先までといった感じだ。A面はコリアの作編曲、組曲仕立てになっていて、最後はコリアお得意のコリア風ラテンサウンドで締める。コリアの作品の発表の場にハーマンオーケストラが協力した形だ。
B面も、アレンジはボブミンツァーやビクターーフェルドマンが手掛けているが、実に上手く原曲を料理して、ハーマンバンドへのプレゼントになっている。
どちらも、フォーブラザースやアーリーオータムを演奏したバンドの面影はない。
そして、相変わらず、ハーマンの歌とクラリネットが登場する。いくつになっても自分の出番が無いと気がすまない性格なのかもしれない。

この録音時、ハーマンは65歳。こんな素晴らしい時代を先取りしたようなビッグバンドをいくつになっても率いるのはさすがハーマン。でも、いくつになっても目立ちたがり屋はそろそろ隠居をしたらいいのでは。「年甲斐も無く」と言われますよ。





1. Suite For A Hot Band
2. First Movement
3. Second Movement
4. Third Movement
5. Green Earrings
6. Kid Charlemagne
7. I've Got The News
8. Aja
9. FM

Woody Herman, alto&Soprano sax,clarinet,vocal;
Frank Tiberi, tenor sax,flute,bassoon;
Gary Anderson, tenor sax,flute,alto flute,piccolo;
Joe Lovano, tenor sax,flute;
Bruce Johnstone, baritone sax,bass clarinet,flute,vocal;
Jay Sollenberger, trumpet,flugel
Allen Vizzutti,trumpet,flugel
Nelson Hatt,trumpet,flugel
Glenn Drewes,trumpet,flugel;
Dennis Dotson,trumpet,flugel
Bill Byrne,trumpet,flugel;
Birch Johnson,trombone
Larry Farrell,trombone;
Jim Daniels,bass trombone;
Pat Coil,piano
Marc Johnson,bass;
Jeff Hamilton, drums,percussion;

Tom Scott,tenor sax,lyricon;
Victor Feldman,synthesizer,percussion;
Mitch Holder,guitar;

Recorded Jan.1978, Hollywood
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お蔵入りの演奏はライブ物が多い・・

2008-05-14 | MY FAVORITE ALBUM
JIVE HOOT / WOODY HERMAN & THE HERD

ジャズのライブを収録したアルバムは多いが、そのステージの全貌を収めたものはあまりない。せっかくだから、内容の良し悪しに関わらずステージをすべて再現してくくれればいいのにと思うのだが。当然LP時代は収録時間に制約があったため、それに収まるように編集されている。もちろんのその日の出来不出来でカットされた曲もあるであろう。ライブはひとつの記録なので単なるアルバム作りとは違うことが多い。CDになってからは未収録曲を収めた再発物が多いが、それ故ライブ物の再発は特に食指が動かされることが多い。

もちろんLP時代にも、過去の名演のセッションの未発売曲を集めたアルバムが発売された。一度発売された幻の名盤とは異なり、倉庫の中で陽の目をみることのなかった未発表曲のリリースは興味津々だった。特に好きなプレーヤーの場合は。
このアルバムもそのような一枚だ。特に名盤という訳でもなし、名演というものではないが印象に残っているアルバムだ。
60年代の後半、一時沈滞気味だったBig bandが息を吹き返した頃だ。

サド・メルの登場に続き、バディーリッチ、デュークピアソンなど、新旧の名プレーヤー達が次々に新たにビッグバンドを編成した。そのような中、御三家ともいえるオーケストラ、ベイシー、エリントンそれにこのウディーハーマンも息を吹き返した頃だ。
ファーストハードの頃からサックスセクションが売りであった。サルニスティコ、後にバディーリッチのオーケストラを引き継ぐスティーブマーカスなどがこの頃のハーマンオーケストラを支えた。ブラスセクションも昔からなかなか捨てたものではない。特に、70年代に入ってブラスロック路線にはブラスセクションが不可欠だが、そのスターとなったビルチェイスもこの頃のハーマンオーケストラのメンバーだった。

このアルバムは、ハーマンオーケストラが西海岸の有名クラブに出演したときのライブ演奏。以前、“WOODY LIVE EAST AND WEST”というアルバムで紹介された“Basin Street West”でのライブの演奏の残りの曲が中心だ。
ハーマンオーケストラの十八番の曲に加えて、サイドワインダーとかウォーターメロンマンといった当時のヒット曲もやっているのも、当時のビッグバンドの置かれていた状況かも。サイドワインダーではハーマンの歌も加わっているがこれはいつものとおり愛嬌というもの。
さらに、チャーリーバードをフィーチャーしたシングル用に録音した2曲も加えられている。ハイノートが売りのビルチェイスが“I Can’t Get Started”では絶妙のバラードプレーを見せる。というような、残り物を集めた徳用パックのようなアルバムであるがファンにとっては楽しめるアルバムだ。

1. The Duck
2. I Can’t Get Started
3. Hallelujah Time
4. The Black Opal
5. Satin Doll
6. Sidewinder
7. Jazz Hoot
8. Sumptuous
9. Watermelon Man
10. Boopsie
11. Great Sack Blues

<Personnel>

《2,3,5,7,9,11》
Woody Herman(cl,as,ss)
Gary Klein, Sal Nistico, Andy McGhee(ts)
Tom Anastas (bs)
Bill Chase, Gerry Lamy, Bob Shew, Don Rader, Dusko Goykovich (tp)
Don Doane, Frank Tesinsky, Henry Southhall (tb)
Nat Pierce (p)
Tony Leonardi (b)
Ronnie Zito (ds)

Recorded on June 29,1965 “Basin Street West”

《4,8》
 Same personnel as in San Francisco
Recorded on October 8, 1965 in New York

《6》
Same personnel as in San Francisco
Recorded on July 7, 1966 in New York

《1,10》
Woody Herman(cl,as)
Al Gibbons,Steve Mercus, Bob Pierson (ts)
Joe Temperly (bs)
Loydo Michaels, Lynn Biviano, Dick Ruedebusch, Bill Byrne, John Crews (tp)
Jim Foy, Mel Wanzo, Bill Watrous (tb)
Mike Aiterman (p)
Bob Daugherly (b)
Ronnie Zito (ds)
Featuring Charlie Byrd (g)

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他流試合が好きな飛び入り名人がジャムセッションに・・・

2007-11-18 | MY FAVORITE ALBUM
HOW HI THE FI / A BUCK CLAYTON JAM SESSION featuring Woody Herman

ステージやセッションに予定外の飛び入り参加が時々ある。
「偶然の共演」というのは、「意図した共演」とは別の緊張感と楽しみがあるものだ。
ケニーバレルのエリントンに捧げたアルバムでもサド・メルのオーケストラのメンバーが大挙駆けつけ、入れ替わり立ち代りバレルとのセッションを繰り広げていた。
そもそもジャムセッションは飛び入りそのものといってもよいが、あるジャムセッションの録音にウディーハーマンが駆けつけた演奏がある。このハーマンは自分のオーケストラ以外のセッションにもちょくちょく登場する飛び入り名人だ。
この録音の翌日には、自分のオーケストラを率いてヨーロッパに旅立ったとか。

このジャムセッションの主役はバッククレイトン。ベイシーのオーケストラでレスターヤングと一緒にプレーをした中間派の名手だ。

スイングからモダンジャズへと変遷と遂げていた50年代の初頭、モダンジャズに乗り遅れたり、戸惑っているベテランが多くいた。
一方で、レコードもSPからLPへ変りつつあり、長時間の録音が可能になった。
そこに目をつけたのは、コロンビアレコードのジョージアバキャン。長時間録音が可能になったことで、長尺のジャムセッションのレコード化が可能になった。
このアルバムの収められている、”HOW HI THE FI”という曲も、LPの代名詞“HI FI”とHOW HIGH THE MOON を引っ掛けたもの。何事につけてもLPレコードが話題の時代であったのだろう。

そこで、スイング派のメンバーを集め、日頃のストレスを解消してのびのびとした気分で、スタジオでのジャムセッションを企画することになった。
これが、このバッククレイトンのジャムセッションの企画の始まりといわれている。

演奏は、ベイシーオーケストラのメンバーが多いこともあり、ディキシーやスイングといよりはカンサスシティースタイル。10人を超える大型コンボだが、簡単なヘッドアレンジによるアンサンブルをバックにソロを次々にフィーチャーしていく。ここではハーマンもメンバーの一人。JATPスタイルの奔りともいえる。

バッククレイトンは70年代になってからも“CHIAROSCURO”レーベルでジャムセッションアルバムを作っている。ジャムセッションの仕掛け人が性分にあっているのかもしれない。

そして、そもそもこの企画を思いついたのはジョージアバキャンであったが、この企画のアシスタントを務めたジョンハモンドにこの企画はすぐにパクられて、コロンビアとしてはこの企画は長続きしなかったという後日談もある。
やり方次第では、ノーマングランツのJATPや、カールジェファーソンのConcordのように育てることができたかもしれなかった企画であったのだが。

1. How Hi The Fi (13:51)
2. Blue Moon (14:05)

Buck Clayton (tp, leader)
Joe Newman (tp)
Urbie Green, Trummy Young (tb)
Woody Herman (cl),
Lem Davis (as)
Al Cohn, Julian Dash (ts)
Jimmy Jones (p, celeste)
Steve Jordan (g)
Walter Page (b)
Jo Jones (d)

Recorded on March 31, 1954

3.Sentimental Journey (13:49)
4.Moten Swing (12:39)

Buck Clayton (tp, leader)
Joe Newman (tp)
Urbie Green, Benny Powell (tb)
Henderson Chambers (ts)
Lem Davis (as)
Charlie Fowlks (bs)
Sir Charles Thompson (p)
Freddie Green (g)
Walter Page (b)
Jo Jones (d)

 Recorded on December 14,1953

Jam Session, Vol. 1
Buck Clayton
Blue Moon

このセッションが収録されているCDは

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「久々に楽しい演奏ができたね」・・・・といった声が聞こえてきそう。

2007-10-31 | MY FAVORITE ALBUM
Ruby and Woody / I had to be us

ラフな格好でリラックスした表情の2人。
「同窓会で久々に会った2人のスナップ」のような何の飾り気もないジャケットの写真だ。
二人とも「好好爺」という言葉にピッタリである。

ビッグバンドの両雄といえば、ベイシーとエリントン。
長い歴史の中で色々な苦難があったが、この2つのオーケストラはレギュラーバンドとして生き続けた。
これに負けていないのがウディーハーマンのオーケストラだ。
ベイシー、エリントンは基本的に自己のスタイルを変えなかったが、ウディーハーマンはメンバーも常に若い新しいメンバーを登用し時代に合わせて変化し続けた。
バップの誕生に合わせるようにスタートした彼のオーケストラ。“Herd”という名前が象徴するように、群れとなってその時代の先端の流れに切り込んでいった。
70年代の始めには、流行ったブラスロック風のハーマンも聴くことが出来る。
そんなハーマンも40周年の記念コンサートを経て、70年代の終わりにはストレートな演奏に戻っていった。

色々と気苦労の多いいつものオーケストラの活動を離れ、普段着で何気ない演奏を。
このアルバムは、ジャケットの写真の印象どおり、そんなアルバムだ。
相手を務めたのは、ルビーブラフのコルネット。
筋金入りのスイング派だ。Concordの初期のアルバムにも登場している
ハーマンもここではクラリネットそしてボーカルで、それに合わせた演奏、そして歌を披露している。いつもは余興で一曲という感じであるが、ここではたっぷりとハーマンの歌を聴ける。
軽快なスイングのリズムに乗って、デビューした頃を思い出していたのかもしれない。
変な気負いもかければ、妙なブローも無い。
同窓会の流れで気の合った2人が、久々に昔を思い出して一丁やってみようかといったノリである。

ハーマンの晩年は、滞納していたバンドのメンバーの税金の支払いに追われていたとか。
必ずしも悠々自適な生活を送っていたのではなさそうだ。
どんなに苦労をしても、面と向かっては笑顔を絶やしたことが無かったといわれるハーマン。
ほっと一息ついた演奏に、これは本心からの笑みがこぼれてるのかもしれない。

東海岸のConcordともいえる“Chiaroscuro”。
なかなかアルバムを残している。

1. I Can't Believe That You're in Love With Me
2. Rose Room
3. Solitude
4. I Hadn't Anyone Till You
5. As Time Goes By
6. Sheik of Araby
7. It Had to Be You
8. There Is No Greater Love
9. Wave/Spain
10. I Cried for You
11. 'Deed I Do
12. Sheik of Araby, No. 2 [*]
13. Solitude, No. 2 [*]
14. It Had to Be You, No. 2 [*]
15. George Avakian Jazzspeak [*]

<Personnel>
Woody Herman (vocals, clarinet)
Ruby Braff (cornet)
John Bunch (piano)
Wayne Wright (guitar)
Michael Moore (bass)
Jake Hanna (drums)

Producer George Avakian

Engineer Jon Bates

Recorded in New York City,12&13,March,1980
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ここまで来れたお礼を兼ねて感謝の意を捧げる相手は・・・・やはり“ELLINGTON”

2007-10-27 | CONCORD
A TRIBUTE TO DUKE ELLINGTON

よく、キリ番という。
丁度、100とか、1000とかキリのいい番号のこと。
50や500は、キリ番の丁度中間点。自分の埃を被っていたConcordのアルバムの棚卸しもやっと50番になった。
Concord Jazz Festivalのライブ演奏のプライベート録音からスタートしたコンコルドレーベルも、この頃(1977年)になるとリリースのピッチも上がり、ニッチではあるが確固たるポジションを得るようになった。

最近、自分のブロクでもエリントンの話題が多かったが、このConcordのキリのいい50番(CJ-50)も、たまたまエリントンに捧げたアルバム。
Concordのハウスバンドがゲストを迎えて、皆でエリントンを追悼する。
現役復帰したローズマリークルーニーに加えて、ウディーハーマン、トニーベネットそしてビングクロスビーなども馳せ参じる。
バンドのメンバーにとっても、ゲストとして参加した歌手にとっても、エリントンに対する想いはそれぞれ違うかもしれない。でも、自分達の演奏や歌に何らかの影響を与えた大恩人であることには違いない。

軽快なTulip Or Turnipに乗って、初の黒人国連大使、Andrew Youngのイントロダクション。エリントンに対する賛辞で始まる。入れ替わり立ち代りゲスト加わる演奏が続くが、どのセッションもコンコルドらしい飾りっ気のない演奏が続く。
デビューしたばかりの、スコットハミルトンも大先輩たちに囲まれて早くもコンコルドの顔の一員としてすっかり溶け込んでいるのが印象的だ。
曲もメンバーも特に紹介するまでもないが。改めて聴きなおすと初期のコンコルドの良さが凝縮されたアルバムかもしれない。録音の良さも含めて。
トニーベネットは、ピアースのピアノをバックにデュオで決めている。ウディーハーマンも、ホッジス張りのねちっこいアルトを聴かせてくれるが。
全体をスイングさせているのは、ピアース、バドウッグ、そしてハナのリズムセクションだ。

Tulip Or Turnip
 Introduction Ambassador Andrew Young
Don’t Get Around Much Any More
 Bing Crosby
MainStem
 Instrumental
In A Sentimental Mood
 Woody Herman
I’m Checking Out - Good Bye
 Rosemary Clooney
Prelude To aA Kiss
 Tony Bennett
It Don’t Mean A Thing If It Ain’t Got That Swing
 Instrumental
I’m Just A Lucky So And So
 Tony Bennett
What Am I Here For ?
 Instrumental
Sophisticated Lady
 Rosemary Clooney

<Personnel>
Rosemary Clooney (vol)
Tony Bennett (vol)
Bing Crosby (vol)
Woody Herman (as)

<The Band>
Nat Pierce (p)
Scott Hamilton (ts)
Bill Berry (tp)
Monty Budwig (b)
Jake Hanna (ds)

Originally released on Concord CJ-50



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モダンBIG BANDの原点は・・・?

2007-09-10 | MY FAVORITE ALBUM
WOODY HERMAN / SESOND HERD

ベイシーのオーケストラ。自分の一番のお気に入りの作曲家&編曲家というとNIEL HEFTY。好きな曲が多いという理由もあるが。
すでに紹介した、BASIE (アトミックベイシー)と、BASIE PLAYS HEFTIがその代表作だ。このニール・へフティ、ウディーハーマンのオーケストラにもアレンジを提供していたそうだ。あまり気にも留めていなかったのだが。
ハーマンといえばセカンドハード。試しにセカンドハードの演奏している曲を眺めてみると確かにへフティーの名前とアレンジがある。

セカンドハードといえは、サックスセクション(ゲッツ、シムス、コーン)。
曲はアーリーオータム。編曲はラルフバーンズ・・・・と、イメージはこれに尽きる。
このアルバム自体、その曲が入っていたので買い求めた次第だ。

改めてこのアルバムを通して聴いてみる。
キャピタルに移籍して吹き込まれた曲の中から、歌伴を除いたオーケストラ演奏だけを集めたもの。それなりに、意味ある選曲だ。

ちょうど、自分が生まれた前後の録音。
Bopが流行っていった頃のオーケストラの演奏は如何に変わろうとしたのか?アレンジャーの個性と共に、それだけでも興味ある内容だ。
戦後の復興の時、そして試行錯誤の時代であり、世の中のエネルギーが何でも新しい物を求めていて、それに正解があった訳ではない。
このハーマンのオーケストラは、この難題にチャレンジしていた。

ボーカルのバップコーラスを加えたり、バーンズに斬新なアレンジを依頼したり。いわゆる「スイングオーケストラの次世代」というのではなく、スイングを超える次世代のオーケストラを目指していた。
その意味では、ベイシーオーケストラがモダンスイングの頂点を極めたとすると、ハーマンのオーケストラは、ガレスピーのオーケストラと同様に、本当の意味のモダンビッグバンドの原点ともいえる。

そのアルバムは、ラルフバーンズがアレンジした曲が半分。
いわゆるフォーブラザースサウンド、サックスのクールなサウンドの高音域のアンサンブルが特徴だ。
残りは、ショーティーロジャースが半分。ラルフバーンズと好対照な、バップ色の強い歯切れのよいアレンジ。
この時代のハーマンは、2人の特徴あるアレンジャーのお陰で、ガレスピーに負けない派手なバップサウンドと、クールなウェストコーストサウンドに繋がる2つの顔を持つオーケストラだったことが分かる。
その間に挟まるように、へフティのアレンジやアルコーンの編曲が加わっている。

メンバーの入れ替わりも短期間で激しく変っている。あの、ゲッツ、シムス、コーンが一緒にプレーしたのも、このセカンドハードの活動のほんの一時期だった。
プレーヤーの変化に加え、編曲者によって、オーケストラの演奏も微妙に異なっていくのが分かる。
その後、西海岸を中心に活躍したジャズミュージシャンの大部分がハーマンオーケストラの出身という事実を見ても、このハーマンオーケストラのエネルギー、演奏はもちろんのこと、それを支えたアレンジャーの活躍も重要だったのであろう。

へフティーのアレンジはThe Great LieとTenderlyの2曲だけだが、何となく、ベイシーのアレンジの予兆を感じる。
Spainでは、トランペットの席に座っているが、アレンジはバーンス。

改めて、このセカンドハードを聴いたがすごいバンドだ。この前向きのパワーが、代は替わっても50年以上持続したのに更に感心する。
ハーマンが過小評価されているような気がする。

<Session 1 >

That's Right
Lemon Drop
Early Autumn
Keeper Of The Flame

Stan Fishelson, Bernie Glow, Red Roney, Ernie Royal (tp)
Shorty Rogers (tp,arr)
Bill Harris , Bob Swift, Earl Swope, Ollie Wilson (tb)
Woody Herman (cl, as, vo) Sam Marowitz (as)
Stan Getz, Zoot Sims, Al Cohn (ts)
Serge Chaloff (bs)
Lou Levy (p)
Chubby Jackson (b,vo)
Don Lamond (d)

Recorded in Hollywood, CA, December 29~30, 1948

<Session 2 >

Not REally The Blues
The Great Lie
Tenderly
Lollypop
Rhapsody In Wood

Stan Fishelson, Al Porcino, Ernie Royal, Charlie Walp (tp)
Shorty Rogers (tp, arr)
Bill Harris, Earl Swope, Ollie Wilson (tb)
Bart Varsalona (btb)
Woody Herman (cl, as, vo)
Sam Marowitz (as)
Gene Ammons, Buddy Savitt (ts)
Jimmy Giuffre (ts, arr)
Serge Chaloff (bars)
Lou Levy (p)
Oscar Pettiford (b)
Shelly Manne (d)

Neal Hefti, Johnny Mandel (arr)

Recorded in NYC, May 26, 1949

<Session 3>

Spain

Conte Candoli , Paul Cohen , Don Ferraro , Bernie Glow , Neal Hefty(tp)
Eddie Bert , Jerry Dorn , Bill Harris (tb)
Woody Herman (cl, as, vo)
Sam Marowitz (as)
Al Chon , Bob Graf , Buddy Wise (ts)
Marty Flax (bs)
Dave Makenna (p)
Sonny lgoe (d)
Milt Jackson (vib)

Recorded in NYC, May 5, 1950

<Session 4>

Music To Dance Of You
The Nearness Of You
Sonny Speaks
Starlight Souvenirs

Conte Candoli , Rolf Ericson , Don Ferraro , Doug Mettome (tp)
herb Randel , Jerry Dorn , Bill Harris (tb)
Woody Herman (cl, as, vo)
Sam Marowitz (as)
Phil Urso , Bob Graf , Buddy Wise (ts)
Marty Flax (bs)
Dave Makenna (p)
Sonny Igoe (ds)

Recorded in NYC, June 25, 1950


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