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開発の初めから順番に書いていってみる その15:要求分析(1)要求仕様書

2007-03-27 13:35:45 | 開発ネタ

 シリーズ「開発の初めから順番に書いていってみる」の続きです。
 前回までで、立ち上げの成果物にあたる「プロジェクト計画書」について書き、その中で、スケジュールの元となるアクティビティは、開発標準に基づくことを書きました。

 で、開発標準は、各社各様ありますが、初めに、要求分析が来るっていうことは書きました。つまり、次にやることは、要求分析です。

 ということで、今回は要求分析についてです。




■要求分析とは

 これからシステム開発を行うにあたり、何をつくるのかを定義することです。
 何の部分が、要求に当たります。

 この要求には2種類あります。
 1種類は、システムっていうのは、情報処理、すなわち、何かのデータを入力し、処理を行い、出力を出すことです。
 この入出力(データ)と、処理=業務について、なにを行って欲しいかを出す部分があります。
 つまり、本システムで行う業務について定義する部分で、これを、機能要件といいます。

 もうひとつは、見た目はこうして欲しいとか、何秒以内に帰ってきて欲しいという、業務そのものではなく、業務を遂行するに当たっての要求があります。これが、非機能要件にあたります。

 つまり、要件には、機能要件と、非機能要件があります。
 これらを分析していくのが、要求分析になります。




■要求分析の成果物-要求仕様書

 要求分析を行ったら、それを成果物の形にまとめる(ドキュメント化)しなくてはいけません。その成果物が、要求仕様書ってことになります。

 要求仕様書には、したがって、機能要件と、非機能要件を書くことは当然なのですが、それ以外にも、機能要件や非機能要件を読む上で、知っていなければいけない用語の定義や、どーして、そんなことが出てくるのかといった、目的などについても、書かないと意味通じません。これらをまとめて、「要求プロセス完全習得法」という本の中では、「システム制約」という言葉で書いています。




■要求仕様書の書き方-その1:IEEE 830

 要求仕様書の書き方には、IEEEで決めたやつ(IEEE 830)があります。
 それでは、以下のように定義しているようです(言うまでもなく、実際の仕様は英語です)。

1.はじめに
 1-1.目的
 1-2.範囲
 1-3.用語定義
 1-4.参考文献
 1-5.概要
2.要求仕様の一般的な説明
 2-1.製品の背景
 2-2.製品機能
 2-3.ユーザー特性
 2-4.制約
 2-5.仮定および依存性

3.要求仕様の具体的な説明
 3-1.外部インターフェース
 3-2.機能
 3-3.性能要求
 3-4.論理データベース要求
 3-5.設計の制約
 3-6.ソフトウエアの属性
 3-7.要求仕様の段落構成
4.付録
5.索引

「ビジネスコミュニケーション」の要求工学 > 第3回 要求仕様より引用)

 で、これに基づいて書いたサンプルとしては、
SEのための仕様の基本 山村吉信著 翔泳社 2005 ISBN4-7981-0803-0
の62ページから67ページにあります(その前の部分は説明になっています)。




■要求仕様書の書き方-その2

 っていうと、さっきの機能要件、非機能要件、システム制約が良くわかんなくなってしまいます。実際これらの定義は別々に行うので、章立てとしても、別々のほうが書きやすいです。
 という場合、「要求プロセス完全習得法」のボレーレテンプレートを使うっていうことになります。
そこのシステム制約、機能要件、非機能要件のみを抜き出すと、こんなかんじ。
1.システム制約
	1-1.システムの目的
	(1-2.依頼主、顧客、その他の決定権者)
	1-3.システムのユーザー
	1-4.要求制約
	1-5.命名法と定義
	1-6.関連事実
	1-7.仮定
2.機能要件
	2-1.システムの範囲
	2-2.機能およびデータ要件
3.非機能要件
	3-1.ルック・アンド・フィール要件
	3-2.使用性要件
	3-3.パフォーマンス要件
	3-4.運用・操作要件
	3-5.保守性および可搬性要件
	3-6.セキュリティ要件
	3-7.文化的および政治的要件
	3-8.法的要件

(「要求プロセス完全習得法」154,155から引用、数字は通し番号をウィリアムのいたずらが、章ごとに振りなおしています)。

 ただし、1-2は、要求仕様書には、書かないほうがいいと思います。
 ちなみに、このあとに、ボレーレテンプレートでは、「4.プロジェクト課題」という、以下の項目が続きます。
4.プロジェクト課題
	4-1.未解決課題
	4-2.既製品による解決策
	4-3.新たな問題
	4-4.必要作業
	4-5.本番稼動(カットオーバー)
	4-6.リスク
	4-7.コスト
	4-8.ユーザー向け資料の作成
	4-9.要件予備軍

(「要求プロセス完全習得法」154,155から引用、数字は通し番号をウィリアムのいたずらが、章ごとに振りなおしています)。
でも、これを要求仕様書に書く必要はないでしょう。
かきかたについては、「要件プロセス完全習得法」の387ページからに載っています。




■ 要求仕様書の書き方-その3

 いままで、富士通の公開されている開発標準(ComponentAA開発標準)を書いてきたので、ここでも書いてみましょう。要求分析はSA工程にあたります。SA工程でのドキュメントは、以下のとおりです。

	SA01 業務要件定義
	SA02 業務機能概要定義
	SA03 業務運用要件
	SA04 システム間インタフェース概要
	SA05 概念ER図
	SA06 ユースケース・エンティティマトリクス
	SA07 業務用語定義


富士通関係の人なら意味通じるけど、それ以外の人は、なんじゃそりゃ(^^;)
ですよね。
この実物を知りたい人、書き方を知りたい人は、
1.ComponentAA開発標準
http://segroup.fujitsu.com/sdas/technology/develop-guide/1-caa.html

の、表の上にある
ComponentAA開発標準 ドキュメント標準編1.0a版ダウンロード
をクリックして、アンケートに答えるとダウンロードできます。そのドキュメントに書いてあります。




 ということで、今回は要求仕様の内容と、その成果物である、要件仕様書について、書いてみました。次回は、要求仕様書を作成するための手順について書きたいと思います。
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