人生修行の旅

「笑って、野垂れ死ぬ!!」
そのために、この人生をどう生きて、この命を何に使うか?人生一度きりの生き方を実験中!!

エベレストBC6泊7日の旅 ⑦Go down

2014年06月21日 | 
 2014年5月9日

翌朝、トイレから動けなくなった。胃液に交じって、赤いのが出ている。口の中が苦々しく鉄の味がする。

トマトを食べたと思い込もう(笑)

一刻も早くこの標高から脱出せねば。

バックパックに荷物を適当に詰め込み、おかみさんに丁重にお礼を伝え、5000mのロッジを後にする。



「Go down Go down Go down」

一人でつぶやく。

ちょっと頭がおかしくなってきている!!

急ごうとするものの15kg超のリュックと2日間ほぼ絶食状態のふらふらの身体が動きをスローにする。

天気は快晴。



最高の景色だ。



この景色を味わいながら~

なんて考えている場合ではない。

一瞬でも油断すれば、倒れてヘリコプターを呼ばれて60万円かかってしまう。



何としてもそれは避けたいところだ。

下ってくるトレッカーが無口な理由が分かった。

多分、皆疲れているのだ。

2時間毎に地図でチェックポイントを作り、意図的に休むようにする。

高度が下がるとともに、嘔吐はしなくなってきた。

少しずつ身体の機能が動き出す。

あえて言うならば、昨日は身体の機能を止めて、魂を削って動いているようなものだった。

朝8時から動き始めて、5分の小休憩を4回、30分のお茶タイムを1回挟みながら、

目的地のロッジに向かう。

18時に軍隊の管理するチェックで、「おい、このままだと日が暮れるぞ!!」



「多分、大丈夫!!」と答える私。何が大丈夫か分からないけど(笑)

下り坂を急ごうにもすぐに転んでしまう。

がくがくと足が震え、生まれたての子羊のようだ。

沢沿いに歩くと暗闇が忍び寄る。過去に同じように沢で遭難した時の恐怖を思い出した。


約3日間何も食べてない身体にも関わらず、すごい勢いで走り出す。

一体どこにそんな力があったのだろう。これが、火事場のクソ力というやつかと我ながら感心する。

そして、7時ちょうどに暗くなったところで2700mのニルヴァナロッジに到着。



宿に入ると遅い時間にも関わらず、ロッジの夫婦は私を温かく迎え入れてくれた。
食堂での夕食は終わっていたために、厨房の中に招かれイスに座ると、
こちらの状態を察して胃腸に優しい食事を提供してくれる。



ロッジのオーナーKAZIさんは、なんと元柔道家で、ネパール代表だったこともある強者。



初対面にも関わらず、柔道話に花が咲いた。

得意な技は?
柔道のどこが好きなの?
柔道をやめた後はどんな気持ちで毎日を過ごしていたの?

KAZIさんは、生きていくために泣く泣く柔道をやめざる得なかった。
やめた2年間くらい頭がおかしくなったほど、本当に柔道を愛しているのが伝わってきた。

そんなKAZIさんは、もう柔道と離れて久しい。
「シェルパ族の子供たちに柔道を教えたい。しかし、畳がない。だから、私は来世ではここに柔道場を作って
 
 柔道を教えるよ!」(シェルパ族は基本的にチベット仏教の方々が多く輪廻転生の考えを持っている。)
KAZIさんの中では、柔道をするのが来世になっている。

「今世でやりましょう!」

畳の問題や様々な問題があるけど、なんだかきっと大丈夫な感じがした。
そして近い将来このような問題を大きな視点で解決に結びつける柔道関係者が出てくるような気がする。





ロッジでは色々な国の方々と会話するが、このロッジのように自家栽培の野菜等を打ち出したロッジに泊まる方々は、

国とか肌の色は関係なく、何となく似ている価値観が似ている。

インドのトレッカーともすぐに打ち解け、

お互いのそれぞれの国に対する明らかに間違っている双方のイメージで大爆笑した。

旅は年齢を重ねるとともに、物の見方や捉え方が変わってくる。

旅人にいい年齢などないのだと勝手に自分で納得して、言い聞かせて

久々の快適な夜を過ごす。
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