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糠床からシンナー臭?はい、捨てずに復活させましょう!

2013年11月23日 | 食・レシピ

糠床を育てていらっしゃる皆さんは、そんな場合、どうしますか?

インターネットは便利で良いのですが、実際に「糠床、シンナー臭」で検索すると、ほぼ、全ての解決策として「残念ながら、あきらめて、捨てましょう」「新しく作り直しましょう」などと、とんでもない事が吹聴され、また、皆がそれを信じてしまっている様ですね。

それは、大きな誤りですよ、皆さん!

シンナー臭のする糠床だって、ちゃんと生き返ります!

捨てちゃ駄目ですよ!

あぁ、糠床の育て方をロクに知らない連中がネット上で無責任な発言をする事で、年代物の貴重な糠床が、これまでにどれだけ捨てられてしまった事でしょうか。お嫁さんがお姑さんから受け継いだ、または、お嫁さんが嫁入り道具の一つとして実家から持たされた、しかも何世代も受け継がれた様なスーパー熟成糠床が、そんな無知で無責任な連中の発言によって失われてしまうのは、とても嘆かわしい事です。

皆、シンナー臭のする糠床の治し方を知らない様ですので、今回、この記事でご紹介してみる事にしましょう。何せ、僕自身が実践している方法ですから、間違い有りません。あっ、但し、あらかじめ申し上げておきますが、この方法を用いた後、しばらくは、米こうじの風味が強く出ますので、元々の糠床の風味を一時的に失ってしまいます。ですが、確実にシンナー臭を消しますので、更に数週間から月単位の時間を掛けて、新しい糠を足し、キャベツ外葉などの捨て漬けを繰り返しながら、皆さん自身の糠床育成によって、元の糠床に戻して行ってあげて下さい。

 【材料】

  • 粉からし (「原材料:からし、澱粉、着色料(うこん)」の表示で大丈夫。量は多目に。)
  • 甘酒 (濃度はストレート。出来れば濃縮は避けたい。なお、熱い場合は冷ましてね。)
  • 練り酒粕 (板状酒粕だと、糠床に馴染むのに時間が掛り、かなりのタイムロスです。)

これだけで治せるのです。たった、これだけで。

何故それだけで良いのか。その為には、糠床がシンナー臭を発する、そもそもの原因から考えて見る事にしましょう。

以前に、僕のこのブログに記載した2011年10月2日付の記事、「糠床を元気に保つ秘訣!」(http://blog.goo.ne.jp/wasabidaikon/d/20111002)もご参考にして下さいね。

 【犯人は菌の繁殖】

「ハンゼヌラ」と言う産膜酵母が繁殖し、「酢酸エチル」を発生させている為です。シンナー臭は、この酢酸エチルの匂いなのです。

 【糠床が硬めではないですか?】

産膜酵母は好気性菌です。糠床の表面だけでなく、掻き回す際に中からもシンナー臭が沸き立って来る場合、恐らくその糠床では、水抜きを使って水を抜く様な状態とは逆に、硬めで、どちらかと言うと「ぼそぼそ」した感じに成っているのではないでしょうか。

この様な硬めの糠床で「ぼそぼそ」した感じの場合、糠床全体に空気が入ってしまい、隙間だらけの状態に成る為、嫌気性菌の植物性乳酸菌の働きが弱まり、表面だけでなく、底の方も含めた全体で、好気性のハンゼヌラが繁殖してしまった訳です。

 【好気性菌の活動をにぶらせろ!】

粉からしを混ぜ込みます。実際には嫌気性菌の活動まで鈍らせてしまうのかもしれません。好気性菌の産膜酵母が繁殖していない状態で、発酵が進み過ぎの酸っぱい糠床に粉からしを混ぜ込むと、植物性乳酸菌の活動が抑えられ、酸味を弱める事が出来ます。なので、粉からしは、嫌気性、好気性を問わず「菌」の活動を抑えるのだと思います。

そうなると、ただでさえ弱まっている植物性乳酸菌の働きまで、更に弱める事に成るのですが、心配ご無用。この後、植物性乳酸菌を復活させる「アンプル剤」が処方されますから。

ちなみに、僕が粉からしを入れた後、次の「アンプル剤」処方までの間、中二日は様子を見ます。粉からしも効果を発揮させるまで、しばらく時間を与えてあげましょう。この二日間も、一日一回は掻き回し、からしを馴染ませてあげて下さい。

 【糠床内の空気を追い出せ!】←(これが最重要!)

糠床全体に好気性のハンゼヌラが繁殖している。と言う事は、糠床内の空気を抜けば、ハンゼヌラの繁殖可能な場所は、糠床表面だけに限定され、表面での繁殖も抑え込めれば、ハンゼヌラの撃滅に成功するのです。

空気を追い出す為の手っ取り早い方法は、水分を流し込む事です。空気が入って隙間だらけに成っている糠床に、水分を足し、硬めに成っている糠床をゆるませ、糠床内の隙間に水分を行き渡らせて、糠床から空気を追い出してしまいましょう。

その際に、単純に「水」(一度沸騰させてから冷ました「湯冷まし」)だけを入れる方法でも目的は達成出来ますが、僕の場合は、水では無く、粉からしを入れてから、三日目に、「甘酒」を糠床に飲ませます。甘酒の原材料は、米、こうじ、塩。これだけでしょ?糠床に悪影響の物は無いですし、米の澱粉質を麹が分解して糖化して甘いのです。この甘さ、糖分が糠床内の植物性乳酸菌のエサなのですから、単純に水を入れるより、ずっと効果が高い筈ですよね。

なお、分量ですが、さすがに水没(甘酒没?)させてしまう必要は有りません。かなり多目に飲ませないと効果は期待出来ないので、ある程度の量は必要ですが、何となく、の感覚で説明しますと、糠床に蓋をして片付ける際に、糠床表面を平らに均して蓋をしますよね。その平らにした表面を、手のひらで触れて、離す時に、一瞬手のひらにくっ付いて来て、プルンッと弾力の有る離れ方をする様な感じ。表面は水分でテカテカ光っていて、とにかく、プルンプルンした感じ。水抜きを埋めて、排水したくなる水分量。平らに均してから人差し指の第一関節と第二関節の間位まで突き刺して作った穴に、水分が上がって来る事が確認出来る位、かな。

また、あらかじめ申し上げました「米麹」の風味(独特の甘味)が強く出るのは、この甘酒の影響です。甘味が強すぎると、「糠床」では無く、べったら等の「こうじ漬けの床」になってしまいます。これを元の「糠床」に戻すのは、また少々根気の要る作業となるので、甘酒は、濃縮物でなく、ストレート濃度で充分なのです。

但し、年代物の糠床等で、米麹の風味が出てしまう事に抵抗を感じる場合は、甘酒では無く、単純に「水」だけの使用とする事を、お勧め致します。(但し、一度沸騰させてから常温に戻した「湯冷まし」である事。)

 【植物性乳酸菌を増やせ!】

甘酒を適量飲ませた後は、練り酒粕を混ぜ込みます。板状酒粕では、馴染むのに時間が掛かる上に、ほぐすのが面倒なので、「練り」が良いと思います。なお、甘酒投入から酒粕投入までは、一日有れば良いでしょう。酒粕投入は甘酒投入の翌日で大丈夫です。

甘酒を飲ませて、更に酒粕を混ぜ込む。主原料が同じ米、麹。何だか重複して無駄なんじゃないの?と言われそうですが、甘酒は、「糠床内の空気を抜く事」が第一の目的。更には糠床内の植物性乳酸菌に対するエサとしてのスーパー即効性。酒粕は、即効性も有るけど持続性も高い優れもの、と言った感覚で使っています。

酒粕は、練りタイプを使っても、馴染むのに三日は欲しいですし、ハンゼヌラが生成した酢酸エチルの揮発、匂い抜きにも多少時間は欲しいので、そうですね、粉からし投入から次回野菜を漬けられる様に成るまで、少なくとも一週間は野菜を漬けずに、糠床の回復を待ちましょう。なお、その一週間も一日一回はしっかり、丁寧に掻き回してやって下さい。

これで糠床は復活する筈です!

皆さん、糠床がシンナー臭く成っても、ネット上の他の情報を信じて、簡単には捨ててしまわない様にお願いします。

しかし僕のこの方法を実践しても、それでも駄目な場合。その時は本当にあきらめますかね。

兎に角、「美味しい食事を提供したい」と言う、想い(愛)が込められ、日々育てられて来た糠床です。簡単にはあきらめないで!

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15 コメント

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以前 シンナー臭のぬか床を捨てていました (ケンケン)
2014-06-29 22:36:37
以前 シンナー臭のぬか床を捨てていました
それは 何処を探しても 復活不可能との事
この掲示板を 拝見し半信半疑で ダメもとで
手順どうりにやってみると 何とびっくり
2週間後 完全ではないが シンナー臭は殆ど消え
仄かに 甘い酒の香りがし 野菜を漬けてみると
今まで以上の美味しい ぬか漬けが出来ました
大変感謝しております これからは大事に程よい水分を
確保しながら 管理していきます 有難うございました
ケンケンさん、コメント戴き、有難うございました。 (ブログ筆者)
2014-07-01 02:11:48
ケンケンさん、コメント戴き、有難うございました。
この記事に対するコメントの第一号です。
糠床は可愛いペットみたいなもので、毎日、ちょっとずつ機嫌が変わります。
調子の良い日も有れば、ご機嫌斜めの日も有るので、とても楽しいものです。
この記事は、糠床を病気の状態から回復させる治療法みたいなものですが、ケンケンさんも、そしてこの記事をご覧の皆様も、ご自分の糠床を、大切に育ててあげて下さいネ。
本日、大切に育てて来たぬか床から異様な刺激臭が... (シラコ)
2014-08-15 22:56:19
本日、大切に育てて来たぬか床から異様な刺激臭がし、悲しみにくれておりました所、こちらの記事を拝見し、希望がわいて来ました。
現在浸かっている野菜は全て破棄してからの粉からしでしょうか。
御意見頂けたら幸いです。
シラコ様、コメントを戴き、有難うございます。 (ブログ筆者)
2014-08-23 23:34:22
シラコ様、コメントを戴き、有難うございます。
業務多忙にて、コメントを戴いている事に気付かず、掲載が遅く成りまして申し訳ございませんでした。
一番大切な事は、「空気を追い出す」事ですので、「粉からし」に、あまりこだわる必要は有りません。
正式な記事には、粉からしから着手、としていますが、一番大事なのはあくまでも、湯冷まし、甘酒などでヒタヒタにして空気を追い出す事です。
実際には「粉からし」の手順は飛ばして、いきなり、ヒタヒタ作戦に突入しても構いませんよ。
なお、ヒタヒタ作戦ですが、正式記事には「水没させなくても」と書きましたけど、「水没」させても良いですからね。むしろその方が効果テキメンです。
記事の通り「甘酒没」ですと、甘酒に掛る費用が高額に成ってしまうので、「水没させなくても」と書いた次第です。

なお、質問戴いた点ですが、現在漬かっている野菜は、匂いがキツくて、食べられないでしょう??
食べられる様でしたら、毒では無いので食べても問題有りませんが、僕の場合はどうしても食べられず、捨ててしまいましたよ。
なので、意味合いとしては「何も漬かっていない状態で、オペレーション開始」です。
前回シンナー臭でお世話に成りました (ケンケン)
2014-10-11 23:03:22
前回シンナー臭でお世話に成りました
お陰で 他に無い美味しい糠漬けに有りつけております
今回10月にはいると 突然糠床の表面が 灰色に成っておりました
捨てるべきか かき混ぜるべきか?
取りあえずは 毎日かき混ぜております
何か良い策が有れば? サイト上では表面の糠を捨てて
新しい糠と塩を足して と書いて有りました これで良いでしょうか?
何か他に方法でもあれば 御指導お願いします
又原因は何処にあるのでしょうか
ケンケン様、コメント戴き、有難うございます。 (ブログ筆者)
2014-10-12 22:56:16
ケンケン様、コメント戴き、有難うございます。

糠床表面の灰色の原因は、実際には大きく2種類が考えられます。

一つは「産膜酵母」の繁殖です。(多分、一般的にはこちらが多いと思われます。)
2011年4月3日記事「産膜酵母(写真有り)」
http://masato.de-blog.jp/weblog/2011/04/post_39bb.html
に記載しましたが、好気性菌の繁殖です。

二つ目は、ご覧戴いた
2013年10月8日記事「糠床表面が灰色に!?(写真解説付き)」
http://masato.de-blog.jp/weblog/2013/10/post_80d2.html
の通り、化学反応です。

僕はどちらの場合も、あまり深く考えずに対処してしまっています。
実際には、程度にもよるのですが、僕の場合、最近は表面の糠を捨てる様にしていますね。
当然、混ぜ込む場合も有りますが、糠全体の水分量によります。

水抜きで水を排出したくなる程度に全体が水分を含んでいる様であれば、混ぜ込んでしまっても構いません。
産膜酵母が原因の場合、シンナー臭を出す「ハンゼヌラ」と同じで、
好気性菌ですから、水分を含んだ(空気量が少ない)全体に混ぜ込んでしまえば、
繁殖は抑えられる為です。
また、化学反応であった場合は、それこそ何も考える必要無く、混ぜ込んで大丈夫です。

いずれにせよ、表面を削いでしまって、糠が少なく成った分を、新たに補充する事で、
糠床の植物性乳酸菌に、新しい糠(=エサ)を与えた方が、全体としては
有効の様な気がします。
また、「変色」そのものが、なんだか気持ちの良い物では無いですからね。

当然、足し糠時には水分が少なく成りますので、
今度は「ハンゼヌラ」の繁殖が予想されますので、甘酒で無くとも、湯冷ましで
水分も補給する事を、忘れない様にしたいですね。

なお、「メイン」ページ(最新の記事)に記載しましたが、
本ブログは、サーバー引越しの為、今後少々の間、
新規記事、コメント対応が出来なく成ります。

新サーバーに移行しましても、皆様、どうぞご贔屓の程、
何卒宜しくお願い申し上げます。
ありがたきしあわせ (ハリーキノシタ)
2019-05-22 22:40:18
今まで何度も失敗して捨てていました。
書いてある通りに実行したら、本当に成功しただけでなく、今まで以上においしくなりました。感謝感謝です
奥が深いですねー
ハリーキノシタ様、コメントを戴き、有難うございます。 (ブログ筆者)
2019-05-24 01:01:57
ハリーキノシタ様、コメントを戴き、有難うございました。
糠床は乳酸菌以外にも、記事の通り「ハンゼヌラ」、他には雑巾臭の「酪酸菌」も有ります。
好気性菌、嫌気性菌のそれぞれの特徴に合わせてメンテナンスする事で、糠床は美味しく保てますし、色々な野菜を漬けていますと、日々、糠床の状態、表情も変化します。何だか、ペットを飼っているかの様な、愛着が湧いて来ますよ。
ハリーキノシタ様は、人体に触れるお仕事だそうですね。指先の感覚で人体(生き物)の状態を判断されていらっしゃる訳ですから、糠床も「植物性乳酸菌」と言う生き物ですので、慣れて来ますと、僕よりもハリーキノシタ様の方が、糠床の状態把握は正確に捉えられる様に成るのではないでしょうか。
僕の東京の自宅マンションの最寄り駅から、千歳○山迄は、相互乗り入れの線で乗り換え無しの一本です。ハリーキノシタ様のWebページを拝読し、親近感と言いますか、嬉しい気分に成りました。
ハリーキノシタ様の糠床が、より一層美味しく成ります事を祈念致しております。
ぬか床のシンナー臭 (こぽち)
2020-05-28 09:58:01
何度か捨てていました。今年、ぬか床を触るとき必ずゴム手袋をはめたら臭くなりません。ゴム手袋が面倒なら手をよくよく洗う、アルコール消毒をする、などのやり方で手の雑菌を入れないようにしたらどうかなと思います。 また、糠を足す時、必ず乾煎りをするようにしています。これも効果の一つかなと思っています。
お詫び申し上げます。 (ブログ筆者)
2020-08-23 10:17:33
こぽち様、コメントを戴いておりながら、お返事が3か月も経ってしまいまして、心からお詫び申し上げます。
ゴム手袋の使用ですか。僕は「手の雑菌」も「風味付け」の一つと思っておりましたので、これまで素手で触れておりました。
なるほど、今後は僕もゴム手袋を使用してみますね。
但し、これまで素手で触れていたので、ゴム手袋の効果が確認出来るのは、僕の糠床では、かなり時間を要する事に成りそうですが、実践してみます!

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