おひとり様てるこの日記

てることいいます。50歳過ぎましたが気ままに生きてます。人生の危機感ゼロ。

また救急車に乗っちゃった。

2020-11-14 18:38:00 | 日記
真夜中、父がゴソゴソ動いている音で目が覚めた。

去年、熱中症で父は入院したのだけれど、それから夜中に具合が悪くなることが何回かあって、私は父のすぐ近くに寝ている。

父が居間で寝て、私はすぐ隣のキッチンの狭い場所に無理矢理布団を押しこんで寝ているのだ。だから、父が少しでも変な感じになると、すぐ気付ける。

前夜、父は激しく咳き込んで止まらなくなっていた。もともと、逆流性食道炎だし、水を飲んでも激しく咳き込む時があるので、誤嚥性肺炎にならないかハラハラすることがあった。

電気をつけて父を見ると、トイレに行きたいのだがなかなか起きられないらしい。布団の上でうつ伏せになってもがくように動いていたが、ようやく起き上がりフラフラとトイレに行った。

しかし、足取りが怪しい。うまく前に進めてない。父は熱を出すと頭がボーっとしてしまう癖(というのかわからないけど)があって、この足取りはそれかもしれないと布団に戻ったところで体温計を脇に挟んでみたら、38度あった。

コロナ?と頭の中を流星群のようにたくさんよぎる。スマホで地元のコロナ関係を検索して電話をするが、夜中までやっているところはずっと話し中。父は80歳を超えている。もしコロナならあっという間に重症化してしまうだろう。

ある医療関係の機関に電話が繋がり、当番医を教えてもらうが、そこはとても遠い場所で、父の今の状況でもしコロナならばタクシーでなんか行けそうにない。仕方なく救急車を呼んだ。

救急車に乗るのは何回目だろう?もうわからない。5回目くらい?まさかここ何年かでこんなに救急車のお世話になるとは思わなかった。そのうち一回だけ私がお世話になったのだが。

救急車が来る前にパジャマから普段着に着替えて、父の保険証、お薬手帳、普段飲んでいる薬、靴、そして前回の経験から紙オムツ、スウェットの下のズボンをトートバッグに突っ込んだ。あと、財布とスマホと家の鍵と帰りに着る父の上着。

驚くほど慣れている自分!と思っていたが、病院に着いてから父の杖を忘れていたことに気づいた。まだまだだな。

救急車が着いて、救急隊の皆さんが来たら、意外にも普段通りのユニフォームにマスクをして来た。38度以上熱があって高齢なことは伝えてあったので、例のコロナ対策の格好で来るのかと思っていた。もし父がコロナだったら大丈夫なのかな?と思った。

救急車の中で、結局先程電話で教えてもらった、遠方の病院に行くことに決まった。ずいぶん長いこと走り、ほぼUターンしたんじゃないかくらい曲がり、漸く病院に着いた。初めての場所だし辺りはまだ真っ暗だし、これで父がコロナだったらとか、不安しかなかった。

父は処置室へ行き、私は廊下のベンチでスマホをいじりながら待っていると、看護師さんらしき女性が出てきて、CTを撮るから同意書を書いてと言われた。その前にお薬手帳を渡した時に、小柄で痩せていてちょっと派手な化粧に、スナックのママみたいな人だなと思った。50代後半くらいのママはガラガラ声で最初からタメぐち。やっぱりママだ。肩まで伸びた髪は茶色で、細かいチリチリパーマがかかっている。

同意書を書いてママに渡すと、ママは処置室へ入り、やがて父が乗ったストレッチャーを一人で押して出てきた。父はママの倍体格がいい。心配になって見ていると、廊下の曲がり角でストレッチャーがお尻を振り、ママは振り回されていた。

お掃除の方々が先程からせっせと床を拭いていることに気付き、足を上げてみたりして協力した。まだ4時なのに、皆さん何時に起きてるんだろう?お年を召した、父くらいの方が何人かで掃除をしていた。

病院で働くのは直接患者に関わらなくても、感染症にかかるリスクは高くなるだろう。この方々のおかげで病院は清潔なのだ。ワクチンができたら、医療従事者だけではなく、病院のあらゆる場所で働く人も優先的に打てるようになるのだろうか?

しばらくして、ママとは違う看護師さんが点滴を打っているから父に付き添って欲しいと言いに来たので、処置室に入った。どこの病院も処置室は同じように殺風景だ。父は一番奥の部屋でストレッチャーに寝かされ、腕には点滴が繋がっていた。

点滴をしたせいなのか、先程よりはちょっと元気になっていた。腰が痛いから早くベッドから起きたいと盛んに言うが、点滴がまだ終わりそうにないので宥めた。枕はなんと箱枕のような長方体の固そうな枕だった。これでは腰も痛いだろうが、どうしようもない。

15分くらい待つと、若い男性の医師がやって来た。父の顔も見ずに「どうですか?」と聞いて、パソコンの前に腰をおろした。
父が「なんとか大丈夫」と答えた。この後全然大丈夫じゃなかったんだけど。「点滴もうやめましょう」と医師が言うと、後から入ってきた男性の看護師さんが点滴を外してくれた。

ようやくCTの画像を医師が見せてくれた。父は軽い肺炎だった。コロナの肺炎ではないと言われて、少しホッとした。「夜間はPCR検査ができないので、もしどうしてもやりたかったら昼間来てください」と言っていた。でも、どうやらこの医師は内科専門ではないらしく、説明の語尾を濁す。まあいい。何があったら、お前の名前を出してやんよと思いながら、お礼を言った。

父は看護師さんに手伝ってもらって、車椅子に座っていた。そして会計に支払いに行くと、警備員のおじさんが一人、広い受付の中に座っていた。とりあえず1万円払って、精算は後日らしい。この人が大変親切な人で、タクシーを呼んでくれた。普通、今までの経験だと、タクシーは自分で呼ぶんだけど。

薬剤師さんが薬を持って来てくれるまで、父と受付の前で待っていた。すると、急にガターン!と大きな音がして、振り向くと玄関脇にある売店で、おばさんがお茶のペットボトルが入った箱をひっくり返して床にばら撒いていた。

台車の上からひっくり返したようで、重すぎて台車が動かず、おばさんがヤケになったように台車を動かして、さらにお茶をばら撒いていた。時計を見ると6時半。こんな早くから仕事すれば、そりゃヤケになるよね。というか、私たちはそんなに病院にいたのかとびっくりした。

薬剤師さんが来て、薬の説明をしてくれた。親切に丁寧に説明してくれた。この人も、深夜にこうやって飛び込んで来た人のために働いているんだなと、頭の下がる思いだった。

やがてタクシーが来て、先程の警備員さんが知らせてくれた。「何があったらまた来るといいですよ。ここはいい病院です」と警備員さんが言った。実は私立の病院に運ばれて来たのは初めてだった。今までは公立の病院にばかり来ていたので、そのせいなのか警備員さんもマニュアル通りの人ばかりだった。いい病院かどうかはわからないけど、医師を除いてみんな親切だったことは確か。

父を何とかタクシーに押し込むと、行き先を告げた。運転手さんはずいぶん遠くから来ましたね、とびっくりしていた。外はすっかり明るくなっていた。タクシーから見た風景は全く知らない風景だった。どちらかといえば田舎のような、のどかな風景の中のなぜかくねくねした道をタクシーは走った。もしかしたらUターンするくらい曲がったと思えたのは、このくねくね道だったのか。

運転手さんが、実は夜勤明けでもう少しで帰るところだったので、お客さんラッキーでしたよと話し始めた。本当は介護タクシーを走らせていたのだが、資格を持った人が辞めてしまい、高いリフト付き車両が車庫でホコリを被っているそうだ。こんな時代だから余計に必要なのに、勿体ないと嘆いていた。

しかし、車を廃車にしてしまうと、次に車を増やしたくても運輸省が許可をくれないらしく、ずっと車庫にしまわれているんだとか。それから、退院する人をタクシーで迎えに行ったらトイレで転んで再入院になってしまったとか、タクシー会社には定年が無い会社があって80歳を過ぎるとまだ働ける人が移って働く会社があるとか、配車係のおばさんがおかしくなってミスを重ねるのでクビにしたら系列会社に知らん顔して面接に行っていたのがバレた話とか、なんだかずーっと運転手さんはしゃべっていた。でも、そのおかげで長い帰り道が面白かった。

家に着いて、運転手さんの手を借りて何とか父をおろして、そこから家までの階段をなんとか父を支えて登り、やっと家に入った時はもう7時半だった。父を着替えさせて洗濯したり、職場に連絡したり、朝ごはんを食べたりして、そのまま布団に倒れ込むように寝てしまった。

ハッと気付くと昼近くで、病院から電話がかかって来ていた。かけ直すと、一週間以内に支払いに来てくださいねということだった。寝ぼけ頭からようやく我にかえって、あの遠い道のりをまた行くのかとうんざりした。

が、仕方ない。あんな深夜から早朝まで働いている方々に助けられたのだから。と思い、また遠くまで行ってくる!







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2 コメント

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おひとり様 (mitu )
2020-11-15 10:43:27
はじめまして・・・
舅姑、両親、主人、を見送りのんびりと今は自分に時間を持て余しております。
主人はまだなくなってから半年まだ実感がわきません
脳卒中で20年間不自由な体でしたが、
熱中症で2度も救急車のお世話になりました。
亡くなる1週間前までは一緒に居れましたが、
容態が悪くなり病院に入りコロナではないが、面会できず、亡くなる前日にやっと病院に1泊出来て、
看取る事が出来冷たく成った主人を家に連れて帰る事が出来ました。
貴方様のブログ読ませていただき、不謹慎にも、
笑ってしまいました、救急病院は夜中でも帰らされてしまいます、朝まで置いてて欲しくても駄目なんですねー、あるある場面思い出します。
救急車で遠い病院に搬送されると帰りの車代間に合うか心配になったり、
どうぞお父様お大事になさってください。
Unknown (Unknown)
2020-11-15 23:27:38
ブログ主よりmitu様へ
コメントありがとうございます。
ご主人の看護で大変なご苦労をされたのですね。
笑っていただけて嬉しいです。
本当に夜間救急あるあるですよね。これで何度目のあるあるだろう、と私自身も笑ってしまいました。
マンションにエレベーターが無いので、せめてもう少し元気になるまで病院に置いて欲しいのですが、本当にすぐに帰されてしまい、正直途方に暮れることもあります。しかし、病院側はいちいちそんなこともしていられないのでしょうね。今のこの状況なら尚更。
今回はお財布に数万円入っていたので、治療費とタクシー代はなんとかなりましたが、前にタクシー代をクレジットカードで払わなくてはいけないかもくらいにハラハラしたこともありました。
本当に夜間救急はいろんなことでストレスです。
mitu様もどうかお体を大切にしてくださいませ。
なかなか記事を書かない私ですが、気が向いたらまた遊びに来てくださいませ。

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