Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

集金常会・後篇

2015-02-05 23:18:11 | ひとから学ぶ

集金常会・中編より

 集金常会・前編で触れたように高森町では平成24年に「自治組織未加入者アンケート」を実施した。なぜ自治会に入らないか、あるいはなぜ辞めたか、という質問を読んでみると、やはり高森町の自治会の問題点が露わになる。たとえば脱退した理由の次のようなもの。

①意地悪をされた。
②30年の間、嫌がらせを受け自治会より追い出された。
③後入りのため差別的扱いをされた。

また、加入しない理由に上げられている次のようなもの。

④集金常会が年3回ほど時間が変わったり、月1回は最低あわなければならないとの考え方。新しい考え方は聞かない。
⑤集まりが多すぎる。

さらに自治組織のここが変われば入会したいと挙げられたもの。

⑥主体が「家」→「個人」であるべき。
⑦昔からいる人たちが目には見えないけどいばっているから。うるさい人がいる。若い人に交代してもそれがある。年寄りの人がいなくなったら。
⑧後期高齢者(70以上の人)の人が自治会に影響力を持っているので若い人の意見が通らない上に若ぞうが何を言うと言われ嫌がらせが始まる。
⑨税金等の宿ができない。
⑩毎月1回の無意味と思える集会があるだけで近所のつき合いも皆無で顔も合わせないくらい。

 これらの意見から見えるのは、この地域では集まりが多いという印象。その最たるものが④や⑩にあげられている集金常会なのである。加えてそうした集まりがあっても後から入ってきた者に対して「冷たい」という印象を持っている方が多いよう。それでいて年寄りが強いことを言うから若い者、後からやってきた者は抵抗感が高まるのは当然のこと。高森町の方と話した際にも、彼の住む集落の集まりについて「あんなに言わなくても…」と思うくらい強いことを言う人がいる、と言われていた。彼は昔からの住人なのであるが、そうした人たちから見ても影響力の強い存在が集落を牛耳っているという印象が強いようだ。

 アンケートには「その他意見」に次のようなものもあげられている。

⑪地域によって新しく来た人に対しての扱いが違う。山吹の頃はひとが増えるといってまとめてくれたが、吉田はよそ者扱いされた。子供の役員をすることで地域を知ることができると思い、進んで受けたら何も知らない者がよくやるなあとそんな言葉を聞きました。子どももいじめにあったり大変でした。
⑫私の住んでいる家の前面道路はある程度車も通れるのに、冬期雪が降った時、除雪車はそこだけ避けて通過して行ってしまう。これも自治組織に加入していないためだと言われましたがそういうこともあるのでしょうか。
⑬近所にある職業の方がいて、彼はすべて欠席だったため、何かにつけ悪く言われて少し気の毒になった。わたしにとり一番苦痛だったのは、何かにつけ飲み会があり、しかも準備や片付けはたいして飲まない女性の仕事で、そのため終わるまで帰れない事だった。昔のままの男性本位の組織であり、こうしたことをあたりまえにさせられるなら未加入の方がいいと考えます。
⑭飲み会の多いのにあきれる。組合費や常会費などは酒代なのかと思う。

 どうみても住みよい町とは言い難いような意見が並ぶ。集金常会・前編でも触れたように、毎月集金常会があって、そのたびに飲み会があるなどと聞くと、こんな地域には住みたくない、とわたしも正直思う。それでいて欠席したら村八分ときたら、もはや民主的とは言えないだろう。こうしてみてくると、同じような地域が下伊那にはほかにも多いのかもしれない。そのいっぽうわたしの今住んでいる地域は、正反対だ。集金常会などという話は周辺でも聞かないし、後から入ってきたわたしのような者が意見をしても当たり前のように受けてくれる。もちろん年寄りが牛耳っているなどという姿はまったくないといってよい。なんと住みよい地域に家を建てたものだと感心してしまう。実は妻はこの地に住見始めた当時から、「高森の方が良かった」と何度も口にした。はたしてそうだったのだろうか。

終わり


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