Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

わが家も不作

2010-09-26 23:12:17 | 農村環境
 サンデーフロントライン(テレビ朝日)9/26放送の特集において「救済か・・・、愚策か・・・夢のない恩恵 戸別所得補償」が放映された。


実りの秋、日本各地で新米の稲刈りが行われている。
しかし、農家の人たちは怒りの声を上げていた。
その理由は、米価の記録的な下落・・・。
米価下落には、消費低迷による米余り、デフレなど様々な原因があるが、
民主党の看板政策「戸別所得補償制度」もその一因になっているとの指摘もある。

米価を高く維持するための減反制度への参加を条件に、
10アールあたり1万5千円が一律に支払われ、さらに過去3年間の平均価格より
米価が下落した場合は、差額を補填する戸別補償制度・・・。
今年からモデル事業としてコメ農家を対象にスタートしたが、
農業の現場は制度をどう受け止め、何が起きているのか・・・。
茨城、新潟、秋田、長野のコメ農家を取材。
農家の本音に迫る。

さらに改造内閣をスタートさせた菅総理。
米価下落が続く中、今後、財源をどう捻出していくのか・・・。
日本の農業の未来像を探る。


これが番組の主旨である。そもそもこの制度の大きな問題点は、篤農家に対しては何も恩恵がないということだ。減反を条件に補償するとともに、その補償額はけして高いものではない。農家を助けるという意味なのか、それとも農業を継続させるという意図なのか、いずれにしても現状の農業はとてもそんな制度で将来が見えてくるというものてはない。ましてやここで指摘しているように米価が下がれば補償額も下がる。農家も打撃を受けるが、財源を出さなくてはならない国家も打撃を受ける。破綻しても不思議ではないと言うが、このシステムそのものに大きな欠陥があるということだ。

 高温障害で米が不作だと言う人もいる。今年の作況指数はけして悪くはないのだが、安全な米を作ろうとした人たちの中には打撃を受けている人たちもいるのだろう。わが家でも高温障害を懸念して、水田の水温を高めないように灌漑に気を使っていた。ただそれ以前の問題でわが家でも大不作である。ただでさえ周辺の農家の中でも収量の少ないわが家では、さらに今年は少なく、半分程度までいけばよいところ。確かに米の消費量が高齢化とともにわが家でも減少しており、不作でも食い扶持がなくなることはない。ただ最近はまったく供出していない。ようは戸別所得補償の対象農家にも値しない。「そんな稲作は農家に値しない」と言われるのかもしれない。事実先の農林業センサスの調査では販売農家に値しなかった。

 農林水産省が9月7日に発表した2010年農林業センサスの速報値では、農業就業人口が前回に比較して22.4%も減少したという。長野県内でも農業経営体の減少率は17.2%だという。就業者の平均年齢が65歳を超えているというのだから、どんな補償をしようと、そこに将来性を見出して農業をやろうという人は限られる。この平均年齢を下げなくてはならないとSフロンとラインでは最後にコメントしていたが、人事のような発言である。新規就農者は平成21年には全国で66,820人だったという。たったのそれだけである。そのうち39歳以下は15,030人、40~59歳までが18,210人、そして60歳以上が33,580人と全体の半分を上回るのだ。老後の農業というスタイルになっている現実からは農業の将来など見えるはずもない。もちろんそうした新規就労者が夢も希望も持っていないとは言わないが、1年というスパンで経験を積んでいく以上、早期に成果をあげるわけには行かないし、その結果も見えはしない。徴兵ならぬ徴農を若い世代に義務化しなくては農業の理解は高まらない。

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