Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

陣馬形山②

2006-03-10 08:13:55 | 自然から学ぶ
 陣馬形山についてもう一度。
 再び山頂から望む中央アルプスの写真である。前回は南駒ケ岳だけであったが、今回は宝剣岳にいたるアルプスの主峰を一望するものである。
 一昨日公開した登山道の図を作成したのは、今から4年前の秋、地域のPTAで陣馬形山登山を計画したときに作成したものである。実はその数年前まで毎年のように地元の山に登山をしていたものの、治山工事が行なわれていて、危険だということで何年か登山が途切れていたのである。そんななか、違う山でもいいから登山を計画してはどうかということで、身近であって、自分たちの地域が一望できる山を選んだわけである。1年生も一緒に登れるとなると、限られてくるわけで、ある程度車で近くまで行ける山となると陣馬形山が最適であったわけである。

 登山当日は、朝8時半に出発して広域基幹林道陣馬形線登山口まで30分。そこから子どもたち約20人と、大人約10人で登ったわけである。小さな子どももいるということで何度か休みながら登ったわけで、図にもある「丸尾のブナ」の木ではみんなで写真を撮ったりしたものである。約1時間半をかけてゆっくり登り、山頂で休んで(下山してから昼食だった)下山しはじめたが、少し下ったところにある陣馬形牧場には牛やサホークなどがいて、子どもたちが立ち止まってしまって予定の時間をオーバーしたことを覚えている。

 陣馬形山登山道は、昭和5年ころから南向(そのころは南向村だった)青年団によって手入れされ、宿泊小屋などの宿営設備、飲用水、井戸が整備されて運営されていたという。おもに上伊那や下伊那の児童生徒などが夏場にキャンプ場として利用した。昭和の合併で中川村に合併後は、中川村青年会により運営されたが、昭和36年の災害によって登山道が被害を受け、青年会による運営は終了したという。その後昭和46年に陣馬形牧場が開設され、車道の整備とともにキャンプ場として整備されてきた。

 とはいうものの、直線距離で4キロ程度という近いところに育ったのに、陣馬形山には、高校生のころ原付で(それも無免許だったように記憶する)登ったのが初めてだった。昭和初期には上下伊那の子どもたちがキャンプに行ったのかもしれないが、わたしの子どものころは陣馬形山にはキャンプに行かなかった。おそらく、上伊那郡にある山でありながら、上伊那郡の学校は地元中川村をのぞけば、ほとんど利用していなかったのではないだろうか。そのいっぽうで、妻は中学のキャンプでこの山に登ったといい、下伊那郡内の学校は利用していたようである。このあたりが、わたしがよく言う地域性なのだと思う。山より北側の人々は北を見ているから、背中にあるこの山をあまり認識せず、南側の人々は北にあったこの山を認識していたということである。平成の時代になっても地元以外は、下伊那の学校がキャンプに利用しているという。
 
 さて、前回夏季には放牧されているといったが、わたしは知らなかったが、最近刊行された『中川村誌』を読んでいたら、平成16年で牧場は閉鎖されたと書いてある。昭和46年に補助事業を取り入れて4千万近いお金を投入して開設されて以来、30年余の命だった。先に触れたように、子どもたちが行けば必ずといってよいほど牛やサホークに見とれて、時間を過ぎるのも忘れるほどだった。残念でならないが、畜産の低迷という現実では仕方がないことである。

 ついでにもうひと。中川村にとってはとても近しい山ではあるが、『中川村誌』を読んでいても、あまりこの山が登場しない。村の北の端にあるということで、集落から遠い現実があるが、山にかかる雲の動きをみて天気を予知していたといわれ、常に見られていた山である。加えてこの山の上で運動会をしたとか、登山マラソンも一時行なわれたということで、この村にとっては象徴的な山である。もちろんわたしにとっても近い山であった。ここに暮らす人々にとってのこの山について、もう少し知りたいというのがわたしの気持ちである。

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2 コメント

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わぁ~!すごいですね! (BLs)
2006-03-12 15:10:17
改めて、びっくりしました。

こんないい山があったのだと!

飯島から見ると駒ケ岳、宝剣岳が余り見えないですけど、空木岳との100メートル近い高さの差が分かりますね。

この写真に、前にお見せいただいた恵那山の写真をつなげれば木曽山脈全てが並ぶわけですね。そして振り向けば南アルプス。素晴らしい!赤石岳、聖岳も見えるんでしょうね、

前にも言いましたが、南アルプスは山深いので前衛の山が意外に人気があります。たとえば甲斐の身延山や櫛形山、甘利山、鳳凰三山、長野県の入笠山など、いずれも富士山を眺められます。しかし、展望の良さからいったら こちらの方が断然上ですね!

伊那谷の観光地といえば、高遠の桜、千畳敷、天竜川下り、元善光寺など色々思い浮かびますが、この陣馬形山は、隠れた一級品の観光資源かもしれません。

尚、いつも私は山の名前の由来を考えます。何か深い意味合いがありそうですね!
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東側の山について (trx_45)
2006-03-13 21:39:22
南アルプス側の山々は、中央アルプス側のようには見えません。やはり、前山として伊那山脈の山々が邪魔しています。だから頭の方だけ見える、そんな感じです。
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