とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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バンコク・テロのヨイヨイ報道

2007年01月02日 19時31分56秒 | 社会
「タイへ行って、テロとか大丈夫ですか?」
「一人で行って怖ないんですか?」
「エイズ、大丈夫ですか?」
「帰ってきても近寄らんといて下さいね」

というのは私が旅行に出発する前に必ず頂戴する仕事関係および友人関係からの「激励」の言葉。
正直言って、いちいち応えるのが面倒なのだが、この毎度毎度の代わり映えしない激励の言葉が今年は強化されそうで鬱陶しい。
したがって「面倒くささ」も増幅されることになりそうなのだが、それを考えること自体が面倒くさい。

大晦日から元日にかけて私がよく行くタイのバンコクで爆弾テロが発生した。
幸いなことに、私の定宿からはう~んと離れた場所で事件は起こった。

最初に報道された爆発は戦勝記念塔のロータリーにあるバス停で発生。近くにあった屋台のボンベが誘発されて爆発しバス停の広告看板に穴が空いたり、多くの人がなぎ倒されたりして被害大きくした、ということだ。
2度目に報じられた爆発は日系デパートも入っているショッピングモールの近くで発生。
これには外国人も数人巻き込まれ、死者や足を切断する大けがをした犠牲者を出した。

こんな事件が起きたから答えることが面倒くさい質問は増えるだろう。
その面倒くささを助長しているものに実は日本のマスコミの伝え方があると私は考えている。

「日系デパートも入っているショッピングモール」
だとか、
「バンコク最大のショッピングモール」
なんていう、あやふやな伝え方をするので、日本国内で受取る人の大部分はどこのことだかサッパリ分らない。
だから情報不足の日本人は「バンコクは危ない」になってしまい、さらに「タイは危ない」からインドネシアの飛行機事故とフェリー転覆事故が追加され「東南アジアは危険だ」に発展していくのだ。

タイの地元英字紙The NationのHPによると日系デパートの入っているショッピングセンターとは元ワールド・トレードセンター(通称ワートレ)と呼ばれたセントラルワールドで、そのデパートは伊勢丹のことだった。
サイアムというバンコクの渋谷と呼ばれる地区の外れに立地しているが、よくよく読んでみると伊勢丹の北側に位置するプラトーナム地区が事件の場所だということが分った。
ここにはアジア最高層のホテル「バイヨークスイート」があり、邦人観光客も少なくないところだが、白タク運ちゃんがたむろしていたり、ゴミゴミしたところでもある。
さらにプラトーナムとはまったく別の地区にある建設中の日本大使館新公邸横のルンピニー・ナイトバザールにも爆薬が仕掛けられていたが、それは警察の努力で事前に処理された、なんてことも伝えられていた。
なんとなく白々しいな感じてしまうのも私だけか。

で、日本国内の新聞やテレビが正月休みに浮かれた状態だから、情報が錯綜し、ホントの現地の状態はバンコク在住の邦人のHPを確認するしかない。
面倒くさい質問に答える準備をしなくちゃならないからだ。
そこには、
「テレビで紅白歌合戦を見ていたら日本の本社から電話があって楽しいところを邪魔された」
とか、
「新年祝賀会は中止というが、うちの近所は地元民のどんちゃん騒ぎで変わりない」
という生の情報が記されており、もはや新聞テレビはなんの機能も果たしていないことが明らかになるばかり。

呑気な日本のマスコミは「爆弾テロはタイ南部を根拠地とするイスラム過激派によるものではなく、政治的に弱体した勢力の犯したもの」との情報から「タクシン支持者の犯罪か?」と報道しているが、「今の政府の自作自演か?」なんて「疑惑」はちっとも伝えないので変なのだ。

相変わらず今年もヨイヨイスタイルが日本のジャーナリズムの姿勢であることが、バンコクの事件で図らずも確認できたといわけだ。


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