注文の多い料理店（？）

ある夏の、暑い日の事でございます。
Ｔ　先生は、其店のカウンターに席を取りました。
先生も、少し此処に馴染んだ頃でした。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
カウンター付きの女性から、　「　あらー、先生って、お酒弱いのですね？　」　と、
笑われた事がありました。
何しろ、他の洋酒では、酔っぱらった事がないと自認していた方です。
この店では、お銚子１本で酔い始めて、ふらつくとは！？
これが、痛く先生のプライドを傷つけた。
ようし、少々じゃ酔っぱらわないように、日本酒を鍛えてやろうと。


この日の、先生の前には、店主が立っておりました。
ここのヒゲ店主は、噂通りのくせ者のようで、酒を与えないとシャベらないから、
お客様も大変です。
先生も、しようがないから（？）、酒を注ぎながら話を楽しんでおられました。

そして、先生が、ふっと椅子から立ち上がられた時でございます。
　　　　　　　　　　「　 ク ォ ・ ヴ ァ デ ィ ス 　」
いきなり、ラテン語風なのが、カウンターから浴びせられます。
ヒゲ・ペテロが、　「　主よ！　何処へ？　」　と、言ったのです。
『　先生、どこに行くのですか？　せっかく話が盛り上がっているのに。　』　ってな訳ですね。

　　　　　　　　

先生は慌てもせず、奥を指差しながら、　「　（主は）　ローマへ行くのです。　」

　そうして、ニコリとして、奥の厠所（トイレ）に
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　向かわれたので御座いました。

～～～　これは、実話（！！）で御座います。念の為　～～～　　　




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