気ままに風の跡 by樋口友治郎

日々は風のごとく吹き抜けてしまうから、風の跡を刻んでいきたい。気ままに綴る詩ブログ。 

つばめのつがい

2007-05-08 17:05:43 | Weblog
詩集を出版したとはいえども、当然ですが詩を書いているだけでは飯は食えません。
自営業で小さな自動車鈑金をやっております。 FMラジオが一日中流れっぱなしの田舎で
よくみかける、とりえもない工場で日々戦っているのであります。

そんな工場に今日2羽のつばめが舞い込んできました。いつもは、ちょっとデカめの鳥が迷い
込んでは、天井やら窓やらにバシンバシンと、体当たりをかますので、その度追いまわし外へ
出すのに一苦労するのですが、今日のつばめは明らかに自分達の意志で工場の中へ入って
来たので、私も追い出さずしばらく彼らの話を聞いていました。
「なんか、ここ良くない?」「そうね、涼しいし鉄骨もしっかりしてるわ」
「お!なんか奥の方も良さそう!」「本当、これなら安心ね」 
なんて、仲睦まじく二人は寄り添い、ピーチクパーチク 10分ぐらいだったでしょうか 
私の他に誰もいない工場の中に、心地良い賑わいを二人はもたらし、そのさえずりは、 
とても爽やかに響き、仕事場から見える空の青さを一層引き立てていた、のでした。
さらに、5分ぐらい工場を出たり入ったり、鉄骨の位置を確認したりしていたけど、
思い立ったように 大空へと飛び立っていきました。 
2度と戻らないであろう、その姿を青空高く見送っていたのは、  
彼らの情報はこの空全部を網羅しているから、そのうち 
「あそこは、夜と日曜日はシャッターが降りちまうよ」って
仲間達の忠告を彼らも聞くんだろうなあ、と確信していたから。

そして、いつもの一人に戻った工場の中では
FMラジオが一日中流れる、いつもの時間が流れていました。

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