届きそうで 届かない棚の上
背伸びしても やっと触れるくらいの大きな荷物
こんな背中でよかったら使いなよ
取れるかもしれないから
小っちゃな踏み台 キミが
隣の部屋から伺ってた
古びてるけど しっかりした作り
象が乗ったって ちょっとやそっとじゃ つぶれやしないよ
荷物の中身までは 見せられなくても
棚から降ろせるはずだから
小っちゃな踏み台 キミは
背中を丸め じっとしてた
やっとのことで下ろした荷物
どうやら中身は 夢みたいなものらしく
運ぶ人たちが 数人やってきて
手を引いて 連れてっちゃったんだ
小っちゃな踏み台 黙ったまま うずくまったまま
静かになった部屋 殺風景な棚の上
置き去られてしまったのは
あの荷物 いつもキミが
大切に見上げてたの知ってたよ
ずっとずっと昔から
ひたすらに憧れてたんだよな
それでも キミは
だれかが喜んでくれるんなら
それがボクの使命さって
ちょっとだけ期待してみたけど
全部 分かってたってたんだろ
なんかさ 夢が広がってくんだぜ
それでボクは充分だ
そうさ キミの その背中が
世界の景色を変えることだってあるんだぜ
だから もう 顔を上げて
起こる全部を見届けにいこう
ボクらにしか出来ないことだって
あるはずだから
夢に近づくって
きっと こういうことなのかもね
あれから しばらく経って
キミは 元の部屋の隅で
荷物がどうなったか 少し気にしながら
おなじような仲間たちと
バカっ話しで 笑い転げては
小っちゃな踏み台 キミは
キミの使命を果たそうとしている