にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

【映画】『おとうと』

2010年02月02日 | MOVIE
『おとうと』(2010年/松竹)
監督・脚本:山田洋次。
出演:吉永小百合。笑福亭鶴瓶。蒼井優。加瀬亮。小林稔持。加藤治子。

東京郊外で小さな薬局を営む吟子には、身内から厄介者扱いされている鉄郎という弟がいた。夫の十三回忌の法要の席を泥酔し無茶苦茶にして以来音信普通となっていたが、一人娘小春の結婚式に突然に姿を現す。一滴の酒も飲まないようにと言い渡し席につけるが、またしても酒を口にし披露宴を台無しにしてしまう。激怒する身内の中ただ一人鉄郎をかばう吟子だったが、定職にも就かずドサ回りの役者稼業で、酒と博打好きな鉄郎はとうとう吟子すら怒らせてしまい吟子は鉄郎に絶縁を言い渡してしまうが・・・。

今はどうか知らないけれど、昔なら必ず親族に一人はいるんだよね、こんな奴という時代錯誤な大暴れな結婚式のシーン(笑)。酒飲んで大暴れ・・・は許そう。しかしあのシーンいくらなんでも長すぎですよ。観客は年配の方が多かったので、結構みなさん楽しんでらっしゃったようですが、現代の映画としてあのシーンはどうなんでしょうかねぇ。あれ劇場じゃなく家で観ていたら私は迷わず早送りしてましたね。しつこすぎます。ま、そのあとは淡々と着実に物語が織り込まれていてそれなりに楽しく観ることが出来ましたが、観終わって大きな問題が・・・。
なぜ吟子はあそこまで鉄郎を庇いかまうのか?がわからなかった(爆)。
いや、途中娘小春になんであんなおじさんを・・・と言われ、亡き夫が「上の二人は鉄郎君を土台にして成長したんじゃないのか?いつも下に追いやられた彼に花を持たせたいから娘の名付け親を頼んだんだ・・・」みたいなセリフで鉄郎への思いはある程度わからなくもないんですが、でもそれだけであそこまでするかなぁ?それならいっそのことベタかもしれないけど、たった二人の姉弟で、ずっと弟のしりぬぐいをしながら吟子は生きてきたってことにした方がわかりやすいような気がする。そのしりぬぐいを細かく織り込んだ方がもっと濃くなったような気がするんですけどね。そもそも小春の離婚に、二度目の結婚なんているのかなあ?たぶんこういうどうしようもない奴なんだけど気がよくって憎めなくって・・・というキャラになるとどうしても『寅さん』や『なつかしい風来坊』にかぶっちゃって物語の流れもそうなっちゃう可能性含んでるから、どっか無理やりに・・・っていう感がなきにしもあらずって気がしましたね。悪い作品ではないと思う。どこか昭和な香りなホームドラマ。美しい吉永小百合。おもろうてやがて悲しき・・・単純に観る年配の方々にはいい映画なんじゃないですかね。
私は市川崑監督の『おとうと』は未見なんで、この作品それの焼き直しなのかと思ってたんですよ。(^-^; 違うんですね。オマージュってのですか・・・。あのリボンでお互いの手を結ぶのは全くそのまんま使ってるようで、案外市川版の『おとうと』観てからの方がもう少し楽しく観られたかも・・・って気がします。

-2010.2.1 アポロシネマ -

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5 Comments

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なぜ庇うのか (ヤマ)
2010-03-12 12:34:01
とめさ~ん、こんにちは。

 母親代わりとして育てた自覚と責任感からだと僕は観ていましたが、加えて重要なのがとめさんも言及しておいでの亡き夫の言葉の与えた気づきでして、ダメ弟であればあるほど、それを庇い面倒を見る姉の評価は上がるわけで、後始末やなんか面倒見る事自体には苦労しながらも、弟の育ちの軌道修正を図ろうとはせずに、うまみの部分を享受していたことを悔いている面があったんではないでしょうか。

 でも、強く正しい人にありがちなことですが、弱くダメな人に共感を示したり、自分と同じ土俵に置いたりはできないということがありますよね。

 吟子の姑に対する向かい方、鉄郎が最期を看取られたホスピスでの受け入れられ方、が対照として効いていて、前者との対照により吟子の已む無き限界が示され、後者との対照により吟子に欠けていたものが示されていたように感じました。
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なるほど・・・ (とめ)
2010-03-13 14:58:48
ヤマさーん。

> でも、強く正しい人にありがちなことですが、弱くダメな人に共感を示したり、自分と同じ土俵に置いたりはできないということがありますよね。

ありがちですねぇ。
先日ケイケイさんとお会いしたときにこの作品の話になったのですが、その時に山田監督はインテリの左翼だから、このインテリの左翼にありがちな、自分たちがその場所に立っていないのに、なぜかその場所を善やら美と捉えて描きたがるというようなことを言ってたんですよ。もしかしたらこの吟子は山田監督かもしれませんね。
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僕も長らくそのように観てました。 (ヤマ)
2010-03-14 00:34:37
とめさーん。

 山田洋次に対しては『男はつらいよ』を観るたびに僕もそう感じていました。だからこそ、今回『男はつらいよ』を下敷きにしながら、妹さくらとは異なる吟子ねぇちゃんのキャラクターを造形しているところに感じ入るものがありました。
 吟子が山田監督なのだというのは、僕も全く同感です。山田洋次にも恐らくその自覚があるからこそ、亡き夫の言葉なのだろうと思っています。
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インテリ左翼・・・ (とめ)
2010-03-14 22:04:40
ヤマさーん。
「インテリ左翼」これがねぇ・・・ヘタすると迷惑な存在にしかならないんですよね現代では。(^-^;
これが目についちゃうとこの作品には全然共感出来ないしノレない。山田監督作品は好きじゃない・・・ってのになるのかもしれませんね。
考えていくと、さくらは難儀なお兄ちゃんにあきれながらもお兄ちゃんをちゃんと愛してたんですが、この吟子ってどうも上から目線で本当に心から弟を愛していたのか?ってな気になってきますね。
あれ?私この作品まーいいんじゃないの。で見終わったんですが、どうも吟子というキャラは好きじゃなかったようですね(笑)。
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こちらも拝借してます。 (ヤマ)
2010-05-24 00:36:13
とめさーん。
『ゴールデンスランバー』と併せて
こっちも拝借してますからねー。
どうもありがとうございました。
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