特別支援をカガクしたがるカワムラのブログ

応用行動分析学(ABA)、障害福祉、特別支援教育など、個人の考えとして書きます。ブログは極めて気楽な執筆態度です。

知的障害児と文法獲得(J.COSS)と関係フレーム 日本自閉症スペクトラム学会で発表してきました

2021年09月22日 | 雑記

あまりにも忙しくて記事にし忘れてました。

自閉症スペクトラム学会ではシンポジウムだけでなく発表も出していました。

こちらも特殊教育学会と同様、特殊な開催形態の中を運営の皆様ありがとうございました。

 

タイトルは

「特別支援学級在籍児童における日本語文法理解の獲得状況 ―J.COSS日本語理解テストによる評価および行動分析系パッケージとの比較―」

 

直前で書ける文字数が非常に少ないことが発覚したため、尻切れトンボ状態ではありましたが…

前提として

①知的障害児の文法獲得に関するデータが非常に少ない。

②EIBIに用いる著名なプログラムは英語圏のものが多いので、日本語文法の獲得順序と異なるかもしれない。

③関係フレームに関する反応のデータとの関連ともなるとなおさら全然データがない。

 

こんなところを何とかしていかないと、国語の授業はおろか全教科に響く。

そんな経緯でデータを出しました。

 

文法獲得に対して関係反応が必要条件であって十分条件でないこと、英語圏でのプログラムの順序を国内向けに翻訳してそのまま使うのは多少慎重にやったほうがいい部分もあるってこと、などなど。

 

査読誌にはまず通らないデータの中にも臨床上ものすごく必要な情報がある!というコンセプトのもと、私の学会発表のデータはヘンテコなものがたくさん含まれます。が、実は現場目線ではほしいデータなんだなあ、これが。

 

 

 

 


日本特殊教育学会で発表しました WAVESを知的固定で使う

2021年09月20日 | 研究

日本特殊教育学会で発表してきました。

複雑な開催形態、運営が難しそう。中の人に感謝です。

 

タイトルは「知的障害特別支援学級におけるWAVESの成績傾向と介入効果」

 

一見すると行動分析系でなさそうな感じではあります。ただ、前提として

①個別に実施するタイプの検査は固定学級では使いにくいため、やらない教師が多い。

②教師は書字困難に対して「字の形がとれない」という広域な原因帰属をし過ぎる傾向がある。ミクロな分析は夢のまた夢。

③上記の結果、書字の前駆的行動の指導がせいぜい「線なぞり」で終わる。

 

という現状があり、この文化の中で書字の前駆的なスキルについて、私以外の現場の教師がどう簡易的に評価し、介入するか、

というところに切り込む意図があり、アウトプットしました。

 

WAVESだけじゃないですが、知的固定ってデータ出にくいんですよね。何するんにも。

 

指標名などは仮説的構成概念バリバリですが、単位行動レベルで獲得状況を評価できる教師が非常に少ないので、現状で使える物を使うしかないですね。我々の用語で考えると視覚の弁別能と、手指の感覚運動学習の学習履歴あたりです。認知心理学分野のegocentricとallocentricに関する研究も今後関連してくるものと思われます。

 

なお、介入教材の一部が日本中でぶったたかれている〇〇トレと似ているんですが、似て非なるものです。本研究は、書字学習内で運筆等を反復修正するとネガティブなレスポンデントが生じる可能性があるために、文字でないもので先に感覚運動学習の履歴を積む方法を考える、みたいな範囲を扱っています。

(間違っても〇〇のゆがみを運筆で直して社会性が上がるとか言いません。霊験あらたかなツボを買ったらガンが治るとも言いません)

 

 

 


日本自閉症スペクトラム学会 資格認定講座の講師をします。

2021年09月14日 | 日記
10月24日に開催される日本自閉症スペクトラム学会の資格認定講座の講師を担当させて頂くことになりました。



テーマは特別支援学級と学力



日常生活スキルが重視される特別支援学級だからこそ、子どもの可能性を早期に見限ることなく、学習権を保障し、伸ばせるところを伸ばしまくる義務が僕らにはあるんじゃなかろうかと思っています。

最近は色々な方から相談を受けるのですが、きっつい内容のものもたくさんあります。残念ながら、本来この子たちの権利のためにあるはずの合理的配慮の理念が手抜きの言い訳に使われ、指導法を調べもせずにどうせできないと諦め、可能性を早期に"見限る"ような指導が色々なところで生じているようです。

行動分析学系の既存技術、こちらで新規開発したニッチな方法、教師の経験則的なノウハウなんかを調和させると、この子たちは驚くほど伸びることがあります。

90分しかないのでギチギチに詰めますが、皆さんが学びをスタートさせるきっかけになれば幸いです。

初学者の方はあらかじめ行動分析学の入門書に目を通しておくと、わかりやすくなるかと思います。