チャウ子のそれでも本を読むのだ

チャウ子のごった煮風500字読書日記
地味に更新中^^;

C賞 マグカップ(番外編)

2009-01-31 23:01:15 | その他 全般
今回ご紹介するのは本ではなく、マグカップです。
どういうマグカップかと言いますと‥

東野圭吾さんの「聖女の救済」と「ガリレオの苦悩」に
付いてた応募券で当選したC賞のマグカップです。
今日届いてビックリ

マグカップの中の底には薔薇の絵が。
なかなかオシャレです。

ほんとはA賞の薔薇の花束が欲しかったのですが‥

いえいえ贅沢を言ってはいけませんね。
ありがとうございました

資本主義はなぜ自壊したのか

2009-01-30 23:14:26 | その他 全般
今回ご紹介するのは
「資本主義はなぜ自壊したのか」中谷巌著 集英社インターナショナル刊です

まえがきに、本書は自戒の念を込めて書かれた「懺悔の書」でもあるとあります。

著者の中谷さんは、かつて「構造改革」の急先鋒たる一人だったそうですが、
行き過ぎたアメリカ型金融資本主義―
本書では「グローバル資本主義」と呼んでいますが、
このグローバル資本主義には本質的欠陥があることをあげられています。

まず、世界金融経済の大きな不安定要素となること。

次に格差拡大を生み、
健全な「中流階層の消失」という社会の二極化現象を産み出すこと。

そして地球環境汚染を加速させること。

大きくあげるとこの3点。

さて何故、グローバル資本主義が格差拡大を生むのかというのは、
グローバル資本主義においては「労働者」イコール「消費者」ではないため、
労働者の賃上げは不要となり、資本は常に安い労働力を求めて移動するので、
経済が活性化したところで、
利益の再分配は行われないという説は説得力があります。

同様にグローバル資本主義が地球環境汚染を加速させると考えられるのも、
その場所で環境を汚染させて、周辺住民の反発を招いたとしても、
環境規制が緩い国に移ればよいという考えになるというのも頷けます。

詳しくは本書を読んでいただきたいのですが、
比較的日本人が抱いている
「アメリカは自由競争の国、自己責任の国だから世界一豊かになったのだ」
というイメージは、半分ぐらいしか当たっていないんだそうです。

経済活動を自由競争に委ねているだけでは格差拡大が進み、
社会の安定性が損なわれ、結果的に豊かな社会は作れないそうです。

中谷さんは日本はアメリカとはそもそも国の成り立ちや国民性なども違うのだから、
アメリカのやり方をそのまま日本に持ってきたのでは
うまく行くはずがないという意見です。

日本は「損して得取れ」という信頼第一の思想や「現場力の重視」の思想など
他国にはない思想、発想があるのだから
こういうものを大事にして日本を立て直していこうと言われています。

本書はアメリカの成り立ちや現在抱えている問題、
資本主義、神などいろんな側面から
何故、グローバル資本主義が日本に馴染まないのかが
捉えられていて勉強になりました

ボックス!

2009-01-28 16:42:22 | 小説 単行本
今回ご紹介するのは
「ボックス!」百田尚樹著 太田出版刊です

「ボックス」のスペルは「Box」名詞では箱ですが、
動詞ではボクシングをするになるそうです。

ストーリーは…

小学生の頃いじめられっ子だった木樽優紀はいつも強い鏑矢義平に助けられていた。
別々の中学に進んだ2人だったが、恵比須高校で再会する。
鏑矢はボクシング部に入っており、優紀をボクシング部に誘うのだが‥

ある日2人は環状線の車内で若者に絡まれていた女性を助ける。
その女性は恵比須高校の教師で、
のちにボクシング部の顧問となる高津耀子だった。

環状線でおわかりのように、この小説の舞台は大阪。
著者の百田尚樹さんは金曜夜の人気番組「探偵!ナイトスクープ」の構成の方です。

この作品はボクシングを軸とした青春小説です。

優紀はあることがきっかけでボクシング部に入部することに。
明るく天才的な鏑矢と真面目で努力家の優紀。
友情がやがてライバルとなり‥とストーリーは続くのですが、
ボクシングの怖さが深く描かれています。

ここまでして、なんでボクシングというものにのめり込んでいくのか?
努力は結果で応えてくれるのか?
ほんとの強さとは何か?
ボクシングで勝つことがほんとに幸せなのか?
教えられることがいっぱいあるような小説です。

特に後半は泣けてきました。
実生活ではほとんど泣くことのない私も鬼の目にも涙。

鏑矢の明るさと、強さの中に潜む脆さのようなものが心に突き刺さりました。
いい小説だったぁ




☆ 今回の「本屋大賞」のノミネート10作品のうちの1作品に
この「ボックス!」も入っています。
私は6作品読みましたが、
私の中では
この「ボックス!」と「ジョーカー・ゲーム」(1月13日紹介)
が最有力なんですが、
果たして??

コピー用紙の裏は使うな!

2009-01-27 21:59:11 | 新書
今回ご紹介するのは
「コピー用紙の裏は使うな!」村井哲之著 朝日新書です

このタイトルがちょっと衝撃的で印象に残っていました。
副題に「コスト削減の真実」とあるように
企業のコスト削減策について書かれた本です。

コスト削減と聞くとどうしても後ろ向きな印象を受けます。
売上が思うように上がらなくなって仕方なく取り組むような。
その考えがまず間違いと著者の村井さんは書いています。

会社の無駄をなくすこと=コスト削減に全社員が継続して取り組むことで、
職場や会社が活性化し、社員がますますやる気になるのです。

村井さんは巷で言われているコスト削減策に対しても異議を唱えます。
従業員の削減、コピー用紙の裏紙の再利用、事務用品のカタログ注文、
蛍光灯の間引き。

このあたりはなるほどなぁと思います。
従業員の削減などすれば、残った従業員の士気は下がるだろうし、
コピー用紙の裏紙はミスの元になりそうだし、
事務用品のカタログ注文も却って無駄な物を買いそうです。

村井さんによると、光熱費や通信費、家賃、郵送料などは改善の余地大だそうです。
光熱費や家賃などは固定費なので
ある程度は仕方ないと諦めてしまっている部分もありますが、
交渉によってはかなりのコスト削減が可能。
ちまちまコピー用紙の裏紙を使ったりしているよりは、よほど効果が大きい。

ところでコスト削減は当然地球環境にも影響を与えます。
村井さんは、日本中の会社から無駄が消え、
最後には日本の国という究極の組織が筋肉質に生まれ変わって、
世界に対してその存在価値を持ち続けていく‥
本書がその一歩になればと書かれています。

エピソードで読む松下幸之助

2009-01-26 13:17:35 | 新書
今回ご紹介するのは
「エピソードで読む松下幸之助」PHP総合研究所編著です

松下幸之助さんと言えば、
言わずと知れたパナソニックグループの創業者であり、経営の神様。
その松下幸之助さんのエピソード187選。

やはり経営者としての厳しさはすごいものがあります。
悪く言うとワンマン。
でも決して他人の話に耳を傾けないワンマンではなく、
他人の話を聞きつつも自分のやり方を貫く。
相手を自分のペースに巻き込むのがうまい。
これは人柄によるところも大きいのでしょうね。

例えばこういうことを言われています。
「命令して自分の思うように事を進めるのも一つの行き方ではあるけど、
一応決裁はするが、そのあと徐々に自分のほうに近づいてこさせるのも、
責任者としてのまた一つの行き方」。

こういう面もある反面かわいらしい(?)面も。

若い社員に
「わしは、小学校もまともに出ていない状態や。
それぞれの会合で話を聞いていると、
ときどき話の途中に出てくる外国語がわからんことがあるんや。
そこできみに頼みたいんやが、いっぺん最近日本語化された外国語を拾い出して、
それがどういう意味か書いて、わしに持ってきてくれんか」
これなどはなんか微笑ましい。

幸之助さんは94歳で亡くなりましたが、
最後の病院で、
院長が「これから管を喉に入れます。ご辛抱ください」と言うと、
「いやいや、お願いするのは私です」
これが幸之助さんの最後の言葉だったそう。
人間が一番苦しいだろうそのときにそういう言葉が出るとは‥
やはり偉大な方です。

40歳からの本を書く技術

2009-01-25 00:49:43 | その他 全般
今回ご紹介するのは
「40歳からの本を書く技術」三輪裕範著 ディスカヴァー刊です

著者は商社に勤める現役のビジネスマン。
今までに7冊の著書を出版されているそうです。

この著者の三輪さんが強調されているのは、
商業出版を目指せ!ということです。
本書にはそのためのスキルが公開されています。

1.テーマをいかにして見つけるか
2.情報をどう集めるか
3.情報をどう整理するか
4.どう文章にするか
5.どう出版に結びつけるか

商業出版など雲の雲の雲の上の出来事の私にとっては、
この中で一番興味を惹かれたのは、4のどう文章にするかです。
この章は文章読本という感じがして参考になりました。

まず、分かりやすい文章を書く。
これなど至極当たり前のことなのですが、かなり技術がいることだと思います。
分かりやすい文章というのは、ほんとにその内容を理解していないと書けないもの。

三輪さんは「内輪の論理」を排除すると書かれています。
こんなことは常識だから書く必要はないだろうと
書き手の方で勝手な思い込みをせず、
できるだけ情報を読者に提供していく姿勢が重要だということです。

文章のヘタな人が書く文章というのは「AだからD」というように、
その間のBやCの論拠を抜かして一挙に結論に行ってしまうので
独り善がりの文章になってしまうというのはまさにそのとおりだと思いました。

私が消費者の立場ならそんなこねくり回した文章の本より、
結論を明快に分かりやすく書いてくれてる本を読みたいと思ったのでした。

煩悩リセット稽古帖

2009-01-24 01:26:33 | その他 全般
今回ご紹介するのは
「煩悩リセット稽古帖」小池龍之介著 ディスカヴァー刊です

小池さんは東京にあるお寺の住職さん。
その小池さんが四コマ漫画を描きながら、
仏道的心理分析のエッセンスを説法しようという試みの本だそうです。

さて、まず「業」の説明です。
ごうと読みたくなるのですが、本書ではカルマとフリガナがふってあります。

このカルマが私たちを裏から操っている潜在力だそうです。
そして、カルマのうち、負のカルマをつくるもので、もっとも強力なのが、
煩悩の中の根本煩悩、欲望・嫌悪感・迷妄。

煩悩とは心身にダメージを与え、ストレス源になる毒素。
本書は煩悩の汚れを薄めて、人格を磨くにはどうすればいいか?と
いうことがいろんな例を用いて説かれています。

私がなるほどと思った例をいくつか‥

人の感情はコロコロ変動する
(物事がたえず変化し続けていることを無常の真理という)。
なので決定的すぎることや取り返しがつかなくなってしまうような行為は
避けたほうがよいのでは?
例えば自殺だとか。
早まったら後悔しますよね。

「だから」を語頭につけられると、話を聞く気そのものがなくなる。
「だから」は論理を表す言葉。
反論を許さぬ権威を漂わせます。
相手に有無を言わせず従わせようという傲慢さが潜んでいる感じがする。

自分は「だから」とは言ってないけどと、
自分の普段の言動や行動を振り返ってみて、
やはり私は煩悩だらけの人間だと確認できたのでした

回復力

2009-01-22 22:40:03 | 新書
今回ご紹介するのは
「回復力」畑村洋太郎著 講談社現代新書です

著者の畑村さんは「個人も社会も失敗をもっと積極的に取り扱おう」と
失敗学を日頃から提唱されているそうです。

本書のタイトルの「回復力」は失敗からの復活の回復力。
人は誰でも失敗する。
大切なのはその失敗から何を学び、どのように復活するかということ。

まず「人は弱い」ということを認めよとあります。
失敗したあとは敢えて頑張ろうとはせず、
自分のエネルギーが自然に湧いてくるのを待つしかありません。

そのエネルギーが自然に湧く方法としていくつかあげられています。

そのうちのひとつ「逃げる」
これなど、私はよくやりますが、真面目に頑張って潰れるよりは、
エネルギーが回復するまで一時避難する。

「眠る」
心身をリフレッシュすることが重要。
しかしダメージが大きいと眠れないので、睡眠薬の力を一時的に借りるのも手。

「愚痴を言う」
人の力を借りて元気になるというのも有効な方法。
この場合の愚痴を言う相手は、話を否定せずただ淡々と話を聞いてくれる人。
こんなときに、「それは違うよ」とか言われたら、再び凹みそうですもんね。

さて、第8章で興味深い話が出てました。

企業が事故を起こして、死傷者を出してしまうと、
担当者に責任をすべて被せてしまうということになりがち。
しかしこういうときこそ会社が失敗の責任を認めることによって、
担当者をフォローするべき。

この当たり前のことができて初めて会社という組織が
回復していくのではないでしょうか?

大貧困社会

2009-01-21 22:53:02 | 新書
今回ご紹介するのは
「大貧困社会」駒村康平著 角川SSC新書です

「貧困」という言葉が流行りみたいになってしまってなんというか‥

さて、本書は衝撃的なタイトルですが、内容は社会保障についてが主です。
訴えられていることはやはり、
セーフティネットが機能していないことと、世代間格差の問題。

まず、セーフティネットですが、
非正規労働者に社会保険が適用されていないことが多々あるのは
よく知られていると思いますが、
本書でちょっと驚いたのは、
労災保険の未加入の現状が明らかになっていないということ。
これなど行政の怠慢以外の何物でもないでしょう。

非正規労働者が職場で社会保険に加入しない場合、
国民健康保険に加入しないといけませんが、
この国保の危機も騒がれている問題です。

2005年度の世帯主の職業を見ると、
正規・非正規労働者が25%、無職の人が50%存在するそうです。
これでは未納者が増えるのも当然と言えるでしょう。
この正規・非正規労働者の25%の中には
当然職場で社会保険が適用されるべき人も含まれていると考えられます
(これは私の想像です)。

次に世代間格差の問題ですが、これは年金に顕著に現れています。

著者の駒村さんによれば、70年代の政策が年金の分かれ道だったそうで、
この頃は、現役世代の働き手が多く、人口が増え続けていたので、
高福祉・低負担が可能だったが、
少子高齢化が進んだ日本でこの政策ではやっていけないのは当たり前。

本書で解決策の案も出ていますが、特効薬はないようです。
当然短期で解決できる問題のはずはなく、
少しずつリフォーム工事をしていく根気が必要だそう。

それには今後国民自身がどういう社会保障を望むのか
(「高福祉・高負担」or「低福祉・低負担」)
という考えが重要になってくるのでしょうね。

屋上ミサイル

2009-01-20 23:05:47 | 小説 単行本
今回ご紹介するのは
「屋上ミサイル」 山下貴光著 宝島社刊です

ストーリーは…

アメリカ大統領がテロリストに拉致監禁されていたとき、
高校生の辻尾アカネは学校の屋上で知り合った、
不良の国重嘉人、国重の幼なじみの沢木淳之介、美少年の平原啓太と
屋上部なるものを結成するのだが‥

この作品は2009年の「このミステリーがすごい!」の大賞受賞作です。
最後に選評があるのですが、
この作品を大賞とすることには意見が真っ二つに分かれたそうです。

この作品を大賞とするのを良しとしない意見には、
伊坂幸太郎をまんま真似た設定、物語がご都合主義など、
読むとなるほどなぁと思うことばかり。

伊坂さんのあのちょっと突き放した感じのセリフの言い回しや応酬は
まあ雰囲気的に似てますね。

ストーリーのご都合主義というのも、かなり偶然に左右されている設定で
ちょっと有り得ないようなぁとは確かに感じました。

しかし、私はこの作品が好きです。

屋上部の面々、友人、アカネの両親、弟。みんな気持ちいい人たちです。
じめじめしたところがなくていい。

ミステリーの落としどころはあまり評価はできないかもしれませんが
(首謀者が途中でなんとなくわかってしまった)、
ある種の青春小説として読めば十分楽しめました。

私は途中から出てくる殺し屋のキャラが大好き。
律儀で愛妻家の殺し屋ってなんかかわいくありません?