チャウ子のそれでも本を読むのだ

チャウ子のごった煮風500字読書日記
地味に更新中^^;

きのうの世界

2009-01-09 21:53:56 | 小説 単行本
今回ご紹介するのは
「きのうの世界」恩田陸著 講談社刊です

ストーリーは…

東京郊外のM町の水無月橋で男の他殺体が発見される。
他殺体は1年前東京で突然失踪した市川吾郎だった‥

市川吾郎は平凡な会社員で、取り立てて問題を抱えていたという風ではありません。
それなのに何故、突然失踪し、なんのゆかりもない場所で殺されたのか?
そこが最大の謎です。

この謎について関係者たちが語っていくという小説です。

この「きのうの世界」は前にこのブログでもご紹介した「ユージニア」に似ています。            「ユージニア」は最後まで事件の全容は解明せず、ぼかしたまま終わります。

一方「きのうの世界」はちゃんとすべての謎が明らかになります。
最後の数ページまで、凶器の謎がわからず、私はイライラしたのですが、
ちゃんと丁寧な説明がありました。

しかし、「ユージニア」と比較すると、
私は「きのうの世界」の方が若干落ちるような気がします。

これは多分好みの問題なんでしょうが、
「きのうの世界」は綺麗にまとまりすぎているように思います。

市川吾郎が何故このM町で死んだのか?
はっきり言うとこの小説はこれだけの話なのです。
これだけの話を500ページ近く読ませる
恩田さんの力量はすごいなぁと思うのですが、
その力量が面白さに今ひとつ繋がってないような気がしてしまいました。

でもやっぱりうまいよなぁ。
並の作家ではありませぬ‥


 
     ☆15日に直木賞が発表になります。
      今回の候補作に、この「きのうの世界」と
      12月24日にご紹介した「悼む人」も入っています。
      他3作は読んでないのですが、
      「悼む人」はいい線いくのではないでしょうか?(私の勝手な推測