チャウ子のそれでも本を読むのだ

チャウ子のごった煮風500字読書日記
地味に更新中^^;

アカデミア・サバイバル

2009-09-27 10:13:51 | 新書
今回ご紹介するのは
「アカデミア・サバイバル」
水月昭道著
中公新書ラクレです



もう10年以上前のことになりますが、私が目の当たりにしたのは、
新卒を採用するために中高年を他部署に異動させ、
退職に持っていくようにするという現実でした。

「リストラ」という言葉が普通に聞かれるようになったその頃、
このままでは中高年は益々雇用の場を奪われる。
なので雇用のパイを増やさなければ大変なことになると感じていました。

あれから月日が流れ、現在は全く逆の現象が起こり、
若年層の雇用が特に厳しさを増しています。

これは一般的な企業の問題だという気がしていましたが、
もっと深刻な世界が本書に描かれている「大学・大学院」という所です。

大学院を出ればもれなく学者になれるというのは幻想で、
本書によると「いま大学院に行くと、
もれなくワーキングプアになれる」そう。

これが今じわじわと問題になっている「高学歴ワーキングプア」です。

しかし、本書にもありますが「高学歴ワーキングプア」に対しての
世間の風当たりは強い。
それは好きで勉強してきたくせに今更就職できないと言われたって‥
というのが世間一般の認識ではないでしょうか。

私個人もどちらかと言えばそういう認識でしたが、
本書を読むとこれは本人たちの問題というより、
やはり社会構造の問題なのではないかという気がしました。
「大学」という世界での椅子とりゲーム、
学歴さえつければ「勝ち組」になれるという幻想。

本書には「大学」という世界で生き残る方法も伝授されています。
一言で言えば「出る杭になるな」。
私は高等教育の場は実力の世界だと思っていましたが、
本書を読む限りそうでもなさそうで暗澹たる思いになったのですが


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