チャウ子のそれでも本を読むのだ

チャウ子のごった煮風500字読書日記
地味に更新中^^;

できる大人の“一筆添える”技術

2009-03-31 21:31:44 | その他 全般
今回ご紹介するのは
「できる大人の“一筆添える”技術」
むらかみかずこ著
ディスカヴァー刊です


ここ数年年賀状も書かない物ぐさな私。

著者のむらかみさんは「人づきあいにおいて大切なのは、
手間を省くことではなく「ひと手間をかける」こと」と書いています。

耳の痛い台詞なのですが、残念ながら類は友を呼ぶで
私の友人にはそういう気の利いた人がいません。

ところで人間のコミュニケーションとしては、
会話が一般的ですが、あまりにも会話が洗練されている人は
警戒してしまう気持ちが私にはあります。
それより例えばハガキ1枚でも貰うと
ガラッとその人の評価が変わる気がするのは私だけでしょうか?

さて、本書のテーマは「一筆添える」こと。

しかしこれが手紙を書くなどということになれば、
正直億劫だとも思いますが、
むらかみさんがお薦めなのは「一筆箋」。

一筆箋だと3~5行でOKなので、
負担に感じません。

それも何も難しいことを書く必要もなし。
書く側の楽しみとしてはお気に入りの一筆箋を
何冊か手元に置いておくというのもいいですね。

一筆箋ていろんな種類がありますし、
値段も数百円ぐらいのものですし。

実はこの文章を打っている間に、仕事関係で請求書に達筆な一筆箋を
添えてくれる方を思い出しました。
その方は実際とっても感じのいい人なのです。

そう考えると著者のむらかみさんもきっと素敵な人なんでしょうね

よい世襲、悪い世襲

2009-03-30 12:26:03 | 新書
今回ご紹介するのは
「よい世襲、悪い世襲」
荒和雄著
朝日新書です


「世襲」と聞いて思い浮かべるのは、伝統芸能の世界ですが、
最近は政治家の世襲について盛んに聞くような気がします。
政治家の世襲に対してはいい感情が持てない人も多いのではないでしょうか。

著者の荒さんも悪い世襲の例として政治家を上げています。
最近では小泉元首相の親バカぶりがクローズアップされました。

荒さんは「政界は世襲一家、永田町の論理や常識のみに走り、
多様化された価値観を持った国民の意見は反映されにくくなる」
と書いています。

一方中小企業を始めとする私企業の世襲は、
会社のブランド・社風・家訓といわれる特色を親から子、
子から孫へのバトンタッチの中で継がれていくので
よい世襲の代表と言えるそうです。

個人的な感覚で言えば、
個人商店のようなお店は世襲がよいと思いますが、
中小企業と言えども企業の世襲にはあまりいい印象は受けません。

最近は中小企業などは後継者不足で
廃業に追い込まれることもよくあるそうですが、
これなども世襲にこだわらなければ、
いくらでも解決の道はあるのではないのかなぁと思ってしまいました。

文章は写経のように書くのがいい

2009-03-29 16:20:08 | その他 全般
今回ご紹介するのは
「文章は写経のように書くのがいい」
香山リカ著
ミシマ社刊です


私は子供の頃、作文が苦手で下手くそでした。
あるとき先生に「ええかっこして書くな。ありのままを書け」と言われ、
以来素直(?)な私はその教えを忠実に守り今に至っています?!

本書は文章の書き方について述べられた本ですが、
プロの書き手を目指す人向けのものではありません。

あくまでも「自分のために書く」という自己完結型の文章を
書きたい人にヒントをという本です。

香山さんは私たちはプロの作家ではないのだから、
言葉の使い方に気をつかい、苦しみながら書くのではなく、
サクサクと書くことが大事と書いています。

書いては消し、書いては消しではなく、
いったん書き出したら先へ先へ進む。
「写経のように一定のペースでサラサラ書く」。

考えが煮詰まったら、「具体例を書く」。
具体例を書いたら、それに対する自分の感想、批判を加える。
作り事は書かない方がよいともあります。
やはり私が先生に言われたことは正しかった?

私、小学生の頃森村桂さんの小説やエッセイが愛読書でした。
とにかく簡単に読めるし、余分な文章も書いてなかった。
今思えばあれはすごいことだったのだと思います。

香山さんの「むずかしいことを考える必要はないし、
妙なテクニックや厳しい修練も必要ない」という言葉を信じよう‥

ルポ 貧困大国アメリカ

2009-03-28 14:55:47 | 新書
今回ご紹介するのは
「ルポ 貧困大国アメリカ」
堤未果著
岩波新書です


3月22日にご紹介した「正社員が没落する」の堤さんの発言に
共感するところが多かったので読んでみることにしました。

本書のプロローグにサブプライムローン問題に象徴される「弱者」が
食いものにされる実態が記されています。

アメリカではレーガン大統領政権下で効率重視の市場主義が打ち出され、
社会保障が削減されました。
結果、安価な労働力競争に負けたアメリカの労働者たちは、
失業者となり中間層が貧困層に転がり落ちてしまったそうです。

本書ではその貧困層の子供達に肥満児が多いこと。
学校が民営化され、
貧困家庭の子供達の教育における平等な機会が奪われていること。
世界一高い医療費のため、
貧困層も中間層も十分に治療が受けられないのと同時に
病院経営にも利益を上げることが求められるため
医師達も疲弊していくなどの問題が示されています。

そしてこの貧困層に忍び寄るのが貧困ビジネスです。
その貧困ビジネスの最も象徴的なものが「戦争」です。

学費免除(学資ローンも民営化されている)や医療保険の加入を餌に入隊させる。
それがアメリカの若者だけではなく、
世界中のワーキングプアまでに及んでいる‥

なんでもかんでも民営化という安易な考えが危険であることを、
取材した多くのアメリカ人から警告されたと堤さんは書いています。

民営化によって自由競争となり、
サービスが向上するというのはよく言われる論理です。
しかしその論理の裏側には儲からないことは切り捨てられる。
それが生存権を脅かすようなことでも。
私はそこに怖さを感じます。

今回私がここに書いているのは、ほんのサワリの部分です。
是非本書を読んで考えていだだきたいと思います

会社の電気はいちいち消すな

2009-03-27 18:07:46 | 新書
今回ご紹介するのは
「会社の電気はいちいち消すな」
坂口孝則著
光文社新書です


本書は企業のコスト削減を考えた本です。
著者の坂口さんは「巷にあふれる利益アップ手法のウソを暴く」
と書いています。

まず、小川洋子さんの「ホテルアイリス」という小説を元に、
ホテルの経営についての解説を。

ここに書かれているのは
最低限変動費が回収できる注文であれば受けるべきということです。
利益ばかりにとらわれるな。
薄利多売には意味があると坂口さんは書いています。

さて、コスト削減については節約術として100のアイデアが。

坂口さんは冒頭からアウトソーシングに否定的です。
この100のアイデアの中でも、
コンサルタント、経理処理、清掃、警備、HPの作成・更新。
これらを従業員でまかなえという話です。

従業員のリストラをするくらいなら、従業員をもっと使おう!
ということなのですが。

社員研修の講師も社内で調達せよとあります。
しかし私が従業員ならば、
外部の専門家の話を聞きたいと思います。

ある企業では経費管理のためにある社員を「節エネ特別管理者」と認定し、
バッジをつけさせ、社長がハッパをかけたそうですが‥

コスト管理は大切だし、成果が大きいということは
本書を読めばよくわかりますが、
そのために本業でもない仕事を従業員にさせることに
どれほど意味があるのか?

それよりも本業でもっと稼いでもらうという方が
合理的だし、職場の士気も上がるのではないか?
と思ってしまいました。


コンサルタントの習慣術

2009-03-26 23:21:57 | 新書
今回ご紹介するのは
「コンサルタントの習慣術」
野口吉昭著
朝日新書です

まえがきに「良い習慣は良い人生をつくる」とあります。
しかし「ひたすら目標を立てて決心する、とにかく頑張る、
というだけでは習慣化は成功しない。
習慣化にはコツがある。
それをひと言でいえば、
「習慣化のプロセスをマネジメントする」という発想と技術だ」そうです。

習慣化をマネジメントするためのポイントとして
①見える化
②ランドセルサイクル
③愚直さ
の3つがあげられています。

①の見える化は常に自分の姿を意識しながら見える状態にしておくこと。

②のランドセルサイクルというのは著者の野口さんの造語だそう。
これはやるべきことには早く着手して、余裕を持って終わらせること。

③の愚直さはとにかく継続すること。
その道のプロフェッショナルと呼ばれる人たちは、
1万時間そのことだけに集中し、専心した時期があるとのこと。

しかしこの3つのポイントはあくまで基本。

この基本を踏まえて「考える力」や「主体的な行動力」の
習慣術にも触れられています。

あと、「新たなものを創り出す」「打たれ強い人になる」
「人を動かすリーダーになる」と続きますが、
私的には前2つが参考になりました。

モップガール

2009-03-25 17:33:24 | 小説 文庫本
今回ご紹介するのは
「モップガール」
加藤実秋著
小学館文庫です


ストーリーは…

フリーターの長谷川桃子が就職した掃除会社は
事故や事件の後始末が専門の会社。
社長の東は犬命だが犬の毛アレルギー。
重男は役者の卵、事務員の未樹はバリバリのギャル。
翔はイケメンだが何を考えているのかわからない。

桃子は掃除の現場に行くと、体に異変が起こり、
事件を呼び起こしてしまう。

加藤さんはホストクラブを題材にしたインディゴシリーズでも
お馴染みですが、キャラだけで比較すると、
この「モップガール」の方が数段面白いと思います。

社長も重男も未樹もかなりの変わり者ですが、
何故か憎めないキャラ。

しかも主人公の桃子も相当の変人キャラ。
22歳の若き乙女が時代劇オタクで
理想の男は大川橋蔵。
ケータイの着メロも時代劇の主題歌。
いきつけの居酒屋は時代劇ファンが集う店‥と
筋金入り。

只、キャラはいいのですが、
ストーリーはコミカルなだけに
ミステリーの味が薄まってるような気がします。

でもこの加藤さんなんだかブレイクするような予感がします。


「行動できない人」の心理学

2009-03-24 13:37:45 | その他 全般
今回ご紹介するのは
「「行動できない人」の心理学」
加藤諦三著
PHP研究所刊です


まさしくめんどくさがりの私向きのタイトルです。

「何かをやる前から馬鹿らしいかどうかを決めないことだ。
無気力な人はやる前から馬鹿らしいかどうかを決めがちである」

「抑うつ的な人間、無気力な人間、ノイローゼ気味の人は、
見おくりの三振をした人なのである。
バットは振らなければ球にあたらないのだ」

加藤さんによると、物事は面白いからやるのではなく、
打ち込むから面白くなるのだそうです。

意外と気が進まぬままやり始めたことでも、
やっているうちに面白くなるものかも知れません。

さて、本人がやると決めたことでも、その行動を阻害するものもあります。
本書には親との関係についても触れられています。

「小さいころ、何かにつけて失敗を叱られていた子供は、
失敗することを極度に恐れるようになる」

カミングアウトをすると、私の母親は感情的な人で、
怒るとすぐ手が出ました。
子供時分そういう母親が嫌いというより、恐くてたまりませんでした。
私は比較的早くに両親と離れて住むようになった
(実はこのときもかなりのすったもんだがあった)ので、
今思うとそれで私的には助かったなぁという気持ちです。

加藤さんは
「親の顔色をうかがって育った人は、人生を楽しむことができない」
と書いていますが、
まさしく昔の私がそうでした。
こういう経験から私は子供への体罰は絶対に反対です。

加藤さんは「親の期待にそむくことは罪か?」とも問い掛けています。

もちろん期待どおりに生きられればいいのでしょうが‥
この問い掛けには私は罪ではないと思いたいです

スラム化する日本経済

2009-03-23 18:20:48 | 新書
今回ご紹介するのは
「スラム化する日本経済」
浜矩子著
講談社+α新書です


企業の派遣切りや下請け切りが広がることは、
「自分さえよければ病」が蔓延していることを
意味していると浜さんは書いています。

この発想が通れば、結局のところ
共食い・共倒れの世界につながります。

職を失った人々はモノを買えない。
モノを買えない人々が増えれば、
消費市場は全体として縮小する。

これまでにも不況は当然ありましたが、
これまでの不況と現代(グローバル時代)の不況が違う
決定的な要因は、
物価と賃金の追いかけっこ的スパイラル上昇は起こらず、
モノ(原材料)の値段は上がれど、ヒトの値段は上がらず、
むしろ、モノの値段が上がるほど、
ヒトの値段にはコスト削減の下押し圧力がかかる。

生活物資の値上がりに対して、賃金が全く追いつかない。
こういうインフレとデフレのあいだに挟まれているところに、
グローバル恐慌がやってきたことにより、
より深い不況に嵌ってしまったということだそうです。

さて、かつてない種類のこの不況の解決策がどういうものか?
というところに興味を持って読んでいたのですが、
実は私はその解決策がイマイチ理解できませんでした。
私の理解力のなさ故でしょうが。

正社員が没落する

2009-03-22 18:21:24 | 新書
今回ご紹介するのは
「正社員が没落する」
堤未果著
湯浅誠著
角川oneテーマ21です


堤さんは「ルポ 貧困大国アメリカ」で、
湯浅さんは「年越し派遣村」の村長でお馴染み。

本書はお二人の対談です。

堤さんは今のアメリカの実態を、湯浅さんは日本の実態を語っています。

今まではいわゆる「派遣切り」を初めとする
非正規雇用の貧困問題がクローズアップされていましたが、
アメリカでは既に貧困がホワイトカラーや、
医師や教師などにも広がっています。

そのアメリカの実態が日本でも起こりつつあるということを、
日本の中間層(正規社員やホワイトカラー層)は気づいていない。

給料は上がらず、サービス残業だけが増えていく。
そして労働環境が悪化している正社員たちの反応は、非正規社員に冷たい。
そうなると正社員VS非正規社員という構図になってしまう。
これでは貧困問題の解決には程遠い。

貧困問題を解決する特効薬は多分ないでしょう(コツコツやっていくしかない)。
なぜなら貧困問題は様々な問題が根っこにあると思うので。

でも、貧困を個人の自助努力の問題と捉えるのはどうかと思います。
少なくとも他人事ではなく、
この問題について関心を持つぐらいのことは必要ではないかと。

堤さんの
「私たちが心も体も健康で、子供達は未来に希望が持てる。
高齢者が老後も安心して生きられ、労働者は誇りを持って働ける。
こういった基本的なことを政府が保障してくれないなら、
私たちは一票をつかって、それを支える政治家を落とすべきなんです。
国が国としての責任を果たさないなら、国はいらない。
税金をはらわなくていい」に
拍手!