みちしるべの伝説

音楽と希望は刑務所でも奪えない。

久しぶりに俳句(ショパンとモーツァルト)

2007年07月30日 | 俳句・短歌
少し前になるけれど、7/21(日)の日経の俳句欄、非常に珍しいことに、二人の作曲家が名を連ねたのでした。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

梅雨明くるモーツァルトより選曲す
(魚津 坪川 正)

ショパン弾く妻蕪村詠む我さみだるる
(川崎 根本 汎)

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
モーツァルトの句。うん。やっぱり梅雨明け後はモーツァルトだ。シューベルトでも、ベートーヴェンでもなく、やっぱりモーツァルトが、しっくりくると。
湿り気の多い梅雨と、晴朗なモーツァルトの音楽が好対象。モーツァルトの音楽が引き立っている。上手いと思う。最後の「す」という一言も、簡潔でモーツァルトに似合ってる。

最近、自分が選曲したモーツァルトは、2台のピアノのためのピアノソナタ。「発表会でどう?」という先生の提案があったから。とても楽しそうだけど、とても難しそう。コロコロ転がるモーツァルトは、状態の良くない手には辛そうだなぁ。

ショパンの句。作者本人がショパンを弾いているのかな?「さみだるる」ってあまり使わないけれど、五月雨(=梅雨の雨)と「心が乱れる」の意味の掛詞だそうだ。感傷的なショパンに似合う言葉だ。自分は蕪村の句風は、よく知らないのだけど、恐らくは、ショパンの音楽と対照的?
この作者の夫婦仲はどうなんだろう・・・。

蕪村の俳句集
蕪村の句風について
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

頼られて

2007年05月05日 | 俳句・短歌
頼られて頼って二人のいい関係

だった1年前のこの原っぱは、今年は畑になってしまった・・・。
でも、人知れず、自然の営みのなかで、こういう景色は繰り返されているんだろうな。
自然は美しい。
美しいものを発掘するのは、楽しい。

この少しネジネジっとした?控えめな花、いたるところに咲いているけど、君は誰?

ん~。うまく、季語が見つかって、俳句になるといいのに・・・。
仕事疲れで、頭働いてない・・・。ここは素直に、

てふてふのキス心地よくなりにけり
(そらみみ)


コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

木枯らし

2006年12月28日 | 俳句・短歌
急に猛烈に寒くなってきた。
日中、上着がいらないかも?と思えるくらい暖かった昨日から一転、ここ名古屋も木枯らしが吹き荒れてる。
少し前、NHKの俳句番組で紹介されていた木枯らしの句、三題。

海に出て木枯らし帰るところなし
(山口誓子)

木枯らしや目刺にのこる海のいろ
(芥川龍之介)

木枯らしの帰りか今日の南風(みなみかぜ)
(倉島厚)

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
誓子の句・・・広く世に知らせた木枯らしの句。自分は小学校か中学校の国語で習った。でも、知らなかった。木枯らしが太平洋戦争の特攻隊員と重ね合わせられていることを。海に出て、ついに帰ることを許されなかった特攻隊員を想って詠まれた句だったとは・・・。悲しくも潔い句。

目刺の句・・・龍之介は短編も巧ければ、俳句も巧い。巧すぎる句だなぁ。もはや動かぬ目刺の点のような小さな目から、大海原をすいすい泳いでいた頃の元気な目刺君の世界が広がってくる。巧い。海辺の漁村の木枯らしが吹き荒れる様子も、目に浮かぶ。

南風の句・・・誓子の句に触発されて詠まれた句だそうだ。願わくは、故人も、南風になって戻って来てほしいという思いが込めらているのだろうか・・・。
(年の瀬に、なんだか、暗い話題ですみません。)

そうそう、ピアノ弾きにとっては、「木枯らし」と言えばショパンの「木枯らしのエチュード」なのだけど、この曲は英語名で「Winter Wind」なんですね。いい訳。というか「木枯らし」という言葉がある日本語は素敵だ。我らが先祖様に感謝しよう。

最初に「木枯らし」と訳したのは誰なんだろうか?でも、この曲を弾くレベルまで達することは、到底ありえないわけで、まぁどうでもよいか・・・。

仕事に振り回せれて、たいへんな一年だったけれど、なんとか、仕事納めまでやってきた。
あと1日、無事に終わりますように。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

温かい秋、似ることについて

2006年10月16日 | 俳句・短歌
朝夕、気温が下がって、秋が少しずつ深まってるなぁ。最近、気になった句。出典はお~いお茶とNHK俳句。

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
曼珠沙華淋しき故に群れて咲く
(岐阜県美濃加茂市 14歳 立野真之介)

朝顔が力をためて朝を待つ
(和歌山市 13歳 河内祐輔)

満月を飛び越えてみる水溜り
(金沢市 辻本直子)

父作る案山子はいつも母に似て
(安曇野市 佐々木久美子)

継ぎ目なき 一枚の天 案山子立つ
(埼玉県鳩山町 深澤邦平)

後継ぐは案山子だけよと老農夫
(群馬県吉井町 山本春樹)

わが旅の紅葉いよいよ濃かりけり
(高浜年尾)

十六夜の寒さや雲もなつかしき
(渡辺水巴)

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
「曼珠沙華」の句。中学生でこんな、いい句が詠めてしまうんだな。

「朝顔」の句。この句もそうだけど、ほんとうに17文字で世界が広がると思う。想像力、思い遣りがないと、いい俳句は出てこない?それにしても、何気ない風景が、さまざまに奥深い世界の入り口であることに気づかせてくれるのが俳句のいいところだ。

「満月」の句。この展開は読めなかった。意外性が◎。水溜りの普段着の言葉が、好きだなぁ。

「父作る」の句。父、母、案山子、私の4人の登場人物。なんて温かいんだろう。素直にいいなぁと思った。「似る」のたった一言なのに・・・。とてもいい句だ。番組でも一席に選ばれていた。

「継ぎ目」の句。秋の高いまっさおな空を継ぎ目なきと表現しているのがいい。大きな空の元で立っている案山子、いい絵になりそう。

「後継ぐ」の句。「だけよ」がいいじゃないか。寂しくとも楽観的。静かな心意気も入り混じりつつ、それでいて気負いはなく、さばさばしてる。素敵な老境だな。

「わが旅」の句。人生と季節の重奏だ。決まってる。決まりすぎてる。果たして自分はこんな心境の秋を迎えられるのだろうか?

「十六夜」の句。うん。なつかしいなぁ。「や」はANDの意味じゃなくて、切れ字だよね?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏・音の風景

2006年09月09日 | 俳句・短歌
9月に入って、盛夏の力強さはなく、さりとて、まだ秋にもなりきれない、どっちつかずの日々。そういうあいまいな季節も悪くない。完全に夏が去らないうちに、この夏、収集した歌と句。音に関する歌や句は、気に入る傾向が強いみたいだ。

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
しとやかに またしたたかに 秋の草
(国立市 豊島槇生)

終戦の夜汽車「愛と死」立ちて読む
(能美澄江)

三百年のチェロは抱かれチェリストにまた恋をする七月の雨
(東京)駒形 光子

単旋律のあさの祈りのしづかなる東方教会十字架の庭
(紺野裕子)

薔薇抱いて湯に沈むときあふれたるかなしき音を人知るなゆめ
(岡井隆)

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
「しとやかに」の句。通勤路に萩が植わっている庭があって、毎朝、いいなぁと思って眺めてた。太陽の光をいっぱい浴びて、みずみずしい生命力あふれる萩の葉が好きだ。その思いと共鳴したみたい。

「終戦」の句。万感迫るものがある。武者小路の「愛と死」は昔、よく読んだっけ。この句の「愛と死」は武者小路ではないみたいだけど・・・。

「三百年のチェロ」の歌。ロマンチックだ。好きだ。レッドバイオリンの映画を思い出した。
「単旋律」の歌。静かで心が清められる光景ですね。
「薔薇」の歌。「薔薇」は女性の比喩です。音が無ければ、かなしみもないのだろうか?
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

余花(よか) ~ 花を惜しんで・・・。

2006年05月14日 | 俳句・短歌
余花の宿 吉野に多き物語
(大分市 高柳和弘)

せめてもの余花みる旅でありにけり
(今治市 日野正寛)

ここよりはなだらかとなる余花の尾根
(松江市 佐藤幹雄)

先人が見上げし桜 我も見る
(富士宮市 鍋田和利)

山道の先は落花の中にあり
(小田原市 相田久子)

風の尾のどこまで伸びて花吹雪
(秦野氏 浜岡健次)

吉野山 静かに余花の終りけり
(東村山市 荒木春雪子)

押しあふて又 卯の花の咲きこぼれ
(正岡子規)

散る花のあれば残花のあることを
(汀子)

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
兼題は「余花」(よか)
山奥や北の国で遅れて咲く花とのこと。春の季語だそうだ。いい句が多かった。

・「物語」の句。「物語」の一言でいろんな想像が広がる。上手いと思った。
・「せめてもの」の句。「せめて」は好きな言葉だ。「せめて」の裏に、どんな想いがあるのだろう・・・。
・「ここよりは」の句。山登りが好きなので、このシチュエーションはよく分かる。尾根に出るまでは急な坂。選者の評にもあったように、人生にも置き換えてみることもできる。余花の尾根に出られる日がやって来るんだろうか・・・。
・「山道」の句。これも山が好きだから。素直にいいなぁ。こういう光景。
・「風の尾」の句。花吹雪の流れる先を、風の尾っぽだなんて、上手い比喩だ。
・「吉野山」の句。静かに花の季節が終わる様子。「けり」の言い切りが、すっきりしてて気持いい。
・「押しあふて」の句。花が咲きこぼれる様子を、「押しあふて」とはなかなか表現できない。「又」が意味深。
・「散る花」の句。好き。ついつい散る花にばかり目が行くけど、後に残る花にも思いを馳せよう。

あと、番組の添削コーナーによれば、「爽やか」は秋の季語なんですね。今の季節は「心地よき」を使いましょうとのことだった。何気なく使う言葉にも、いろいろ経緯があるんだなぁ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春過ぎて

2006年05月11日 | 俳句・短歌
春過ぎて透き通りゆく二人かな
(そらみみ)

たんぽぽの綿毛?綿帽子?、日々少しずつ、透明になってゆく。
いつか、最後の綿毛が空に飛び出すのを見届けてみたいと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ざぜんそう・おひなさま

2006年04月22日 | 俳句・短歌



百咲いて 百の無言や 座禅草
(藤田湘子)

見つめ合うこともできずにお雛様
(北広島市 樋口範子)

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
・「座禅草」の句。座禅草(ざぜんそう)は小さなお堂で人が座禅を組むように見えることから、名付けられたのだそうだ。花言葉は、沈黙の愛。山の斜面の百の小さなお堂に百の静寂。百という数字がちょうどいい。中国だと千とか万だろう。百は、まぁまぁ多くても、多すぎることのない、やさしい多さなのだ。

・「お雛様」の句。お内裏様とお雛様、近くにいても、見つめ合うことができない二人。言われてみれば、当たり前だけど、意外と気付かない。思わず、はっとする。こういう素敵な発見は俳句の醍醐味だろう。こういうことを想像できる感性、好きだなぁ。番組の最後の発表で二席であった。どの句が特選になるかを当てるのも、この番組の面白いところ。

(4月のNHK俳句で気に入った句でした。)
(写真の「つつじの蕾」は数日前の庭で。)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

残るさくら

2006年04月17日 | 俳句・短歌


百千鳥静かに老いてゆく二人
(詠み人知らず)

散るさくら残るさくらも散るさくら
(良寛)

まさをなる空よりしだれざくらかな
(富安風生)

寝返りをうてば土筆は目の高さ
(永六輔)

仔馬立つこけてよろけてやっと立つ
(永六輔)

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
・「百千鳥」で「ももちどり」と読むのだそうな。今回の兼題だった。いい言葉。たくさんの小鳥が囀る中、仲睦まじい年月を重ねた夫婦の姿。憧れる。

・「散るさくら」の句。鮮烈に印象に残る句。桜の散る様子を、実に含蓄深く捉えてる。見事すぎる。

・「まさをなる」の句。俳人、富安風生の代表作とのこと。しだれざくらを下から見上げて、あたかも空から落ちてくる感じが、これまた実に見事。

・「寝返り」の句。永六輔氏はこの回のゲスト。こういう素敵なこと忘れてたなぁ。ほのぼのとした温かさが感じられる。好きだ。

・「仔馬」の句。生まれたばかりの仔馬が必死の思いで立ち上がろうとする様子。固唾を飲んで見守る作者、エールを送る作者の眼差しが伝わってくる。いい句。

(4月のNHK俳句で気に入った句でした。)
(写真の「残るさくら」は、自宅近くの五条川にて。)
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どくがんりゅうの月

2006年04月13日 | 俳句・短歌
鱗雲おぼろに独眼竜の月
(そらみみ)

ん~。ほんとうは、もっとうろこ雲で、夜空を昇る竜の顔のように見えたんだけどな・・・。
自転車のペダルをがんばって漕いで帰ったけど、うろこ雲は遠ざかり、カメラを手にした頃には、おだやかな竜にかわってしまっていた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする