モクズガニ科のタイワンヒライソモドキ Ptychognathus ishii Sakai,1939
熊野灘沿岸の河口域3か所で、タイワンヒライソモドキを見つけた。いずれも既知の生息地以外である。雌は抱卵個体が多かった。ある1か所ではフタバカクガニが同所的に見られた。また、別の2か所ではカワスナガニが同所的に見られた。
三重県と福岡県では準絶滅危惧種となっている。
三重県レッドデータブックによると、「甲長8.0㎜、甲幅9.8㎜ほど。雄の鉗部の根元に軟毛の房がある。前側縁の眼窩後方に切れ込みが1個ある。内湾にある河口の潮間帯上部転石下に生息。県内では熊野灘沿岸の河口域に限られ、記録があるのは南伊勢町南勢、紀北町海山区、尾鷲市の3か所のみである」とし、「生息地の河川開発、海岸開発をする場合、河床や海岸のコンクリート化には注意が必要で、転石が点在する環境を確保する必要がある」との保護対策を訴えている。
かつてはイワガニ科モクズガニ亜科に属していたが、現在はモクズガニ科となっている。
「紀伊半島以南、南西諸島や台湾に分布する。宮崎や鹿児島では大きな河川の河口域や干潟の岩の下などで採集される。」(『干潟の生きもの図鑑』)
2009.8.22~23
タイワンヒライソモドキ抱卵♀ 甲の一部に傷がある。
タイワンヒライソモドキ抱卵♀
タイワンヒライソモドキ♂ 雄の鉗脚外側に軟毛の束がある