田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

イラクサハマキモドキ

2014-05-20 | 

イラクサハマキモドキ Anthophila fabriciana (Linnaeus, 1767)

2013.7.26 津市美杉町の標高750m以上はある林道脇でハマキモドキガ科のイラクサハマキモドキを見つけた.見かけたのはこの1個体だけ.成虫の出現期は5~8月.幼虫の食餌植物はイラクサ科のイラクサ.開帳11~14㎜だから小さな蛾である.
今年も会えるだろうか?


クロメンガタスズメ幼虫

2013-09-03 | 

スズメガ科のクロメンガタスズメ幼虫 Acherontia lachesis (Fabricius, 1798)

庭に植えたトマトに大きな幼虫を見つけた.これまで見たことのない幼虫であったが,どうやらクロメンガタスズメの幼虫のようである.尾角が強く湾曲しているので,近似のメンガタスズメの幼虫ではなさそうだ.

幼虫の食餌植物は,ゴマ科のゴマ、ナス科のナス、ジャガイモ、チョウセンアサガオ、タバコ、クコ、ゴマノハグサ科のキリ、ノウゼンカズラ科のキササゲ、マメ科のフジマメなど.
終齢幼虫の体長は80~90mmとのことなので,私が見つけた幼虫は終齢幼虫だと思われる.

クロメンガタスズメは南方系の種で,その分布は本州,九州,屋久島,沖縄諸島沖縄本島;台湾,中国,マレー,インド.
近年は関東の方でも見つかっているようだ.

鈴鹿山脈のあちこちで灯火採集をすると,時々成虫の姿を見かけることがあって,山地性のものかと思っていたが,まさか海岸近くでお目にかかるとは.

2013.9.3



ウスキオエダシャク

2013-06-13 | 

シャクガ科エダシャク亜科のウスキオエダシャク Oxymacaria normata proximaria (Leech, 1897)
2012.5.5菰野町田光

ウスキオエダシャクの開張は27-33㎜.幼虫の食餌植物はグミ科のアキグミが知られている.

菰野町と大紀町の山地で出会っている.


2013.5.17大紀町大内山

ウラベニエダシャク

2013-06-07 | 

シャクガ科エダシャク亜科のウラベニエダシャク Heterolocha aristonaria (Walker, 1860)

2013.5.13 松阪市大黒田町の海岸近くの草むらでウラベニエダシャクと出会った.

幼虫の食餌植物はスイカズラ科のスイカズラ,ヒョウタンボク.
成虫の出現期は4~9月.開帳19~26mm.




アカモンコナミシャク

2012-12-31 | 

シャクガ科ナミシャク亜科のアカモンコナミシャク Palpoctenidia phoenicosoma semilauta Prout

2012.5.6 津市白山町川口.丘陵地の林縁にあるとある施設の壁面に止まる蛾,アカモンコナミシャクと判明.薄く紅をあしらって,白壁に良く似合っている.
開張15~18㎜.成虫は4~7月頃にみられるようだ.
近県では記録されているが,三重県ではどうなのだろう.

三重県の蛾類については誰もまとめてくれる人が県内にはいないので困ったものだ.三重県生物目録を作ろうとしている動きはあるが,蛾類は誰もやってくれない.

オオシラホシアツバ羽化

2012-11-28 | 

ヤガ科クルマアツバ亜科のオオシラホシアツバ Edessena hamada

2012.5.24 亀山森林公園.オオシラホシアツバが草むらの中でゆっくり移動していた.細い茎や葉につかまりながら歩いているような感じ.翅に少し触れてみたら,ベルベットのような柔らかさであった.羽化したばかりのようである.

オオシラホシアツバ成虫の出現期は5~8月.幼虫の食餌植物はクヌギ.開張は32-50㎜.


昼行性の蛾イカリモンガ

2012-07-10 | 

イカリモンガ科のイカリモンガ Pterodecta felderi (Bremer, 1864)

菰野町田光の山へ朝から出かけた.昼過ぎに明るい林縁でイカリモンガと出会った.

チョウのような蛾で,いつも翅を閉じて止まる.幼虫はシダを食べるという.そういや,周りにシダがいっぱい生えていた.
標本にすると,一見イカリモンガに見えなくなる.翅の裏表で様子が異なるからだ.

2012.6.17

ベニオビヒゲナガ

2012-06-26 | 

ヒゲナガガ科のベニオビヒゲナガ Nemophora rubrofascia (Christoph, 1882)

野登山の鈴鹿市側の麓でベニオビヒゲナガを見つけた.帯の紅さに見惚れてしまった.すごい,最高の紅さだ.風のある夕方の19時前だから,写真はこれ1枚だけ.

成虫の出現期は5~7月.

2012.6.14

晩秋の蛾 ナカオビアキナミシャク

2011-12-29 | 

シャクガ科ナミシャク亜科のナカオビアキナミシャク Nothoporinia mediolineata

12月中旬に近くの里山をふらついた。山道のあちこちで蛾が飛ぶ。個体数は多いと感じられた。
幼虫がリョウブを食べるナカオビアキナミシャクかと思う。成虫は11~12月に出現する。このあたりの里山にリョウブはたくさん生えている。
♂の触角は微毛状、♀のは糸状という。この個体の触角には微毛が見えていないようなので、♀のような気がする。

2011.12.14



アキノヒメミノガの蓑

2011-11-14 | 

ミノガ科のアキノヒメミノガBacotia sakabei Seino, 1981

津市河芸町,八雲神社へ出かけた。石灯篭にくっついているであろうアキノヒメミノガの蓑を探そうとの目的である。いるだろうと思っているから,簡単に見つけられた。蓑の長さは5~6㎜ほど,5個体見つかった。未記載の近似種が居るが,99%アキノヒメミノガのミノである。

♀は無翅で,蓑の中で産卵後には短い日で死んでしまう。越冬態は卵。学名のsakabeiは発見者の坂部元宏さんに献名されたもの。坂部さんは1958年4月に三重県内の墓石で,刻んだ字の間に固着する7㎜ほどのミノを見つけた。それから23年後に清野昭夫氏が記載し学名を命名した。

「地衣類が生える,石碑や石垣,岩の表面,木の幹などでみられる。アキノヒメミノガの方は,家の壁板,古い屋根瓦等人の生活に関係したところで多く見られる。日光の強く当たる人家の古い石垣などには特に多い。」(坂部,2002)

紀伊長島より南では見つかっていないようだが,三重県各地に普通に見られる種とのこと。11月上旬から下旬に羽化してくる成虫にはまだ出会えていない。早く会ってみたいものだ。
私は見ていないが,蝶と蛾31号(1981)にもアキノヒメミノガについて詳細がある。

参考文献
坂部元宏 (2002) Bacotia属2種の三重県における生態と分布.三重生物第52号:20-22,三重生物教育会.


羽化後の蓑


八雲神社の石灯篭 2011.11.13

青山高原のナカウスエダシャク

2011-11-10 | 

シャクガ科エダシャク亜科のナカウスエダシャクAlcis angulifera

最近,青山高原へ何度も足を運んでいる。10月には何度もナカウスエダシャクに出会った。上の写真は10月27日。

開張26~34㎜。低地から山地に見られ,良く似た仲間が居るが,10月末まで生き残っているのはほとんどがナカウスエダシャクだとのこと。薄暗い東海自然歩道を歩いていて,ただ歩いているだけなのに,この蛾は飛んで逃げていく。個体数も多い。


2011.10.18 青山高原にて

ツマジロエダシャク成虫と幼虫

2011-10-23 | 

シャクガ科エダシャク亜科のツマジロエダシャク Krananda latimarginaria

津市の偕楽公園。雑木林の中でツマジロエダシャク成虫を見つけた。続けて,エノキの幹でヨコヅナサシガメ幼虫がツマジロエダシャク幼虫の体液を吸っているのを見つけた。

ツマジロエダシャク成虫の出現月は10月,幼虫はクスノキやオガタマを食べ,終齢では30㎜ほどの体長となる。ヨコヅナサシガメにやられたこの幼虫も30㎜くらいだったので終齢であろう。
2011.10.20







タカサゴツマキシャチホコ幼虫

2011-09-24 | 

シャチホコガ科のタカサゴツマキシャチホコ幼虫Phalera takasagoensis

菰野町の県民の森。クヌギの木で,このタカサゴツマキシャチホコ幼虫を何個体も見つけた。知人から聞いた話によると,この地域にはアベマキが自生しているが,クヌギの自生は無い,県民の森にあるクヌギは植えられたものだと言う。トンボ池の周りに何本ものクヌギが植えられている。

タカサゴツマキシャチホコ幼虫の食餌植物はクヌギで,終齢幼虫の体長は45㎜。私が見つけた幼虫たちはおそらく終齢だろう。

2011.9.18



ホソバシャチホコ幼虫

2011-09-23 | 



シャチホコガ科のホソバシャチホコ幼虫Fentonia ocypete

菰野町の八風渓谷。林道脇の梢をスィーピングしていたら,美しいカラフルな幼虫が入った。

ホソバシャチホコ幼虫の食餌植物は,ブナ科コナラ属のミズナラ、コナラ、クヌギ、アラカシなど。終齢幼虫の体長は42㎜。
2011.9.18

スカシカギバ幼虫

2011-09-20 | 

カギバガ科のスカシカギバ幼虫Macrauzata maxima maxima

菰野町の県民の森。クヌギの葉を食べるスカシカギバの幼虫を見つけた。一心不乱に食べていたが,私が近づきすぎたため食べるのをやめて,丸まってしまった。
終齢幼虫の体長は40㎜,食餌植物はブナ科のクヌギ、シラカシ、ウバメガシ、アラカシなど。
2011.9.18