田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

ミシシッピーアカミミガメ産卵

2008-06-29 | 田中川
ミシシッピーアカミミガメ
田中川干潟の近く。ミシシッピーアカミミガメがいつも見られる所。
堤防近くの砂浜で彼女たちはいつも産卵している。産卵を終えて、砂浜から堤防を横切り、堤防の斜面を滑って水路へ飛び込む姿を何度か見たことがある。
この日は砂浜ではない。山土が入れられ、砂利が置かれた排水機場の敷地内。スコップも入りにくいような場所だ。
足元にカメが居るのに気づいて、ビックリしたのは私。カメは全く動じない。
産卵巣を掘っているところだ。この場所の土がこんなに泥んこな訳が無い。彼女がおしっこをかけて濡らしたに違いない。

45分後に、産卵を終えた彼女は水路へ帰っていった。この45分間、彼女は一度も後ろを振り向くことなく、穴掘りから産卵、埋め戻しまでの作業を終えた。
産卵場所には彼女が産卵したことを暗示するようなものは何一つ残っていなかった。
ミシシッピーアカミミガメの孵化は60~70日後とのことである。
2008.6.26

ミシシッピーアカミミガメ
左右の後肢を交互に穴へ入れて、土を掘り出す。前肢は踏ん張っているだけ。

ミシシッピーアカミミガメ
産卵が始まった。

ミシシッピーアカミミガメ
卵の一部に凹みが見られる。

ミシシッピーアカミミガメ
産卵を終えて、穴を埋め戻す。左右の後肢を同時に又は交互に穴へ突っ込んで、体重をかけるようにしながら、丁寧に土を入れては押し付けていく。産卵前に掘り出した濡れた土はどこにも見当たらなくなった。

ハマボウにチャハマキ

2008-06-26 | ハマボウ
チャハマキ♀
チャハマキ♀

チャハマキ♂
チャハマキ♂ 2008.6.26

田中川干潟のハマボウの木にハマキガ科のチャハマキが雌雄でいた。
チャハマキの幼虫はあまり好き嫌いがないようで、ほとんどの広葉樹を食べているそうである。
ハマボウの葉を食べているところは確認できていないが、雌雄揃ってハマボウにいるからには、きっと卵を産み付けるのであろうと思われる。
ハマボウの木は、いったい何種類の蛾の幼虫たちに食べられているのだろうか。少し調べてみた。
チャミノガ、マダラトガリホソガ、ホソバチビヒメハマキ、モモノゴマダラノメイガ、カクモンノメイガ、ワタノメイガ、ヒメシロモンドクガ、ウスアオリンガ、モモブトアオリンガ、オキナワオオアカキリバ、カバイロオオアカキリバ、フタトガリコヤガ、シロガ シロオビノメイガ、コブノメイガ、チャハマキ
以上の16種がいろんな人に確認されているようである。調べれば、まだまだ増えていくかもしれない。



オオキンカメムシ

2008-06-25 | カメムシ
オオキンカメムシ
花盛りのマサキの木に、いかにも南方系の生き物ですといわんばかりの派手な色彩のカメムシを見つけた。辺りを探したが、この1個体のみであった。
30分以上観察していたが、あまり動き回らなかった。
体長は25ミリほど。オレンジ色の地に黒色の紋があり、腹面の一部がピンク色をしていて、どの色も光沢を持っていて美しい。
キンカメムシ科のオオキンカメムシ Eucorysses grandis (Thunberg)
標本にすると、生時の色は保てないらしい。
三重県内では南伊勢町あたりの海岸近くの照葉樹林で越冬個体が群れていると聞いている。
幼虫はセンダンの実も食べるという、近くにあるセンダンにオオキンカメムシの幼虫はいるのだろうか。
2008.6.25

オオキンカメムシ

オオヒメヒラタアブ♀

2008-06-24 | ハエ目(双翅目)
オオヒメヒラタアブ♀
田中川干潟の近くで花が咲き出したアカメガシワの木を覗き込んでいた。
目の前の葉に体長1センチ弱のヒラタアブが単独でやってきた。
ハナアブ科ヒラタアブ亜科ヒラタアブ族オオヒメヒラタアブ属のオオヒメヒラタアブ♀
Allograpta iavana (Wiedeman, 1824)
黄色の鮮やかさに思わず固唾を呑んだ。
2008.6.24
オオヒメヒラタアブ♀

オオヒメヒラタアブ♀

アシハラガニの食事

2008-06-23 | カニ
アシハラガニ
田中川干潟のアシハラガニ。今日は雌の姿が見られなかった。雄ばかりである。
一匹の雄がソトオリガイをハサミではさんで、小走りに水溜りの中に入って行った。すぐに出てきて、ゆっくりと貝を食べ出した。
生きた貝を食べているところを初めて見た。

それにしても雌たちはどこへ行ってしまったのだろうか。
2008.6.23

アシハラガニ


マサキスガ成虫

2008-06-22 | 
マサキスガ
つかの間の雨上がりの夕方、干潟周りに自生するマサキの木を見に出かけた。
花が咲き出したマサキにいろんな昆虫が集まっていた。
なかでもマサキスガの成虫に会えたのが一番うれしかった。
これまでマサキスガの幼虫には何度も出会っていたが、成虫は初めてであった。
マサキを見るたびにマサキスガ成虫の姿を探していたのだ。
スガ科スガ亜科
開張19~21ミリ
触角を絶えず動かしながら、マサキの花に長く黄色い口吻を伸ばしている。
2008.6.22

マサキスガ幼虫

マサキスガ

アカウミガメ産卵

2008-06-21 | ウミガメ
アカウミガメ
アカウミガメが上陸しているとの情報をキャッチ。
23時頃、曇り空。三重大学近くの町屋海岸に出かけた。
三重大学生たちが海辺のほうを見ながら、声も出さずに座り込んでいる。
アカウミガメが産卵のための穴を掘っているところだと言う。産卵が始まるまで20mほど離れた所で待機しているのだ。
前日に上陸したものの産卵せずに海へ戻ったらしいとのことで、この日は学生たちが張り込んでいたという。
30分は待っただろうか、一人が静かにアカウミガメに近づいた。みんなに手招きしてお出でお出でと合図してくれたので、産卵場所へ向かった。
産卵はすでに始まっていた。
甲羅にはエボシガイ2個体と多数のワレカラの仲間がうごめいていた。海藻はシオグサの仲間らしいと誰かが説明してくれた。甲羅に付いている生物を採集している学生がいて、卒論の研究テーマに考えていると言っていた。
お尻のほうから産卵巣の中を覗き込もうとしたが、巣穴も卵も見えなかった。
涙はやはり流していた。
産卵が終わった瞬間、カメが少し体を上げたのでチラッとだけ卵が見えた。しかし、すぐに砂をかけて穴を埋めだした。体を一回転させながら、周りの砂をかき集めて埋めていく。パワフルな動きだ。
海へ帰っていく前に、学生たちが左右の前脚に数字の入ったタグをつけた。
約2週間後、彼女は再び近くの海岸に産卵するはずである。
甲長は約85センチ、甲幅は約70センチ
2008.6.18

アカウミガメ
涙を流している(体内の塩分調整のため、塩水を絶えず排出しているだけのことらしい)

アカウミガメ
黄色いタグがつけられた。

アカウミガメ
産卵を終えて、海へ帰っていくアカウミガメ

アカウミガメの孵化率

マエグロツリアブ雌雄

2008-06-19 | ツリアブ
マエグロツリアブ
6月に入ってから、連日砂浜のとあるポイントに通っている。
マエグロツリアブがいつ頃出現してくるのかを確かめたいと思っている。
例年彼らが現れる場所は決まっている。

6月18日15時頃、マエグロツリアブの雌雄がゆっくり飛び回っているのを見つけた。今年の初見である。
ほどなくして、2匹が接近した途端、激しく絡み合うような動きを見せた後、空中で連結し、しばらくホバリングしていた。数十秒後には草の茎葉に止まった。
5分も経たないうちに2匹は離れ、しばらくの間は離れながらも近くに留まっていたが、それぞれ別方向へゆっくりと移動していった。
しばらく彼らの行方を眺めていたのだが、そのうち見失った。見失った後、周辺をくまなく探し回ったが行方知れずとなった。
マエグロツリアブは寄生性の昆虫のようだから、寄主となる虫が居るはず。何の虫に寄生しているのか、確かめたいと思っている。
2008.6.18

マエグロツリアブ

マエグロツリアブ
マエグロツリアブの雌雄  上が雄、下が雌
翅の前黒の部分と透明な後縁部との境が明瞭で、後縁部の透明度も高いのが雄。
雌は翅の後縁部が曇って、前縁部と後縁部との境もはっきりしない。

砂浜のマエグロツリアブ

昼行性の夜蛾

2008-06-18 | 
ツメクサガ
昼過ぎから砂浜を歩いた。
オオフタバムグラやコマツヨイグサを次から次へと渡り歩く蛾を見つけた。
ヤガ科タバコガ亜科のツメクサガ 
Heliothis maritima adaucta Butler, 1878
昼行性の夜蛾である。
成虫の出現月は7~8月。マメ科のダイズに大発生することもある。ウマゴヤシやムラサキツメクサも幼虫の食餌植物である。
この砂浜でアカネ科やアカバナ科の植物を訪ね回って、何が目的なのだろう。
2008.6.17

ツメクサガ

ツメクサガ

ツトガ

2008-06-17 | 
ツトガ
三重県立博物館の建設予定地を訪ねた。
この予定地(里山)の生き物を工事が始まるまでの間、少しずつ調べていこうかと思っている。
建設設予定地に隣接して墓地や住宅地があり、予定地の中央を横切る里道は総合文化センターなどへ出かける住民たちや墓参の人たちが行き交う。
里道脇の草むらで蛾が飛んだ。
ツトガ科ツトガ亜科のツトガである。割と大きく感じられた。
成虫の体長は12~15ミリ、開張24~38ミリ
幼虫はイネ科のシバやイネを食べる。
総合文化センター内の芝生地で暮らしていたのだろうか、成虫となった彼らの寿命はたった1週間ほどと聞く。
2008.6.14

ツトガ

砂浜のアカスジカメムシ

2008-06-17 | カメムシ
アカスジカメムシ
芦原海岸のハマボウフウを見て歩いた。ひとつの株にアカスジカメムシがいるのに気がついた。
ハマウドにいるのは何度か見ている。ハマボウフウも同じセリ科植物だから、寄生していても不思議は無いのだが、シチュエーションが違う。背の高いハマウドでは首を伸ばして観察していた。砂浜のハマボウフウでは座り込んで観察できる。
赤と黒の2色で出来ている体。
5本の赤い縦縞は濃淡や幅に変化が多いという。
ハマボウフウの花もほとんど咲き終わり、果実が作られていく。アカスジカメムシはハマボウフウの未熟な果実の汁を吸収していた。
2008.6.11

アカスジカメムシ

砂浜のハエトリグモ

2008-06-16 | 蜘蛛
タカノハエトリ幼体
芦原海岸に出かけた。
ハマアオスゲの小穂を撮影していて、体長が5ミリも無い小さなクモが居ることに気づいた。
カメムシの若い幼虫を襲っているところだとは画像を見て初めて分かった。
『クモ基本50』という本に載っているタカノハエトリの幼体とそっくりである。
同書によると、「1984年に柴田が石川県で採集。80年ぶりの発見を機に和名を改称。」とある。
秋田市内の海岸や河口付近で採集されている記録もある。
河川の河口付近で、チガヤ草地をスウィーピングすれば採れるとの情報もあり、各地で見つかっているようだが、『鈴鹿市の自然』を見ても記録が無いところをみると、そうありふれた種とも思えない。
ハエトリグモの仲間はピョンピョン飛んで移動していくので、すぐに見失ってしまう。成体も同書に載っているのと同じようなクモを周辺で見かけたから、一度砂浜をスゥィーピングしてみようと思う。
学名は同書によるとHeliophanus flavimaxillis Bos. et Str.
カメムシはイネ科植物の害虫として知られるホソハリカメムシの3齢幼虫と思われる。
2008.6.11

オカトラノオ

2008-06-14 | 草花
オカトラノオ
海岸の土手に群生するオカトラノオを見つけた。
去年までは気がつかなかった。山土が盛られた土手は随分前に工事用に造られたもの。
丘陵地の日当たりの良い草地に生える多年草。
茎葉には短毛が生えている。葉の裏表共に触った感触はベルベットのよう。
葉の幅は3センチ近くあつた。
いろんな昆虫たちが花に集まっていた。
サクラソウ科オカトラノオ属
2008.6.10

オカトラノオ


オカトラノオ

ネムノキで暮らす蛾とカメムシ

2008-06-12 | カメムシ
ハグルマトモエ
海岸のネムノキ群生地に出かけた。
大きな蛾が飛び出してきて、草むらの中に消えて行った。
すぐに見つかった。前翅長が3センチ前後もあり、大きな目玉模様がある。
ヤガ科シタバガ亜科のハグルマトモエ
幼虫はネムノキを食べ、終齢幼虫の体長は6センチを超えるらしいが、未見である。
この蛾が飛んでいるときに、翅の一部が赤色をしているように見えたが、止まった姿からは赤色の部分は見えていない。

ネムノキの葉上には、ヘリカメムシ科のオオクモヘリカメムシの姿も見えた。ネムノキに寄生するカメムシである。
2008.6.11

オオクモヘリカメムシ

キタヒメヒラタアブ

2008-06-09 | ハエ目(双翅目)
キタヒメヒラタアブ
砂浜のハマボウフウの花にキタヒメヒラタアブが蜜を吸いにやってきた。
体長は7.5ミリ。このサイズなら、キタヒメヒラタアブであろう。
複眼がくっついているので♂。
ハナアブ科ヒラタアブ亜科ヒメヒラタアブ属 別名マメヒラタアブ
体長が少し小さいホソヒメヒラタアブは、鈴鹿市内の海岸や河川敷での記録があるから、河芸の海岸でもその内会えるだろう。
2008.6.6

キタヒメヒラタアブ

キタヒメヒラタアブ