高橋克典の“法律 だいすきになーれ+ひとり言α”・・・・・ まずは“宅建資格”から

法律系資格を取得しようとする場合、まず民法の勉強はかかせませんね。さらに、好きになって得点源にぜひしたいものです。

意外に解ける・R2司法試験の民法問13・根抵当権・・・。

2021-06-29 05:21:02 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
R2年司法試験の民法をうまく分析“よーくわかる”問13・根抵当権・・・。

今年は、宅建試験でも出題されそうです。

他の国家試験受験生も、押えておきましょう。


・・・・・
問13 債務者Aが債権者Bのために自己の所有する不動産に根抵当権を設定した場合に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Bは,元本の確定前は,Aに対する他の債権者Cに対してその順位を譲渡することができる。

イ.Bの根抵当権にDのために転根抵当権が設定され,BがAに転根抵当権の設定の通知をした場合,Aは,元本の確定前であれば,Dの承諾を得なくてもBに弁済することができる。

ウ.元本の確定前に,Bが根抵当権によって担保されていた債権をEに譲渡した場合,それに伴って根抵当権もEに移転する。

エ.後順位抵当権者Fがいる場合,A及びBが元本確定期日を変更するためには,Fの承諾が必要である。

オ.Bが数個の不動産について根抵当権を有する場合,同一の債権の担保として数個の不動産の上に根抵当権が設定された旨の登記がその設定と同時にされたときを除き,各不動産の代価についてそれぞれの極度額まで優先権を行使することができる。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ

・・・・・

肢アは、×です。
根抵当権では、根抵当権の順位の譲渡・放棄をすることはできないとしています。被担保債権がどれくらいになるか決まらず、複雑になるからですね。それに独自の方法もあります。

肢イですが、覚えないと難しいですが、○とできましたか。
まず、肢アと異なり、極度額はありますから根抵当権について転抵当の対象とすることができます。
そして、元本確定前の段階では、根抵当権と個々の債権とは切りはなされていますから、債務者等は、原根抵当権者に弁済することもできます。
転根抵当権者の承諾も不要です。

肢ウですが、これは絶対に解けないといけません。×ですね。
根抵当権は、元本確定前においては、担保物権の通有性である附従性とか随伴性がありまあせん。
肢1と5は消去できます。

肢エですが、これも絶対にできないといけないものですが、×ですね。
元本の確定期日の変更をしても、後順位抵当権者その他の第三者に不利益をあたえませんので、その承諾を得ることを要しません。
極度額の変更だけは、別でしたね。

そして、肢2と3が消去でき、肢4が正解となります。

肢オですが、細かいですが、○です。
共同根抵当が設定される場合ですが、原則は累積共同根抵当ですが、純粋共同根抵当は例外です。
そして、純粋共同根抵当は、「その設定と同時に同一の債権の担保として数個の不動産につき根抵当権が設定された旨の登記をした場合に限り」認められます。

累積共同根抵当は、「各不動産の代価について、各極度額に至るまで優先権を行使することができる」ものとなります。
こう考えるのは、複数の不動産に根抵当権を設定する場合における当事者の通常の合理的意思に合致すると考えられるためですね。

ここでは、いくつかは試験対策のためしっかりおぼえておいてくださいね

では、また


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意外に解ける・R2司法試験の民法問12・抵当権・・・。

2021-06-26 05:19:18 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
R2年司法試験の民法をうまく分析“よーくわかる”問12・抵当権・・・。

R2年の宅建試験では、抵当権は全く出ませんでした。驚くべき事態です。
でも、今年は必ず出題されるはずです。

きっちり、ここを押えておきましょう。

・・・・・
問12 債務者Aは債権者BのためにAの所有する不動産甲に抵当権を設定し,その旨の登記がされた。この場合における抵当権の消滅に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aは,抵当権を実行することができる時から20年が経過すれば,被担保債権が消滅していなくても,抵当権が時効により消滅したと主張することができる。

イ.甲について,その後,AがCのために抵当権を設定し,その旨の登記がされた場合において,BがAから甲を買い受けたときは,Bの抵当権は消滅しない。

ウ.Aの一般債権者が甲につき強制競売の申立てをし,当該強制競売手続において甲が売却されたときは,Bの抵当権は消滅する。

エ.甲について,その後,Aから譲渡担保権の設定を受けたDは,譲渡担保権の実行前であっても,抵当権消滅請求をすることにより,Bの抵当権を消滅させることができる。

オ.甲が建物である場合において,Aが故意に甲を焼失させたときは,Bの抵当権は消滅しない。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ オ 5.ウ エ
・・・・・

肢アですが、×です。
抵当権自体は、所有権以外の財産権で独立して20年で消滅時効にかかります。
しかし、「債務者及び抵当権設定者」については、被担保債権と同時でなければ時効により消滅しません。

これも当然で、抵当権者は被担保債権について、時効が完成しないように注意すればいいはずだからです。
抵当権が消滅時効にかからないようにするということは、早く実行せよとなって、債務者にとってもマズいからです。債権担保としての機能を抵当権が果たせなくなってしまいます。

肢イですが、○です。
抵当権者が担保目的の不動産を取得したとき、Cがいなければ抵当権を存続させておくのは無駄ですが、後順位抵当権者Cがいる場合には、先順位の抵当権を有していた不動産取得者を保護するために抵当権を失いたくないはずです。

あくまでもCは、先順位の抵当権がいるものとして設定しているわけですし、消滅するとすると、Cは予想外の担保価値を得ることになってしまいますね。

肢ウですが、○となります。
難しい知識ですが、債務者の一般債権者が、抵当権が設定された担保目的物を差押えをして、競売を申し立て実行された場合には、抵当権は消滅することになっています。
一気にけりを付けようとするわけです。

肢エですが、譲渡担保自体、宅建では出ませんので、難解です。答えは、×となります。
まず、第三取得者は抵当権消滅請求できます。これは宅建でも基本的知識ですね。

問題は、第三取得者とは、所有権を取得した者であり、譲渡担保権者がそれに含まれるかです。
この譲渡担保権者の捉え方は、2つあって、形式を重視して所有者であるとするか、実質を重視し、まだ最終的に所有権を取得しているわけではない、とするのかです。

判例は、担保不動産について被担保債権の弁済により債務者ないし設定者から受戻しを受ける可能性が残り、譲渡担保権者が私的実行を完了するまでは最終的に所有権を取得しているわけではないとしています。

そう判断できれば、譲渡担保権者は「第三取得者」には当たらないとして、本肢は×となります。
宅建では、むしろ停止条件付第三取得者で、まだ成就してない者が出そうな・・・。そう確定的にまだ所有権を取得してません。

肢オですが、これは非常に良問です。こういう問題は自分では大好きです。予想問にも使いたいなあ。

担保目的物が債務者の故意により滅失していますので、悪いやつです。
ですから、一見抵当権を消滅させるのはもってのほかだ、といえなくもありません。
しかし、それ以上に抵当権は物権なのです。物権は客体の物がなくなれば、絶対的に消滅します。悪かろうが悪くなかろうが、関係ありません。

悪い面は、別途、この行為が不法行為に当たり抵当権者が債務者に対して損害賠償請求をするか、それとも期限の利益を喪失したとして被担保債権の弁済を求めるか、で満足してほしいものです。

実はこの考え方は、すでに問6の肢エでも必要でしたね。思い出していただけましたか。そうなら大丈夫です。

正解は、肢3です。

では、また。


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意外に解ける・R2司法試験の民法問11・先取特権・・・。

2021-06-23 06:15:44 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
R2年司法試験の民法をうまく分析“よーくわかる”問11・先取特権・・・。

これもマイナーな問題ですし、宅建試験ではなかなか出題されにくいものです。
他の国家試験受験生では、やはりしっかり押えておきましょう。出てもおかしくありません。

先取特権とは、たくさんの債権者がいる、その中でもかわいそうな債権者がいたら、その人に先に取れる特権を与えたものですね。
特徴は、留置権と同じ法定担保物権、抵当権と同じ非占有型の担保、もちろん性質として、付従性・随伴性・不可分性・物上代位はもちろんあります。
こういう基本的なところから知識総動員して解きましたか。

あと、債務者の財産に応じて、一般先取特権、動産先取特権、不動産先取特権があります。

・・・・・
問10 先取特権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.法人に対して電気料金債権を有する者は,供給した電気がその代表者及びその家族の生活に使用されていた場合,法人の財産について一般の先取特権を有する。

イ.旅館に宿泊客が持ち込んだ手荷物がその宿泊客の所有物でなく他人の所有物であった場合,旅館主は,その手荷物がその宿泊客の所有物であると過失なく信じたときであっても,その手荷物について旅館の宿泊の先取特権を行使することはできない。

ウ.動産の売主は,買主がその動産の転売によって得た売買代金債権につき,買主の一般債権者が当該売買代金債権を差し押さえた後は,動産の売買の先取特権に基づく物上代位権を行使することはできない。

エ.不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには,工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。

オ.建物賃貸借において,賃借権が適法に譲渡され,譲受人が建物に動産を備え付けた場合,賃貸借関係から生じた賃貸人の債権が譲渡前に発生していたものであっても,不動産の賃貸の先取特権はその動産に及ぶ。
1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ
・・・・・

肢アですが、×です。昨年の予想問で出しましたが、司法試験ででたのがびっくりです。参考にしてるのかな。
一般(債務者のどの財産でもok)先取特権ですね。
「日用品を供給した債権者の先取特権」ですが、その相手方が限定されるかです。

これは生存権的なものですから、法人は含まれず、債務者(個人)又はその扶養すべき同居の親族及びその家事使用人と、判例は限定しているのです。

生きるために必要な場合の問題ですから、日常生活において必要不可欠な飲食品・薪炭油の入手を可能にし、その生活を保護するものとしているからですね。

肢イですが、×になります。
動産先取特権ですね。
まず、旅館宿泊の先取特権の対象は、「旅館に在るその宿泊客の手荷物(動産)」とされています。
万が一のことを考えて、バックを持ってこない人は、泊めてはいけないということですね。

また、この先取特権の対象に関して、動産ですから、民法192条の規定が準用されていますので、宿泊客の手荷物が他人の物であっても、旅館主がそれを宿泊客のものであることにつき192条所定の要件を満たすならば、その手荷物について、旅館宿泊の先取特権の効力が及ぶことになっているのです。なるほど納得です。

肢ウですが、これをもし間違えても、きちんと修正して、×にできるように理解しておいてください。
動産売買先取特権の物上代位ですね。抵当権の所でしっかり覚えていると思いますので、応用できたかです。
物上代位できる場合には、当該売買目的物の「①売却、②賃貸、③滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物」ですが、「払渡し又は引渡し前に差押え」ることが必要でした。
つまり、お金が債務者の懐に入ってからではもう遅いということですね。
ここでは、売買目的物が買主の一般債権者により差し押えられたことがこの[払渡し又は引渡し]に当たるかですね。

ここでは、転売した第三債務者が不測の損害が生じないようにすればいいと思いますので、一般債権者の差押えと競合していただけなら、なお先取特権者の物上代位は可能であるといえそうです。

肢エは、宅建でも出そうな所ですから、○とできるようにしてほしいです。
不動産先取特権です。3つあって、保存、工事、売買で、本肢は工事です。
不動産工事の先取特権は、その効力を保存するためには、「工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない」としています。緊急性はないですからね。

なお、不動産保存の先取特権の効力の保存のために、「保存行為が完了したのちに直ちに登記をしなければならない」とされていますので、異なっていますから、注意しておきましょう。保存は緊急性がありますからね。

肢オですが、○と一応いえますか。宅建試験でも出ます。
まず、不動産賃貸の先取特権(これは動産先取特権ですね)については、賃借人がその建物に備え付けた動産にも及ぶとしています。
さらに、「賃借権の譲渡又は転貸の場合には、賃貸人の先取特権は、譲受人又は転借人の動産にも及ぶ」としています。
譲渡・転貸されたら、先取特権の効力が否定されてはマズいからでしょう。

覚えるところはうまくやり、そうなら意外とこの問題簡単でしょう。

正解は、肢5となります。この問題で先取特権をだいたいすべてチェックできませんか。

では、また。


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意外に解ける・R2司法試験の民法問10・地上権・・・。

2021-06-20 05:14:01 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
R2年司法試験の民法をうまく分析“よーくわかる”問10・地上権・・・。

宅建試験でも、十分出題されるところです。出るなら、賃借権との比較でもいいでしょうね。確か、“予想問題”でも作問したような・・・。
借地権でも必要な知識といえますしね。

こういう問題は、1回で完全にものにしておきましょう。時間は余りありません。

・・・・・
問10 地上権に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.地上権者は,地上権設定者に対し,その地上権の設定登記を請求する権利を有する。

イ.約定による地上権の存続期間は,20年以上50年以下の範囲内で定めなければならない。

ウ.地上権は,工作物又は竹木を所有する目的で土地を使用する権利である。

エ.地下又は空間は,工作物を所有するため,上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。

オ.地上権は,地上権設定者の承諾を得なければ,譲渡することができない。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ オ 4.ウ エ 5.ウ オ
・・・・・

肢アですが、○ですね。
地上権者の登記請求権は民法上明文はないのですが、物権ですから、あるのです。177条もありますしね。地上権は、不動産登記法も登記できる権利とされています。

なお、賃貸借契約の場合には、賃貸人は登記義務を負わず、賃借人は登記請求権を有していませんね。条文で認めていません(売買では条文ができました)。

肢イですが、×ですね。
地上権は、当事者の約定により定める場合には、民法上期間制限の上限は設けられていません。固定資産税を学習すると100年を超える地上権者は納税義務者になるという論点を覚えます。また、判例によると、永久の地上権も認められています。

なお、賃借権は、期間制限の上限として50年とされてます、借地権なら30年以上とされていますし、永小作権では20年以上50年以下とされています。

また、期間の定めがない地上権で裁判所が定める場合には、20年以上50年以下の範囲で、工作物又は竹木の種類及び状況その他地上権の設定当時の事情が考慮されるとされるとあります。
これのひっかけですね。
以上、全部まとめてみました。みなさんの学習の便宜のため。

本肢は、あくまで約定した場合です。

肢ウですが、定義で○です。肢アが○、ここも○で、結局正解は肢3になりますね。
地上権の内容として、「他人の土地において工作物又は竹木を所有する」としています。覚えていない人は、力の入れ方がマズいかも。

肢エですが、これも○となります。
できるんです。区分地上権ですね。
たとえば、土地に関して、その空間上に電線を通したり、その下に地下鉄・地下道を設置するために、必要であればできるということです。

肢オですが、これも×と自信をもって判断できましたか。
地上権は物権で、賃借権は債権でその大きな違いが、肢アもそうですが、肢オもそうなんです。

賃借権は、賃借人により譲渡・転貸をする場合には、賃貸人の同意が必要とされましたね。地上権は明文の規定がないのですが、そこは地上権は所有権から発生する物権ですから、物権を保有する者が自由におこなうことができることになるというわけです。

では、また。


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意外に解ける・R2司法試験の民法問9・占有・・・。

2021-06-17 05:11:07 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
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マイナーな問題ですし、宅建試験ではなかなか出題されにくいものです。しかし、過去では1問でたことはありますよ。
他の国家試験受験生では、きちんと押えておきましょう。

すでに物権的請求権を扱いましたが、その占有版です。前者は条文がないのになぜ認められているかというと、一つは物権として当然だから、もう一つはこの占有の訴え(条文あり)でも認められているから物権(本権)ならもっと認められるはず、だからなんです。

・・・・・
問9 占有の訴えに関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.Aは自己の所有するコピー機をBに賃貸していたが,Bはコピー機の賃貸借契約が終了した後もコピー機を使用し続け,Aに返還しなかった。この場合,Aは,Bに対し,占有回収の訴えによりコピー機の返還を請求することができる。

イ.Aは,底面に「所有者A」と印字されたシールを貼ってある自己所有のパソコンをBに窃取された。その後,Bは,パソコンの外観に変更を加えることなく,パソコンを盗難の事情を知らないCに譲渡した。この場合,Aは,Cに対し,占有回収の訴えにより同パソコンの返還を請求することはできない。

ウ.Aは自己の所有する工作機械をBに賃貸していたが,Bは,工作機械の賃貸借契約継続中に工作機械をCに窃取された。この場合,Bは,Aから独立して,Cに対して占有回収の訴えを提起することができる。

エ.Aは,自己の所有する自転車をBに詐取された。この場合,Aは,Bに対し,占有回収の訴えにより自転車の返還を請求することができる。

オ.Aは,別荘地に土地を所有していた。その隣地の所有者であったBは,Aに無断で境界を越えてA所有の土地に塀を作り始め,2年後にその塀が完成した。Aは,この時点において,Bに対し,占有保持の訴えによりその塀の撤去を請求することはできない。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ
・・・・・

肢アですが、これは常識的いえば認めて良いと思いますので、難問でしょう。△でも。
結局、これは所有権によるか、賃貸借の契約内容からによるか、根拠づけるんでしょうね。

占有回収の訴えができる場合には、限定されていて(泥棒でも占有はあるからですね)、占有していた物が「侵奪」されたことが求められています。
本肢は、占有の移転が占有の委託による場合ですから、侵奪に当たらないので、だから占有回収の訴えができない、というものです。知らないと難しい。実は、肢エも同じ論点でした。もう覚えられます。

肢イですが、これも難しいでしょうが、○をうてそうです。
ここも、占有回収の訴えは、認められる要件が厳しいという流れの中での一つです。
ある物につき占有侵奪がなされ、それが第三者まで譲渡された場合、それは特定承継人ですが、その者が悪意者の場合でなければ、占有回収の訴えをおこなうことはできないとしています。

Cは盗難の事情を知らないと書いてくれていますから、パソコンの裏側の名前とかは無視していいのでしょうね。Cを保護するということで○とできます。

肢ウですが、Aから独立してという点がどういうことか難しそうですが、感覚的には○にできるでしょう。

占有回収の訴えが認められるためには、占有していたことが求められるだけですから、所有権者に限る必要はないでしょう。
そうすると、BはCに対して、Aとは関係なく、工作機械について占有回収の訴えを提起できるでしょう。そうしないとAから文句を言われそうです。

肢エですが、やはり今後は試験ではこれを最低でも×を付けられないといけません。
肢2か5が正解となりますね。アも×を付けられますから、肢2に決められますね。

占有回収の訴えは、占有がとにかく「侵奪」された場合に認められるのみです。
それは占有者の自由意思によらずに奪われた場合をいいますから、詐取は含まれないのです。あとは横領(肢ア)の場合でも該当しませんね。

肢オですが、難しいですが、△か○でいけますか。
占有保持の訴えができるんですが、「妨害の存在する間またはその消滅したあと1年以内に提起」しなければならないとしています。ただし、「工事により占有物に損害が生じた場合には、工事着手時から1年を経過しまたはその工事が完成したときは、占有保持の訴えを提起できない」となっています。

本肢では、Bの工事着手から1年以上経過していますし、またすでに完成しているため、AはBに対して占有保持の訴えを提起できないのです。まあ、早くやっておけということですかね。

こういうマイナーな問題も、最低1問は解いて、やった感をもっていないといけないのが、昨今の宅建試験における権利関係でした。穴をつくらない。

では、また。


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