高橋克典の“法律 だいすきになーれ+ひとり言α”・・・・・ まずは“宅建資格”から

法律系資格を取得しようとする場合、まず民法の勉強はかかせませんね。さらに、好きになって得点源にぜひしたいものです。

すき間時間でR2年10月試験の民法を丁寧に分析“よーくわかる”問10・時効・・・。

2021-05-03 06:34:51 | R02 本試験過去問“よーくわかる”解説
いよいよ10問目です。

どうですか。民法とはこうやってアプローチすればいいんだというものをつかめましたか。
まだなら、どんどん読み続けて下さい。

・・・・・・
問10 Aが甲土地を所有している場合の時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 Bが甲土地を所有の意思をもって平穏かつ公然に17年間占有した後、CがBを相続し甲土地を所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した場合、Cは甲土地の所有権を時効取得することができる。

2 Dが、所有者と称するEから、Eが無権利者であることについて善意無過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることに気付いた場合、そのままさらに7年間甲土地の占有を継続したとしても、Dは、甲土地の所有権を時効取得することはできない。

3 Dが、所有者と称するEから、Eが無権利者であることについて善意無過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることを知っているFに売却し、Fが所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を7年間占有した場合、Fは甲土地の所有権を時効取得することができる。

4 Aが甲土地を使用しないで20年以上放置していたとしても、Aの有する甲土地の所有権が消滅時効にかかることはない。
・・・・・

この問題は、肢2と3が類似ですから、どちらかが正解肢になりえますね。
美しい形になった問題ですから、とけるぞ、と思いましたか。

まず肢1ですが、自分で10年、20年占有しようが、途中でかわろうが、所有権を失う者にとっては、おなじように、「ぼーっと」していたことにはかわりありません。違いはありません。

そうすると、20年間+所有の意思をもって+(平穏かつ公然に)+不動産を占有した者は、所有権を時効取得することができますが、この占有期間につき、Cは、Bの相続人であって「占有者の承継人」に該当しますから、自己の占有期間に前主であるBの占有期間を併せて主張することができるのでした。

肢2は、10年間ですが、これは「その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったとき」だからですね。

10年間ずーっと知らないという状況は、人間としては無理でしょう。途中で気がつくはずだからです。悪意に変わるのが通常で、特に注意深い人ははやくそうでしょう。それを考慮しています。

つまり、この善意無過失の判断時期は、占有開始時の瞬時にあればよく、その後占有者が途中で悪意に転じたとしても(気づくのが通常だろうと思いますからね)、時効期間に影響しないのですね。真の所有者がしっかりしていればいいのです。
これが正解ですね。自信をもって・・・。

肢3は、肢2がわかれば、本人が途中で悪意になっても、別の人になっている場合でも同じでしょう。
占有者の承継人は、自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができるのでしたから、2個以上の占有が併せて主張される場合、善意無過失の存否については、最初の占有者の占有開始時に判定されるのです。

肢4ですが、これはすでに2回ほど出題されていますから、簡単に落とせるでしょう。
所有権は、消滅時効にかからないということです。つまり、100年間何もしなくても、自分のものとして権利をきちんと行使しているのですね。なくならないのですね。

では、また。 


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すき間時間でR2年10月試験の民法を丁寧に分析“よーくわかる”問9・売買と贈与・・・。

2021-05-01 05:26:06 | R02 本試験過去問“よーくわかる”解説
問2もそうですが、ここも実質2問分(肢4だけですが)の内容ですね。
予想問でこういう問題を2問作ったら、さんざん文句言われそうですが・・・。

そして、こういう問題は本質が問われるのですから、細かいところより、売買と贈与としかも負担付きですから、その辺を読み取って、類似な所、違うところを意識できたかでしょう。

・・・・・・
問9 Aがその所有する甲建物について、Bとの間で、①Aを売主、Bを買主とする売買契約を締結した場合と、②Aを贈与者、Bを受贈者とする負担付贈与契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、これらの契約は、令和2年7月1日に締結され、担保責任に関する特約はないものとする。

1 ①の契約において、Bが手付を交付し、履行期の到来後に代金支払の準備をしてAに履行の催告をした場合、Aは、手付の倍額を現実に提供して契約の解除をすることができる。

2 ②の契約が書面によらずになされた場合、Aは、甲建物の引渡し及び所有権移転登記の両方が終わるまでは、書面によらないことを理由に契約の解除をすることができる。

3 ②の契約については、Aは、その負担の限度において、売主と同じく担保責任を負う。

4 ①の契約については、Bの債務不履行を理由としてAに解除権が発生する場合があるが、②の契約については、Bの負担の不履行を理由としてAに解除権が発生することはない。
・・・・・・

肢1は、売買だけの内容です。
しっかり、勉強してきたところですし、改正点でもあります。

知識は、「買主が売主に手付を交付したときは、相手方が契約の履行に着手するまでは、売主はその倍額を現実に提供すれば、契約の解除をすることができる」のでした。

出題者は、履行の着手だから、さらにその前の準備はまだそれを満たしていないので、その準備という言葉を使って間違えさせようとしています。

この履行の着手とは、もう契約の目的、ゴールに動き出したのなら、簡単に手付による解除はできないよ、というものですね。そうしたら、履行の催告までしているのですから、ゴールにいくつもりが満々ですね。だから、手付解除はできないといえるでしょう。

判例は、「履行の着手といえるためには、履行の提供をするために欠くことのできない前提行為がなされ、その行為が客観的に外部から認識しうるようなものである必要がある」といっています。あーあ、難しいそう。あくまでも、自分の言葉で、簡単に、簡単に・・。

とにかく、大胆に自分の言葉で理解しておきましょうね。

肢2は、贈与は、諾成契約ですが、「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる」ことになっています。
しかし、履行の終わった部分については、解除できません。

ここは、明治時代の状況を考えると本当はよくわかるのですが、どういうことかというと、そのころの読み書きできない庶民が、あげるよとうかつにも言ったとしても、何もその後してなければ後戻りできるのです。

ですから、この「履行が終わった」は、履行が完全に終了していなくてもよく、主要な内容が実行されていればよいでしょう。
不動産の贈与の場合には、引渡しか登記のどちらかをすれば、もううかつだなんて言えないので、履行が終わったことになるのです。

「及び」には、要注意ですね。ここは、「甲建物の引渡し又は所有権移転登記のいずれかがあれば、Aは書面によらないことを理由に容易に契約の解除をすることができないのです。

肢3ですが、負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じ立場にたたせてもしいでしょう。ですから、担保責任を負うのです。
これを正解にしてほしいですね。50問のなかで、1、2を争う難しい問題なんですが、きちんと勉強しておけば、取れるぞ、と思っていただければいいでしょうか。

肢4ですが、肢3も同じ視点ですが、負担付贈与契約については、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用します。

その負担を負いたくないなら、当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができてもいいでしょう。

①②の契約ともにBの負担の不履行を理由として、Aに解除権が発生する場合があります。
解除できるとは、自分の負担を免れたいそういうものですね。

では、また。 


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すき間時間でR2年10月試験の民法を丁寧に分析“よーくわかる”問8・相続・・・。

2021-04-28 04:18:47 | R02 本試験過去問“よーくわかる”解説
問8を見てみましょう。

肢1以外は、しっかり理解しておいてほしいところです。

・・・・・・
問8 相続(令和2年7月1日に相続の開始があったもの)に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。

2 被相続人の子が相続開始以前に死亡したときは、その者の子がこれを代襲して相続人となるが、さらに代襲者も死亡していたときは、代襲者の子が相続人となることはない。

3 被相続人に相続人となる子及びその代襲相続人がおらず、被相続人の直系尊属が相続人となる場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人となることはない。

4 被相続人の兄弟姉妹が相続人となるべき場合であっても、相続開始以前に兄弟姉妹及びその子がいずれも死亡していたときは、その者の子(兄弟姉妹の孫)が相続人となることはない。
・・・・・・

肢1ですが、こういうこまかい肢を肢1にもってきて、不安にさせようとする作戦ですね。それにひっかかってはいけません。まあ、△でいいか、ぐらいにしておけばいいのです。

この相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅することになっています。

肢2から勝負です。

「以前に死亡」ですね。被相続人の子が、相続開始前以前に死亡したときは、その者の子がこれを代襲して相続人となります。そして、直系卑属では、さらに代襲者も死亡していたときは、代襲者の子が相続人となります。再代襲ですね。

財産は、とことん下に流れていくのでした。直系卑属の期待を保護するためですね。

肢3ですが、血族相続人の知識です。
順位がついていて、第1順位の被相続人の子及びその代襲相続人がすべていないときには、第2順位の「被相続人の直系尊属」になりますが、それがすべていない場合にはさらに第3順位の「被相続人の兄弟姉妹が相続人」となるのでした。

したがって、被相続人の直系尊属が相続人となる場合には、後順位である被相続人の兄弟姉妹が相続人となることはないのですね。
表現が初めてですから、こういうところで間違えさせようとしています。過去問での表現でなくても、知識としては従来通りのものですから、間違えるのはもったいない。

肢4は、初出題でしょうか。
第1順位では、とことん下におりていくといいましたが、被相続人の兄弟姉妹が相続人となるべき場合には、一代限りにしか相続財産はおりていきません。
つまり、相続開始前に兄弟姉妹及びその子がいずれも死亡していたときには、その者の子が相続人となることはないのです。

よく考えれば、自分を被相続人において、兄弟の子供のさらに子供はほとんど話したこともないのではないでしょうか。たぶん。
学習するときに、自分にいろいろ当てはめて印象付けておぼえるといいですね。

では、また。


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すき間時間でR2年10月試験の民法を丁寧に分析“よーくわかる”問7・保証・・・。

2021-04-26 05:09:38 | R02 本試験過去問“よーくわかる”解説
この年は、問2も保証で、この問題も保証でした。
問2は、改正点、ここは従来型の内容です。

正解肢は、基本的な内容ですが、その他に細かい内容の難しいものが出題されていて、それに引きづられてしまうのが、受験生の弱さですね。

・・・・・・
問7 保証に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、保証契約は令和2年4月1日以降に締結されたものとする。
1 特定物売買における売主の保証人は、特に反対の意思表示がない限り、売主の債務不履行により契約が解除された場合には、原状回復義務である既払代金の返還義務についても保証する責任がある。

2 主たる債務の目的が保証契約の締結後に加重されたときは、保証人の負担も加重され、主たる債務者が時効の利益を放棄すれば、その効力は連帯保証人に及ぶ。

3 委託を受けた保証人が主たる債務の弁済期前に債務の弁済をしたが、主たる債務者が当該保証人からの求償に対して、当該弁済日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。

4 委託を受けた保証人は、履行の請求を受けた場合だけでなく、履行の請求を受けずに自発的に債務の消滅行為をする場合であっても、あらかじめ主たる債務者に通知をしなければ、同人に対する求償が制限されることがある。
・・・・・・

まず肢1ですが、「特定物の売買」であり、「売主側の保証人」が出題の意図です。
特定物とは、自分のことばで印象づけると、特定の物、つまり世界中で一つしかないほどのもの、という意識で当事者は売買をしているというものです。

そして、その買主ではなく売主の方の保証人ですから、何を保証しているんだろう、ということです。買主側なら、代金の支払いですから、それを支払わないと保証人が代わりにお金を払えるわけです。
でも、売主が自分の特定物を引き渡さないと、もう誰もそれを引き渡せません。保証人はなにを保証するの?

ですから、判例は、「債務不履行により売主が買主に対し負担する損害賠償義務についてはもちろん、特に反対の意思表示のないかぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合に、原状回復義務である既払代金の返還義務についても」保証責任がある、としたのですね。

肢2が×で、正解です。
原則は付従性があるのですが、常にあるかといわれれば例外もあるということです。
すなわち、「主たる債務の目的が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されない」のですね。保証人がかわいそうですもんね。
ここで決着。

また、主たる債務者が時効の利益を放棄しても、それはその人の意思を尊重すればいいことで、人に迷惑を掛けてはいけないでしょう。
保証人は保証人でどうするか決めればいいので、その効力は連帯保証人に及ばず、保証人は主たる債務の時効を援用して、自己の保証債務の消滅を主張することができるのです。

肢3は、なかなか試験中にわかった、というほど簡単ではありません。△でいいでしょう。
まず弁済期前に債務の弁済をしていますが、これでも求償ができるか、できることをokとしました。
もちろん、実際に求償は、弁済期以後でないとできませんが・・・。

保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合ですし、主たる債務者がその当時利益を受けた限度においてですから、その求償権を有することになっています。

この場合、主たる債務者が債務の消滅行為の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができることになっています。
各当事者のバランスを取っていますね。

肢4ですが、ここも細かいようですね。試験中では、△でしょう。
まず、保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、改正による変更しました。
主たる債務者にあらかじめ通知しないで、債務の消滅行為をしたときは、主たる債務者は、債権者に対抗することができた事由をもってその保証人に対抗することができるのです。

この場合において、相殺をもってその保証人に対抗したときは、その保証人は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができます。

以上から、委託を受けた保証人は、自発的に債務の消滅行為をするにあたり、あらかじめ主たる債務者に通知しなければ、同人に対する求償が制限されることがあります。

正解肢が、基本的なときには、他の肢を非常に難しくするパターンがありますので、それに心を奪われずに、冷静に判断できるように、この問題を通じて訓練してください。
単に知識だけをマスターすればいいのではなく、実際に試験ではどのような心の準備をしておくかを用意していくのです。

では、また。 


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すき間時間でR2年10月試験の民法を丁寧に分析“よーくわかる”問6・錯誤・・・。

2021-04-24 06:55:28 | R02 本試験過去問“よーくわかる”解説
問6を解いてみましょう。
事例問題です。
条文の知識で解くのではなく、それを事例に当てはめて結論を出させるものです。

法学部の授業ならともかく、宅建試験の学習でこのような訓練はしていません。

では、解けないかというと、それもそうではないので、数は少ないのですが、こういう過去問で訓練しておくしかないでしょう。

そういう意味でも、この問題は貴重なものです。深掘りしておきましょう。

・・・・・・
問6 AとBとの間で令和2年7月1日に締結された売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、売買契約締結後、AがBに対し、錯誤による取消しができるものはどれか。
1 Aは、自己所有の自動車を100万円で売却するつもりであったが、重大な過失によりBに対し「10万円で売却する」と言ってしまい、Bが過失なく「Aは本当に10万円で売るつもりだ」と信じて購入を申し込み、AB間に売買契約が成立した場合

2 Aは、自己所有の時価100万円の壺を10万円程度であると思い込み、Bに対し「手元にお金がないので、10万円で売却したい」と言ったところ、BはAの言葉を信じ「それなら10万円で購入する」と言って、AB間に売買契約が成立した場合

3 Aは、自己所有の時価100万円の名匠の絵画を贋作だと思い込み、Bに対し「贋作であるので、10万円で売却する」と言ったところ、Bも同様に贋作だと思い込み「贋作なら10万円で購入する」と言って、AB間に売買契約が成立した場合

4 Aは、自己所有の腕時計を100万円で外国人Bに売却する際、当日の正しい為替レート(1ドル100円)を重大な過失により1ドル125円で計算して「8,000ドルで売却する」と言ってしまい、Aの錯誤について過失なく知らなかったBが「8,000ドルなら買いたい」と言って、AB間に売買契約が成立した場合
・・・・・・

まずは、要領よく考えましょう。
「AがBに対し、錯誤による取消しができる」かどうかですから、AをBより保護したいか、ですね。

肢1はどうでしょう。そうみると、Aは負け、Bは勝ちでしょう。取消しできませんね。
Aには重大な過失があり、BはAの錯誤について善意無過失であるからです。

肢2ですが、どうでしょうか。
法律的に分析しようとしないで、要は、Aは「手元にお金がないので、10万円で売却したい」と言っていること、Bは「Aの言葉を信じていること」から、これもB保護で、取消しできませんね。

これを法律的に説明すると、なんとなく難しくなります。
つまり、表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤(動機の錯誤といいます)に基づく意思表示を取り消すためには、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていることを要するというわけです。あー、難しい。

すなわち、Aは、Bに対し「手元にお金がない」と言っているのみであって、法律行為の基礎とした事情(時価100万円の壷を10万程度と誤信したこと)については、相手方に表示されていないのです。

どうですか、こういう事例問題では、むしろその場でABのどちらを助けたいか、そのためにはどういう事情を読み取るべきかを考えた方がよくはありませんか。

肢3は取消しできて、これが正解です。
Aは「贋作であるので、10万円で売却する」と言っています。Bも同様に贋作だと思い込み「贋作なら10万円で購入する」といっています。
肢2とは違いますね。ABどちらを保護したいですか。

これも法律的にかっこを付けて説明すると、
表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤(動機の錯誤)に基づく意思表示を取り消すためには、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていることを要する、のでしたが、Aは、Bに対し「贋作であるので、10万円で売却する」と動機を表示しているとみるのです。

また、100万円の価値がある絵画を10万円の贋作とする錯誤は、法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものと評価できますね。
したがって、錯誤による取消しができるのです。

肢4ですが、これもAは重大な過失がある場合で、Bは善意無過失であるので、Bを保護したいですね。
ですから、Aは錯誤による取消しができません。

どうでしょうか。この問題をどのように攻めていくのか、じっくり考えておきましょうね。
これならできるというテクニックを見つけるのも、過去問研究なんですよ。

では、また。 


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