はぐれ遍路のひとりごと

観ながら歩く年寄りのグダグダ紀行

海から富士山剣ヶ峰へ-1

2012-08-02 11:14:56 | 富士山
 海から剣ヶ峰も3回目となるとコース上で新鮮な驚きは少なくなってしまいましたで、今年は簡単に紹介していきます。

 4時30分田子の浦の海岸に到着。準備を整え突堤に行くが工事中で立入禁止。だが誰も居ないのを好い事にロープを跨いで突端へ。
日の出時間は4時55分ごろだが雲があるのでそれより遅くなりそうだ。さてこのまま待つべきか?
迷いながらも果たして太陽はどの辺りから出るのだろうと、方位磁石で東を確認してみると。何と何と! 東の方向はテトラポットや防潮堤などで視界が効かない。これでは日の出を待っていても仕方ないと昨年より10分早い5時45分に出発。
空模様は富士山の方角には雲がかかり富士山を眺める事は出来ないが、雨の心配はなさそうだ。しかし暑さの心配の方が気になる状態だった。

 
 田子の浦港(翌日写す)                   防潮堤越しから富士山(翌日写す)

 
 富士塚(翌日写す)                        富士塚(翌日写す)

 何時ものように富士塚に今回の登山の無事を祈願をしたあと、すでに頭に入っている道をひたすら富士山に向かって歩き出す。
東海道線の踏切を渡り、国道1号線の手前を流れている沼川を渡るとき、愛鷹山の横から日の出が見えた。
時間はすでに5時15分になっている。方向もそうだが、こんなになるまで無駄な時間を海岸で過ごさなくて済んだことにホッとした。
それにしても東の方向も確認もせず、日の出は海から出るものと思い込んでいた私には呆れてしまう。
その原因は私の住む大井川海岸の日の出は、駿河湾を挟んだ伊豆半島越しに出るので静岡県の海岸線は皆そうだと思い込んでいたのだ。
そう海岸線がカーブしている事が念頭になく、日の出は海からと思い込んでいたのだった。
だがお蔭で来年からは日の出時間は気にせず出発できることが分かった。

 岳南鉄道の踏切を渡り、根方街道を過ぎると上り坂が始まる。東名のガード潜るころからはその坂の傾斜は強まり、すでに上半身は汗でビッショリになってしまった。
雲さえなければ新東名の高架の間に富士山が見えるのに、今日は富士山の裾野すら見えない。
新東名の日影の場所でで1回目の休憩をとる。
 
 
 沼川からの日の出                    開通した新東名

 鵜無ケ淵の交差点で県道と別れて桑崎方面に行く道に入る。この道は昨年歩いたが車が殆ど走っていず、日影が多いので歩きやすい。
地図で距離を測定すると一昨年歩いた、県道76から24号経由とでは1km弱短い事も分かっている。

 県道24号の合流地点の養鶏場の所で2回目の休憩をと思ったが、道が濡れていて座る場所がない。
仕方ない、もう少し先の国道469号と合流地点に休憩所があったはずなので、そこまで頑張ろうと車が多くなった県道をひたすらに登って行く。
フーやっと国道の標識があった。だが休憩所は無い。変だな勘違いかな?もう少し先なのかと思ったが、県道合流部からすでに40分以上歩いている。それに先ほど休んだ新東名からは2時間10分経ち、距離も8km近く歩いている。あまり無理をしても後が大変になると道の端に腰かけて休憩をする。
時間はまだ8時40分だが朝飯が早かったので大分腹も減ってきた。すこし補給をしようと今朝コンビニで買ったお結びを食べる。
ついでに汗でグショッリになったベストとシャツを脱いで道端に干す。
年老いた白髪頭の男が上半身裸のまま座り込んで、お握りを食べている図は、とても家族には見せられない。車を運転している人も、きっとホームレスの老人がしゃがみ込んでいると思っただろう。

 
 国道合流部                        国道469号

 例年なら県道合流部から十里木のまでの車道が、今日の難所の一部だが、先程の頑張りのせいで昨年より楽に感じた。
それでもガードレールのある所は板取などの植物が道側まではみ出しているので、どうしても白線よりセンタライン側を歩かなければならなくなるので対向車が来ると恐ろしかった。
一体このガードレールは車の為にあるのか、それとも人の為にあるのか。それは車の為に有るのに決まっているでしょう。
こう書いているとまた思い出したことがある。この国道469号線は十里木から須山に出て、東富士演習場を横断して御殿場に抜けている国道だ。
富士山麓道一周で一番怖かったのが、東富士演習場の中を走るこの国道で、直線が多い道は車はスピードを上げて向ってくる。歩道は無く、人も歩けない様な狭い白線の上を、なるべく前を見ないように歩いた覚えがある。
その時は土地は一杯余っているのだから歩道を作ってくれても良さそうだと感じたが、ここでも同じだ。隣の森林の中に歩道を作るぐらい簡単だろう。
世界遺産を目指している富士山なら、海から剣ヶ峰へ向かう登山道とか、富士山の麓を一周する遊歩道など造れば文化的価値は一層上がるのに。
金の掛かる箱物を建てたがる有識者より、心から富士山を好きな私のような無識者の意見を言える場所が欲しいものだ。

 子供の国からも富士山は見えない。愛鷹山の登山口を過ぎ、十里木の八幡宮の鳥居に来るとホッとする。ここからは車は殆どない。十里木の別荘地を過ぎれば目指している須山口登山道と合流する。
ペンション通りに何軒かペンションはあるが何軒営業しているのだろうか? 70歳過ぎてから一気に6合目まで歩けなくなったら、ここで一泊していけば案外後期高齢者の75才ぐらいまで海から富士山に挑戦できるのではないか、などと不敵な思いも湧いてくる。
それにしても十里木は涼しいのだろう、紫陽花が満開なのはまだわかるが、所々に皐月の花が咲いていた。

 
 愛鷹山登山口                     十里木八幡宮鳥居  

 弁当場に10時45分到着。ここで水の補給をする予定だが、当てにしていた水汲みの人が誰も居ない。
直径3cmほどの鉄貫から湧いている水は勢いがなく、飲むのには支障はないがペットボトルに汲むことは出来ない。
フー困った。水は今朝500mlのミネラルウォータを1本買ったが、その残りはボトルの底にわずかしかない。予定ではここでそのペットボトルと900mlの空きのペットボトルを持ってきているので水を補給する積りだった。フー困った。

 ともかく飲むだけ飲んでペットボトルの口を水の出口付けたまま食事にした。食事が終わってそのペットボトルを見てみるとラッキーな事に水が溜まっている。ボトルを立ててみると1/4位入っている。シメタこれを繰返せば900mlは一杯にする事ができる。
結局予定より少なくなったが、何とか水の補給ができて弁当場を出発する。
(ここの水を汲むにはホースを鉄管に差し込んで汲んでいました。ペットボトルなら20cm程度の長さのホースで大丈夫と思うが)

 
 弁当場                        弁当場の水の出口

 須山口登山道は心配していた倒木は、ゴルフ場近くにあったが、綺麗に整理されていて何の支障もなく通る事が出来た。
ただ途中登山道の脇がぐずれていてロープを張ってある場所が2カ所あったが、ここも注意さえすればどうという事もない。

 昨年は余り気が付かなかったのだが、今年はゴルフ場の近くにゴルフボールが幾つも落ちていた。ザート目にしただけで20.30個はあっただろう。探す気になれば100個はあるかもしれない。
最近ではゴルフをやる知人が居ないので拾っても仕方ないのでそのままにしたが、ゴルフボールの中古を売買する所は無いのだろうか。1個100円なら1万円にはなると虫のいい計算が始まった。

上の水場に到着。ここの水場はコンクリのタンクに水がためてあり、タンクの下にある蛇口を捻れば冷たい水が勢いよく出てくる。
この水を汲めば何の問題もないのだが、昨年飲んでみて少し苦く感じた。気の所為かもしれないが一応敬遠して、皆が汲みに来る弁当場の水を補給することにしている。
そのかわり冷たい水がふんだんに出るので、ここでも上半身裸になり冷たくしたタオルで体を拭くと生き返った気分になる。

                
 登山道から遊園地グリパ                  上の水場

 富士山スカイラインにある水ヶ塚駐車場に13時15分に到着。去年と比較してみると所要時間が5分短くなっている。
距離は今年は26.6kmで去年より300m短いが、これはGPSの誤差の範囲だろう。
という事は去年の体力と今年の体力と殆ど違いが無い事になる。1年間頑張って歩いた甲斐があった。

 水ヶ塚駐車場の売店には冷たいアイスが売っていそうだが売店まで歩いて行く気がしない。どうも富士山は街道歩きと違って余計な移動はしたくなくなってしまう。十里木の「頼朝の井戸」も3回歩いたているがまだ寄った事がない。

 須山口登山道の一合目にあたる水ヶ塚を歩き始めると、去年は無かった茶色の立派な道標が目に付いた。そこに「富士宮口5合目P 210分」と書いてある。何々!新5合目まで210分? 
私はここから6合目まで4時間20分つまり260分予定しているのだが、それが210分で着く? しかも新5合目は6合目より時間が掛かると思うのだが。
尤も私は海から歩いてきているので、水ヶ塚から歩く人とでは速度が違う。その所為かもしれないがどうも気になったので、家に帰り一昨年の水ヶ塚から歩き始めたデータを確認すると、6合目まで3時間35分掛かっていた。つまり215分掛かっているのだから、6合目より距離のある新5合目なら少なくとも私には220分以上は必要となるだろう。
エッ!はぐれの足が遅いのを棚に上げているって! そうそうかもそれません。だが山の標識は安全のためにも短めに設定しない方が良いと思う。
新しい標識を建てるため歩行時間は距離から算出したのか、それても若手の脚力のある人の時間を使ったのか分からないが、もう少し気を使ってほしかった。

 
 水ヶ塚                              獣道

 獣道のような脇道が何ヵ所もあるが、登山道は車でも走れそうな太い道なので間違いようがない。
苔が綺麗に生えた場所も去年と同じように有った。そして遂に倒木地帯に突入。でも心配無用!登山道には倒木は無いし、周りを見ても新しい倒木は無かった。
去年浜松に上陸して、静岡県の西部や中部で大発生した倒木も富士山は影響なかったようだ。フーこれで不安だった一つは解消した。
と思ったら、ありましたありました。倒木地帯の最終部の方で3本の新しい倒木が登山道を塞いでいました。でも大丈夫!足の短い私でも十分跨いで通れる倒木でした。

    
  苔のある風景                      新しい倒木 

 3合目にあたる御殿庭中に3時55分に到着。下界の方はガスっていて見る事ができないが、上空は真っ青な空が見えている。日影を探して座り込む。グッショリ濡れたベストとシャツを標識にかけて乾かす事に。
この先の3.5合からは森林限界地で樹木が無くなるので、ここでゆっくり休んで英気を養ってから、今日の一番の難所である宝永山のガレ場に向かう事にする。
生乾きのシャツに袖を通すと、ウー臭い! 汗の臭いが鼻を突く。自分の汗の臭いがこんなに臭いなら、この臭いを他人が嗅いだらさぞ臭いだろうな。でもシャツやベストの替えは持ってきていない。なるべく他人に近づかないようにしよう。

 
 標識でシャツを乾かす                  宝永山のガレ場  

 宝永山のガレ場はきつかった。分かっていても大変なものは大変だ。
大きな石を探すようにして歩くのだが、その間ズルーズルーと一歩進んでは半歩下がる状態が続く。それでも今年は上手い(ずるい)歩き方を見付けたので去年より楽に登れる事ができた。
どんな方法だって? それはちょっと邪道な方法なので公表するわけにはいかないな。道路管理者に知れたら注意を受けそうだし。

 
 宝永山                           足長爺さん               

 宝永山火口の下口に到着。ここまで来れば後は平らな道を6合目に行くだけだ。
今まで登山者とは擦違わなかったが、ここからは宝永山見学の登山者と一緒になるので汗の臭いが気になって仕方なかった。
なるべく追いつかないよう、追抜かれないよう気を遣いながら6合目に向かう。

 
  火口分岐と雲海                     6合目への道

 17時40分に富士宮口6合目に到着。海岸からの所要時間は12時間55分だった。去年は13時間05分だったのに比べれば10分短縮したことになる。距離は標高差を加算しても33.1kmと大したことは無いのだが、もう体は目一杯でこれ以上歩く気はしない。
今年歩いた距離で一番長いのは東海道の日本橋から藤沢までの52.6kmだったが、疲労度は比較にならに位に富士山の方が大変だ。
矢張り「海から剣ヶ峰」は私にとって1年で最大のイベントである。

一番心配だった体調も1日目は、このように大丈夫だった。明日もこの調子が続くと良いのだが。

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