without a trace

ヤマザキ、フリーターを撃て!

極私的エロス・恋歌1974

2005-11-09 03:36:42 | 映画
 映画「極私的エロス・恋歌1974」

 監督・撮影・出演:原一男。74年。モノクロ
 
 「ゆきゆきて、神軍」、「全身小説家」、この監督のドキュメンタリーを見てて率直の感想はえらいもん見せられちゃったなー。監督のプライバシー丸出しドキュメンタリー映画。おそらく見る人も少ないだろうから完全ネタバレで。原一男には同棲していた女性がいて彼女との間に息子がいる。しかし彼女は突然沖縄に子供をつれて移住する。女性と3人で一緒に暮らしてて、そこにカメラが入るところから始まる。以前に恋愛感情のあった男が来たわけだからケンカになっちゃう。元彼女は言う「男女だとセックスして仲直りだけど女同士だとセックスできないんだ」。彼女らは性的な関係にあるだろうからここら辺は難しい問題だ。

 彼女たちは米兵相手に暮らしてる。そして誰の子供かわからない子を妊娠。原一男には新しい彼女ができててその人も妊娠。執拗なまでにカメラは追いかけて家で自力出産シーン。出産を見ている息子に現在の彼女に監督にカメラに観客。現在の彼女は何を感じたのか、彼女もカメラの前で出産する。元の彼女は女性たちが集って暮らしてるコミューンに見を寄せる。元彼女は言う「色んな人と暮らせるといいね。今日はこの人、明日はこの人って」。元彼女は夜の店で裸で踊り続けて終わる。
 
 学校へ行かずに黒人と遊んでカメラの前で平気で裸になる中学生。九州出身の強力キャラの水商売の女性。本土の人間に何がわかるかと殴られる監督。コザ暴動からまだ数年も経ってない繁華街には米兵が溢れてる、売春婦、町をさまよう混血児、サトウキビに囲まれた道を歩く女性、当時の沖縄の様子が迫ってくる。

 圧倒的なパワーを持ちながら元彼女は何を求めていたのか。これでもかってほどに人を求めてる。見ているこっちまで昔つきあってた女性は何を求めていたのかと考えさせてしまう。おそらく言葉じゃ説明できない、ただただ監督は映像として残すしかなかったのか。監督は言う「彼女と繋がる接点が映画しかなかったんです」

 人間を食べた人間を殴る蹴る、今は誰もいない炭鉱の地面が盛り上がった鳥居、癌手術、出産とこの監督の映画は圧倒的だ。ドキュメンタリー恐るべし
 原一男鑑賞3本目。★★★1/2

コメントを投稿