without a trace

ヤマザキ、フリーターを撃て!

グエムル

2010-03-11 05:00:13 | おっぱいなし映画
 グエムルはポン・ジュノが怪獣映画作ったぞという作品。ポン・ジュノ作品を見ててどういう映画を作る人かを知ってれば楽しめる。でも怪獣映画を期待してたら裏切られてしまう。一家は河原に住んで店を経営する。爺さんがいて長男のソン・ガンホ。ガンホは中学生の娘がいるも奥さんは逃亡。次男は大学を出たフリーターで長女のペ・ドゥナはアーチェリーの選手。ガンホはアホ丸出しで放っておけば眠ったり客に出す商品に手を出す。ダメ人間ばかりでポン作品きましたよと感じてくる。もちろんなぜそこで跳び蹴り?のようなテンションが満載。米軍が毒を川に流す。下っ端の韓国人は言う「毒を流したら川に行ってしまいます」、ヤンキー「だから流すのだよ。これは命令だ」。つまり実験台として使われてるのだ。そして怪獣誕生と。原爆が産んだゴジラとはまた違うが米軍という意味では共通してる。

 なんか変な生きものがいるぞとビールを缶ごと投げてみたら飲んでしまった。こりゃすげえぞとみんなでゴミを川に投げまくる。こういう視点がやはり大好き。すると大暴れし始める。人間を持ち帰って巣においてる。ガンホの娘も持ってかれてしまう。怪獣のウイルスが蔓延するかもしれんとその場の人々を政府は隔離。でも実はウイルスなんてない。またもや米軍の実験に使われている。だから軍隊は本気で怪獣を殺そうと思ってないんじゃないか。人びとが襲われて死んでも決して登場しない米軍。登場するのは科学者だけである。

 以下ネタバレ


  娘から携帯に電話があってお前生きてるのかとなる。排水溝に人間を集めてるようで自分だけ生き残ってる。もしかしてこの怪獣は何かの代償のように寂しくて人間をここに集めてるんじゃないかと思えてくる。もちろん見事に裏切られて単に腹が減った時用に集めてるだけなんだ。冒頭でガンホが作っていたスルメと同じ扱い。とにかく娘が生きてるって事で一家は助けるべく脱走する。全財産を使って車と武器と排水溝の地図をまともじゃない人たちから手に入れる。そして一家の戦いが始まるのだ。だがここはダメ人間大集合。爺さんが大事そうな話をしても誰も聞いてないで寝てるし、電話があった地区を探すのに携帯会社で正社員をやってる先輩に頼んだら報奨金目当てで裏切られ、なんで雇ってくれないんだ怪獣ぶっ殺してやるとホームレスと組んでなぜか火炎瓶を作るのに慣れてる次男など。つまり大企業の正社員は体制側なのだと監督の思想が溢れている。なぜか怪物にしか効かない薬が街中に撒かれ始める。そして真剣に退治してるように見えない何らかの圧力がありそうな韓国軍。この野郎って学生が暴動を起こしそうになったりこれですよというテンションのポン作品。もう怪獣なんてどうでもよくて人々の行動が面白すぎるというノリ。「殺人の追憶」でも殺人犯よりも周囲の人間のダメさが面白くてしょうがなかったがそれに近い。日本では怪獣って町を破壊してまくるわけで、負け組視点からするとまさにルサンチマンを体現してる。だがこの映画の怪獣は何も壊してくれない。勝ち組視点からすると利用価値のあるものという事になる。韓国映画すごいなって唸ってしまった。