映画「セプテンバー11」
監督:ケン・ローチ、クロード・ルルーシュ、ダニス・タノヴィッチ(ボスニア)、今村昌平、アモス・ギタイ(イスラエル)、ショーン・ペン、サミラ・マフマルバフ、ユーセフ・シャヒーン(エジプト)、イドリッサ・ウエドラオゴ(ブルキナファソ)、ミーラー・ナイール(インド)、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
ニューヨークの9.11テロに対しての世界中の監督によるオムニバス。全作11分9秒で構成されてる。あれは衝撃的な事件だったんだけども、世界中の人間が手放しで悲嘆したわけでもない。複雑な思いが映し出される。 人の命の重さとはまったく違うって事がわかる。
ボスニアではユーゴ内戦によって男たちは戦場へ行って殺された。残された女たちは誰もが注目されないデモに出かけていく。女たちが旗を持って連なり、冷戦時代に立てられた建物は弾痕だらけ、隣には両足のない生き残った男、どこかギリシャのアンゲロプロスっぽい。
ショーン・ペンの作品では孤独な一人暮らしの爺さんが出てくる。彼は耐えられないのか、もはや誰もいないベッドに向かって話しかけている。妻が好きだった花は枯れっぱなしだ。彼は既に妻が死んでることをわかってるが受け止められない。誰も彼の悲しみの世界を崩せないし入り込む隙間さえない。その隙間に太陽の光がさした時、夢と死が混じり合う光の中で彼はベッドに向かって号泣している。しかもこれは彼の死をも暗示してるんじゃないかな。
ケン・ローチはやっぱり9.11に起きたチリの独裁政権による虐殺事件。アジェンデ大統領の社会主義政権をアメリカ協力によって将軍のピノチェトがクーデターを起こす。そして数万人の人間が虐殺されていく。チリって今でもビルを壊すと壁の中から死体が出てくると聞いたことがある。アメリカの行ってきた自由の強制の失敗例。 当時の本物の映像とブッシュの宣言が皮肉的に映し出される。やっぱこの監督は只者ではない。
今村昌平は戦争に行ったショックから蛇として生きていく男の話。この設定からしてエロス。みんなで村人が殺すでもなく抑えられてる感じがする。北野武がこのオファーを断ったとか。中国や韓国の監督の9.11に対する捉え方も見たかったかな。
★★1/2
監督:ケン・ローチ、クロード・ルルーシュ、ダニス・タノヴィッチ(ボスニア)、今村昌平、アモス・ギタイ(イスラエル)、ショーン・ペン、サミラ・マフマルバフ、ユーセフ・シャヒーン(エジプト)、イドリッサ・ウエドラオゴ(ブルキナファソ)、ミーラー・ナイール(インド)、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
ニューヨークの9.11テロに対しての世界中の監督によるオムニバス。全作11分9秒で構成されてる。あれは衝撃的な事件だったんだけども、世界中の人間が手放しで悲嘆したわけでもない。複雑な思いが映し出される。 人の命の重さとはまったく違うって事がわかる。
ボスニアではユーゴ内戦によって男たちは戦場へ行って殺された。残された女たちは誰もが注目されないデモに出かけていく。女たちが旗を持って連なり、冷戦時代に立てられた建物は弾痕だらけ、隣には両足のない生き残った男、どこかギリシャのアンゲロプロスっぽい。
ショーン・ペンの作品では孤独な一人暮らしの爺さんが出てくる。彼は耐えられないのか、もはや誰もいないベッドに向かって話しかけている。妻が好きだった花は枯れっぱなしだ。彼は既に妻が死んでることをわかってるが受け止められない。誰も彼の悲しみの世界を崩せないし入り込む隙間さえない。その隙間に太陽の光がさした時、夢と死が混じり合う光の中で彼はベッドに向かって号泣している。しかもこれは彼の死をも暗示してるんじゃないかな。
ケン・ローチはやっぱり9.11に起きたチリの独裁政権による虐殺事件。アジェンデ大統領の社会主義政権をアメリカ協力によって将軍のピノチェトがクーデターを起こす。そして数万人の人間が虐殺されていく。チリって今でもビルを壊すと壁の中から死体が出てくると聞いたことがある。アメリカの行ってきた自由の強制の失敗例。 当時の本物の映像とブッシュの宣言が皮肉的に映し出される。やっぱこの監督は只者ではない。
今村昌平は戦争に行ったショックから蛇として生きていく男の話。この設定からしてエロス。みんなで村人が殺すでもなく抑えられてる感じがする。北野武がこのオファーを断ったとか。中国や韓国の監督の9.11に対する捉え方も見たかったかな。
★★1/2