without a trace

ヤマザキ、フリーターを撃て!

民衆が語る中国

2007-01-29 04:41:42 | ドキュメンタリーとかテレビ
BS特集「民衆が語る中国」第一回見る。文化大革命を一般の中国人やかつての紅衛兵たちが振り返って語る。中国が建国してから階級の変化が起こる。それまでの地主や富裕層は階級を低くされ、共産党として戦った人や貧農などかつての被差別者は階級が高くなった。地主の子供として生まれた時点で自らのブルジョア的な思考を変えよと迫られる。50年代に大躍進という政策を始める。まずは工業を革命的に発展だと農民もみんな工業をさせられる。当然だけど学や資源のない地域が多くて農民達は自分の家のフライパンを溶かそうとわらで火を焚いてたという。もちろん大失敗でソ連と同じく農業をやらないせいで餓死していく。中国人の爺さんは村で何人死んだかは秘密なんだと笑顔で話す。そして小平や劉少奇が農業を再建するも毛沢東はこれは自分が失墜すると文化革命という流れらしい。

 当時の紅衛兵たちが言うには、自分たちの親の世代は革命を経験してるからやりたかったらしい。かつて地主やらの人たちは問答無用で責められる。仏像や寺ら文化も破壊され、大学の教授は学生に殴られ追い出される。家に押し入ってブルジョア的な物を探すために破壊される。父が日本人の通訳をしてた人は自らの卑しい生まれを変えたいと悩んだという。父は戦後台湾に逃げ、一家は母が子供たちを食わす。その人はなんとかして自分の血筋から離れて革命的になりたいと。母が再婚したかった男性がちょっと西洋的な服装してると取り囲まれる。そして彼は「この男はこの女に会いに来たのだ」と叫ぶ。家族は革命的に崩壊していく。どんどんとエスカレートして自営業までも反革命、お互いに疑心暗鬼にまでなっていく。確か映画監督のチェン・カイコーも紅衛兵で父を糾弾したと言っていた。その罪の意識が映画にはあるとか。バイト終わって深夜のコンビニに行ったら店員は「おうさん」だった。ワンちゃんにタンメンを売ってもらいたいなと考えながら帰宅。

豚と軍艦

2007-01-23 04:29:29 | おっぱいなし映画
 「てめえらなんて朝鮮で死ね」と売春婦がアメリカ人に叫ぶ。警察に捕まっていく光景を見るストリートの女たちは大声で喜ぶ。ここは朝鮮戦争前後の横須賀ドブ板通りである。米軍基地にパラサイトしてアメリカとかいう遠くから軍艦が来るのを待っている人々。貧しい人間が全国から集まり常に黒船アメリカ様を待っている待ち組だらけのストリート。ネオンは英語だらけ、そしてバーンと豚が写し出される。この映画は戦争に負けた国の底辺に生きる食用豚組が描かれるドブ板劇場である。

 長門裕之が属するヤクザの組がある。組長の丹波哲郎は背中になんみょうほうれんげーの文字を刺青で彫っているというイカした組長。今村昌平はこのネタ好きだね。ヤクザは待ってなどいられない待たない組。この組は売春小屋が手入れされたために金に困っているので豚を飼育し始める。そこに怪しい日系人が登場。このアメリカ人様は基地から出る残飯を格安で売ってくれるという。彼はヤクザに利益の一割は貧しい人に寄付するなどというビジネス戦略まで教えてくれる。そして日米畜産協会なる豚小屋が誕生するのだ。餌代が足りないために彼らは路上でゆすったりスト破りをしたりして金をかき集める。

 以下ネタバレ


 今村昌平の映画だからガンガン飛ばすのであらすじは書きづらい。長門の家族は父子家庭で戦争で兄が戦死し、父は半分アル中で朝から寝ている。父は工員だったが体を壊して下流ライフ。長門としては工員なんかなって企業にこき使われる人生なんて嫌だと反発している。一方で恋人の吉村実子も母子家庭の下流。姉がパンパンのようで妹もアメリカ人に尽くすように命令されている。日本撫子らしく一人の金持ってる男に尽くすのだと。彼女は長門とケンカしてパーティーで踊ってるとアメリカ人に集団レイプ。金持って逃げ出すも路上で殴られて捕まる。アメリカ人はもちろん無実で彼女だけ捕まる。家では吉村が母の金を奪って飛び出し、弟たちはアメリカになりたいと言い教科書を読む「日本という国家は世界でも独特の発展を遂げた美しい国なのであります」。そして豚がブヒブヒ写し出される。もう今村昌平のパンクワールドが全開だ。

 日系人は同じ民族を騙すようなジャップとは付き合わないと中国ヤクザと手を結ぶ。「ちゅごくじん同じミンゾクだまさないヨ」とつまり同じ民族以外はだますという美しい契約。結局豚の取り合いで日本人が内輪もめ。組のために刑務所に入ってくれと命令されるチンピラ長門はイヤだと。なんだとクソガキこれだから最近の若者はと怒られるとぶち切れ。機関銃を乱射してドブ板待ち組ストリートを豚と人間が逃げ惑う。長門はトイレでのたうち回って死に、豚の死体と一緒に搬送されていくのを見てる人々。恋人はバカヤローバカヤローと叫ぶ。このストリートでは人間と豚の価値は同じである。

 また新たな黒船のような軍艦が来て住民達は大騒ぎ。婆さんたちは涙を流しながらさすがアメリカだねと感動。アメリカ人が食べ物を投げて貧民が群れる中をアル中の長門オヤジは去っていく。横須賀駅に到着した売春婦たちと川崎で女工になる吉村は対比のように去っていくのだった。

 
 電車が象徴的に使われている。組長の丹波は電車に飛び込もうとするが死ねない。そして日産生命の広告に隠れる。そこにはニコニコ家族という文字。電車は家族の象徴のようで、決してこのストリートから脱出できない家族を作れない丹波とラストで横須賀を電車で去っていく吉村実子は逆だ。目先の利益だけを追求するという人々を描く事で日本らしさを描いた素晴らしい作品。
 今村昌平鑑賞9本目。★★★★

イスラエル対ヒズボラ-戦闘最前線からの報告-

2007-01-15 03:52:09 | ドキュメンタリーとかテレビ
 NHK-BS世界のドキュメンタリー「イスラエル対ヒズボラ-戦闘最前線からの報告-」を見る。製作はフランス。このドキュメンタリーはなぜこういう事態になったかではなくて現地ではどんな状況になってるのかを追っていく。ヒズボラ側の状況は無理なので市井の人々が出てくる。あまりの光景に鳥肌が立ってしまうほどに驚いた。

 レバノンのベイルートではイスラエル軍の空爆によってあちこちが破壊されている。マンションは崩れており、人々は焼かれたコーランを見せながら言う「あいつらはコーランを爆撃したのだ。この惨状を見て世界に伝えてくれ」。なぜ我々がイスラエルやアメリカを憎むかわかるだろうと怒っている。ヒズボラのメンバーもいてカメラは追い出されてしまう。

 一方の国境付近にいるイスラエル軍部隊。この部隊は徴兵による兵士がほとんどで、職業軍人ではなくて市井の若者がほとんど。彼らの支給は月に150ドル。平均年齢は21歳で隊を率いる大尉はなんとまだ27歳。意図的なのかわからないけど信じられない光景だ。彼らは戦争を望んでおらず、相手はレバノンではなくてヒズボラという武装組織だと言う。歴史の浅い国を守るために我々は戦わなくてはならないのです。建国60年で7回も戦争をして守ってきたと。若い衛生兵は怖いと脅えている。なぜならば他の部隊では衛生兵が負傷者を手当てしながら被弾して顎が吹っ飛んで死んだからだ。彼らは国境へ向かう。

 そしてイスラエル側の国境の町。ここでは毎日20発ものロケット弾がレバノン側から飛んできている。住民の3分の2は逃げ出したが、町長を始めとしたイスラエルの公務員たちは逃げない。大きな町の衛星写真を貼ってどこにロケットが被弾したかマークしている。数時間前に被弾したという家は屋根がぽっかりと空いている。そこの住民は言う「ヒズボラを殲滅してやる」。皮肉にもこの町で死んだのはアラブ系のイスラエル人だ。孫を亡くした爺さんは憎み合ってもしょうがないと言う。

 一方のレバノン側の国境地帯。こっちは空爆なので町は壊滅している。ロケット弾が飛んできても綺麗なイスラエルとはまったく違う。100万もの人々が逃げているために大渋滞。裕福な人間はベンツで、貧乏人は歩きながら逃げている。病院は物資が届かずに難民キャンプ状態。国境周辺はイスラエルの無人偵察機が飛んでおり、人々を見つけるとその先の建物は爆撃される。取材班たちも狙われて数十メートルのすぐ近くにミサイルが飛んできて爆発。本当に殺されそうな雰囲気だ。

 ついに部隊はレバノンへ。カメラはなんと戦車に一緒に乗っていく。彼らがお祈りしている頭上ではミサイルが飛んでいる。小学校も爆撃されて子供たちの死体が運ばれている。学校を破壊して野戦病院にしようとするイスラエル軍。若い兵士は小学校を眺めながら僕たちの学校と同じですねと笑顔で話す。まったく良心の呵責のような物は見せない。するとヒズボラがバズーカで攻撃してくる。怖がっていた衛生兵が負傷。頭から血を流す兵士、大尉はヘリを呼び、ヘリが打ち落とされないように四方八方撃ちまくる。休止時には兵士は携帯で家族に電話。自分の部隊が襲われたなんて言えませんよと笑顔。

 イスラエルの病院へ。衛生兵は頭を縫われて腹からも弾を取り出して助かる。彼が撃たれて救助される写真が新聞にでかでかと載っている。彼は言う「軍事行動に意味があったのかはわかりません。それはお偉方が決める事です」。彼の母親は国のために若者が死んでいくと嘆いている。そして破壊されたベイルート。若者たちはヒズボラの黄色い旗を体に巻きながら歩いている。

 兵士は戦車が撃たれたら終わりだと言ってるのに番組は一緒に乗っている。そこまでやるかと。そして驚くのは双方の人々がこんな状況でも落ち着いていること。だからスタッフが家を壊されたレバノンの婆さんに落ち着いてますねと言うと「怒りを心の中に抑えているんだよ」という言葉が恐ろしさを物語っている。

高校生を獲得せよ~米軍リクルート最前線~

2007-01-08 03:24:35 | ドキュメンタリーとかテレビ
 NHK-BSドキュメンタリー「高校生を獲得せよ~米軍リクルート最前線~」見る。全米の高校を卒業する若者は年間300万人。その若者達を獲得せよと役所広司が出てきそうなタイトル丸出しだ。

 ニューヨークのタイムズスクエア。まさにニューヨークを代表するネオン並ぶ中心地。ここの目立つところにあるネオン掲示板は軍隊の物。でっかく募集中と宣伝してるのだ。町ではヒスパニックパレードというのがあって、増え続けるヒスパニック系の移民たちが参加するお祭りがある。中南米の国別にわかれたお土産や食べ物が売っている。そのパレードのブースにも米軍がいて勧誘活動をしている。移民系の若者をターゲットに流行ってる音楽と共にロッククライミングまで楽しめてしまう。同じような育ちをしたリクルーターがいて若者を誘っている。

 こういった軍のリクルート施設が町のあちこちにある。リクルーターは一人軍隊に入れるたびに1000ドルのボーナスがもらえるという仕組み。そして番組はブロンクスへ。130万の住民の7割がヒスパニックか黒人系。平均年収は2万8千ドルという地域。ここにある3000人もが通うマンモス公立高校へ。進路相談会が開かれている。ほとんどの子が貧しいために安い公立大学が人気だ。ここにも軍は来ていて外国の駐屯地に行けるし大学の学費だって全額支給と勧誘している。大学へ行く学費が貰えるのプラス給料という事で熱心に聞く子も多い。

 軍に行きたがる青年を追う。彼の家族は両親が離婚し、母も数年前に死んだために祖母と下の弟や妹たちの5人家族。祖母はプエルトリコから移住してきてずっと貧しいままだ。彼女の年金で一家は暮らす。彼は真面目で成績も良いが大学へ行きたいが、家族を考えて軍に入隊するつもりだ。そしてよく軍のリクルート施設へ通っている。そこでは軍に入ることが決まった子達の写真が凛々しく飾ってある。ストリートではほとんどが白人の反対デモが行われている。

 アメリカの高校では選択授業で軍隊の科目があるらしい。先生は本物の元軍曹。この将校訓練授業では全員が軍服を着て登校しなければならない。科目を履修してれば軍に入る時に給料がアップするのだ。この高校でも150人が履修している。帰属意識や年上の人に対する礼儀を学ぶプログラム。落ちこぼれゼロ法という教育改革により軍は大学や企業のリクルートできる扱いを高校で受ける事に。軍が要請すれば生徒の個人情報を学校が教えなくてはならない。

 そしてハーレムの高校へ。ここの校長は軍のリクルートに反対している。なぜならば彼自身はここのスラム出身でベトナム戦争で死んでいく同級生達を見ていたからだ。ここの生徒は言う「遠くに住んでるおれみたいな貧しい人間を殺しに行くなんてゴメンだね」

 州兵までも戦争に行かされて毎日銃撃されてえらい目にあった女性、イラクから戻ってもまだ悩まされる男性など登場。二人とも学費を稼ぐために選択したのだ。軍に入る高校生は心配する祖母に言う「安全な所しか行かないから大丈夫だよ」。軍から支給された銃を持ってストリートで友達と訓練していく。

 中流階級にあがるためには学歴が必要だ。その学費を得るために軍という選択をする若者たち。若者は馬鹿ではないのでメリットがないと行くわけが無い。こうして最強の軍隊は人材を得るために経営努力をして若者を入れているのだ。

2006年見た映画まとめ

2007-01-06 05:16:33 | 映画
 昨年見た映画の中で特に心に残ったもの。基本というかほとんどWOWOWとNHKの衛星にレンタルビデオで借りてる。あまり新作は無いけどいいじゃないか。
 自分で言うのも何だけど前と比べても良作を多く見たと思う。特に邦画再発見といった感じで星印は邦画。感想書いてなかったり、いつもつけてる評価があまり意味ないのもあるけどもそこは置いとこう。未見のみ。既に見たのも入れれば「ウォリアーズ」とか「ミーン・ストリート」なんかもやはりトップクラス。

1月「ドッグヴィル」 規範のない社会。アパム!弾もってこーい
「アビエイター」 自己の二面性と戦い続ける男。欲とエロスと仕事とひきこもり
 
2月★「秋立ちぬ」 人生のメタファーのような町の光景を見つめる少年
「悪魔のいけにえ」 ヒッチハイカーが素敵すぎる

3月★「狂い咲きサンダーロード」 見所はスーパー右翼。傑作
「狼よさらば」 ブロンソンはもはや法律。傑作
「さらば冬のかもめ」 負け組と社会の接し方。後から後からじわじわ来る。傑作
「ショーン・オブ・ザ・デッド」 脱力ゾンビと負け組イギリス人たちの戦い。自動的に勝ち組は殺されます
「バス男」 映像に音楽とセンス抜群。いかにアメリカ負け組映画が熱いかわかる。傑作

4月「八仙飯店之人肉饅頭」 ウォン様劇場
「インファナル・アフェア」 シリーズ通して素晴らしい。トニー・レオンの顔
「バス174」 ブラジルのバスジャック事件ドキュメンタリー。メディアの問題も絡めて
「ヤコペッティの残酷大陸」 モンド・ミーツ・ひらきなおり
★「妻として女として」 成瀬の完成形に近いような

5月★「少年」 戦争で傷つき無鉄砲な当り屋へ
★「水のないプール」 ロックンローラー地下鉄職員。裕也内田の勇姿を見よ。傑作
「ネバーランド」 控えめだけど素晴らしい
「シュガーベイビー」 カウリスマキ系の脱力感とメッセージ
★「女の中にいる他人」 サスペンスを作っても一流の成瀬。傑作

6月「ケス」 鳥である貧しい少年は常に巣に戻ってしまうのだ。傑作
「カンバセーション・・・盗聴・・・」 他者への覗きは自己へ向かう。傑作
★「十階のモスキート」 ロックンローラーパソコン警察官。内田裕也の勇姿。傑作
「さらばアフリカ」 必見モンド

7月★「ドグラ・マグラ」 精神病の頭の中へ
「フォッグ・オブ・ウォー/マクナマラ元米国防長官の告白」 WW2とベトナムを見てきた男のドキュメンタリー
★「清作の妻」 元祖あややこと若尾文子の勇姿。傑作
★「教祖誕生」 宗教のバカバカしさ
「マイ・ネーム・イズ・ジョー」 ケン・ローチは似たような映画があるけどなぜか心を打つ

8月★「人間の條件」 シリーズ通して面白い。仲代達也の過剰すぎる演技が笑える
「インサイド・ディープ・スロート」 映画のもう一つの側面はいかがわしさ。ポルノドキュメンタリー
★「浮雲」 これも後からくるタイプ。傑作
★「吸血鬼ゴケミドロ」 この適当さ
「不思議惑星キン・ザ・ザ」 グルジア流の脱力SF
 
9月「ザ・コーポレーション」 民主主義に反する企業は人々によって規制すべき。ドキュメンタリー
★「祇園囃子」 芸者という名の再チャレンジ
★「盲獣」 盲人アーティストによる40歳の童貞男日本版。傑作

10月「MON-ZEN」 ゲルマン神経症と禅の融合
「ロバート・デ・ニーロのブルーマンハッタン」 デニーロミーツテロリスト。傑作
★「十九歳の地図」 排泄の町を浪人生が走る。傑作

11月★「書を捨てよ町へ出よう」 さいなら映画こんにちはルサンチマン。傑作
「サマリア」 父と石が見つめる援助交際
★「にっぽん昆虫記」 今村昌平はパンクすぎる。傑作
「春夏秋冬、そして春」 そして無常

12月「アメリカン・バイオレンス」 昔の衝撃映像やってた頃のテレビを思い出す
★「無常」 今見るべき映画。傑作
★「哥」 5時以降は1秒たりとも働きとうないんです
★「田園に死す」 オカンとボクと、時々ボク。傑作
「失われた龍の系譜~トレース・オブ・ザ・ドラゴン」 ジャッキー・チェンのドキュメンタリー。中国現代史