SMILES@LA

シェルターからやってきたミックス犬のニコとデカピンのニヤ。どちらの名前もSMILEの犬姉妹の思い出を綴ります。

ドッグフードの原材料を見てみよう ビィ・ナチュラル

2020-10-07 17:18:09 | ドッグフード原材料シリーズ
ドッグフード原材料シリーズ、今回はビィ・ナチュラルのルートを取り上げます。

 
肉類(カンガルー*、ヤギ、七面鳥、鶏)、全粒たかきび(ソルガム)*酵素で加水分解

全粒ライムギ、キャノーラ油(NO-GMO)、タスマニアサーモン、パン酵母*、

モンモリロナイト、蔗糖、アップルファイバー、亜麻仁油、チコリー根(フラクトオリゴ糖)

サーモンオイル、オオバコ繊維、ユッカ抽出物、パン酵母抽出物、アボカドオイル、

酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物)

ビタミン類(A、D、B1、B2、B3、パントテン酸、B6、葉酸、B12、E)
ミネラル類(塩化ナトリウム、第二リン酸カルシウム、塩化カリウム、炭酸カルシウム、
硫酸銅、ヨウ化カリウム、硫酸第一鉄、酸化マンガン、硫酸亜鉛、セレン)

まず最初は肉類として4種の食肉が挙げられています。
一番最初にカンガルーとあります。先週「引っかかる」と書いたのはこの件です。

それはさておき
カンガルーに*がついて「酵素で加水分解」と注釈がついています。
これはカンガルーの肉に何らかの消化酵素を加えて肉のタンパク質をアミノ酸または
ペプチドの単位にまで分解したものです。
アミノ酸が複数組み合わさったものがペプチド、ペプチドが組み合わさっているのがタンパク質です。
ペプチドの単位にまで分解されたタンパク質はアレルゲンとなりません。
(詳しくは以前にアレルギー療法食を比較したこの記事をご参照ください)
そのため加水分解はアレルギー対策として行われることがあります。

しかしカンガルーの肉はほとんどの犬にとって新奇なタンパク質ですから元々アレルギーが起きにくいものです。
アレルギー対策として加水分解するなら鶏肉や七面鳥の方が効果的なはずです。
加水分解することで消化し易くなりますが、消化器疾患などの療法食ならともかく
通常のフードの主原料の肉にコストの高い加水分解をしてまでカンガルーを使う目的は何だろう?
カンガルー肉を使っているというのがこのブランドのセールスポイントだから?と
色々疑問が湧き上がって来て、ちょっと不透明な部分ではありますね。
カンガルーの肉自体は、低脂肪で鉄分の多いアスリート向けのタンパク質です。

次に挙げられているヤギ。これはメーカーサイトでは野生のヤギと表記されていますが
元々はオーストラリア国外から持ち込まれた家畜のヤギが逃げたりして野生化した外来種の動物です。
本来の生態系に含まれない動物なので、存在そのものが環境への脅威となってしまうものです。
そのため狩猟が許可されており、一部はこのようにペットフードに使われます。
その点はカンガルーよりも理に適っていますね。ヤギ肉は羊肉に近いので犬の体にも馴染みやすいタンパク質です。
ビタミンB群や鉄分などを多く含む栄養豊富な肉です。

七面鳥と鶏はどちらも比較的低脂肪なタンパク源です。
アミノ酸組成が似ているのでアレルギーは共通して起こりやすいと考えられます。

全粒タカキビ(ソルダム)はイネ科の雑穀です。
食物繊維とミネラル類が豊富で、グルテンを含まないので昨今注目されていますが
桃太郎のキビ団子はタカキビで作られているそうで、古くから食べられているものです。

全粒ライムギ ライ麦ですね。
小麦に含まれるグルテンはグリアジンとグリテニンという2つの成分でできていますが
ライ麦にはグリアジンだけが含まれます。その為「グルテン不耐症やアレルギーが出にくい」という面と
「不耐症やアレルギーが強い場合は小麦と同じ反応が出ることがある」という面があります。
強い小麦アレルギーやグルテン不耐症がある場合には避けた方が無難ですが、一般的には
食物繊維とビタミンB群が豊富でヘルシーな穀物です。

キャノーラ油は菜種油です。
従来の菜種油には心臓に悪影響と言われるエルカ酸と甲状腺に影響を及ぼすグルコシノレートが含まれ
アメリカでは使用が禁止されています。この2つを含まないよう改良した品種から採油されたのがキャノーラです。
この品種は遺伝子組み換えが多く行われているので、この原材料一覧ではわざわざ
NO-GMO(遺伝子組み換えでない)という表示をしています。
オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸をバランス良く含みますが、犬の体は植物性の
オメガ3脂肪酸をうまく活用できないので、オメガ3摂取源としては期待できません。

タスマニアサーモン、オーストラリア産の鮭ですね。
タンパク源の他、犬の体にも吸収しやすいオメガ3脂肪酸のソースとして理想的です。
ただ、量が多く使われている順に表記されている原材料一覧の中でオイルよりも後と
いう順番は
量的にはあまり期待できない可能性があります。

パン酵母 パンを焼く時に生地を膨らませる酵母です。
酵母は各種アミノ酸を含む菌ですが、この製品では酵素によって加水分解されています。
前述したように、この加工をすることでアレルギーのリスクは減少し消化吸収性が上がります。
また加水分解によって旨味成分が生じるので、風味付けの意味もあるでしょう。
ビタミンB群やミネラルを多く含みます。

モンモリロナイトは非常に粒子の細かい粘土です。
化粧品などに利用されますが、ここで使われるのはもちろん食用です。
ミネラル補給の他、整腸作用も期待できます。
デトックスとか解毒作用があるなどの効用がよく取り上げられますが、化学物質に吸着して
体外に排出する働きのことだと思います。良いことのようですが注意が必要な点でもあります。
化学物質というのは医薬品も含みます。治療のための薬を飲んでいる場合、モンモリロナイトによって
その効果が無くなったり薄くなる可能性があるからです。
個人的には毎日食べるフードに入っていると使い勝手が悪い気がしますが
薬を服用している場合は、かかりつけの獣医師に確認してみてください。

(ニコニヤが下痢をした時に病院で処方されたモンモリロナイトの一種のクレイを与えることがあります。
その時は、普段摂っている薬とは2〜3時間の間を置いて与えるようにしています。)

蔗糖 これは植物から採った糖のこと、つまり砂糖です!
メーカーサイトでは嗜好性とエネルギー源としてと説明されていますが、糖質ならば
2種類の穀類が使用されているので、やはり疑問が残ります。
さらに「全体の2%しか使用していないので悪影響はない」という説明と
「カビや雑菌を抑える働きが期待できる」という説明がありますが、この2点は矛盾します。
全体の2%の砂糖に雑菌を抑える働きは期待できません。低糖のジャムでさえカビやすいですよね。

アップルファイバー  リンゴの繊維ですが、一般的に飼料に使われるのはジュースを搾った後の残りです。
水溶性食物繊維であるペクチンと、不溶性食物繊維を多く含みます。
でもこの製品、全粒穀物やオオバコ繊維も使われていて、繊維が多すぎないか?という気もします。

亜麻仁油 フラックスシードオイルです。植物性のオメガ3脂肪酸であるアルファリノレン酸を多く含みます。
ただしアルファリノレン酸が活用されるには体内でEPAに変換される必要があり
犬はEPAへの変換能力がたいへん低いため、オメガ3摂取源としてはあまり意味がありません。

チコリー根 ミニチュア白菜みたいな形の野菜チコリーの根です。
駆風作用(ガスを排出)のあるハーブとして知られるもので、水溶性食物繊維を多く含みます。
オリゴ糖も水溶性食物繊維の一種なのでそのように表記されています。

サーモンオイル オメガ3脂肪酸の理想的な摂取源です。
サーモンなど魚の油に含まれるオメガ3脂肪酸はEPA、DHAなど犬の体ですぐ活用できる種類です。

オオバコ繊維 雑草のオオバコの実のさやで、水溶性と不溶性両方の食物繊維を含みます。
水分を吸収して便のカサを増やすので、便秘と下痢の両方に効果があります。
オオバコ繊維が入っていることから、このフードでは便の量や回数が増える可能性はあります。

ユッカ抽出物 ユッカはリュウゼツラン科の植物で芋のような地下茎が食用になります。
その抽出物は関節炎などの炎症を抑えたり、便の臭いを少なくする働きがあります。

パン酵母抽出物 先に書かれていたパン酵母も酵素による加水分解と注釈がありましたが
パン酵母抽出物というのも、酵素または他の方法で菌体を抽出したものです。酵母エキスとも呼ばれます。
この2つの違いは何なのだろう?というのが不思議な点です。

アボカドオイルはアボカドの実から採ったオイルです。種子の油ではありません。
ビタミンEが豊富な点とオメガ9脂肪酸であるオレイン酸が多い点はオリーブ油と共通します。
オメガ3脂肪酸も含みますが、犬にとっては活用できないタイプのものです。

酸化防止剤は天然由来のローズマリーエキスと、ミックストコフェロール(ビタミンE)なのは安心な点です。

最後はビタミンミネラル類ですが、ミネラルについて吸収しやすい加工がしてあるという記述はないですね。


「で、全体的に見てどんな感じですか?」

全体的に見て、良心的に作られた良いフードだと思います。
カンガルー肉について思うところを先週書いたような理由で、もし私が日本にいても
利用することは多分ないと思いますが。

いくつか疑問な点はあります。

メーカーサイトの原材料の画像を見ると、肉類が乾燥またはミールのように見えます。
原材料の時点で生肉ではなく加工されているなら、アミノ酸の損失などの問題もあり
加工方法を知りたいところです。
これが最初に書いた日本メーカーで外国産のフードは読みにくいという点の1つです。

またヒューマングレードの原材料を使用と書かれているのですが
日本のペットフードにヒューマングレード表記の規制はありません。
「毛、羽、血などを使わず人間の食用にする部分のみを使っている」と書かれていますが
欧米の基準では、それだけではヒューマングレードを名乗ることができません。
日本の基準がないので、偽りではないのですが誤解を招きやすい点ではあると思います。


「おかーさんて多分イヤなお客さんだよね」

うん、本当だね。しかも「多分利用しない」とか言って客でさえないしね😅 

ところで、ちょっと更新の間が空いてしまったのは、この長い記事を書いている途中
2回も書いた部分が消えてしまうという呪いのようなアクシデントがあったからです。
幸い全部消えたのではなく、当日書いたところが消えただけだったのですが
それでも😨 😰 😭 こんなんなるには十分なダメージでしたよ。
コメント
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