少し間が空いてしまいましたが、久しぶりのドッグフード原材料シリーズです。
 | ナチュラルドッグフード ラム（2kg） 【転売業者にご注意ください】販売元が公式販売店の『株式会社レティシアン』であることをご確認くださ... NDF ナチュラルドッグフード |
このフードもイギリスの小規模メーカーが作っているフードを、日本の企業が小規模に輸入して販売しているパターンですね。
「お肉がいっぱいのこだわりフードなんだって」
原材料は全てヒューマングレードというのがこのフードのセールスポイントの１つです。
では原材料一覧を見てみましょう。
ラム肉（イギリス産）55%以上、玄米、全粒オーツ麦、ベジタブル・ハーブミックス、全粒大麦、テンサイ、亜麻仁、ビール酵母
これだけ！？って、ちょっとびっくりしますよね。私もびっくりして混乱しました。
このフードのもう１つの売りは、ビタミンミネラルなどのサプリメントを添加していないこと。
だから原材料の種類も少ないんですね。 この点については後ほどまた。
さて、一番最初に書かれているラム肉、日本語では単にラム肉と書かれていますが
本国のサイトではフレッシュラム肉と乾燥ラム肉に分けて書かれています。
乾燥肉はラムミールではなくて乾燥させただけのラム肉です。
ミールのように高温調理されていないのでアミノ酸の損失が少なく、良いタンパク源となります。
重量ベースでは生のラム肉の方が多いようですが、生肉は水分含有量が多いので
実際のタンパク源としての割合は乾燥ラム肉の方が多くなります。
その次は玄米と書かれていますね。
白米と違って米ぬかの食物繊維やビタミンB群、ミネラル類が摂取できるのが良い点です。
全粒オーツ麦、オーツ麦は大抵の場合は精製していない全粒の状態で使用されるので
普通にオーツ麦と書かれているものと同じと考えて良いかと思います。
ミネラル類、食物繊維が豊富です。タンパク質も多く含みます。
さて、問題はその次の原材料。この表記はちょっといただけないですね。
ベジタブル・ハーブミックスって！ 何が入ってるのか全然分からないじゃないですか！
これは、イギリスのオリジナルのメーカーサイトで確認できました。
シナモン、カモミール、りんご、ニンジン、ユッカ、クランベリー が入っているそうです。
シナモンは健胃作用や抗炎症作用のあるハーブです。
犬もその恩恵を受けることができますが、量が過ぎると胃のむかつきなどを起こすこともあります。
カモミールも健胃作用、抗炎症作用、そして気持ちを落ち着ける作用があります。
マイルドな働きで副作用などの少ないハーブです。
りんご、にんじんはビタミンC、βカロチンの補給に最適ですね。
ユッカは海老芋みたいな形の根菜です。栄養豊富で抗炎症作用、抗腫瘍作用を持つ食材です。
その働きから、ユッカエキスは犬向けの関節炎サプリメントにもよく配合されています。
また排泄物の匂いを軽減させる働きも持っています。
クランベリーは尿路感染症予防に良いとよく言われていますが、フードに入っている量では
そこまでの効果は期待できません。
しかし、ビタミンCやポリフェノールなどの抗酸化物質が豊富な食材です。
ベジタブル・ハーブミックスはここまで。
全粒大麦、玄米よりもさらに多くの食物繊維を含み、ビタミンB群、ミネラル類も豊富です。
テンサイは砂糖大根とも呼ばれる、甜菜糖の原料となる根菜です。
フードの原材料でよく登場する「ビートパルプ」というのは、テンサイから糖分を搾った残り部分です。
丸ごと全部使われているのは珍しいですね。
亜麻仁、フラックスシード のことです。
必須脂肪酸であるオメガ６脂肪酸とオメガ３脂肪酸がバランスよく入っているのですが
犬は植物性のオメガ３脂肪酸を体内でうまく活用できない個体が多いので要注意です。
食物繊維も豊富です。
ビール酵母はビールを製造する時に利用されるのでこのような名がついています。
アミノ酸、食物繊維、ビタミンB群、ミネラルなど多くの栄養素を含んでいます。
「で？このフードはどうなんですか？」
えーっと、まずオリジナルであるイギリスのメーカーサイトと比べるといくつか相違があります。
これが本国のサイトの原材料一覧。
44% Lamb (including 26% Freshly Prepared Lamb, 17% Dried Lamb, 1% Lamb Gravy),
Brown Rice, Oats, Fruits*, Vegetables*, Herbs*, Linseed, Sugar Beet,
Sunflower Oil, Brewers Yeast.
日本のサイトではラム肉55％と書かれているけれど、本国のサイトでは生のラム肉26％と乾燥ラム肉17％、ラムグレービー1％で合計44％となっています。
（ラム肉55％と書いてある割に、粗タンパク質20％と低めな点もちょっと疑問）
穀類も本国では玄米とオーツ麦のみで大麦の表記はありません。
それから英語ではサンフラワーオイル（オメガ６脂肪酸補給源）が入っているけれど
日本のサイトでは書かれていません。
日本とイギリスで違う処方のものを作っている？
そういう説明は一切ないし、本国のメーカーの規模を考えてもそれはちょっと考えにくい。
推測なのですが、日本の販売会社が取り扱いを始めた時とは、本国で少しレシピに変更があったのではないかと思います。
でも、それが日本語での説明に反映されていないのはちょっと感心しませんね。
それから本国のサイトでも日本語サイトでも、FEDIAF（欧州ペットフード工業連合会）の栄養基準に準拠していると書かれていません。
日本語で「総合栄養食」という表記も見られません。
確かにこの原材料の内容で総合栄養食だったら「どうやって？」と頭をひねるところなので
それは不思議ではありません。
骨や卵殻パウダーなどが使用されていないので、カルシウム、マグネシウム、リンが不足しているのではないかと思います。
内臓肉も使用されていないので、その他の微量元素もビール酵母や穀類だけでは心もとない気がします。
海藻類も使用されていないので、ヨードも不足している。
また亜麻仁だけでは、前述のようにオメガ３脂肪酸が不足する可能性が高いです。
製品の原材料は多分吟味された良いものを使っているのだろうと思いますが
毎日ずっとこのフードを食べていると、足りないものが出て調子が悪くなるのでは？と心配になります。
日本のサイトは、製品についての説明よりも「定期購入の方法」ばかりが目立っている（笑
多分、日本の販売会社はフードについての知識はお持ちではないと思います。
スタッフがペット栄養管理士やホリスティックケアカウンセラーの資格を持っていると
書いてあるけれど、それならちゃんと説明しなくちゃいけないですよね。
このフードについて私が感じたことは、栄養豊富なトリーツだと考えれば優秀かもしれない。
フードとして毎日与えるなら、カルシウムなどミネラル類は本当に添加されていないのか等
疑問な点を徹底的に販売会社に問い合わせて、添加されていないならサプリメントをプラス。
フィッシュオイルなど犬が利用しやすいオメガ３脂肪酸源もプラス。
でもそこまでするなら、他のフードを探したほうが早くないか？という気もします。
