花菖蒲

日常やら何やらかんやら気儘に綴ります。気儘に。

孤独な三毛猫 番外編~頼れる存在~

2020-02-04 18:00:00 | やつがれシリーズ~心を捜して~
三毛猫は酷く心が折れ掛けていた。
特に決定打は有りはしない。
けれど、積もりに積もったものが…
溜まるに溜まったものが…
音を立てて三毛猫の中で崩れて征く兆候があったのは1月29日の事である。
敢えて其処に己からは触れない様に三毛猫はひた隠しにした。
心に蓋をして…
傷口に蓋をして…
総てを閉ざした。
そうしなければいけない。
そう強く感じた。
心の底から翌日の約束を愉しみたかったからこそ隠した。
三毛猫はそう思うのだ。
だから目を背けていたけど結局、少しだけだ吐き出して…
弱音を少しだけ吐いた所で何も変わりはしなかったのだと2月1日、三毛猫は思い知る。
仕事中、いつも1度ならばそう感じる事はある。
けれどその日は多々、そう感じる出来事があり三毛猫の心はズタズタになり壊れた。
やっぱり無力だよな…僕(やつがれ)は。
そう、心の中でポツリと三毛猫は呟くと心は防衛本能に駆られ視界が揺れ霞む。
嗚呼、弱音を吐くだけ吐いたから頑張らなきゃ…
そう、思ったんだけどな…
三毛猫は携帯(iPhone)を片手に倒れ込みつつ…
文(LINE)の画面を開き…
文を送るか、否か定かを考える。
結局…ほぼ無気力状態なまま…
ありのまま…
白狐へ三毛猫は文章を書き上げ送る…
遣り取りを続けるうちに溢れ出した感情は留まることを知らずに止め処なく溢れ…
三毛猫の心は崩壊していく…
ついに無意識に呟いた言葉を三毛猫は文で送ってしまっていた…
声が聴きたい…と、云うか…逢いたい…。
泣きそうな顔をしていたに違いない。
収まらない、鞘が無い刀身剥き出しのこの感情は己だけではどうにもならなくて苦しくて堪らなくなった三毛猫は白狐の存在が頭に浮かんだのだ。
もう…駄目だ…自分だけじゃ…キツイ…逢いたい…。
そうして三毛猫は白狐に吐露をした…。
白狐は時間を作ってくれた。
三毛猫は感謝した。
自分の時間をおそらく満喫してるであろう日によりにもよってタイミングが間違いなく悪いであろう事を予測していた日に三毛猫は弱さを露わにし、頼ってしまった。
その事に罪悪感を感じ更に落ちる。
けれど、文章だけで精神的にやられてる事を白狐が察してくれた事が心に染みた…
似た様な事、普段も吐き出してるのに何で違いが判ったんだろ?
疑問に感じもしたが、矢張り気付いてくれたと云う事実がそんな疑問は些細な事だと言わんばかりに掻き消した。
白狐の提案により、カラオケに行った訳だが…
土曜って事もあり道が混んでるから。と、白狐はスクーターで来てくれた。
おそらくそれだけが理由では無かった様に感じる。
三毛猫は後ろに乗るのを楽しんでいた事が白狐にも伝わっていたからだろう。
その証拠に帰り道、少し速度を上げて風を切って走ってくれた。
声を挙げながら三毛猫は楽しんだ。
白狐は知っているのだ。
三毛猫の悩みは三毛猫の中でケリを付けるしかない様なものばかりだと。
ならば吐き出すだけ吐き出させて、後は愉しませる。
そう云う意図が言葉や行動に示されて居る。
三毛猫はソレをぎこちなくも受け取る。
いつもならもっと楽しくて仕方ないんだけどな…
三毛猫はそんな感情を懐きつつも会話したり歌ったりする。
しかし、途中から白狐の気紛れ大暴走は三毛猫を大爆笑の渦に叩き込むのである。
そうして2時間、笑いながら満喫した三毛猫は白狐に少し硬い乍らも笑顔を見せれる迄に回復した。
別れ掛け、三毛猫は珍しい行動に出る。
「ありがとう…元気…でた。」
そう呟くと背後から白狐をぎゅっと軽く抱き締めたのである。
いつもなら取らない行動を三毛猫は取ったからか白狐が一瞬、固まった様に見えたが…
其処はどスルーの三毛猫である。
帰宅して考える…
頼れる存在なんて…今迄、居なかったのに…
素直に頼ってしまったなぁ。
繁忙期中もそうだったけど…
弱さも
強さも
頑固さも
不断さも
不安も
恐怖も
笑顔も
色々…見せる様になってきたんだな…
嗚呼、そうか…もう、強がって虚勢を張らなくても独りで居なくても良いんだな…
そう、三毛猫は思考を纏めると改めて白狐へ御礼の文を入れ…
久方振りにゆっくり眠りに就くのだった…。