三毛猫は自身の生死に興味関心が然程ない。
死ぬ場所も…
生きる場所も…
三毛猫には至極、どうでもいい。
只、無為に死ぬよりは他者の糧になる様な死に方をしたいと考えている。
そんな三毛猫はいつもいつも危ない橋を渡る。
自己犠牲なんて当たり前。
自身すらも捨て駒に平然と使うのだ。
何せ一般人より弱い様で其の実、弱過ぎる所為で並大抵の事では弊害にならないのだ。
無理。
と、云う言葉は滅多に三毛猫は使わない。
何故なら三毛猫には無理と云う概念がある意味、皆無なのだ。
そんな三毛猫は縛られるのも縛るのも嫌いで他者を縛りたがらない。
しかし自身が心から信用してる存在に縛られるのは良い。
と、かなり変わってる部分がある。
自分で自分の存在を望まない三毛猫は誰かに存在を望んで貰えたならば、自分の存在を望んでくれる者の為に存在する。
必要とされなくなれば…
また流れて征く。
それが三毛猫のスタンス。
以前の三毛猫ならば望んでくれる者ならば誰でも良かった。
けれど今はちょっと違う。
心から大事にしたい存在に自分の存在を望んで欲しい。
そう…考えている。
野良猫である自分を飼ってくれる者が居るなら誰でも良かった。
首輪をくれるなら…自分を必要とさえしてくれたならばそれで良かった。
けれど…今は…白狐にしかそれを望まない。
もし、心から必要としてくれたならば…
三毛猫は迷いなく白狐と共に歩んで征くだろう。
熱くなく、冷たくない…
丁度いい塩梅の…
恋をしたのだろうか…?
三毛猫には分からない。
否、こんな感覚は初めてで自分でも判じる事が出来ずに居る。
ハッキリしてるのは…
好き。と、云う気持ちだけ。
たった其れだけの気持ち。
けれどその1つの感情は三毛猫の心に強く根付いて離れないし、揺るがない。
その感情が三毛猫に力を与え三毛猫を変える。
こんなにも力強く息吹いてる好きって度合いは…
三毛猫には無かった様に思う。
情緒も安定して穏やかなのにも関わらず。
孤独な三毛猫は大切なものを得ようとして居る。
欠けてしまったもの。
失ったもの。
備わってないもの。
様々な形で三毛猫に無いもの。
本来なら当たり前に有るべきもの…
それを三毛猫は得ようとして居る。
三毛猫はそんな感覚を覚えつつも、自分の中でボヤッと変わり出したものがどう変わるのかを確認している…
この変化は何なのだろう…?
三毛猫はそう感じ乍ら当て嵌まる言葉を探している。