花菖蒲

日常やら何やらかんやら気儘に綴ります。気儘に。

孤独な三毛猫 其の陸

2019-12-26 09:40:00 | やつがれシリーズ~心を捜して~
三毛猫は自身の生死に興味関心が然程ない。
死ぬ場所も…
生きる場所も…
三毛猫には至極、どうでもいい。
只、無為に死ぬよりは他者の糧になる様な死に方をしたいと考えている。
そんな三毛猫はいつもいつも危ない橋を渡る。
自己犠牲なんて当たり前。
自身すらも捨て駒に平然と使うのだ。
何せ一般人より弱い様で其の実、弱過ぎる所為で並大抵の事では弊害にならないのだ。
無理。
と、云う言葉は滅多に三毛猫は使わない。
何故なら三毛猫には無理と云う概念がある意味、皆無なのだ。
そんな三毛猫は縛られるのも縛るのも嫌いで他者を縛りたがらない。
しかし自身が心から信用してる存在に縛られるのは良い。
と、かなり変わってる部分がある。
自分で自分の存在を望まない三毛猫は誰かに存在を望んで貰えたならば、自分の存在を望んでくれる者の為に存在する。
必要とされなくなれば…
また流れて征く。
それが三毛猫のスタンス。
以前の三毛猫ならば望んでくれる者ならば誰でも良かった。
けれど今はちょっと違う。
心から大事にしたい存在に自分の存在を望んで欲しい。
そう…考えている。
野良猫である自分を飼ってくれる者が居るなら誰でも良かった。
首輪をくれるなら…自分を必要とさえしてくれたならばそれで良かった。
けれど…今は…白狐にしかそれを望まない。
もし、心から必要としてくれたならば…
三毛猫は迷いなく白狐と共に歩んで征くだろう。
熱くなく、冷たくない…
丁度いい塩梅の…
恋をしたのだろうか…?
三毛猫には分からない。
否、こんな感覚は初めてで自分でも判じる事が出来ずに居る。
ハッキリしてるのは…
好き。と、云う気持ちだけ。
たった其れだけの気持ち。
けれどその1つの感情は三毛猫の心に強く根付いて離れないし、揺るがない。
その感情が三毛猫に力を与え三毛猫を変える。
こんなにも力強く息吹いてる好きって度合いは…
三毛猫には無かった様に思う。
情緒も安定して穏やかなのにも関わらず。
孤独な三毛猫は大切なものを得ようとして居る。
欠けてしまったもの。
失ったもの。
備わってないもの。
様々な形で三毛猫に無いもの。
本来なら当たり前に有るべきもの…
それを三毛猫は得ようとして居る。
三毛猫はそんな感覚を覚えつつも、自分の中でボヤッと変わり出したものがどう変わるのかを確認している…
この変化は何なのだろう…?
三毛猫はそう感じ乍ら当て嵌まる言葉を探している。

孤独な三毛猫 其の伍

2019-12-24 18:45:00 | やつがれシリーズ~心を捜して~
精神崩壊を回復してから約1週間。
三毛猫はその後も白狐と文(LINE)を毎日、遣り取りしている。
そんな日々を過ごし征く中で三毛猫は実感してる事がある。
それは白狐が三毛猫をとても大事にしてくれている。
と、云う事。
白狐は三毛猫を正しく捉えている。
それ故に三毛猫の苦にならない形で白狐の心を現してくる。
三毛猫にはそう云う押し付けない現し方は難しい為に素直に有難さを感じつつ尊敬している部分である。
三毛猫は白狐の表現の仕方を自分の中に吸収しようと実は必死だったりする。
誰かを大事にする。と、云う事は三毛猫には気持ちは在れど言葉で現すのは途轍も無く難しいのだ。
しかし、そのままでは大事にしたい存在を大事にしてる気持ちは伝わらない。
三毛猫は…白狐が大事な存在だからこそ、それを伝えたいと考えている。
今が繁忙期。
白狐は当然乍ら主業務は配達故に途轍もなく忙しい。
しかし、休憩の合間に三毛猫へ何かしら文(LINE)を返してくれる。
其処からも白狐の優しさを感じる三毛猫は最近、既読にならない間が長くなるのも承知の上で折り返して昼からも少しでも無理なく頑張って貰える様に言葉を残す様にしている。
伝わってるかは分からない。
けれど、今、表現出来る全てを注ぎ込み認めている。
少しでも力になれれば…
三毛猫はそう想う。
土曜日、三毛猫は膝を車両から抜け出す際に積み上げたままの荷物に引っ掛かり落ち盛大に右膝を打ち付けた。
あまりにも自身に嫌気が差した三毛猫は白狐に溢した…
白狐は三毛猫が他者の心配する心を素直に受け取れない事を知っている。
それを三毛猫が話したから。
そうして白狐は彼なりの心配の気持ちを現し、以後は重たくならず軽くなり過ぎもせず心配してる気持ちを現してきてくれている。
塞ぎがちな三毛猫の気持ちはその内容に随分と救われた。
強がりな部分もある。
けれど…本当の部分もある。
今の膝の状態でも三毛猫は短距離走を敢行しても白狐に勝つ自信がある。
少なからず走れる様な状態では本来は無い。
絶対安静にすべき膝の腫れ方であり痛み方。
けれど三毛猫は動かせるし、怪我前と遜色無く右足を動かしてるのも事実。
しかしそれは痛みに耐えるに耐えているが為に可能な事。
つまり痛みに耐えれさえすればいつも通り全力で走れる。
それは三毛猫の強がりであり事実。
けれど、そうやって気を張ったり抜いたり出来るから三毛猫は痛みに負けずに居るのだ。
でも流石にこの腫れ方はマズイ。
と、三毛猫は判断した為、主治医に明日、診てもらうつもりで居る。
勿論、これ以上、余計な心配を掛けない為にも白狐には内緒である。
白狐が三毛猫の膝を心配してくれてるから、三毛猫は主治医に診て貰う事にしたのだ。
主治医が診て大きな病院に掛かる事になったとしても三毛猫は構わないと思っている。
白狐の心配を無駄にしない為にも一緒に出掛けたりする為にも治しておかねばなるまい。
そう、強く感じたのだ。
今のままでも仕事は幾らでも熟せる。
三毛猫は実際に2日、この状態で勤務している。
痛むが仕事には支障をきたしては居ない。
否、きたさない様に上手く足を使っているのだ。
冷やしたまま包帯で固定しその上から更にサポーターを着ける事により動きを補強しているのだ。
そう、一昨年、肘にヒビを入れた際にやっていた方法を使っているのだ。
今、仕事に穴を開けれないならこそ三毛猫は病院に行きたくは無かったのだ。
けれど、今は少し違う。
心配してくれる人に安心して貰いたいから病院に行く気になったのだ。
これが三毛猫の白狐の心配に対しての応え。
まっ、当の本人には主治医に診せる事をまだ話してないけどね。
事後報告予定。

孤独な三毛猫 其の肆

2019-12-23 19:22:00 | やつがれシリーズ~心を捜して~
三毛猫は寂しさの理由を見付けれずに居た。
相変わらず白狐との文(LINE)の遣り取りは続いて居る。
しかし、寂しさの理由を知るきっかけを得る。
仕事上、ストレス負荷を心に掛け過ぎた三毛猫は精神崩壊を引き起こす。
文(LINE)上で異変を感じ取った白狐の反応を察知すると三毛猫は白狐へ溢す。
精神崩壊を起こす数日前に逢った際には見え掛けた寂しさの理由。
けれど掴めないまま時は経ち1週間前に精神崩壊を引き起こした三毛猫は何故か真っ先に白狐へ文(LINE)をしたためる。
送信して、仕事の合間合間に丁寧に白狐は返信をくれる。
それを嬉しくも有難くも感じるが三毛猫はその感覚に反して途轍も無く淡々と返す。
そうして何度か遣り取りをした後に…
白狐は三毛猫に呟く様に「なぐさめようか」と、返してくる。
三毛猫は白狐に逢いたく感じていた事をその一言で認識する。
其処から三毛猫は素直に返す。
「…うん。」と、只、一言。
そうして白狐はその翌日、貴重な休みを三毛猫へ充ててくれた。
三毛猫は最初こそ笑えず淡々と疲れ切った様な表情や声のトーンで居たけれど、少しずつ白狐と過ごしていくうちに笑顔を取り戻す。
白狐は空っぽになって虚空な三毛猫の崩壊した心に優しく染み込む様に自然に三毛猫に接する。
其処には白狐の思い遣りが在る。
温かい心地いい何か。
それを三毛猫は心に吸い込む様に虚空な心へ潤滑させる。
そうして笑える迄に回復した三毛猫は気が付く。
すっかり甘やかして貰ってるな。
そう、感じながら流れのままに身を任せる。
いつか話したバイクで出掛ける話から始まり風をかなり切って寒いからと、白狐は三毛猫の為に上着を買ってくれたのだ。
三毛猫は喜び礼を述べる。
ショッピングモールからの帰り不意に黒猫の話題になった。
それは三毛猫が自分の記憶力の良さを誇って白狐が話題を振ったのだが…
三毛猫は興味が無い上に訊いた様な気はしたけど自ら話題を振った訳では無かった為に知らない状態だった黒猫の誕生日。
白狐がその後、ミラクルを引き起こす。
「5.16だったかな…」
「そうだったら私は心底、嫌なんすけど。」
「え?何で?」
「それ…私の誕生日。」
「嘘っ!?」
白狐は当然として三毛猫の誕生日を知る者は少ない。
と、云うか間違いなく白狐の周りには居ない。
なので三毛猫は吃驚し過ぎて焦る。
何気なく頭に浮かんだ数字を述べた白狐も焦る。
しかし、それがきっかけで三毛猫も白狐の誕生日を知れたのである。
勘、良いんだよね。本気で。
そんな何気ない会話を帰りの車内で繰り広げる。
三毛猫は会話をしつつ、寂しさの理由を掴む。
「…この狐(人)が好きで堪らないからか…」
傍に居てくれるのが当たり前になってしまった。
その安心感は三毛猫にはとても意味がある事なのだ。
自分意外の存在を信じてない三毛猫は特定の存在を近付ける事自体、稀なのだ。
其処に三毛猫が気を常に張り続けなくなる存在はそうそう居ない。
三毛猫にとって白狐はそんな存在になっていた。
それを認識したからこそ三毛猫は自分の感情に気が付く。
好きで堪らない。
と、いう事は此れは恋に近い好きなのだろう。
そう、感じつつも三毛猫は伝えない。
寂しさを感じる事を白狐に話して好きなのは認めたけど、恋に近いとまでは話しては居ない。
三毛猫は話さないで居る。
今の心地いい関係が崩れてしまうのを厭う為に三毛猫は言わないで秘めている。
今のまま恋とかじゃなくても三毛猫は構わないのだ。
けれどその日、三毛猫は何故か強く白狐を求める。
まぁ男性の「なぐさめようか」は身体を重ねる事ってのは察しは付いて居た三毛猫。
白狐と身体を重ねるのだが…
その日の三毛猫は自分でも驚く程に求めた…。
強く白狐を求めた。
それが白狐に伝わったかはさておき…
心の赴くままに求めた…。
触れていて欲しい…
触れていたい…
温もりが欲しい…
そう、欲望のままに求めた。
そのまま少し眠るくらいに三毛猫は気を抜く。
白狐の存在は三毛猫には様々な意味でも心から必要なのだ。
三毛猫は認識した。
そうして距離を更に縮めてみる事にする。
白狐の秘めた三毛猫に対する想いは知らない。
故に三毛猫は自然に等身大(ありのまま)の姿を白狐には見せる。
スクーターの後ろに座って風を切る白狐宅からの帰り道。
三毛猫はその気持ち良さを実感する。
白狐が1番、気に入ってるバイクで出掛けるのを楽しみにしてると伝えるくらいに三毛猫は気持ちが良かった。
白狐は急に「尾崎豊、知ってる?」と三毛猫に問う。
三毛猫は「ああ、何曲か聴いた事あるよ?」
「そうなんだ!相変わらず渋いね~」
「えーっと、つまり15の夜?」
「そう!ってかやっぱり回転早いね。これだけで分かるんだ。」
「流石にこの状況で尾崎豊と言われたら分かるよ!」
「46の夜だけどね。」
「つか、そもそもバイク盗んでないじゃん!」
「あ、そうだね。」
笑い乍、三毛猫は白狐と帰りの会話も楽しむ。
別れ際の一言で三毛猫は白狐に力を貰い。
翌日、応援稼働で悲惨な物量を見事に捌き切るのだった。
本当、あの日、逢えなきゃ…
詰んでたよ。メンタル崩壊したままだったから。

孤独な三毛猫 其の參

2019-12-13 12:53:00 | やつがれシリーズ~心を捜して~
三毛猫は此処数日、白狐に逢えていない。
文(LINE)の遣り取りはしているけれど、何となく寂しさを感じて居る。
何故だろう?
三毛猫はその寂しさの正体を見付けれずに居る。
お互いに職場は一緒でも担当業務が違うのですれ違って然りなのに。
それは分かってる筈なのに…
何故、こんなにも不意に寂しさが込み上げてきて文の返事が来たら嬉々として返事を返す。
三毛猫はそんな自分に少し嗤いつつも、白狐との遣り取りを愉しむ。
短い通数でも構わないのだ。
白狐が健在ならば三毛猫はそれだけで安心する。
時には白狐のすっとぼけた発言に激しく突っ込みを入れ…
時には白狐の身を案じ…
時には白狐が三毛猫の身を案じてくれたり…
三毛猫に力を与えてくれる遣り取り。
ほっこりして心が暖まるのに…
遣り取りが終わると寂しくなって何となくポッカリと胸に穴が開いた様な妙な感覚に襲われる。
そうして心が冷えて征くのを感じる。
分からない。
三毛猫は自らの心の機能がおかしくなってしまったのか?
と、考える。
元から一般人のソレではないけれど…
こうもおかしくなったのはコレが初めての様な気がする。
満たされてるのに満たされてない感覚…。
渇くに渇いて居る。
貪欲なまでに何かを求めて居るのだ。
それを形容出来ないで居る。
考えても、考えても…
悩んでも、悩んでも…
答えが見付からないまま…
三毛猫はモヤモヤして居る。
答えが見付らない事は何となく心に引っ掛かって気に掛かってしまう。
この感情の出所は一体、何処からなんだろう?
三毛猫は自分に経験の無い感情に戸惑うばかりである。
一体、この感情は何というのだろうか?
苦しいとか、辛いとかは全く無く。
只、寂しさが募る様な感覚を覚え…
其処から心が冷えて征く…
心が冷えたら渇きに喘ぐ…
あー、本当に厄介だ。
と、三毛猫は自分に対して感じる。
本当に面倒くさいよね。自分。

孤独な三毛猫 其の弐

2019-12-12 16:49:00 | やつがれシリーズ~心を捜して~
三毛猫の心は動き出した。
それまでは様子を窺うかの様な動物(人間)観察に近いものであった。
けれど三毛猫の心はその域を越える。
偶に話してると見え隠れする白狐の深い部分を知りたいと思う様になる。
自分も話しつつ振る。
白狐の人生観、考え方、在り方…
其れ等を知りたくて知りたくて…
話しを振る。
白狐は静かに語る。
三毛猫もその語りを聴き入る。
それに対して三毛猫は三毛猫の考えを意志を返す。
白狐も似た様な孤独を抱えている。
何処か冷めた感じがあるのはそれが理由。
しかし、三毛猫にはその部分が大いに分かるのだ。
上手くその孤独と付き合って生きてきた白狐。
三毛猫とはまた違う孤独との付き合い方。
こういう付き合い方もあるのだろう。
三毛猫はそう感じながら聴き入る。
心を重ねるのも心地いい。
大まかな目標を決めて後は成行任せなお出掛け。
食事も行き当たりばったりをやってみたり。
ノープランのぶらり旅みたいな逢瀬は三毛猫には縛りがなくて楽しい。
自由気儘に満喫するのだ。
白狐と同じ刻を過ごせる事を三毛猫は喜び噛み締める。
逢えば逢うほど、三毛猫は白狐に好意を強める。
けれどコレは未だ恋では無いのだろう。
そう、三毛猫は思う。
恋の手前か或いは恋をする準備なのか…
三毛猫には初めての経験故に判じれずに居る。
けれど三毛猫はこうも考える。
身体を許せた時点で恋になってるのか?
と、さえも。
なれど、恋にしては三毛猫の心は何処か冷静で心も身体も重ねるのが白狐と一緒に居たら自然。
と、認識しつつあるので何とも曖昧である。
何せ身体を許した際の状況も状況だった。
これがストレートに何かを言われてとか誘われてとかなら三毛猫も恋を意識したかも知れない。
だが、三毛猫も満更じゃなくなったのを白狐が見逃さなかった事から境界線を越えたが故に曖昧なのだ。
だからと云って流れに身を委ねた事も後悔は無い。
が、いつもならやらない事をやった自分に対して些か疑問を抱いたが。
けれど白狐と身体を重ねる事も三毛猫には心地よく身体を重ねるから知れる事もある。
偶に快楽に溺れ掛かるけれど。
三毛猫は今、白狐との日々をどんな事でも楽しんでいる。
時には驚かされ…
時には恥じらわされ…
時には憤り…
時には弱さを見せ…
時には大いに笑い…
そうして三毛猫は白狐が傍に居てくれる日々を過ごす。
白狐も自分と同じ様に楽しんでくれるにはどうしたら良いか…
そう、考えながら。