浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

The Book of the year 2010

2010-12-31 20:58:04 | 
年末になるとやっぱりよくテレビを観るなぁ。日頃観ない反作用で更によく観る。

今日、テレビ東京でやってた「アカデミックセミナー あの素晴らしい愛について」はすごかったね。いいもの観させてもらったわ~。浮世絵の母子像から観る日本人論。こんなのテレ東で昼間っからやってることに感動した。深夜には「スゴイ会議」っていうこれまたトンでもないのもやってたしね。アカデミックセミナーについては近々絶対に書きます。

つーことで実はもう5回目となる僕なりのThe Book of the year、今年の本。

しつこく続けてますけど、実はこれをやるためにブログを書いていると言っても過言では無いんです。

僕が今年読んだ本からあくまで独断と偏見で「今年の一番」を勝手に決めます。「今年読んだ本」だから中には発売されたのは昔、ってのもある。

小説もノンフィクションも一気に出して一位を決めるなんて何の意味があるんだ?と思うかも知れないし僕だってそう思わなくもないけど、ま、大晦日の気分なんでいいじゃないですか。

ちなみに過去4回はこちら。書名はその年の一番。
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The book of the year2009
「1Q84」

The book of the year2008
「イノセント・ゲリラの祝祭」

The book of the year2007
「ローマ人の物語」

The book of the year2006
「終末のフール」
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さーて今年はどんな本読んだんだっけな?

まずは惜しくも受賞を逃したエントリー作品から。


「下流志向」
下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち
内田樹って人は今年知って「日本辺境論」なんかも読んだ。一応、僕の仕事が教育関係だから教育論なんかは参考になるなぁ。
ブログで書いてた「七人の侍に見る組織論」はめちゃくちゃ参考になったよ。

「そうか、もう君はいないのか」
そうか、もう君はいないのか
城山三郎という作家が先立たれた奥さんについての思い出を綴ったエッセイ。どんな夫婦も遅かれ早かれ一人になる(同時に亡くなるってのは稀だろうからね)わけでそのときの切なさにグッと来た。

「ブレイズメス1990」
ブレイズメス1990
毎年出すねぇ、この人は。メインの田口白鳥シリーズの前日譚シリーズの2作目(もうなんのこっちゃか…) でもこのシリーズ、僕好きなんだよね。
前作「ブラックペアン1988」は剣道小説「ひかりの剣」と対になってた。ということでこの「1990」は「闇の牌」という麻雀小説と対になるんじゃないかと勝手に妄想してるんだけどどんなもんだろうね。

「バイバイ、ブラックバード」
バイバイ、ブラックバード
伊坂幸太郎。間違いないね~。「あるキング」以降、どうにも持ち味が変わったような感じがしていてそれは賛否両論なんだけど僕は嫌いじゃない。
この作品は暗そうに見えて最後に希望があってよかった。

「私はなぜ麻原彰晃の娘に生まれてしまったのか」
私はなぜ麻原彰晃の娘に生まれてしまったのか ~地下鉄サリン事件から15年目の告白~
これ読んだの今年だったか。。。もうタイトルを思い出しただけでどーんと凹んで来るなぁ。

「勝つために戦え!〈監督篇〉」
勝つために戦え!〈監督篇〉
今年はずいぶん映画を見た。映画館でも見たしレンタルでも見た。なもんだから必然的に映画関係の本もよく読んだね。これは押井守というアニメ映画監督が語る監督論。「映画監督にとっての勝利とは何か?」がテーマ。

「赤めだか」
赤めだか
エッセイでは今年のナンバーワンだなー。あまり落語は詳しくは無いんだけど、そのうえ立川流については更に何も知らなかった。でもこれ読んでから立川談春、立川志らくの落語聴いてみたらやっぱりいいんだよね~。大変失礼ながらyoutubeで見てるだけだけど、志らくの「大工調べ」はいい。
それ以上に「おお!名人芸!」ってのは談志の「芝浜」。生まれて初めて落語でぼろぼろっと泣いた。
で、その談志の話、そしてさらには談志が喧嘩別れした師匠の小さんの話まで書いてあって読めば読むほど落語、そして落語家が好きになるいいエッセイだったなぁ。正直、今年のブック・オブ・ザ・イヤーはこれしようか最後まで悩んだ。

と、言うわけで以上がノミネート作品。

さて、今年のThe book of the yearは!

(脳内でドラムロールをお願いします)










『hon-nin列伝 セキララなオンナたち』
hon-nin列伝 セキララなオンナたち (本人本)
いやー、これはすごかった!!!読みながら何度も「ぷっ」て吹き出したもん。おもしろかった~。
どういう本かと言うと吉田豪というプロインタビュアーの人がいるんだけど、その人がいろんな有名人にロングインタビューする、という雑誌「hon-nin」の連載を書籍化したもの。

この吉田豪って人はとにかく徹底的に相手を調べて相手のことを好きになり相手の新たな一面を見いだすインタビューで有名なのね。

特にこの本で最高におもしろかったのが麻生久美子。

僕はこの人のこと「ああ、なんかテレビで見たことある女優さんだなぁ」としか思ってなかったんだけどこのインタビュー聞いたらすごいよ!

「ビンボーだったけどお母さんがハンバーガー屋で働いてたので売れ残りのハンバーガーが食べれたから食べ物には困らなかった。」
「ザリガニ食べるのが楽しみだった、雑菌がいるから食べちゃいけないって大人になって知った」

あとやっぱり広田レオナね。
「家が金持ちだったので子供の頃よく誘拐されてました(アッサリ)」
「去年まで4年間寝たきりだったんで(アッサリ)」
すごい話のオンパレードなんだけどぜんぶアッサリ話してるんだよね。

とにかく出てくる出てくるトンデモ話。。更にそれを引き出す吉田豪のトークテクニック、それと出てきたトンデモ話に的確な突っ込み。

いやーおもしろかったわ~。


今年は僕のほうもいろいろあったけどこの人たちの壮絶な半生読んでると「僕なんてまだまだだなぁ」と思える。何より吉田豪がこの人たちの話聞いて「ダハハハハ!」と笑い飛ばしてて読んでるこっちが「ま、いっかぁ」と思える。

とにもかくにもおすすめですよ。この人のインタビュー本だと「男気万字固め」と「人間コク宝」ってのあってこっちはこっちでインタビュー相手がコクのある人たちでいいんです。


と、言うことで今年も色んな本を読んだ。

色んな場所に行ったし色んな物を食べた、そして色んな出会いもあった。残念ながらいくつかの別れもあった。そういうのはコインの表と裏でプラスがあればマイナスがあるもんだ。

「人生というゲームの場では誰しも何らかのコインを賭けなければいけない」ってルシールも言ってた。

年末になると「七味五悦三会」という言葉を思い出す。江戸時代の言葉らしいんだけど、「1年の間に七回くらいは美味しいものを食べ、五回くらいは楽しいこと(悦)があって、三人くらい良い出会いがあるといいものですなぁ」という意味だそうです。当時の人は年末にこの言葉を思い出し、今年そういうことがあったかどうかを考えたとさ。

さて、僕の2010年。

今年も美味しい物をたくさん食べた。特に今年はなんたって大阪に行く機会があってとにかく食べ物が美味しかったなぁ。串カツ、焼き肉、粉モン、そうそう黄ぃそばというショッキングな麵に会えた。

楽しい事も、出会いもあった。

ありがとうございました、出会ってくれて、楽しませてくれて。

ということで皆さん、今年もお世話になりました。よいお年を。

来年も理力があなたと共にあるように。
(May the force be with you.)

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