(今回、画像がたっぷりなので携帯ではわかりづらいと思います)
さて、カエサルのルビコン渡河を発端とするローマ内乱の雌雄を決する大決戦、ファルサルスの戦いが始まります。
武勇を誇る「偉大なる」ポンペイウス軍とローマの昇竜カエサル軍のギリシャにおける総決戦。ここからは軍の動きと共に実況中継でお送りします。
【1:開戦前布陣】

まずは川を上に右にポンペイウス軍5万4千。さすがは武勇名高きポンペイウス。一度は丸腰でローマを後にしましたがギリシャ、エジプトを回り各属州を手なずけ多国籍軍とも言える軍備を備えました。布陣は右翼、中央、左翼に歩兵を三分割、そして左翼の左に機動力あふれる騎兵を配置しています。古のハンニバルとスキピオによる「ザマの会戦」を紐解くまでもなくこの時代は「騎兵を制するものが戦いを制する」時代でした。
※余談ですが「その時代における最も殺傷能力のある軍」は常に戦争においての鍵になっています。古代においては白兵⇒剣兵⇒槍兵。日本の戦国時代においては鉄砲兵、第二次世界大戦においては戦車、そして現代軍事学ではアパッチなどを代表するヘリ部隊です。
一方、左のカエサル。兵力はポンペイウス軍の半分にも満たない2万3千。しかしガリア戦争から引き続きカエサルに付き従っているだけあり意思統一は立派なもの。布陣はポンペイウスに応じるかのように両翼と中央、騎兵。特徴的なのは右翼を二陣に分割していること。これはなんでしょうね~。
【2】

兵力で増すポンペイウス軍は定石として受けの戦い。まずはカエサル軍が仕掛けます。カエサルは左翼、中央の兵それぞれ4分の3、そして右翼第一陣をポンペイウス軍に進攻させます。
平野戦において実は「突撃」という合戦の仕方は思ったよりも成果が薄い、と軍事学者は言います。
全速力で何千人もの兵士が突進してくれば見た目の威力はありますが、反面、距離を走ることによってせっかくの隊列が乱れます。
考えても見てください。100m先の止まっている敵に向かって全力疾走をして、そのまま狙いを定めて剣を刺すことが出来るでしょうか?
ポンペイウスは突進するカエサル軍の隊列の乱れをしっかりと見据えていました。彼の軍はしっかりと敵に向け槍を立て走ってきたとこを刺せばいいだけなのです。
土煙を上げ走りこんでくるカエサル軍、切り結ぶ第一合はポンペイウス軍のもの、と思ったそのとき、戦場に一瞬の静寂が響きます。
ポンペイウス軍は驚きました。なんと1秒前まで全力疾走していたカエサル軍がポンペイウス軍の槍の間合い一歩手前で一糸乱れず全員「立ち止まった」のです。
収まる土煙と怒号、再度固まるカエサル軍の隊列。
言うなれば規則正しく打たれていた音符の中の一拍の休止符。
すべてのものにはリズムがありリズムを制したものがマエストロです。
この瞬間にはカエサルは稀代のマエストロとなります。
拍をずらされたポンペイウス軍、自分のリズムを刻んだカエサル軍、そして戦いが始まります。
兵力では劣りますがさすがはカエサル幕下の屈強なローマ兵(すこしガリア兵も混じっています)、ポンペイウス軍と渡り合います
一方、攻め込まれたポンペイウスは兵士に「落ちついて受けろ」という指示を出しますが残念、多国籍軍の脆さか指示が浸透しません。攻めるものあり、守るものあり。兵力差ほどの有利には働きません。
【3】

思ったよりもローマ兵が減らない状況を見たポンペイウス。ならば一気にカエサル本陣を攻める作戦に出ます。北は川に阻まれているため南から。そのために騎兵を南に配したのです。機動力に優れる騎兵ならばカエサル騎兵を迂回してもじゅうぶんカエサルにたどり着けます。勝負とばかりにぐぃーんぐわーんと騎兵を進めます。
【4】

応戦するかと思われたカエサル軍騎兵、易々とポンペイウス騎兵の突破を許しますポンペイウス1二桂で王手秋味で王手。
【5】

もちろんこれは稀代の策士、カエサルの作戦通り。残しておいた右翼第二陣が先回りをしポンペイウス騎兵の前に立ちます。
子供の頃から馬に触れ馬の性格を知り尽くしていたカエサル、馬は足元に兎がいるだけで足を止めてしまう本質的には臆病な動物であることは知っていました。そこをつき馬の目の前に歩兵を出したのです。さらにカエサルが用意したこの右翼第二陣はカエサル軍の中でもベテラン兵の集まり、正にカエサルの秘密兵器でした。
【6】

右翼第二陣に足止めを食らい、回り込もうにもカエサル騎兵に背後をつかれポンペイウス騎兵は一気に全滅。唯一の逃げ道だった南方向に散り散りとなり敗走します。
【7】

カエサル騎兵と右翼第二陣はそのまま一塊となり目の前に空いたポンペイウスへの道を疾走。
【8】

それと呼応するかのように一応、ポンペイウス騎兵の突破にそなえていた左翼、中央の残り兵も前へ。
【9】

川に挟まれたポンペイウス軍右翼が殲滅され、カエサル左翼がポンペイウス本陣に進軍し始めたところで勝負有。
敗北を悟ったポンペイウス、エジプトへと敗走します。
(このカエサルの美しい用兵をアニメでどうぞ)

…to be continued...
さて、カエサルのルビコン渡河を発端とするローマ内乱の雌雄を決する大決戦、ファルサルスの戦いが始まります。
武勇を誇る「偉大なる」ポンペイウス軍とローマの昇竜カエサル軍のギリシャにおける総決戦。ここからは軍の動きと共に実況中継でお送りします。
【1:開戦前布陣】

まずは川を上に右にポンペイウス軍5万4千。さすがは武勇名高きポンペイウス。一度は丸腰でローマを後にしましたがギリシャ、エジプトを回り各属州を手なずけ多国籍軍とも言える軍備を備えました。布陣は右翼、中央、左翼に歩兵を三分割、そして左翼の左に機動力あふれる騎兵を配置しています。古のハンニバルとスキピオによる「ザマの会戦」を紐解くまでもなくこの時代は「騎兵を制するものが戦いを制する」時代でした。
※余談ですが「その時代における最も殺傷能力のある軍」は常に戦争においての鍵になっています。古代においては白兵⇒剣兵⇒槍兵。日本の戦国時代においては鉄砲兵、第二次世界大戦においては戦車、そして現代軍事学ではアパッチなどを代表するヘリ部隊です。
一方、左のカエサル。兵力はポンペイウス軍の半分にも満たない2万3千。しかしガリア戦争から引き続きカエサルに付き従っているだけあり意思統一は立派なもの。布陣はポンペイウスに応じるかのように両翼と中央、騎兵。特徴的なのは右翼を二陣に分割していること。これはなんでしょうね~。
【2】

兵力で増すポンペイウス軍は定石として受けの戦い。まずはカエサル軍が仕掛けます。カエサルは左翼、中央の兵それぞれ4分の3、そして右翼第一陣をポンペイウス軍に進攻させます。
平野戦において実は「突撃」という合戦の仕方は思ったよりも成果が薄い、と軍事学者は言います。
全速力で何千人もの兵士が突進してくれば見た目の威力はありますが、反面、距離を走ることによってせっかくの隊列が乱れます。
考えても見てください。100m先の止まっている敵に向かって全力疾走をして、そのまま狙いを定めて剣を刺すことが出来るでしょうか?
ポンペイウスは突進するカエサル軍の隊列の乱れをしっかりと見据えていました。彼の軍はしっかりと敵に向け槍を立て走ってきたとこを刺せばいいだけなのです。
土煙を上げ走りこんでくるカエサル軍、切り結ぶ第一合はポンペイウス軍のもの、と思ったそのとき、戦場に一瞬の静寂が響きます。
ポンペイウス軍は驚きました。なんと1秒前まで全力疾走していたカエサル軍がポンペイウス軍の槍の間合い一歩手前で一糸乱れず全員「立ち止まった」のです。
収まる土煙と怒号、再度固まるカエサル軍の隊列。
言うなれば規則正しく打たれていた音符の中の一拍の休止符。
すべてのものにはリズムがありリズムを制したものがマエストロです。
この瞬間にはカエサルは稀代のマエストロとなります。
拍をずらされたポンペイウス軍、自分のリズムを刻んだカエサル軍、そして戦いが始まります。
兵力では劣りますがさすがはカエサル幕下の屈強なローマ兵(すこしガリア兵も混じっています)、ポンペイウス軍と渡り合います
一方、攻め込まれたポンペイウスは兵士に「落ちついて受けろ」という指示を出しますが残念、多国籍軍の脆さか指示が浸透しません。攻めるものあり、守るものあり。兵力差ほどの有利には働きません。
【3】

思ったよりもローマ兵が減らない状況を見たポンペイウス。ならば一気にカエサル本陣を攻める作戦に出ます。北は川に阻まれているため南から。そのために騎兵を南に配したのです。機動力に優れる騎兵ならばカエサル騎兵を迂回してもじゅうぶんカエサルにたどり着けます。勝負とばかりにぐぃーんぐわーんと騎兵を進めます。
【4】

応戦するかと思われたカエサル軍騎兵、易々とポンペイウス騎兵の突破を許しますポンペイウス1二桂で王手秋味で王手。
【5】

もちろんこれは稀代の策士、カエサルの作戦通り。残しておいた右翼第二陣が先回りをしポンペイウス騎兵の前に立ちます。
子供の頃から馬に触れ馬の性格を知り尽くしていたカエサル、馬は足元に兎がいるだけで足を止めてしまう本質的には臆病な動物であることは知っていました。そこをつき馬の目の前に歩兵を出したのです。さらにカエサルが用意したこの右翼第二陣はカエサル軍の中でもベテラン兵の集まり、正にカエサルの秘密兵器でした。
【6】

右翼第二陣に足止めを食らい、回り込もうにもカエサル騎兵に背後をつかれポンペイウス騎兵は一気に全滅。唯一の逃げ道だった南方向に散り散りとなり敗走します。
【7】

カエサル騎兵と右翼第二陣はそのまま一塊となり目の前に空いたポンペイウスへの道を疾走。
【8】

それと呼応するかのように一応、ポンペイウス騎兵の突破にそなえていた左翼、中央の残り兵も前へ。
【9】

川に挟まれたポンペイウス軍右翼が殲滅され、カエサル左翼がポンペイウス本陣に進軍し始めたところで勝負有。
敗北を悟ったポンペイウス、エジプトへと敗走します。
(このカエサルの美しい用兵をアニメでどうぞ)

…to be continued...
武田の騎馬隊のイメージも根本から変わるこの説ですが、まぁ、講談やら本やらで描かれるうちに今みたいになったみたいですね。
昔の日本の馬は道産子みたいというか、でっかいポニーみたいなやつだったので、なかなか馬上から一撃みたいなのは論外だったみたい。
しかしさ、人殺した事もなく馬に乗った事もない現代のとっつぁんぼうや達がそんな事を議論するのは机上の空論もいいとこだと思わない?
実際、ずんぐりむっくりの馬でも一丸となって突撃してきたらそうとうおっかないと思うけどね。
あら、blogに関係なくてごめりんこ。
PCから見たらまた書きます。
今回、PCから見ないとあんまりよくわからないと思うので是非。
動いてる~ わーい(ナンカウレシス)