「髙橋大輔」のスケートが好きだった。
2009年の全日本。
あの会場に行かなければ、たぶん、こんなに長く深く見続けることはなかっただろうと思う。
衝撃だった、「eye」
そして、翌日、もっと衝撃を受けた。
「La Strada」を滑っている人が、昨日と同じ人にどうしても見えなかった。
醸し出す空気も、滑りの重さも、違って見えた。
流れるように軌跡を残すトレースにも見惚れた。
ミスがいっぱいあったのに、そんなこと忘れていた。
あれから、10年。
今も、プログラムによって違う人に見える。
違うけど、ほかの誰でもない「高橋大輔」。
そのシングルが終わるんだね。
まだまだ整理できない気持ちがあるけれど、アイスダンスの「ダイカナ(カナダイ?)」もきっとワクワクして見守るのだと思う。
復帰してから一貫して変わらない、ブレないこと。
「自分のために滑る」
そして、「一生滑り続けたい」
アイスダンス転向を「躊躇しなかった」とさらった言ったことばに、その姿勢が見える。
彼にとって重要なのはきっと「滑り続けること」「滑って表現すること」なんだろう。
シングルであれ、アイスダンスであれ。
そのへんは、正直まったく違和感は感じない。
だけど、わたしの中に混乱が残っているのはきっと、「一人、氷上に立ち空気を変える髙橋大輔」がまだ見たいというわがままからだ。
切なさと、ワクワクと、不思議な浮遊感と・・・今度のジェットコースターはさらに厄介そうだなぁ・・・。
まだ走り出す前なのにね。
今までどんな肝を冷やす急降下も、どん底で動かなくなったような時も、爆発的な上昇のGがやばくても手すりを握り直してはしがみついてきたジェットコースターが、ここにきて強制終了という一報は引退宣言よりも現役復帰よりも自分には衝撃でした。何か運命共同体の乗り物のような勘違いをしていましたが、本人が終わりといったら終わる。こちらの新しいのに乗りなさい、という指示があり、そこまで順々に段階を踏んで乗り換えできるようにしてくれた大輔さんの優しさ、哉中ちゃんの理解と忍耐に感謝します。新しい乗り物もきっとワクワクするに違いないし、素晴らしい選択であることは露ほども疑いません。曇りなく楽しそうに笑ってくれているのが嬉しい。
けれども今は時間をもらったことに甘えて、嬉しいのでも悲しいのでもない涙がなぜか出てくるのも自然にまかせています。
今この時にこの記事をありがとうございました。
コメントありがとうございます。
>何か運命共同体の乗り物のような勘違いをしていましたが、本人が終わりといったら終わる。
う~ん、思わず頷いてしまいました。
このコメント、清いです。
その通りだと思います。わたしたちが見ているのは彼の人生のほんのひと時。
そのひと時があったことを、ただただ嬉しく思うばかりです。
>曇りなく楽しそうに笑ってくれているのが嬉しい。
まさに!
本当に楽しそうに笑ってますよね。
NHKのサンスポを見て、哉中ちゃんの熱い思いに驚き、嬉しくなりました。
どうしても滑ってみたい、その先の景色を見たい!・・・純粋な渇望。
競技経験や年齢や古傷や・・・そういったものをすべて飛び越えて、というよりもそんなことを気にする以上に強い渇望で、この二人はお互いを選んだんだなぁ・・・と。
>けれども今は時間をもらったことに甘えて、嬉しいのでも悲しいのでもない涙がなぜか出てくるのも自然にまかせています。
わたしも、Twindさまと似ています。
不思議な感情です(^^;)
でも、本当に、時間をありがとう、と思います。
最後の全日本をありがとう、そして翌シーズンを待つ時間をありがとう。
大輔さんは、強いですね。
さまざまな声が耳に入ってくるでしょう(ちらっとサンスポでも言ってたけど)。
でも、ブレない。
悪意を持ってみればブレブレに見えるだろう(理解はできます^^;)その生きざまは、実はすごくシンプルだとわたしは思います。
それにしても、乗らざるを得ないですよねぇ・・・というか、絶対乗り込みます!
次のジェットコースターの景色も御一緒に楽しみたいですね(^_-)-☆