つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

生まれるっ!

2005-04-04 19:18:38 | SF(海外)
さて、ついに終わってしまう第125回は、

タイトル:ファウンデーションの誕生(上)(下)
著者:アイザック・アシモフ
文庫名:ハヤカワ文庫

であります。

アシモフ自身が書いたファウンデーション・シリーズの最終作です。
前六作については、第64回第66回第68回第118回第119回第120回を御覧下さい。

話としては前作、『ファウンデーションへの序曲』の続編に当たります。主人公はもちろんハリ・セルダン。五部構成(最後の第五部は短いエピローグなので、実質的には四部構成)で、セルダンの残りの生涯を描きます。

敢えて、正直に言ってしまおう。

シリーズ中、最も地味な作品です。

本作では、前作以上に心理歴史学の研究がストーリーの核となっています。色々と事件は起こりますがどれも盛り上がりに乏しく、キャラクターもあまり印象に残りません。失敗と挫折、ささやかな希望、そして再び挫折を繰り返す展開は非常に現実的で説得力はあるのですが、同じ所をぐるぐる回るのは少々退屈に思えました。

しかしそれで終わるアシモフではありません、第四部で一気に面白くなります。
計算だけでは導き出せなかったある存在が、心理歴史学の完成とファウンデーションの設立というビジョンを現実のものとしてくれるのです。
別の巻で聞いたことのある人物もしくは名前が登場してニヤリとさせられるシーンもあり、一気にラストまで読めます。第三部までの地味さなどどこふく風といった感じです。
そして、エピローグを読み終えた後……

もう一度『ファウンデーション』を読みたくなります。

ああっ、恐るべき無限ループ。

派手な展開を期待しないファウンデーション・シリーズ・ファンにお勧め。
間違っても単独で読んではいけない。

追伸。
にゅきみ様のブログにお邪魔してきました。
アシモフ未来史全体の流れについて、私より詳しく解説されております。(汗)
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